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異世界旅行
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新たに浮上した問題、それは……。
野宿の準備である。
火種や水なんかは魔法があるからどうにかなるだろうし、料理なら私がある程度できるし川魚を釣ったり、食べられるらしい魔獣や鳥とかを解体すれば……たぶん行けると思う。
ダメだったらギルドに持っていけば解体してくれるからそれを利用すれば良いし、お金があるから日持ちする干し肉だとか、パンとかを買い込めば良いからね。
そこは良いんだよ。
完全に私たちの頭の中からすっぽ抜けていたのは寝袋とかテントである。
そもそもの話、元の世界じゃ野宿とかする機会は全くといって良いほど無いうえに、キャンプすらしたこと無いし、長距離移動とかそれなりに時間はかかれど電車とか飛行機があったのだ。
それに比べて、異世界たるこの世界はどうだろうか?
未知は整備されていないし、国から国に馬車や蒸気列車がでている方が稀、そこら辺は基本的に国内で完結する流れだ。
私たちが乗った馬車はメルトポリア王国と隣国の往来が多いからあった、しかも危険承知のものだった。
そう、私たちは国から国に馬車が出ているものだと思っていた。
バカでしょ?国外に出るとか予想もしてなかったからこれなんだよね……。
情勢も安定していない、無法地帯がたくさんある、そんな世界であちこち国を行き来する方法なんて自分の足くらいしかないことはよく考えればわかることなのに……。
……キャシーに関しては一段落したけど、またいつ襲われるかもわからないからと、急いで出てきたのが裏目に出たな。
「火種は?」
「私が元の世界から持ってきてるジッポがあるよ。オイルとか、定期的に変えなきゃいけないものがあるなら半永久的に使えるかな」
「ジッポライターはこの世界でも普及しているからオイルや交換用品の心配はしなくて良いだろうな」
オイルは常に満タンになるようにしていたから大丈夫だと思いたい。
ある程度蒸発しているかもしれないけど、現時点でつくから大丈夫だろう。
「なら火を心配する必要はないな。水は……縦長の鍋でも買って天然素材のろ過装置作るか。魔法を使っても良いが、魔力を温存したいからな」
「え、作れるの?」
「教科書で見た作り方を覚えているからいける」
「私記憶の彼方に消えたんだけど、よく覚えてるね」
で、いきつく寝床問題だ。
「どうする?」
「テントとかあるのか、この世界……」
「とりあえず、冒険者が使うようなお店回ってみる?私らやってることほとんど同じだから、目的の物あるかもよ?」
「そうだな。冒険者はあちこち行き来することがあるし、そのかて位の野宿なんかもするだろう。需要があるだろうし、テントとかあるかもしれないな」
そうして私たちの目的は冒険者を相手にしているショップになった。
ショップの中は冒険者たちで賑わっており、色々と使えそうなものが置いてあった。
調理道具から持ち運び用の多種多様なスパイ、それから小さめのナイフ、小さめの斧、ランタン、マッチ、オイル等々、取り揃えがとても良い。
それから嬉しいことに、テントや寝袋も置いてある。
「ランタンとかいるかな?」
「いるだろうな。あとは、小さいナイフや斧なんかもいるか」
「オイルどうしようね。ちょっと高いけど……」
燃料系はどこにでも需要はあるからお高めだな。
「なくなって慌てるよりも良いだろう。金もあるんだし買ってしまえ」
「着火材もちょっと買っとこうか。それから……メルトポリアで毛布とか防寒具とか買ってるけどさ、追加で買う?絶対野宿、めちゃくちゃ寒いよ」
「欲しいは欲しいが……。だが、そこら辺の物は嵩むしな……」
「それ用の袋と掃除機あれば圧縮できてるんだけどな。やっぱり荷物は嵩むか」
できればふかふかのクッションとかも欲しいんだけど、そこらへんは嵩むしある意味贅沢だからやめといた方がいいよね。
「……魔法で似たようなこと、出来ない?」
「真空パックのあれか?」
「うん」
私の言葉にカルタは顎に手を当てて考え込む。
風魔法を応用でできなくもないと思うんだけれども……。
出入り口を絞って、風を送るのと真逆に風を追い出す風にすれば……できる?
