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再会した幼馴染が殺し屋になっていて、僕の命が狙われています。
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自宅に送り届けてもらった後、部屋へと向かう。祖母が「今日のご飯はどうする?」と聞いてきたが、返答できるだけの余裕がなかった。
制服のまま、布団の中に潜り込む。
瀬戸は大丈夫だと言ってくれたが、とてつもない不安に駆られて、震える身体を両手で包み込んだ。
気付いたら布団の中で眠っていたらしい。光を感じて眩しそうに目を細めると「起きたか」笑顔の瀬戸が布団を捲って中を覗きこんでいた。
「せ、瀬戸さん。生きてる?」
「生きてるに決まってんだろー。流石に本職相手じゃ、俺もちょーっとばかり手こずったけどな」
あっけらかんと言われて、ドッと疲れが押し寄せてくる。心配していたのに、ちょっと遊びに行って帰ってきたよ。みたいなノリで言われて、怒りがこみ上げてくる。
「僕がどれだけ心配したと思ってるんですか! 桔平君は躊躇わずに、人を殺せるのに……」
「心配させちまって悪かったよ。こう見えて、俺だって強いのよ? だから、何も心配せず、お前は黙って俺に守られてればいいの」
「…………はい」
「微妙に、間があるのが気になるけどな」
ニッと笑いながら、わしゃわしゃと伊織の頭を撫でまわしてくる。大きな手にホッとしながら、改めて瀬戸の顔を見つめた。
目立った傷は見当たらない。多少、スーツが汚れているくらいで破けてすらいない。
殺し屋を相手にしていたはずなのに、目の前の男は無傷なのだろうか? 疑問を抱くも、聞いたところで『俺、強いから』とはぐらかされそうだ。
「最上とは話せなかったけど、アイツの考えてる事は大体分かった」
「え? 桔平君の考えていること、ですか?」
「あぁ、考え方がまだまだ甘ちゃんだからな。そこで俺に面白……いい考えがある」
(今、面白いって言おうとした。絶対に面白いって言おうとしてた)
疑いの目を向けると、オーバーリアクションで肩をすくめている。とはいえ、危機的状況を脱することができるならば、聞かないという選択肢はない。
「学校にいる間の襲撃はない。普通に授業受けてたし、襲撃するつもりが無いのは、今日一日見ていて分かった」
「どこで見てたんですか?」
「それは企業秘密。襲撃するなら、放課後だけに絞るつもりだろうなぁ。屋上に呼び出したのは、誰かに見られないようにしたかったんだろうけど」
「僕が屋上に行かない、って考えなかったんですかね」
「伊織は真面目だからナァ。絶対に来るって分かってただろうよ。けど、俺がセットで来るとは思ってなかったんだろうけど」
アハハと豪快に笑い飛ばしている。真剣に聞いてる方が疲れてくるのは何故だろうか?
