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六章 大寧寺ショック
悪銭苦闘
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元々は土佐の産物販売の拠点程度にしか考えていなかった相国寺が、俺の気まぐれで当家の一大事業を担う役割となる。性急さはあったものの、この舵取りはいつかは行わなければならなかったろう。悪銭への抜本的な対策を行わなければ、延々と四国への流入を許してしまうからだ。
しかしこの取り決めが、俺の預かり知らぬ所で大きな波紋を呼んでしまう。
下世話な言い方をすれば、京全体にゴールドラッシュが巻き起こってしまった。
全ては関係者全員が京雀の拡散力を舐めていたのが敗因である。もっとこの事業を慎重且つ秘密裏に行っていれば良かったものを、悪銭回収を散所の人々に手伝ってもらうという江春瑞超殿の提案を軽い気持ちで了承したのがいけなかった。
「人の口に戸は立てられぬ」というのはまさにこの事か。
改めて考えてみれば当然の結果とも言える。使えない悪銭を持っている者は京中にごまんといる。何も相国寺を含めた五山の寺院だけが持っている訳ではない。そんな単純な話であった。
量が必要になるとは言え、撰銭令の対象から漏れた悪銭が金品へと変わる。一夜にしてゴミが宝の山へと変わったと言えば良いのだろうか? もうこれで商家に嫌味を言われながら悪銭を引き取ってもらう必要もなければ、いつ悪銭を掴まされるか分からないという不安感まで払しょくされる。そんな幸運はそうそう訪れない。
お陰で相国寺には昼夜問わず問い合わせの電話がひっきりなしに鳴り続け……もとい、寺の門の前には真偽を確かめるべく町衆が大勢詰めかけたという。その時の町衆の形相は三好兵より怖かったというのだから、相国寺の僧達はきっと死を覚悟しただろう。この時代の民は、怒らすと下手なテロリストより質が悪い。
なら相国寺はこのような暴徒一歩手前の連中にどうに対応したかというと、「まだ始まったばかりで、具体的な段取りはこれから進めていく。後日関係者が戸別訪問するので、その時まで待って欲しい」と明らかな時間稼ぎをしつつも、結局町衆から悪銭回収する確約をする羽目になった。町衆達は名簿に名前と住んでいる場所を記載して解散をした。
かくして騒動は一応の鎮火をする。
しかしながら、一連の出来事が書かれた相国寺からの書状の結びには「我等を助けると思って、何卒この事業は必ず成し遂げてくだされ」という悲痛な叫びが記されていたのが印象的だった。最早相国寺関係者はこの一件以来、気軽に町を出歩けなくなったのであろう。何かにつけて町衆から催促されているのではないかと思う。
こうなるとこちらも後には戻れにない。早急に対処を行った。差し当たっては、京に逗留する兵へ物資を送る際に造幣所の者を数名随行させ、交換用の金や銀、塩を持たせる形とする。それも多めに。京の町全体の悪銭回収を一度で行うのは無理にしても、実績を作りまずは町衆を安心させるのが急務だと考える。
後は……三好の御曹司から頼まれた焼き菓子と干し芋も京へと輸送しなければならない。何の気なしに食べさせたおやつをここまで気に入るのは予想外であった。しかも銭を支払って購入するというだから尚更である。金持ちの気まぐれは庶民の俺には分かりそうにない。
仮想敵でもある三好宗家との取引には躊躇いを感じるものの、この程度なら利敵行為にはならないだろう。
ともあれ今回の騒動で、悪銭問題はとても根深いのだというのが分かった。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽
一度は鎮火したと思われた京の悪銭回収騒動は意外な形で再炎上する。しかも今度は当事者の俺にその火が飛んできたのだから、笑うに笑えない。
結論から言うと、悪銭回収の窓口が相国寺だけというのが間違っている。俺達も一枚噛ませて甘い汁を吸わせろというものだ。
人というのは悲しいもので、隣の芝は青く見えがちである。この悪銭回収事業の背景を見ていない。相国寺側もそれ相応の負担をしているというのを理解していない身勝手な言動だ。しかもこちらの了承を得る前から、直接土佐に乗り込んでくるのだから始末に負えない。田舎者だと思って完全に下に見ているのだろう。