これができれば服とかも圧縮して荷物がだいぶん小さくなると思うんだけど。
「あ、でも湿気が問題か」
「魔方陣でやれば長期的にできそうだけど、無理だと思うぞ。使えそうな袋が思い当たらないしな」
「あぁ、そこがあるか」
となると、かさばるのを承知で買うか寒さに耐える他無いな。
「寒さに耐えるとか言ってると凍死しそうだから買うぞ」
「は~い。でもテント決めてからの方がよくない?」
「そうだな」
そんなやり取りの末、私たちはテントと寝袋を選ぶことになった。
「寝袋冬用と夏用買う?」
「そうしよう」
寝袋は二人分で夏用と冬用の物と言うことで四つ買うことになった。
「で、テントだけど、これしかないね……」
「これだけだな……」
私たちはショップのテント売場の前で眉間にシワを寄せて悩んでいる。
悩んでいる原因、複数人用のテントしか売場になのである。
値段が値段なので、これを二つ買うのは金銭的にきついものがある。
まあ、仮に一人用のテントがあっても、悩んでたと思うけどね。
一人用のテントを二つ買うと複数人用よりも値が張る反面、個人の空間が得られるだろうし、トラブルになる確率は低くなるだろう。
でも魔獣や盗賊に襲われたときに発覚が遅れるし、それ以外の異変が起きても気づきにくく、しかも対応が遅れる可能性が高い。
複数人用のテントを買うとなると一人用のテントを二つ買うよりも安く上がる反面、個人の空間はないし、持っているものは比重で体力が削れるだろう。
けれども、片方に異変がでたとき、魔獣や盗賊に襲われたときに気がつきやすいし、対応もすぐにできて状態が悪化する事態は防げるだろう。
……でも、高校生の男女二人が同じところに寝泊まりするって言うのは、ちょっと倫理的に……どうなんだろうか。
ってな感じでね。
「……」
「何で黙りなの」
「いや、倫理的にどうかと……」
「わかるけどさ……」
う~ん、安全性をとるか、倫理的に良い方をとるか……。
考えて、“命あっての物種”だとK、私は安全性をとることにした。
「これしかないんだし、これでいいんじゃない?二手に別れて危ない目に遭うのは勘弁だよ。前のローシュテールの件だとか、キャシーの件とかさ……」
二手に別れて危ない目に遭う。
そう考えて思い出したのは、ローシュテールにカルタが呼ばれていたときのことだった。
その記憶についで思い起こされるのは、二手に別れたわけではないが、分断されて危ない目に遭ったキャシーとの一件だ。
「そうか。でも、いいのか?」
「信用してるから、それでいいでしょ?何かする気?」
「いや、無いけど……。はぁ、何かあったら容赦なく殴って良いぞ」
「無いことを祈りま~す。なはは」
「しきり、用意するか」
悩んではいたが片方に異変があったときや敵襲があったときのことを考えて、広目のテントを一つだけ買うことにした。
そこから釣り竿、植物や魚や魔獣なんかの毒の有無を見分けるための本、あとは天然ろ過装置用の鍋とガーゼなんかも買うことになった。
買ったものを宿に持って帰り、あちこちを旅すると言うことで買っておいた大容量の鞄に詰め込んでいく。
「近くの国を順々に回っていくぞ」
「いつか、かち合うだろうね……」
出立まであと数日。
野宿の準備である。
火種や水なんかは魔法があるからどうにかなるだろうし、料理なら私がある程度できるし川魚を釣ったり、食べられるらしい魔獣や鳥とかを解体すれば……たぶん行けると思う。
ダメだったらギルドに持っていけば解体してくれるからそれを利用すれば良いし、お金があるから日持ちする干し肉だとか、パンとかを買い込めば良いからね。
そこは良いんだよ。
完全に私たちの頭の中からすっぽ抜けていたのは寝袋とかテントである。
そもそもの話、元の世界じゃ野宿とかする機会は全くといって良いほど無いうえに、キャンプすらしたこと無いし、長距離移動とかそれなりに時間はかかれど電車とか飛行機があったのだ。
それに比べて、異世界たるこの世界はどうだろうか?
未知は整備されていないし、国から国に馬車や蒸気列車がでている方が稀、そこら辺は基本的に国内で完結する流れだ。
私たちが乗った馬車はメルトポリア王国と隣国の往来が多いからあった、しかも危険承知のものだった。
そう、私たちは国から国に馬車が出ているものだと思っていた。
バカでしょ?国外に出るとか予想もしてなかったからこれなんだよね……。
情勢も安定していない、無法地帯がたくさんある、そんな世界であちこち国を行き来する方法なんて自分の足くらいしかないことはよく考えればわかることなのに……。
……キャシーに関しては一段落したけど、またいつ襲われるかもわからないからと、急いで出てきたのが裏目に出たな。
「火種は?」
「私が元の世界から持ってきてるジッポがあるよ。オイルとか、定期的に変えなきゃいけないものがあるなら半永久的に使えるかな」
「ジッポライターはこの世界でも普及しているからオイルや交換用品の心配はしなくて良いだろうな」
オイルは常に満タンになるようにしていたから大丈夫だと思いたい。
ある程度蒸発しているかもしれないけど、現時点でつくから大丈夫だろう。
「なら火を心配する必要はないな。水は……縦長の鍋でも買って天然素材のろ過装置作るか。魔法を使っても良いが、魔力を温存したいからな」