「最上は学校に友達がいない。人を寄せ付けないって言い方が近いかな。お前を殺したら、さっさと学校から去るつもりだから、友達を作るつもりはないんだろうけどさ」
「はぁ……」
「そんなわけだから、伊織。最上と友達になれ」
「え? 今、何て言いました?」
「最上と友達になれ。ちぃっと痛めつけてきたから、数日は普通に接触しても問題はない。それにお前も、最上と普通の学校生活を送りたいんじゃないのか?」
「……なんで分かるんですか」
「お前、最上の事を絶対に悪く言わなかったからな。今でも大切な幼馴染だって思ってんだろ? せめて、学校にいる間だけでも、楽しく過ごしたくないか?」
先ほどまでの面白がる気配は陰を潜め、優しく問う表情は伊織を案じるものだった。
それが叶うのならば、桔平と共に学校生活を送りたい。同じ小学校に通えず、夢はかなえる事はできなかったけど、一時的とは言え叶うならば。
(僕はそうしたいけど、桔平君が頷くはずないよ)
「心配する事はない。俺が就いてる事知ってるから、絶対に諦めるぞー。まぁ、やるだけ、やってみなさいよ」
根拠のない自信は、どこからわいてくるのだろうか? 豪快に笑いながら、伊織の背中を叩いてくる。
別の不安を抱えながら、一晩を過ごしたのだった。
翌日。割れた窓ガラスの件で全校集会が行われたが、床の銃弾の痕に関して触れる事はなかった。教師陣は大規模な犯人探しをしていたが、誰一人として手を挙げる生徒はいなかった。
一時間目の授業がまるっと潰れてしまったが、二時間目から通常の授業が開始される。どのタイミングで話をするか悩んでいたが、三時間目が終わった後、移動教室先に向かう桔平を見かけて、思い切って声を掛けてみた。
声に気付き、歩みを止める。振り返る桔平の顔は驚いていたが、すぐに「何の用だ?」冷たく言葉を放つ。怯みそうになるが、キュッと唇を噛み締め、真っ直ぐ桔平の顔を見つめた。
「話があるんだ。ちょっと、良いかな?」
「……特別棟側の階段で良いか? ここだと目立つ」
伊織が絶対に引かないと気付いて、諦めたようにため息をつく。移動教室先の特別棟に視線を向けられている。
できれば人目がある場所で話をしたかったが、人の通りが多いところで出来る話ではない。
特に伊織も桔平も人目を引く容姿をしている。現に普通に会話しているだけで、周囲の視線が突き刺さってくる。
どこかで瀬戸が見ていてくれている。そう信じて「分かった」と頷いて、桔平の後をついて歩いていった。
「お前さ、警戒心ってもんが無いのか? 俺に命狙われてるって、分かってるのか?」
特別棟の階段の踊り場。振り返った桔平が呆れた様子で腕を組んでいる。開口一番に言われて、ごもっともです。気まずそうに視線を逸らした。
制服の袖口からチラリと見えた左腕の包帯に、ズキリと心が痛む。伊織の命を狙い、守ってくれた瀬戸に傷付けられたものだけど、大切な幼馴染が怪我をした姿を見るのは苦しい。
「わ、分かってるよ。校内なら安全だって聞いたし、桔平君の左腕……怪我してるから、しばらくは大丈夫だって……」
「本当、余計な事ばっかり言いやがって」
「え? なに?」
「別に。お前は昔から何も変わってないって言っただけ。何ですぐに、他人をホイホイ信用するかな」
ため息と共に吐き出された言葉に、うぐっと言葉を詰まらせる。それを言われると、伊織も反論ができなくなってしまう。
幼稚園に入ってすぐの頃、知らないおじさんに『飴をあげるから、こっちにおいで』と釣られて、ホイホイついて行った時の事を言っている。それは幼稚園の頃の話で、今は飴につられて他人について行くような事はしない。
飴ではないにしろ、桔平の後を疑いもせずについて来てしまったのだから、困った事に反論はできない。
「あの時の事は反省してるよ。でも、今はそういう話がしたいわけじゃなくてね」
「俺を殺す、とか?」
冷めた目で睨まれて、言葉が出てこない。怪我をしているとは言え、殺し屋である桔平を伊織が襲ったところで、傷一つ負わせる事はできない。
「違うよ。そんな物騒は話じゃないってば。あのね……校内では、普通の友達として、接したいなって思うんだけど。……どうかな?」
「…………は? お前、頭沸いてるのか?」
両手を胸の前で握り締め、頬を赤く染める伊織。それに対して、桔平は顔を引き攣らせて青ざめている。若干引き腰になっていて、伊織から距離を取ろうとしていた。シチュエーションだけ見れば、伊織が桔平に愛の告白したようにも見える。
異常なことを言っているのは百も承知だ。