当然ながら、城の守備兵総出で押し掛けた全員を追っ払った。
こういった時、暴力は全てを解決する。中には……というより、城にまで押し寄せた連中の殆どが何を言っても聞かず、座り込んで俺と会えるまで退かないと開き直る。大声を上げて恫喝する。極めつけが刀を抜き実力行使にまで及ぼうとしたという。
取り囲んで槍で滅多撃ちにしたのは必然であった。
そうするとあら不思議。それまで態度の大きかった者が途端にしおらしくなる。最後には当家のおもてなしに感激したのか、涙を流しながら去っていく。
──「この借りはいつか返してやる」という捨て台詞を残して。
守備兵からこの報告を受けた時には「最初から分かり切った結末だろうに」としか思わなかったが、それと同時にまた京で敵を増やしてしまったという事実が残る。これだから京には関わりたくない。
とは言え、こうした単細胞はまだ御しやすい方である。まだ頭の回る者は、別の攻め方で当家に近付いてくる。それは紹介状を持参するというやり方だ。
幸いなのは当家の京での付き合いは限られており、仲介者となり得る者が少ない点だ。相国寺はそもそも自分達が悪銭回収事業を引き受けているのだから口利きはしない。西岡地区の革島家や下京の今村家に至っては、こういった者が接触してきたと逐一報告を寄越してくる律義さである。
他に付き合いのある所と言えば妙心寺が挙げられるが、それ以前に京の寺社からは紹介状自体が一切届いていない。理由は分かる。当家の兵を受け入れたくないのだろう。三好宗家に睨まれないために大人しくするのは賢い選択である。
さてそうなれば、何処が当家への口利きをするかというと……京の町を取り仕切る三好宗家以外あり得ない。特にその重臣となる松永 久秀の名が書かれた紹介状は山のように積み上がった。最早嫌がらせに等しい。
面倒臭くなった俺は、紹介状を全てを燃やすという暴挙に出た。三好 長慶ならこういった面倒な案件も一つ一つ丁寧に処理するのだろうと思いつつも、俺は三好 長慶とは違うと開き直って全てを無かった事にする。この辺が自分自身の未熟さである。
何となくだが、松永 久秀はこの行動まで読み切った上で今回の紹介状攻勢を仕掛けてきたような気がする。恐らく目的は京での反遠州細川派閥の形成ではなかろうか。松永 久秀が紹介状を書く相手を考えれば、戦費調達で世話になる土倉等の金融業者の可能性が高い。その業界の者達を当家と反目させて自陣営に引き込む。
要は利用された訳だ。
この借りはいつか絶対に返してやる……と意気込みたい所だが、この悪銭回収騒動には続きがある。
最後に残った最も厄介な方法。それは公家の利用となる。先日の葉室 頼房殿仕官の一件が仇となり、どうしても俺が面会して対応しなければいけなくなった。
相手は葉室 頼房殿の義理の兄である山科 言継様だ。この縁戚関係を持ち出されるとこちらも面会を拒否できない。しかも山科 言継様は、朝廷財政立て直しのために日の本各地を巡って武家に献金を依頼しているとして有名でもある。こうした有名人を門前払いにするのは外聞が悪いというのもあった。
ただ間違っても、この人脈を逆利用して自身の利益に繋げようなどと考えてはいけない。こういった場合、相手は自らの長所を把握している。無理に取り込もうとすれば、その何倍もの手痛い授業料を払わなければならなくなるだろう。
可能なら穏便にお帰り頂きたい所ではあるが……それは諦めるより他ない。
「細川殿、そう警戒するでない。本日は細川殿にとって良き話を持ってきたのだ。酒でも飲みながら楽しく話す方が良いと思わぬか? のう九左衛門殿、お主もそう思うであろう?」
「まさに。山科様のお言葉は至言でございます」
俺と対峙する笑みを絶やさぬ二人。一人が山科 言継様、もう一人は九左衛門と呼ばれる商家の風体をしている男だ。どちらも年齢は中年に差し掛かった所だろうか。その経験に裏打ちされた実力は一筋縄ではいかないのが分かる。
事実、場を和ますためと言いながら、何の遠慮も無く酒を要求してきた。これは俺が酒に弱いのを知った上だと見た方が良い。より警戒感が強まる。
「いえ、要件を先にお話しください。葉室殿の顔を立てて本日は特別に面会しましたが、本来なら門前払いしている所です。私の公家嫌いは有名な筈ですが」
