じーさんず & We are

Tro

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#4 勇者で章

#4.4 最終兵器・おっちゃん

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「お前は……山の主」

おっちゃんが熊に似た熊を見て腰を抜かしています。そして、そのままの姿勢で店内に消えて行きました。一名脱落です。

「少年B! 少年Aを助けなくていいの? フフ」

少女Aが勝ち誇ったままホザいています。腹を満たしたせいでしょうか。少女のあどけなさが、ほんの少し戻っています。ただ、泥だらけの顔と、くしゃくしゃの髪はレディー失格です。顔を洗って出直してきなさい。

「僕は、僕は、」
少年Bは魔法の呪文を繰り返すばかりです。

「よく見ろ! それどころじゃないだろう」少年Bの狼狽ぶりを嘆く少年Aです。
ウガ(どこを見ている、よそ見をするな)と言っています。

少年Aは少年Bの説得を試みますが、少年Bの耳は魔法で塞がれています。その声は、その思いは届くことはないでしょう。

「覚悟しろ! 山の主」

逃亡したはずのおっちゃんが戻ってきました。その手には銃身の長い銃が構えられています。それは3mくらいはあるでしょうか。おっちゃんも熊に似た熊に立ち向かいます、店先からですが。

「この顔の傷、忘れたとは言わせんぞ」と威勢の良いおっちゃん。
ウゴ(お前は誰だ、知らん)と言っています。でも、おっちゃん、顔の傷ってどこにあるの? え? 言ってみたかっただけ?

「ハイパー・ミラクル・なんとか・ショット!」

おっちゃんの掛け声とともに長身の銃の先端から、何やらチョロチョロと出てきました。それは始め、お辞儀をするような形でしたが次第に勢いが増し、チョロチョロがシューに変わり、ズボーになりました。

水鉄砲です、見掛け倒しの水鉄砲です。ですがその水の勢いは凄まじく、熊に似た熊と少年Aを洗い流していきます。おお、何という洗浄力。この二日間、お風呂に入っていなかった少年Aが清められていきます。熊に似た熊はどうでしょう。ああやはり、水を嫌がってます。

調子に乗ったおっちゃんは、小汚い少女Aにも水をぶっかけます。ついでに少年Bにも。おっちゃんは、またも少女Aを見ては口元を綻ばせています。

熊に似た熊は我慢できなくなったのでしょうか、檻を破って逃走し山の中にその姿を隠しました。

「もっとー、もっと僕を苛めてー」

水に打たれる少年Bが、また訳の分からぬ呪文を唱えています。清められた少年Aはその場に座り込み、少女Aは体を震わせています。言い忘れましたが、当時は冷たい風の吹く真冬でした。さぞ、水は冷たかったことでしょう。

「ガッハハハ、俺の大勝利だー」

澄み切った夜空に、おっちゃんの雄叫びだけが響きました。



現世に戻って参りました。遠くを望む少女Aの、その視線の先は如何でしたでしょうか。戻ってこれて一安心です。

そんな少女Aの後ろ姿に何かを感じたマオが、そっと少女Aの肩に触れようとしたました。その後には『君、大丈夫か』というセリフが控えています。

「私はー、強い、うん」

少女Aは小さい声ではありますが、しっかりと力強い声で自分自身を鼓舞していました。その時、握りしめた拳を思いっきり後ろに引き、ヨッッシャーというポーズで少女Aの肘がマオの鳩尾みぞおちにクリーンヒットです。マオはその部分を手で押さえながら悶え倒れていきます。

「魔王なんかに負けるものか」と高らかに宣言する少女A。

はい、既にあなたは大魔王を倒してしまいました。でも私に勝てるかどうかは別問題です。若者3人はその勝利に気づくことなく、この場を去ったのであります。

どんぶらこ、どんぶらこ。マオ達と若者を乗せたスイート・ポテト号は波をかき分け、南の島に向かって突き進んでいきます。その先に待ち受ける運命とは。しっかりと見ていきましょう。
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