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一章 二人の転生者
七雄なんて嘘だった
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……気が付けば安芸 国虎になっていた。
意味不明だと思うが、本当にそうだから仕方がない。しかもまだ幼児なのに。
幼名? 何それ。美味しいの? そんな感じだ。俺は齢二歳になる前に安芸 国虎になっていた。当然、数えで二歳なので実質一歳になる前の話だ。ほぼ間違い無く生まれてすぐに付いた名だと思う。お陰で環境への理解は早まったが、この時代は成人となる元服を終えるまでは幼名を使用するものだと思っていただけに面食らった。
いや、それ以前の問題として、まずは情報を整理しないといけない。
切っ掛けは多分交通事故だろう。記憶がはっきりとしてはいないが、薄っすらと何かにぶつかって意識が切れたような後味の悪さが残っている。そして意識が戻った時には、これまでの自分の姿ではなく赤子になっていた。
最初はその事実さえ満足に理解できず、病院のベッドに寝かされているだけだと思ったくらいだ。けれども満足に言葉を発する事もできない。目は霞んでいるように視界が悪い。手足が短くなっているような気がする。思うように動かせない。とどめは、近くにいた女の人が何の恥じらいもなくおっぱいをさらけ出し、俺に母乳を飲ませた事である。柔らかかったが視界の悪さを激しく悔やんだ。
ようやく自分が赤子になったと分かった時にはそりゃもう驚いたものだ。それと同時に、体が満足に動かない状態での排便で人間としての尊厳がいたく傷つけられた気持ちになり、甘んじて現状を受け入れるしかないという悟りを開く。もうどうにでもして。
以来、現状把握に努めようと頭を切り替えた。唯一の手掛かりである話し言葉さえも聞き取り辛く、何を言っているか分からない日々が続いていたが、やがて「実は日本語ではないか?」と思うようになる。単純に言い回しと方言の問題じゃないかと考えた。外国語を覚悟していたのでこの辺りは意外だった。
眼がしっかりと見えるようになってくると、ここが日本である可能性がより高まる。目に見える全てが時代劇のセットの中にいるような感覚とでも言えば良いのだろうか? 電気やガスはなさそうだが、どこか慣れ親しんだ安心感を得るようになる。
自分の名前が判明した時は、何だか難解なクイズを解いたような気分だった。この時初めて、令和時代のオッサンが死んで戦国時代の武将に魂が乗り移ったのだという事を理解する。俗に言う「逆行転生」というアレだ。まさかそれが自分自身の身に起こるとは思わなかった。
それはもう大喜びした。マニアではないにしろ、俺は歴史好きな上に戦国時代は好物だ。上手くすればこの時代の有名人に会えるかもしれない。そう思うと胸が高鳴る。
けれども……
「どうして安芸 国虎なんだよ!」
と心の中で盛大な突っ込みをしてしまった。
多くは知らないが、安芸 国虎と言えば戦国武将である長宗我部 元親の土佐統一の踏み台にされ、最後は自害した武将だと思い出す。つまりは戦って負けたという意味だ。何もしなければ死亡エンドが待っているという状況である。余計な未来知識のお陰で、一瞬にして地の底に叩き落されたような気分になった。
けれどもそれは、「史実通りに進んだ」場合のみ。おぼろげながらも結末を知っているなら、全力で回避する事も可能だと思い至る。それに安芸氏と言えば「土佐七雄」の一つとも言われた勢力。吹けば飛ぶような所とは違う。広大な領地を所有しているのだから、頑張れば何とかなるかもと頭を切り替える事にした。
具体的な動きとしては、言葉がきちんと話せるようになるとまずは読み書きに精を出す。
ただ……何と言うか、現状を知れば知るほど、どうしようもない現実に直面する。安芸家は貧乏だった。もう一度言おう。安芸家は貧乏だった。言葉が話せるようになり、歩けるようになると、今まで見えなかったものが見えるようになったのだ。