「それは摂関家に対してであろう。そなたの話は義理の弟である葉室殿から聞いておる。だからこそ、この土佐に参ったのだ。儂は私的な欲ではなく、ただ帝の御為にと各地に出向いておる。それが分からぬ細川殿ではあるまい」
「なら私が葉室殿に伝えた言葉も聞いている筈です。朝廷への献金は摂関家の資格を剥奪してからだと」
「分かっておる。その点は分かっておるので心配するな。此度土佐に参ったのは、遠州細川家が京で行っておる役目に協力したいと思ってだ」
なるほど。「役目」ときたか。「帝の御為」という言葉を先に出し、そのまま続ける。これはこちらの誤解を誘おうとしているのだろう。当家の兵が京の町を警備しているのを知って、一旦話題をそちらに転がし、帝や朝廷も評価しているとでも言えば、俺が喜ぶとでも思ったのではなかろうか。
本題に入る前に相手を良い気分にさせるのは、交渉での常套手段と言っても良い。それを何食わぬ顔でできるのが山科 言継様の強みと見た。やはり数々の武家から献金を引き出したその手腕に間違いはない。
ここでその話に乗れば間違いなく相手の思う壺となる。なら、話を終わらせる方向へと持っていくのが無難な対策だ。例え悪い印象を与える形になろうとも、会話に付き合ってケツの毛まで毟り取られるよりは遥かにマシである。
「具体的にはどういった話でしょうか?」
「それをこれから酒でも飲みながら話しようと言っておるのだ」
「分かりました。では、お帰りください。私にとってそれは酒を飲みながら話す内容ではありません。他の武家の方でしたら、きっと応じてくださるでしょう。その方と話を進めるのをお勧めします。今回は縁が無かったようでとても残念です」
「ま、待て。そう焦るでない。融通が利かぬな。そのように人の話を聞こうともしないのは良くないぞ。利を得られる機会を逃すのが分からぬのか」
「貴重な助言を頂きありがとうございました。お言葉を肝に銘じて次回から生かそうと思います。ですので今回はお帰りください」
「分かった。分かったからそう邪険にするな。酒は諦める。良い話というのはだな、遠州細川家が相国寺と組んで行っている悪銭回収の件だ。より多く集めるために手伝ってやらんでもないぞ」
「悪銭回収は相国寺に一任しております。話はそれで終わりですか? ではお帰りください」
「何ゆえ相国寺は良くて、こちらは駄目なのだ。訳を教えてくれ」
「自身の都合しか考えないからでしょう。ここまでしつこいと実力で排除せざるを得ないのですが、それで宜しいでしょうか?」
ここまでは予想通りである。散々引き延ばして出てきたのが悪銭回収事業への参加だというのは肩透かしを食らったが、それだけこの事業が魅力的に映ったのだろう。
現実には交換を行う現場でトラブルが頻発するのは目に見えているというのに、そこまでの考えに至らない。大事になったとは言え、最初の取り決めから一切の変更も無く窓口を相国寺一本にする意味をもう少し考えて欲しかった。
欲に目が眩んだ人というのは自らで視野を狭くさせる。
「分かった。これ以上は言わぬ。ならもう一つの方なら細川殿も納得するであろう。土佐への移住の手伝いだ。土佐は人手が足りぬのであろう」
「……ほぉ。奴隷ではなく移民ですか。まずは話だけでも聞きましょう。手短にお願いします」
話はこれで終わりだとばかりに二人には出て行ってもらおうとした所、縋るような表情で山科 言継様が切り札を出してきた。これがあったからこそ、強気の態度でいられたのだと理解する。話術だけで俺から銭を引き出そうとしていなかった訳だ。
それにしても、奴隷売買が当たり前の時代に移住の手伝いとはな。かなり珍しい提案ではないかと考える。
移動する距離にもよるが、基本的に移民や難民というのはそう簡単には実現しない。制度の面ではなく、金銭的な面でだ。
先入観無くそれらを見れば、現状の生活に行き詰まり新たな場所での再出発を目指して行うものだと理解するだろう。
だが、現実は違う。
実は移民や難民は、ある程度の資産を持っていなければ実現しない。元々が中流階級程度の生活を送っていなければ難しいのではないか。
日々の生活に困り、このままでは路頭に迷うしかないという貧困層はほぼ移民や難民になれない。
それは何故かというと、とても単純な話で旅費が工面できない。新天地で生活を成り立たせられない。無理矢理新天地にやって来ても、手続き等が終わるまで耐えられないのが実情であったりする。国の外に出て新たな生活基盤を整えるためには、それなりの資産が必要だ。
