じーさんず & We are

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#8 栄子と呼ばれたで章

#8.2 和平交渉

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夜の街を白いリムジンで疾走する私です。私の国と敵対する政府が侘びを入れたいとのことなので、その会合の場所であるホテルに向かっています。勿論、護衛も付けていますよ。ただ、私の乗ってるリムジン、すごく派手です、恥ずかしいです。先代魔王ことマオの悪趣味ですね。ですが本人は一度もこれに乗ったことがありません。次に会うことがあれば小言でも言ってあげましょう。

ホテルの前に到着です。さあ、降りて行きましょうか。それにしても、あれ、政府のお出迎えは無いようです。ええ、私は偉ぶるつもりはありませんが招待しておいて、これですか。まあ良いでしょう、人目を避けるという意味合いもありますからね。

会合の部屋までは階段を上がっていきます。それも長~い階段です。そうしてようやく部屋に着きました。中でお待ちでしょう、早速、中に入ります。あら、中はガランとしています。そこに椅子が2脚、寂しそうに置いてあるだけです。どうやら私が一番乗りのようです。何事も一番は気持ちの良いものです。

その部屋の中を行ったり来たりする私です。約束の時間はとうに過ぎています。きっと先方は忙しいのでしょう、分かります。そうして漸く、ノックもなく政府の方々、似たようなお爺さんが2人で来られました。その内の1人が私を見てニヤリとしました。きっと私に会えて嬉しいのですね。少し心の中を聞いてみましょう。

(なんだ、本当に小娘じゃないか、へへ、これらな楽勝だな。魔王と言っても大したことないな。本当にあの国は、へへ、笑ってしまいそうだ)と思いながら、
「よくお出で下さいました。どうぞこちらにお座りください」と言うお爺さんです。

「では、そうさせて頂きます」心の声は聞かなかったことにしましょうの私です。

椅子が2脚しかありませんので、その他の方は立ったままです。遅刻の言い訳は、無いようです。まあ、良いでしょう。

「早速ですが先日の件、私どもの手違いで迷惑を掛けましたことをお詫びします」

椅子に座るお爺さんは、それでも笑顔を絶やさず、頭も下げません。これが謝罪なのでしょうか。まあ、良いでしょう。

「分かりました。謝罪をお受け致します」

ところでこのお爺さん、一体誰なのでしょうか。自己紹介も無く誰なのか分かりません。でもきっと偉い人なのでしょう、そう信じます。

「そう言ってくれると有り難い。ではこの件はこれで」と話を切ろうとするお爺さん。いいえ、まだ聞きたいことがあるのです、の私です。

「先程、手違いと言われましたけれど、その関係者の処罰はどうなりますか」
「処罰? はあ、適切に致します」
「では、誰かを更迭するのですか」
「適切に、対処します」

これはいけませんね。同じことを繰り返すだけのようです。まあ、良いでしょう。これ以上、お話しすることは無いと思いますので、これで終わりでしょう。ですが、お爺さんはまだ続けるようです。

「この機会に我が国からの提案があるのですが、宜しいですか」
「良いですよ、続けてください」

「今回のような事が今後起きないように、つまりは、そろそろ敵対関係を解消したい、と首相が申していまして」

「それは良い考えだと思います」

「そうでしょう。我が国も貴女の国と何時までも紛争状態にあるのはとても不経済な事です。そこで、そろそろ講和を持ちまして終わりにしたいと考えています」

「私もその意見には賛成です」

「そうでしょう。そこで我が国と貴女の国とで条約を結ぶのですが、我が国の国家としての有り様と貴女の国の立場を考えた結果、バランス的に合う形にするには、その、率直に言いますが、我が国に従う形になって貰いたいのです」

「それは、どのようなことでしょうか。分かるように言ってくれませんか」
「うーん、つまり簡単に言いますと我が国の属国になるということです」
「はあ、属国ですか」
「いえいえ、あくまで建前、形式的なものですよ」
「嫌です」
「即答されることではないですよ」
「私が嫌なのですから、嫌です、お断りです」

「はあ、国の規模を考えれば分かるでしょう。その気になれば貴女の国は無くなりますよ。それを貴女の一存で決めて良いのですか。国を存続、繁栄させるのが貴女の役目でしょう。それを一時の感情で決めてしまうのは。全く政治を分かっていない」

「それは我が国に対する宣戦布告と捉えて宜しいのですか」
「いやいや、そんなことは一言も」
「お話は分かりました。とても不愉快です、これで帰らせて貰います」
「ちょっと、あなた」
「ごきげんよう」

私は椅子から立ち上がり、ああ、興奮していたのでしょうか、少し立ちくらみが。不覚にも床に手をついてしまいました。これではいけません、気合を入れて立ち上がりましょう。

「えい!」

するとどうでしょう、地震が起きたようです。私は立ち上がることを止め、そのままの姿勢で地震をやり過ごすことにしました。

「おお~」

おじさんが変な声をあげています、それほど強い地震なのです。上下にドンドン突き上げるような揺れが続きます。その後、シェイクするように左右にユサユサと続きます。それが暫く続いてから収まりました。ですが部屋の中は騒然としています、右往左往するおじさん達です。もうお話は終わりました。不愉快ついでに地震とは、ついていません。さようなら。

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