自分の命を狙っている殺し屋と、友達付き合いをしたいなんて正気の沙汰ではない。伊織が逆の立場だったら、同じ反応をするだろう。
「僕はずっと、桔平君と一緒にいたかった。同じ教室で勉強して、学校行事に参加して、一緒に笑いながら、楽しい学校生活を送りたい。今でも、この気持ちは変わらない」
あの頃、叶わなかった夢が手に届きそうなんだ。今の状況が普通でない事は理解しているが、少しの間だけでも、幼馴染として学校生活を共にしたい。
伊織も殺されるつもりは無い。言い切った後、桔平から逃げ続けて一緒に卒業してやる。なんて決意したくらいだ。
黙って聞いている桔平の表情は読み取れない。この熱意だけは伝わったと信じたい。
「あの人に、入れ知恵されたのか?」
「違…わない。確かに、瀬戸さんの提案がキッカケだったけど、僕はずっと桔平君と一緒に過ごしたい気持ちは、あの頃からずっと変わっていない。僕の本心だ」
瀬戸に提案された事がキッカケだったが、伊織の気持ちは変わっていない。重い沈黙が包み込み、桔平の口が開くまでの数秒間が永遠のように感じられた。
諦めたような大きなため息と共に「あー、もう!」頭を掻き毟っている。ポカンと見つめていると、桔平の表情が少しだけ綻んだように見えて……
「お前は本当に変わってないな。どうせ、何言っても無駄だろうな」
「桔平君?」
「校内にいる間だけ、だ。校外から一歩出たら、今まで通りお前を殺すからな」
「物騒なこと言うね。そこは、見逃してやる。とかなる所じゃないの?」
「見逃すわけねぇだろ。元々、俺はそのつもりで学校に来てるんだよ。……お前と一緒にいると、調子が狂わされるよ、遊佐」
「? 僕の事は名前で呼んでくれないの?」
「呼ばない」
「何で? 僕は桔平君の事、名前で呼んでるのに! 不公平だよ!」
「不公平とか言うな。大体、高校生になってまで、幼馴染で名前を呼び合うとか変だろ」
「変じゃないよ。僕はなんて言われても、桔平君の事を名前で呼ぶもん!」
「あー、はいはい。もう好きにしろ」
ガックリと肩を落とし項垂れる桔平。
やったー! 大袈裟に両手を挙げながら喜んでいる伊織を懐かしむように横目で見ながら、うっすらと笑みを浮かべていたことを伊織は知らない――……。
制服のまま、布団の中に潜り込む。
瀬戸は大丈夫だと言ってくれたが、とてつもない不安に駆られて、震える身体を両手で包み込んだ。
気付いたら布団の中で眠っていたらしい。光を感じて眩しそうに目を細めると「起きたか」笑顔の瀬戸が布団を捲って中を覗きこんでいた。
「せ、瀬戸さん。生きてる?」
「生きてるに決まってんだろー。流石に本職相手じゃ、俺もちょーっとばかり手こずったけどな」
あっけらかんと言われて、ドッと疲れが押し寄せてくる。心配していたのに、ちょっと遊びに行って帰ってきたよ。みたいなノリで言われて、怒りがこみ上げてくる。
「僕がどれだけ心配したと思ってるんですか! 桔平君は躊躇わずに、人を殺せるのに……」
「心配させちまって悪かったよ。こう見えて、俺だって強いのよ? だから、何も心配せず、お前は黙って俺に守られてればいいの」
「…………はい」
「微妙に、間があるのが気になるけどな」
ニッと笑いながら、わしゃわしゃと伊織の頭を撫でまわしてくる。大きな手にホッとしながら、改めて瀬戸の顔を見つめた。
目立った傷は見当たらない。多少、スーツが汚れているくらいで破けてすらいない。
殺し屋を相手にしていたはずなのに、目の前の男は無傷なのだろうか? 疑問を抱くも、聞いたところで『俺、強いから』とはぐらかされそうだ。
「最上とは話せなかったけど、アイツの考えてる事は大体分かった」
「え? 桔平君の考えていること、ですか?」
「あぁ、考え方がまだまだ甘ちゃんだからな。そこで俺に面白……いい考えがある」
(今、面白いって言おうとした。絶対に面白いって言おうとしてた)
疑いの目を向けると、オーバーリアクションで肩をすくめている。とはいえ、危機的状況を脱することができるならば、聞かないという選択肢はない。
「学校にいる間の襲撃はない。普通に授業受けてたし、襲撃するつもりが無いのは、今日一日見ていて分かった」
「どこで見てたんですか?」
「それは企業秘密。襲撃するなら、放課後だけに絞るつもりだろうなぁ。屋上に呼び出したのは、誰かに見られないようにしたかったんだろうけど」
「僕が屋上に行かない、って考えなかったんですかね」
「伊織は真面目だからナァ。絶対に来るって分かってただろうよ。けど、俺がセットで来るとは思ってなかったんだろうけど」
アハハと豪快に笑い飛ばしている。真剣に聞いてる方が疲れてくるのは何故だろうか?