長宗我部がどうとか言う以前に、生活環境の改善が第一という目標へと変わってしまう。現実はかくも悲しい。
よくよく考えなくても高知県は陸の孤島とも言われ、四国の中でも別の世界だとも言われている場所だ。また、平地が少なく山ばかりである。水資源が豊富なのはありがたいが、作物を育てられる場所が少ないという地形的な不利がある。これで裕福である筈がない。
同じ逆行転生するにしても、もう少し楽な所から始めたかったというのは贅沢なのだろうか。
自分自身がこの状況に置かれて何故長宗我部 元親があれだけ強かったのか分かったような気がする。……食うに困っていたのだろう。それ以外考えられない。要はあいつらは蛮族だ。
それはさて置き、早急に解決しなければいけない問題に対処すべく動き始める事にする。目標は布団で眠る事だ。毛布や毛皮でも良い。いくら南国土佐と言えども、冬場に夜着を重ねて寝るのはちと苦しい。乳母と言われる世話役の人が一緒に寝てくれるので今は何とかなっているが、いつ凍死一直線になってもおかしくない状況である。
そんな諸々の思惑を胸に秘めつつ、
「元親様、何卒私の願いをお聞き届け下さい」
「そんな余所余所しい態度でなくとも、気軽に訪ねてきても良いと言っておろうに……」
身近に権力者がいたので、自重などという事は一切考えずに簡単に金になりそうな物から提案する事にした。
当主としての地位は父上に譲ったものの、未だその覇気は衰えない目の前の人物。私室での二人きりだとそれが痛いほど分かる。孫を前にして目尻は垂れ下がっているものの気を抜く事はできない。やり手と言われる人物は雰囲気さえ違う。
初めて名前を知った時には驚いたが、俺のお爺様は「安芸 元親」という名前であった。どうも元親には縁があるな。何でも当時の細川京兆家当主である細川 政元より「元」の字を頂いてこの名を名乗っているらしい。俺は後の当主である細川 高国から「国」の字を頂いた形だ。俺の名前が決まった翌年に死亡しているので、一年違っていれば「元虎」になっていただろう(次代は細川 晴元)。
話が逸れた。家中でも影響力の大きいお爺様なら、家の発展に繋がる話には融通を利かせてくれるのではないかと願い出る。
生活向上大作戦の最初は麻製の網から。やはり土佐と言えば漁業は欠かせない。なら、漁獲量の上がる網は必須と言っても良いだろう。それだけで飢える人が減るし、干物にすれば金になる。網を使うにはチームでの行動が必要となるので慣れるまでに時間は掛かるだろうが、それを補って余りあるメリットを享受できる。小さな見本を使用人に作ってもらい、お爺様にプレゼンしたら即採用となった。
網漁が日本全国に広まったのは江戸時代からなので、少し時代を先取りした形だ。
これで麻の栽培が領内に推奨されるだろう。副産物として手に入る麻の実もお願いしておいた。麻の実は栄養豊富なので身体を強くするためにもサプリメントとして常食したい。病弱な兄上やお爺様に長生きしてもらうためにもぴったりの食材である。
次は炭団。売り物にならない炭の有効活用である。フノリという海藻を接着剤として炭の粉末を団子状に再整形した暖房器具。料理にも使える。これも当然即採用。
濁り酒に灰をぶち込んで清酒にするのも忘れずに提案する。この時代の一般的な酒は「どぶろく」とも言われる米と麹と水を原料としてただ発酵させただけのものであり、白く濁っている。これを澄んで透明な「清酒」へと進化させるという話だ。言わば不純物を取り除く作業である。味もきれいでまろやかになる事から商品価値が高まるのは言うまでもない。
ただこれは灰の量や質、投入するタイミングと最適解の研究が必要なので却下されるかもしれないと思ったが、さすがは土佐の土地柄。美味い酒を飲めるなら死んでも良いとばかりに人海戦術で必死に研究し、あっという間に出来上がった。この時ばかりはさすがに俺もドン引きする。この調子だと、領内で全て消費して売りに出せないかもという余計な心配をするくらいであった。