現代であろうと戦国時代であろうと、素性の分からない者にいきなり職を与えるような馬鹿は少ない。この時代、何のために紹介状があるのか? 全ては身元保証である。仮に職人が何の伝手も無く一人でふらりとやって来たとしても、新たな土地で受け入れられるには相応の時が必要という当たり前の話だ。閉鎖的な村社会では余所者の自己申告を全て信用しろというのがまず無理である。
だからこそ俺は移民事業を革島家に一任し、しっかりとした身体検査の上で身元保証ができる書類を作成してもらっていた。土佐までの旅費及びその他諸々の経費は全て当家が賄っている。それもしっかりとした受け入れ態勢を整えた上でだ。
また一向門徒の移住は、本願寺が身元保証人となってくれているから実現したに過ぎない。こちらも当家が仕事を確約した上での事業である。
とは言え、蛇の道は蛇。貧困層も移民や難民になれる方法が無い訳ではない。
そう、答えは簡単だ。借金漬けにすれば良い。相場より高い旅費や書類発行の手数料を課し、当面の生活費を渡した上で新天地へと送り出す。逃げられないように家族等はいつでも身柄を押さえられるようにしておく。一度でも返済が滞れば、莫大な違約金を課す。
ただ悲しいかな、こういった方法で新たな場所にやって来てもそうそう良い仕事が見つかる筈もない。だからこそ何割かは確実に犯罪や売春へと走る。制度や受け入れ体制がしっかりしていない移民政策というのは、犯罪者予備軍を招くだけというのが実情だ。
このように移民はかなり面倒なだけに、戦国時代なら後腐れのない奴隷を買う方が手っ取り早い。要は奴隷だからといって手荒な真似をしなければ良いだけである。人権意識を振りかざして奴隷制度を否定するよりも、現実に即した対応をするのが肝要というもの。
さて今回提案された移住の手伝いがどのような内容になるか楽しみである。
「そ、そうか。ならば心して聞くが良い。此度の移住の手伝いというのは、こちらが用意した名簿を元に細川殿が指名して、その者を土佐に移住させるというものだ。一人に付き幾らという手数料は貰うが、それ以外の費用は請求せぬから安心して欲しい。どうだ、魅力的であろう」
「それは奴隷を購入するのとどう違うのでしょうか? また、名簿に掲載されている者は債務を抱えておりますか? 次にその者達は怪我や病気、障害を抱えていますか? 最後に名簿内容に誤りがあったり虚偽の申告をされた際、手数料の返還並びに違約金を支払って頂けますでしょうか?」
「……」
「ああ、なるほど。多重債務者や病気・怪我持ち、他国の間者を銭を払って引き取れという話ですね。お断りします」
「い、いや必ずしもそうなるとは限っておらぬ。考え直せ」
「どの道虚偽があっても責任を取らないというなら、当家にとっては損にしかなりません。慈善事業ではありませんので。それに、当家はこれ以上移民の規模を増やすつもりはありません。今は九州から安く奴隷が買えますので労働力はそれで賄えます。忠澄、お二人がお帰りだ。丁重に送って差し上げろ。言う事を聞かない場合は骨の二、三本を折ってやれ」
「はっ!」
結局の所、持ち込んだ提案は当家の行っている事業を見よう見真似で行うというだけの内容であった。奴隷販売を申し出たなら素直に応じていたというのが理解できなかったのであろう。
もしくは、間者を潜り込ませるために移住事業を利用した可能性もある。杉谷家が頑張ってくれているお陰で、非合法に土佐に入ってくる連中を全て討伐している成果がこの提案に繋がったのかもしれない。
……となると、山科 言継様の隣にいた九左衛門はどこかの武家の関係者となる。多分、細川 晴元だろうな。当家が三好宗家と連携できないように、例えば一揆の扇動者を送り込もうと仕掛けてきたと見るのが妥当な所だ。山科 言継様と同行していなければ、拘束している所である。
当家の領内には結構な数の一向門徒がいるのを知った上での今回の訪問だろう。
確か細川 晴元の義理の妹である如春尼は、本願寺の次代宗主である顕如と既に婚約している。その線を辿れば、一向一揆を起こせると判断したとしてもおかしくはない。
これは先手を打って下間 頼隆殿と話し合いを持っておいた良さそうだ。仮に本部から一揆の依頼が来ても、突っぱねてもらうようお願いをしておこう。理に聡い本願寺ならどちらが得か分かる筈である。