「最上は学校に友達がいない。人を寄せ付けないって言い方が近いかな。お前を殺したら、さっさと学校から去るつもりだから、友達を作るつもりはないんだろうけどさ」
「はぁ……」
「そんなわけだから、伊織。最上と友達になれ」
「え? 今、何て言いました?」
「最上と友達になれ。ちぃっと痛めつけてきたから、数日は普通に接触しても問題はない。それにお前も、最上と普通の学校生活を送りたいんじゃないのか?」
「……なんで分かるんですか」
「お前、最上の事を絶対に悪く言わなかったからな。今でも大切な幼馴染だって思ってんだろ? せめて、学校にいる間だけでも、楽しく過ごしたくないか?」
先ほどまでの面白がる気配は陰を潜め、優しく問う表情は伊織を案じるものだった。
それが叶うのならば、桔平と共に学校生活を送りたい。同じ小学校に通えず、夢はかなえる事はできなかったけど、一時的とは言え叶うならば。
(僕はそうしたいけど、桔平君が頷くはずないよ)
「心配する事はない。俺が就いてる事知ってるから、絶対に諦めるぞー。まぁ、やるだけ、やってみなさいよ」
根拠のない自信は、どこからわいてくるのだろうか? 豪快に笑いながら、伊織の背中を叩いてくる。
別の不安を抱えながら、一晩を過ごしたのだった。
翌日。割れた窓ガラスの件で全校集会が行われたが、床の銃弾の痕に関して触れる事はなかった。教師陣は大規模な犯人探しをしていたが、誰一人として手を挙げる生徒はいなかった。
一時間目の授業がまるっと潰れてしまったが、二時間目から通常の授業が開始される。どのタイミングで話をするか悩んでいたが、三時間目が終わった後、移動教室先に向かう桔平を見かけて、思い切って声を掛けてみた。
声に気付き、歩みを止める。振り返る桔平の顔は驚いていたが、すぐに「何の用だ?」冷たく言葉を放つ。怯みそうになるが、キュッと唇を噛み締め、真っ直ぐ桔平の顔を見つめた。
「話があるんだ。ちょっと、良いかな?」
「……特別棟側の階段で良いか? ここだと目立つ」
伊織が絶対に引かないと気付いて、諦めたようにため息をつく。移動教室先の特別棟に視線を向けられている。
できれば人目がある場所で話をしたかったが、人の通りが多いところで出来る話ではない。
特に伊織も桔平も人目を引く容姿をしている。現に普通に会話しているだけで、周囲の視線が突き刺さってくる。
どこかで瀬戸が見ていてくれている。そう信じて「分かった」と頷いて、桔平の後をついて歩いていった。
「お前さ、警戒心ってもんが無いのか? 俺に命狙われてるって、分かってるのか?」
特別棟の階段の踊り場。振り返った桔平が呆れた様子で腕を組んでいる。開口一番に言われて、ごもっともです。気まずそうに視線を逸らした。
制服の袖口からチラリと見えた左腕の包帯に、ズキリと心が痛む。伊織の命を狙い、守ってくれた瀬戸に傷付けられたものだけど、大切な幼馴染が怪我をした姿を見るのは苦しい。
「わ、分かってるよ。校内なら安全だって聞いたし、桔平君の左腕……怪我してるから、しばらくは大丈夫だって……」
「本当、余計な事ばっかり言いやがって」
「え? なに?」
「別に。お前は昔から何も変わってないって言っただけ。何ですぐに、他人をホイホイ信用するかな」
ため息と共に吐き出された言葉に、うぐっと言葉を詰まらせる。それを言われると、伊織も反論ができなくなってしまう。