そうなると次は純度の高い塩が製作可能となる流下式塩田である。地形に左右されずに塩が作れるのが魅力だが、ポンプのないこの時代だと海水の汲み上げその他が全て人力になるというデメリットや、設備が大掛かりになるので初期投資がかなり必要な点からも却下も覚悟していた。だがこれもあっさり採用。塩は金になるらしい。
最後は悲願である寝具のためにウサギ牧場の設営をお願いした。肉も食えるし毛皮も手に入る。毛皮やウサギの毛織物の需要がどれほどあるか分からないが、育成して間違いない産業だ。明治期ではあるが軍から需要もあったほどなので、しっかり製品化すれば売れると思う。また、動物性たんぱく質は、病弱な兄上やお爺様に長生きしてもらうためにも以下同文。これも採用。
オマケとして塩水選や育苗法、それと正条植えも提案しておいたが、これは直轄領の小さな場所でテストしてからという事になったので、領内全てに広がるのは時間が掛かるだろう。いきなりこれを導入するのは難しいと分かっているので、ゆっくりで良いと思っている。
口には出さなかったが部屋を訪ねて話をしている時、お爺様は俺が次どんな事を言い出すのかと楽しみにしているようであった。こういう事を言うと変人扱いされるのではないかと思い、アリバイとして平家物語にも登場する安芸 太郎 実光ご先祖様からの「夢でのお告げ」を準備していたのだが、それを使用する場面さえ無かったほどだ。この時代、まだまだオカルト的な話に理解があるのでこれで通用する。
……単純に孫に甘いだけなのかもな。これが一番の正解のような気がする。
それでもお爺様は海部刀で有名なあの海部家と友好を持ったりする人物なので、利には聡い筈。……と言うよりは安芸家自体が貨幣経済で力を付けた家であるので、商売を毛嫌いしないという根っ子があるのかもしれない。通常の武家は「金勘定など知らん」とばかりに放漫経営する所が多いという知識だっただけに、随分変わった家だと思っている。現代風に言えば中小企業のような豪族だ。
そういった訳で、俺の戦国時代での第一歩は自分自身の身の回りを何とかするという地道な所からスタートする事になった。
意味不明だと思うが、本当にそうだから仕方がない。しかもまだ幼児なのに。
幼名? 何それ。美味しいの? そんな感じだ。俺は齢二歳になる前に安芸 国虎になっていた。当然、数えで二歳なので実質一歳になる前の話だ。ほぼ間違い無く生まれてすぐに付いた名だと思う。お陰で環境への理解は早まったが、この時代は成人となる元服を終えるまでは幼名を使用するものだと思っていただけに面食らった。
いや、それ以前の問題として、まずは情報を整理しないといけない。
切っ掛けは多分交通事故だろう。記憶がはっきりとしてはいないが、薄っすらと何かにぶつかって意識が切れたような後味の悪さが残っている。そして意識が戻った時には、これまでの自分の姿ではなく赤子になっていた。
最初はその事実さえ満足に理解できず、病院のベッドに寝かされているだけだと思ったくらいだ。けれども満足に言葉を発する事もできない。目は霞んでいるように視界が悪い。手足が短くなっているような気がする。思うように動かせない。とどめは、近くにいた女の人が何の恥じらいもなくおっぱいをさらけ出し、俺に母乳を飲ませた事である。柔らかかったが視界の悪さを激しく悔やんだ。
ようやく自分が赤子になったと分かった時にはそりゃもう驚いたものだ。それと同時に、体が満足に動かない状態での排便で人間としての尊厳がいたく傷つけられた気持ちになり、甘んじて現状を受け入れるしかないという悟りを開く。もうどうにでもして。
以来、現状把握に努めようと頭を切り替えた。唯一の手掛かりである話し言葉さえも聞き取り辛く、何を言っているか分からない日々が続いていたが、やがて「実は日本語ではないか?」と思うようになる。単純に言い回しと方言の問題じゃないかと考えた。外国語を覚悟していたのでこの辺りは意外だった。