「え、作れるの?」
「教科書で見た作り方を覚えているからいける」
「私記憶の彼方に消えたんだけど、よく覚えてるね」
で、いきつく寝床問題だ。
「どうする?」
「テントとかあるのか、この世界……」
「とりあえず、冒険者が使うようなお店回ってみる?私らやってることほとんど同じだから、目的の物あるかもよ?」
「そうだな。冒険者はあちこち行き来することがあるし、そのかて位の野宿なんかもするだろう。需要があるだろうし、テントとかあるかもしれないな」
そうして私たちの目的は冒険者を相手にしているショップになった。
ショップの中は冒険者たちで賑わっており、色々と使えそうなものが置いてあった。
調理道具から持ち運び用の多種多様なスパイ、それから小さめのナイフ、小さめの斧、ランタン、マッチ、オイル等々、取り揃えがとても良い。
それから嬉しいことに、テントや寝袋も置いてある。
「ランタンとかいるかな?」
「いるだろうな。あとは、小さいナイフや斧なんかもいるか」
「オイルどうしようね。ちょっと高いけど……」
燃料系はどこにでも需要はあるからお高めだな。
「なくなって慌てるよりも良いだろう。金もあるんだし買ってしまえ」
「着火材もちょっと買っとこうか。それから……メルトポリアで毛布とか防寒具とか買ってるけどさ、追加で買う?絶対野宿、めちゃくちゃ寒いよ」
「欲しいは欲しいが……。だが、そこら辺の物は嵩むしな……」
「それ用の袋と掃除機あれば圧縮できてるんだけどな。やっぱり荷物は嵩むか」
できればふかふかのクッションとかも欲しいんだけど、そこらへんは嵩むしある意味贅沢だからやめといた方がいいよね。
「……魔法で似たようなこと、出来ない?」
「真空パックのあれか?」
「うん」
私の言葉にカルタは顎に手を当てて考え込む。
風魔法を応用でできなくもないと思うんだけれども……。
出入り口を絞って、風を送るのと真逆に風を追い出す風にすれば……できる?
これができれば服とかも圧縮して荷物がだいぶん小さくなると思うんだけど。
「あ、でも湿気が問題か」
「魔方陣でやれば長期的にできそうだけど、無理だと思うぞ。使えそうな袋が思い当たらないしな」
「あぁ、そこがあるか」
となると、かさばるのを承知で買うか寒さに耐える他無いな。
「寒さに耐えるとか言ってると凍死しそうだから買うぞ」
「は~い。でもテント決めてからの方がよくない?」
「そうだな」
そんなやり取りの末、私たちはテントと寝袋を選ぶことになった。
「寝袋冬用と夏用買う?」
「そうしよう」
寝袋は二人分で夏用と冬用の物と言うことで四つ買うことになった。
「で、テントだけど、これしかないね……」
「これだけだな……」
私たちはショップのテント売場の前で眉間にシワを寄せて悩んでいる。
悩んでいる原因、複数人用のテントしか売場になのである。
値段が値段なので、これを二つ買うのは金銭的にきついものがある。
まあ、仮に一人用のテントがあっても、悩んでたと思うけどね。
一人用のテントを二つ買うと複数人用よりも値が張る反面、個人の空間が得られるだろうし、トラブルになる確率は低くなるだろう。
でも魔獣や盗賊に襲われたときに発覚が遅れるし、それ以外の異変が起きても気づきにくく、しかも対応が遅れる可能性が高い。
複数人用のテントを買うとなると一人用のテントを二つ買うよりも安く上がる反面、個人の空間はないし、持っているものは比重で体力が削れるだろう。
けれども、片方に異変がでたとき、魔獣や盗賊に襲われたときに気がつきやすいし、対応もすぐにできて状態が悪化する事態は防げるだろう。
……でも、高校生の男女二人が同じところに寝泊まりするって言うのは、ちょっと倫理的に……どうなんだろうか。
ってな感じでね。
「……」
「何で黙りなの」
「いや、倫理的にどうかと……」
「わかるけどさ……」
う~ん、安全性をとるか、倫理的に良い方をとるか……。
考えて、“命あっての物種”だとK、私は安全性をとることにした。
「これしかないんだし、これでいいんじゃない?二手に別れて危ない目に遭うのは勘弁だよ。前のローシュテールの件だとか、キャシーの件とかさ……」
二手に別れて危ない目に遭う。
そう考えて思い出したのは、ローシュテールにカルタが呼ばれていたときのことだった。
その記憶についで思い起こされるのは、二手に別れたわけではないが、分断されて危ない目に遭ったキャシーとの一件だ。
「そうか。でも、いいのか?」
「信用してるから、それでいいでしょ?何かする気?」
「いや、無いけど……。はぁ、何かあったら容赦なく殴って良いぞ」
「無いことを祈りま~す。なはは」
「しきり、用意するか」
悩んではいたが片方に異変があったときや敵襲があったときのことを考えて、広目のテントを一つだけ買うことにした。
そこから釣り竿、植物や魚や魔獣なんかの毒の有無を見分けるための本、あとは天然ろ過装置用の鍋とガーゼなんかも買うことになった。
買ったものを宿に持って帰り、あちこちを旅すると言うことで買っておいた大容量の鞄に詰め込んでいく。
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