今回の悪銭騒動によって、当家が良くも悪くも畿内で認知されるようになったと言うべきか。これだから京には関わりたくはない。
面倒な全てを三好 長慶に丸投げしたい今日この頃である。
しかしこの取り決めが、俺の預かり知らぬ所で大きな波紋を呼んでしまう。
下世話な言い方をすれば、京全体にゴールドラッシュが巻き起こってしまった。
全ては関係者全員が京雀の拡散力を舐めていたのが敗因である。もっとこの事業を慎重且つ秘密裏に行っていれば良かったものを、悪銭回収を散所の人々に手伝ってもらうという江春瑞超殿の提案を軽い気持ちで了承したのがいけなかった。
「人の口に戸は立てられぬ」というのはまさにこの事か。
改めて考えてみれば当然の結果とも言える。使えない悪銭を持っている者は京中にごまんといる。何も相国寺を含めた五山の寺院だけが持っている訳ではない。そんな単純な話であった。
量が必要になるとは言え、撰銭令の対象から漏れた悪銭が金品へと変わる。一夜にしてゴミが宝の山へと変わったと言えば良いのだろうか? もうこれで商家に嫌味を言われながら悪銭を引き取ってもらう必要もなければ、いつ悪銭を掴まされるか分からないという不安感まで払しょくされる。そんな幸運はそうそう訪れない。
お陰で相国寺には昼夜問わず問い合わせの電話がひっきりなしに鳴り続け……もとい、寺の門の前には真偽を確かめるべく町衆が大勢詰めかけたという。その時の町衆の形相は三好兵より怖かったというのだから、相国寺の僧達はきっと死を覚悟しただろう。この時代の民は、怒らすと下手なテロリストより質が悪い。
なら相国寺はこのような暴徒一歩手前の連中にどうに対応したかというと、「まだ始まったばかりで、具体的な段取りはこれから進めていく。後日関係者が戸別訪問するので、その時まで待って欲しい」と明らかな時間稼ぎをしつつも、結局町衆から悪銭回収する確約をする羽目になった。町衆達は名簿に名前と住んでいる場所を記載して解散をした。
かくして騒動は一応の鎮火をする。
しかしながら、一連の出来事が書かれた相国寺からの書状の結びには「我等を助けると思って、何卒この事業は必ず成し遂げてくだされ」という悲痛な叫びが記されていたのが印象的だった。最早相国寺関係者はこの一件以来、気軽に町を出歩けなくなったのであろう。何かにつけて町衆から催促されているのではないかと思う。
こうなるとこちらも後には戻れにない。早急に対処を行った。差し当たっては、京に逗留する兵へ物資を送る際に造幣所の者を数名随行させ、交換用の金や銀、塩を持たせる形とする。それも多めに。京の町全体の悪銭回収を一度で行うのは無理にしても、実績を作りまずは町衆を安心させるのが急務だと考える。
後は……三好の御曹司から頼まれた焼き菓子と干し芋も京へと輸送しなければならない。何の気なしに食べさせたおやつをここまで気に入るのは予想外であった。しかも銭を支払って購入するというだから尚更である。金持ちの気まぐれは庶民の俺には分かりそうにない。
仮想敵でもある三好宗家との取引には躊躇いを感じるものの、この程度なら利敵行為にはならないだろう。
ともあれ今回の騒動で、悪銭問題はとても根深いのだというのが分かった。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽
一度は鎮火したと思われた京の悪銭回収騒動は意外な形で再炎上する。しかも今度は当事者の俺にその火が飛んできたのだから、笑うに笑えない。
結論から言うと、悪銭回収の窓口が相国寺だけというのが間違っている。俺達も一枚噛ませて甘い汁を吸わせろというものだ。
人というのは悲しいもので、隣の芝は青く見えがちである。この悪銭回収事業の背景を見ていない。相国寺側もそれ相応の負担をしているというのを理解していない身勝手な言動だ。しかもこちらの了承を得る前から、直接土佐に乗り込んでくるのだから始末に負えない。田舎者だと思って完全に下に見ているのだろう。
当然ながら、城の守備兵総出で押し掛けた全員を追っ払った。
こういった時、暴力は全てを解決する。中には……というより、城にまで押し寄せた連中の殆どが何を言っても聞かず、座り込んで俺と会えるまで退かないと開き直る。大声を上げて恫喝する。極めつけが刀を抜き実力行使にまで及ぼうとしたという。