眼がしっかりと見えるようになってくると、ここが日本である可能性がより高まる。目に見える全てが時代劇のセットの中にいるような感覚とでも言えば良いのだろうか? 電気やガスはなさそうだが、どこか慣れ親しんだ安心感を得るようになる。
自分の名前が判明した時は、何だか難解なクイズを解いたような気分だった。この時初めて、令和時代のオッサンが死んで戦国時代の武将に魂が乗り移ったのだという事を理解する。俗に言う「逆行転生」というアレだ。まさかそれが自分自身の身に起こるとは思わなかった。
それはもう大喜びした。マニアではないにしろ、俺は歴史好きな上に戦国時代は好物だ。上手くすればこの時代の有名人に会えるかもしれない。そう思うと胸が高鳴る。
けれども……
「どうして安芸 国虎なんだよ!」
と心の中で盛大な突っ込みをしてしまった。
多くは知らないが、安芸 国虎と言えば戦国武将である長宗我部 元親の土佐統一の踏み台にされ、最後は自害した武将だと思い出す。つまりは戦って負けたという意味だ。何もしなければ死亡エンドが待っているという状況である。余計な未来知識のお陰で、一瞬にして地の底に叩き落されたような気分になった。
けれどもそれは、「史実通りに進んだ」場合のみ。おぼろげながらも結末を知っているなら、全力で回避する事も可能だと思い至る。それに安芸氏と言えば「土佐七雄」の一つとも言われた勢力。吹けば飛ぶような所とは違う。広大な領地を所有しているのだから、頑張れば何とかなるかもと頭を切り替える事にした。
具体的な動きとしては、言葉がきちんと話せるようになるとまずは読み書きに精を出す。
ただ……何と言うか、現状を知れば知るほど、どうしようもない現実に直面する。安芸家は貧乏だった。もう一度言おう。安芸家は貧乏だった。言葉が話せるようになり、歩けるようになると、今まで見えなかったものが見えるようになったのだ。
長宗我部がどうとか言う以前に、生活環境の改善が第一という目標へと変わってしまう。現実はかくも悲しい。
よくよく考えなくても高知県は陸の孤島とも言われ、四国の中でも別の世界だとも言われている場所だ。また、平地が少なく山ばかりである。水資源が豊富なのはありがたいが、作物を育てられる場所が少ないという地形的な不利がある。これで裕福である筈がない。
同じ逆行転生するにしても、もう少し楽な所から始めたかったというのは贅沢なのだろうか。
自分自身がこの状況に置かれて何故長宗我部 元親があれだけ強かったのか分かったような気がする。……食うに困っていたのだろう。それ以外考えられない。要はあいつらは蛮族だ。
それはさて置き、早急に解決しなければいけない問題に対処すべく動き始める事にする。目標は布団で眠る事だ。毛布や毛皮でも良い。いくら南国土佐と言えども、冬場に夜着を重ねて寝るのはちと苦しい。乳母と言われる世話役の人が一緒に寝てくれるので今は何とかなっているが、いつ凍死一直線になってもおかしくない状況である。
そんな諸々の思惑を胸に秘めつつ、
「元親様、何卒私の願いをお聞き届け下さい」
「そんな余所余所しい態度でなくとも、気軽に訪ねてきても良いと言っておろうに……」
身近に権力者がいたので、自重などという事は一切考えずに簡単に金になりそうな物から提案する事にした。
当主としての地位は父上に譲ったものの、未だその覇気は衰えない目の前の人物。私室での二人きりだとそれが痛いほど分かる。孫を前にして目尻は垂れ下がっているものの気を抜く事はできない。やり手と言われる人物は雰囲気さえ違う。
初めて名前を知った時には驚いたが、俺のお爺様は「安芸 元親」という名前であった。どうも元親には縁があるな。何でも当時の細川京兆家当主である細川 政元より「元」の字を頂いてこの名を名乗っているらしい。俺は後の当主である細川 高国から「国」の字を頂いた形だ。俺の名前が決まった翌年に死亡しているので、一年違っていれば「元虎」になっていただろう(次代は細川 晴元)。