幼稚園に入ってすぐの頃、知らないおじさんに『飴をあげるから、こっちにおいで』と釣られて、ホイホイついて行った時の事を言っている。それは幼稚園の頃の話で、今は飴につられて他人について行くような事はしない。
飴ではないにしろ、桔平の後を疑いもせずについて来てしまったのだから、困った事に反論はできない。
「あの時の事は反省してるよ。でも、今はそういう話がしたいわけじゃなくてね」
「俺を殺す、とか?」
冷めた目で睨まれて、言葉が出てこない。怪我をしているとは言え、殺し屋である桔平を伊織が襲ったところで、傷一つ負わせる事はできない。
「違うよ。そんな物騒は話じゃないってば。あのね……校内では、普通の友達として、接したいなって思うんだけど。……どうかな?」
「…………は? お前、頭沸いてるのか?」
両手を胸の前で握り締め、頬を赤く染める伊織。それに対して、桔平は顔を引き攣らせて青ざめている。若干引き腰になっていて、伊織から距離を取ろうとしていた。シチュエーションだけ見れば、伊織が桔平に愛の告白したようにも見える。
異常なことを言っているのは百も承知だ。
自分の命を狙っている殺し屋と、友達付き合いをしたいなんて正気の沙汰ではない。伊織が逆の立場だったら、同じ反応をするだろう。
「僕はずっと、桔平君と一緒にいたかった。同じ教室で勉強して、学校行事に参加して、一緒に笑いながら、楽しい学校生活を送りたい。今でも、この気持ちは変わらない」
あの頃、叶わなかった夢が手に届きそうなんだ。今の状況が普通でない事は理解しているが、少しの間だけでも、幼馴染として学校生活を共にしたい。
伊織も殺されるつもりは無い。言い切った後、桔平から逃げ続けて一緒に卒業してやる。なんて決意したくらいだ。
黙って聞いている桔平の表情は読み取れない。この熱意だけは伝わったと信じたい。
「あの人に、入れ知恵されたのか?」
「違…わない。確かに、瀬戸さんの提案がキッカケだったけど、僕はずっと桔平君と一緒に過ごしたい気持ちは、あの頃からずっと変わっていない。僕の本心だ」
瀬戸に提案された事がキッカケだったが、伊織の気持ちは変わっていない。重い沈黙が包み込み、桔平の口が開くまでの数秒間が永遠のように感じられた。
諦めたような大きなため息と共に「あー、もう!」頭を掻き毟っている。ポカンと見つめていると、桔平の表情が少しだけ綻んだように見えて……
「お前は本当に変わってないな。どうせ、何言っても無駄だろうな」
「桔平君?」
「校内にいる間だけ、だ。校外から一歩出たら、今まで通りお前を殺すからな」
「物騒なこと言うね。そこは、見逃してやる。とかなる所じゃないの?」
「見逃すわけねぇだろ。元々、俺はそのつもりで学校に来てるんだよ。……お前と一緒にいると、調子が狂わされるよ、遊佐」
「? 僕の事は名前で呼んでくれないの?」
「呼ばない」
「何で? 僕は桔平君の事、名前で呼んでるのに! 不公平だよ!」
「不公平とか言うな。大体、高校生になってまで、幼馴染で名前を呼び合うとか変だろ」
「変じゃないよ。僕はなんて言われても、桔平君の事を名前で呼ぶもん!」
「あー、はいはい。もう好きにしろ」
ガックリと肩を落とし項垂れる桔平。
やったー! 大袈裟に両手を挙げながら喜んでいる伊織を懐かしむように横目で見ながら、うっすらと笑みを浮かべていたことを伊織は知らない――……。
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