取り囲んで槍で滅多撃ちにしたのは必然であった。
そうするとあら不思議。それまで態度の大きかった者が途端にしおらしくなる。最後には当家のおもてなしに感激したのか、涙を流しながら去っていく。
──「この借りはいつか返してやる」という捨て台詞を残して。
守備兵からこの報告を受けた時には「最初から分かり切った結末だろうに」としか思わなかったが、それと同時にまた京で敵を増やしてしまったという事実が残る。これだから京には関わりたくない。
とは言え、こうした単細胞はまだ御しやすい方である。まだ頭の回る者は、別の攻め方で当家に近付いてくる。それは紹介状を持参するというやり方だ。
幸いなのは当家の京での付き合いは限られており、仲介者となり得る者が少ない点だ。相国寺はそもそも自分達が悪銭回収事業を引き受けているのだから口利きはしない。西岡地区の革島家や下京の今村家に至っては、こういった者が接触してきたと逐一報告を寄越してくる律義さである。
他に付き合いのある所と言えば妙心寺が挙げられるが、それ以前に京の寺社からは紹介状自体が一切届いていない。理由は分かる。当家の兵を受け入れたくないのだろう。三好宗家に睨まれないために大人しくするのは賢い選択である。
さてそうなれば、何処が当家への口利きをするかというと……京の町を取り仕切る三好宗家以外あり得ない。特にその重臣となる松永 久秀の名が書かれた紹介状は山のように積み上がった。最早嫌がらせに等しい。
面倒臭くなった俺は、紹介状を全てを燃やすという暴挙に出た。三好 長慶ならこういった面倒な案件も一つ一つ丁寧に処理するのだろうと思いつつも、俺は三好 長慶とは違うと開き直って全てを無かった事にする。この辺が自分自身の未熟さである。
何となくだが、松永 久秀はこの行動まで読み切った上で今回の紹介状攻勢を仕掛けてきたような気がする。恐らく目的は京での反遠州細川派閥の形成ではなかろうか。松永 久秀が紹介状を書く相手を考えれば、戦費調達で世話になる土倉等の金融業者の可能性が高い。その業界の者達を当家と反目させて自陣営に引き込む。
要は利用された訳だ。
この借りはいつか絶対に返してやる……と意気込みたい所だが、この悪銭回収騒動には続きがある。
最後に残った最も厄介な方法。それは公家の利用となる。先日の葉室 頼房殿仕官の一件が仇となり、どうしても俺が面会して対応しなければいけなくなった。
相手は葉室 頼房殿の義理の兄である山科 言継様だ。この縁戚関係を持ち出されるとこちらも面会を拒否できない。しかも山科 言継様は、朝廷財政立て直しのために日の本各地を巡って武家に献金を依頼しているとして有名でもある。こうした有名人を門前払いにするのは外聞が悪いというのもあった。
ただ間違っても、この人脈を逆利用して自身の利益に繋げようなどと考えてはいけない。こういった場合、相手は自らの長所を把握している。無理に取り込もうとすれば、その何倍もの手痛い授業料を払わなければならなくなるだろう。
可能なら穏便にお帰り頂きたい所ではあるが……それは諦めるより他ない。
「細川殿、そう警戒するでない。本日は細川殿にとって良き話を持ってきたのだ。酒でも飲みながら楽しく話す方が良いと思わぬか? のう九左衛門殿、お主もそう思うであろう?」
「まさに。山科様のお言葉は至言でございます」
俺と対峙する笑みを絶やさぬ二人。一人が山科 言継様、もう一人は九左衛門と呼ばれる商家の風体をしている男だ。どちらも年齢は中年に差し掛かった所だろうか。その経験に裏打ちされた実力は一筋縄ではいかないのが分かる。
事実、場を和ますためと言いながら、何の遠慮も無く酒を要求してきた。これは俺が酒に弱いのを知った上だと見た方が良い。より警戒感が強まる。
「いえ、要件を先にお話しください。葉室殿の顔を立てて本日は特別に面会しましたが、本来なら門前払いしている所です。私の公家嫌いは有名な筈ですが」
「それは摂関家に対してであろう。そなたの話は義理の弟である葉室殿から聞いておる。だからこそ、この土佐に参ったのだ。儂は私的な欲ではなく、ただ帝の御為にと各地に出向いておる。それが分からぬ細川殿ではあるまい」
「なら私が葉室殿に伝えた言葉も聞いている筈です。朝廷への献金は摂関家の資格を剥奪してからだと」
「分かっておる。その点は分かっておるので心配するな。此度土佐に参ったのは、遠州細川家が京で行っておる役目に協力したいと思ってだ」