話が逸れた。家中でも影響力の大きいお爺様なら、家の発展に繋がる話には融通を利かせてくれるのではないかと願い出る。
生活向上大作戦の最初は麻製の網から。やはり土佐と言えば漁業は欠かせない。なら、漁獲量の上がる網は必須と言っても良いだろう。それだけで飢える人が減るし、干物にすれば金になる。網を使うにはチームでの行動が必要となるので慣れるまでに時間は掛かるだろうが、それを補って余りあるメリットを享受できる。小さな見本を使用人に作ってもらい、お爺様にプレゼンしたら即採用となった。
網漁が日本全国に広まったのは江戸時代からなので、少し時代を先取りした形だ。
これで麻の栽培が領内に推奨されるだろう。副産物として手に入る麻の実もお願いしておいた。麻の実は栄養豊富なので身体を強くするためにもサプリメントとして常食したい。病弱な兄上やお爺様に長生きしてもらうためにもぴったりの食材である。
次は炭団。売り物にならない炭の有効活用である。フノリという海藻を接着剤として炭の粉末を団子状に再整形した暖房器具。料理にも使える。これも当然即採用。
濁り酒に灰をぶち込んで清酒にするのも忘れずに提案する。この時代の一般的な酒は「どぶろく」とも言われる米と麹と水を原料としてただ発酵させただけのものであり、白く濁っている。これを澄んで透明な「清酒」へと進化させるという話だ。言わば不純物を取り除く作業である。味もきれいでまろやかになる事から商品価値が高まるのは言うまでもない。
ただこれは灰の量や質、投入するタイミングと最適解の研究が必要なので却下されるかもしれないと思ったが、さすがは土佐の土地柄。美味い酒を飲めるなら死んでも良いとばかりに人海戦術で必死に研究し、あっという間に出来上がった。この時ばかりはさすがに俺もドン引きする。この調子だと、領内で全て消費して売りに出せないかもという余計な心配をするくらいであった。
そうなると次は純度の高い塩が製作可能となる流下式塩田である。地形に左右されずに塩が作れるのが魅力だが、ポンプのないこの時代だと海水の汲み上げその他が全て人力になるというデメリットや、設備が大掛かりになるので初期投資がかなり必要な点からも却下も覚悟していた。だがこれもあっさり採用。塩は金になるらしい。
最後は悲願である寝具のためにウサギ牧場の設営をお願いした。肉も食えるし毛皮も手に入る。毛皮やウサギの毛織物の需要がどれほどあるか分からないが、育成して間違いない産業だ。明治期ではあるが軍から需要もあったほどなので、しっかり製品化すれば売れると思う。また、動物性たんぱく質は、病弱な兄上やお爺様に長生きしてもらうためにも以下同文。これも採用。
オマケとして塩水選や育苗法、それと正条植えも提案しておいたが、これは直轄領の小さな場所でテストしてからという事になったので、領内全てに広がるのは時間が掛かるだろう。いきなりこれを導入するのは難しいと分かっているので、ゆっくりで良いと思っている。
口には出さなかったが部屋を訪ねて話をしている時、お爺様は俺が次どんな事を言い出すのかと楽しみにしているようであった。こういう事を言うと変人扱いされるのではないかと思い、アリバイとして平家物語にも登場する安芸 太郎 実光ご先祖様からの「夢でのお告げ」を準備していたのだが、それを使用する場面さえ無かったほどだ。この時代、まだまだオカルト的な話に理解があるのでこれで通用する。
……単純に孫に甘いだけなのかもな。これが一番の正解のような気がする。
それでもお爺様は海部刀で有名なあの海部家と友好を持ったりする人物なので、利には聡い筈。……と言うよりは安芸家自体が貨幣経済で力を付けた家であるので、商売を毛嫌いしないという根っ子があるのかもしれない。通常の武家は「金勘定など知らん」とばかりに放漫経営する所が多いという知識だっただけに、随分変わった家だと思っている。現代風に言えば中小企業のような豪族だ。
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