なるほど。「役目」ときたか。「帝の御為」という言葉を先に出し、そのまま続ける。これはこちらの誤解を誘おうとしているのだろう。当家の兵が京の町を警備しているのを知って、一旦話題をそちらに転がし、帝や朝廷も評価しているとでも言えば、俺が喜ぶとでも思ったのではなかろうか。
本題に入る前に相手を良い気分にさせるのは、交渉での常套手段と言っても良い。それを何食わぬ顔でできるのが山科 言継様の強みと見た。やはり数々の武家から献金を引き出したその手腕に間違いはない。
ここでその話に乗れば間違いなく相手の思う壺となる。なら、話を終わらせる方向へと持っていくのが無難な対策だ。例え悪い印象を与える形になろうとも、会話に付き合ってケツの毛まで毟り取られるよりは遥かにマシである。
「具体的にはどういった話でしょうか?」
「それをこれから酒でも飲みながら話しようと言っておるのだ」
「分かりました。では、お帰りください。私にとってそれは酒を飲みながら話す内容ではありません。他の武家の方でしたら、きっと応じてくださるでしょう。その方と話を進めるのをお勧めします。今回は縁が無かったようでとても残念です」
「ま、待て。そう焦るでない。融通が利かぬな。そのように人の話を聞こうともしないのは良くないぞ。利を得られる機会を逃すのが分からぬのか」
「貴重な助言を頂きありがとうございました。お言葉を肝に銘じて次回から生かそうと思います。ですので今回はお帰りください」
「分かった。分かったからそう邪険にするな。酒は諦める。良い話というのはだな、遠州細川家が相国寺と組んで行っている悪銭回収の件だ。より多く集めるために手伝ってやらんでもないぞ」
「悪銭回収は相国寺に一任しております。話はそれで終わりですか? ではお帰りください」
「何ゆえ相国寺は良くて、こちらは駄目なのだ。訳を教えてくれ」
「自身の都合しか考えないからでしょう。ここまでしつこいと実力で排除せざるを得ないのですが、それで宜しいでしょうか?」
ここまでは予想通りである。散々引き延ばして出てきたのが悪銭回収事業への参加だというのは肩透かしを食らったが、それだけこの事業が魅力的に映ったのだろう。
現実には交換を行う現場でトラブルが頻発するのは目に見えているというのに、そこまでの考えに至らない。大事になったとは言え、最初の取り決めから一切の変更も無く窓口を相国寺一本にする意味をもう少し考えて欲しかった。
欲に目が眩んだ人というのは自らで視野を狭くさせる。
「分かった。これ以上は言わぬ。ならもう一つの方なら細川殿も納得するであろう。土佐への移住の手伝いだ。土佐は人手が足りぬのであろう」
「……ほぉ。奴隷ではなく移民ですか。まずは話だけでも聞きましょう。手短にお願いします」
話はこれで終わりだとばかりに二人には出て行ってもらおうとした所、縋るような表情で山科 言継様が切り札を出してきた。これがあったからこそ、強気の態度でいられたのだと理解する。話術だけで俺から銭を引き出そうとしていなかった訳だ。
それにしても、奴隷売買が当たり前の時代に移住の手伝いとはな。かなり珍しい提案ではないかと考える。
移動する距離にもよるが、基本的に移民や難民というのはそう簡単には実現しない。制度の面ではなく、金銭的な面でだ。
先入観無くそれらを見れば、現状の生活に行き詰まり新たな場所での再出発を目指して行うものだと理解するだろう。
だが、現実は違う。
実は移民や難民は、ある程度の資産を持っていなければ実現しない。元々が中流階級程度の生活を送っていなければ難しいのではないか。
日々の生活に困り、このままでは路頭に迷うしかないという貧困層はほぼ移民や難民になれない。
それは何故かというと、とても単純な話で旅費が工面できない。新天地で生活を成り立たせられない。無理矢理新天地にやって来ても、手続き等が終わるまで耐えられないのが実情であったりする。国の外に出て新たな生活基盤を整えるためには、それなりの資産が必要だ。
現代であろうと戦国時代であろうと、素性の分からない者にいきなり職を与えるような馬鹿は少ない。この時代、何のために紹介状があるのか? 全ては身元保証である。仮に職人が何の伝手も無く一人でふらりとやって来たとしても、新たな土地で受け入れられるには相応の時が必要という当たり前の話だ。閉鎖的な村社会では余所者の自己申告を全て信用しろというのがまず無理である。
だからこそ俺は移民事業を革島家に一任し、しっかりとした身体検査の上で身元保証ができる書類を作成してもらっていた。土佐までの旅費及びその他諸々の経費は全て当家が賄っている。それもしっかりとした受け入れ態勢を整えた上でだ。
また一向門徒の移住は、本願寺が身元保証人となってくれているから実現したに過ぎない。こちらも当家が仕事を確約した上での事業である。
とは言え、蛇の道は蛇。貧困層も移民や難民になれる方法が無い訳ではない。
そう、答えは簡単だ。借金漬けにすれば良い。相場より高い旅費や書類発行の手数料を課し、当面の生活費を渡した上で新天地へと送り出す。逃げられないように家族等はいつでも身柄を押さえられるようにしておく。一度でも返済が滞れば、莫大な違約金を課す。
ただ悲しいかな、こういった方法で新たな場所にやって来てもそうそう良い仕事が見つかる筈もない。だからこそ何割かは確実に犯罪や売春へと走る。制度や受け入れ体制がしっかりしていない移民政策というのは、犯罪者予備軍を招くだけというのが実情だ。
このように移民はかなり面倒なだけに、戦国時代なら後腐れのない奴隷を買う方が手っ取り早い。要は奴隷だからといって手荒な真似をしなければ良いだけである。人権意識を振りかざして奴隷制度を否定するよりも、現実に即した対応をするのが肝要というもの。
さて今回提案された移住の手伝いがどのような内容になるか楽しみである。
「そ、そうか。ならば心して聞くが良い。此度の移住の手伝いというのは、こちらが用意した名簿を元に細川殿が指名して、その者を土佐に移住させるというものだ。一人に付き幾らという手数料は貰うが、それ以外の費用は請求せぬから安心して欲しい。どうだ、魅力的であろう」
「それは奴隷を購入するのとどう違うのでしょうか? また、名簿に掲載されている者は債務を抱えておりますか? 次にその者達は怪我や病気、障害を抱えていますか? 最後に名簿内容に誤りがあったり虚偽の申告をされた際、手数料の返還並びに違約金を支払って頂けますでしょうか?」
「……」
「ああ、なるほど。多重債務者や病気・怪我持ち、他国の間者を銭を払って引き取れという話ですね。お断りします」
「い、いや必ずしもそうなるとは限っておらぬ。考え直せ」
「どの道虚偽があっても責任を取らないというなら、当家にとっては損にしかなりません。慈善事業ではありませんので。それに、当家はこれ以上移民の規模を増やすつもりはありません。今は九州から安く奴隷が買えますので労働力はそれで賄えます。忠澄、お二人がお帰りだ。丁重に送って差し上げろ。言う事を聞かない場合は骨の二、三本を折ってやれ」
「はっ!」
結局の所、持ち込んだ提案は当家の行っている事業を見よう見真似で行うというだけの内容であった。奴隷販売を申し出たなら素直に応じていたというのが理解できなかったのであろう。
もしくは、間者を潜り込ませるために移住事業を利用した可能性もある。杉谷家が頑張ってくれているお陰で、非合法に土佐に入ってくる連中を全て討伐している成果がこの提案に繋がったのかもしれない。
……となると、山科 言継様の隣にいた九左衛門はどこかの武家の関係者となる。多分、細川 晴元だろうな。当家が三好宗家と連携できないように、例えば一揆の扇動者を送り込もうと仕掛けてきたと見るのが妥当な所だ。山科 言継様と同行していなければ、拘束している所である。
当家の領内には結構な数の一向門徒がいるのを知った上での今回の訪問だろう。
確か細川 晴元の義理の妹である如春尼は、本願寺の次代宗主である顕如と既に婚約している。その線を辿れば、一向一揆を起こせると判断したとしてもおかしくはない。
これは先手を打って下間 頼隆殿と話し合いを持っておいた良さそうだ。仮に本部から一揆の依頼が来ても、突っぱねてもらうようお願いをしておこう。理に聡い本願寺ならどちらが得か分かる筈である。
今回の悪銭騒動によって、当家が良くも悪くも畿内で認知されるようになったと言うべきか。これだから京には関わりたくはない。
面倒な全てを三好 長慶に丸投げしたい今日この頃である。
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