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#3 近代 カツミ編
#3.5 猫は飛ばない (3/3)
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キャノピーが吹っ飛び、俺達も吹っ飛んだ。どこかで見たような光景だ。だが、どっちが上なのか下なのか、分からない。時々、空。時々、大地。時々、夕日。そうか、夕日が目に染みるぜ。まったくもう。
パラシュートが開き、天地がハッキリとする。大きなパラシュートに二人がぶら下がっていた。ケチにも程がある。二人で一つかよ。相手がカツミで良かった。多分、軽いから、何とかなってるんだろう。
しかーし、風か遠心力かバランスが悪いのか、俺とカツミは、離れては近づき、近づいては離れる、を繰り返している。このままだと、いつか俺と、多分、軽いカツミと衝突する。任務達成で燃え尽きたカツミは、ただぶら下げっているだけで、凶器と化している自分に気付いていない。
仕方あるまい。
俺は、カツミが近寄って来た瞬間を狙って、カツミを掴んだ。俺の手はカツミの服をゲット、離すもんかと握りしめた。しかし、見えない力には勝てない。カツミの服が破れ、離れていった。カツミが何かを言っている。俺は聞こえないと合図した。カツミは親指を立て。それを下に向けた。遊んでいる場合ではない。
俺は次のチャンスを狙った。
今度は、掴める場所が増えているので楽勝だ。破れた服の端を掴んだ。それを、俺の方にグイっと引き寄せる。想定外が発生した。服の端を掴んだものだから、その勢いでカツミがクルっと回り、服の殆どが破れてしまった。
仕方あるまい。
俺はカツミを抱きしめることに成功。あとは、風に揺られて降りるだけだ。地上に降りるまでの間、俺は空を見上げていた。決して、下を見ることはなかった。色々な意味で、怖かったからだ。
◇
「いらっしゃいませ、ようこそ”ツアーレ”へ」
俺は旅に出ることにした。借金は全額返済して、余裕も出来た。何と晴れ晴れしい気分だろう。これが金持ちの余裕ってやつか。
イリアとセリスは、ここが気に入ったらしく、残ると言っている。厄介払いできて、俺もほっとしている。
俺の見送りに来た、イリアとセリス。ついでにカツミも。”仕事柄、興味がある”と言って付いて来た。カツミには、あの二人を押しつけるような形になったが、上手くやるだろう。
「どちらの旅行先をご希望ですか?」
「今度は、もっと、こう、未来的な感じがいいんですけど。もう、原始時代とかは、こりごりなんで」
「はい、それでは”未来 科学万能の街”は如何でしょうか?」
「それ、それですよ。それでお願いします」
「かしこまりました、”未来 科学万能の街”ですね。では、ご出発の予定は何時になさいますか?」
「今すぐにでも行けますか?」
「はい、大丈夫です。では、奥の部屋に進んでください。見送りの方は、ここまでとなっております」
俺は振り返り、手を振ると、カツミが近寄ってきた。
「行きますか?」
「行きます。もし、あの二人が不要になったら、売ってもいいですよ」
「そうですか。あの」
「はい?」
「連絡は取れますか?」
何だ。付いてきたいのか? この俺に。正直に申してみよ。
「イリアとセリスの件で、相談したい場合に困ります」
違うのか。煮るなり焼くなり、好きにしていいのに。
「好きに扱っていいですよ」
「そういう訳には。大事な預かり物です」
「連絡ね~」
受付のお姉さんが、そっとアドバイスしてくれた。
「アイテムに登録すれば、世界が違ってもメッセージの送受信が出来ますよ」
「アイテムって言ってもカツミは…」
受付のお姉さんはカツミに”お持ち帰り券”の説明を始めた。きっと呆れて帰ってしまうだろう。ところが、カツミはアイテム登録に承諾したようだ。メッセージだけなら問題ないと。
さて、これで準備完了だ。イリアとセリスは、俺との別れに泣いているだろう。しょうがない奴らだ。頭でも撫でてやろう。
さあ、カモーン。手のかかるお前達よ……………いない。
「イリアとセリスは、お昼に行きました」
何という仕打ち、恩知らず。
「じゃあ、カツミ。……お世話になりました」
「お世話をしました」
こうして俺は、次の世界を目指した。
なんだか、寂しいのは、気のせいだろう。
パラシュートが開き、天地がハッキリとする。大きなパラシュートに二人がぶら下がっていた。ケチにも程がある。二人で一つかよ。相手がカツミで良かった。多分、軽いから、何とかなってるんだろう。
しかーし、風か遠心力かバランスが悪いのか、俺とカツミは、離れては近づき、近づいては離れる、を繰り返している。このままだと、いつか俺と、多分、軽いカツミと衝突する。任務達成で燃え尽きたカツミは、ただぶら下げっているだけで、凶器と化している自分に気付いていない。
仕方あるまい。
俺は、カツミが近寄って来た瞬間を狙って、カツミを掴んだ。俺の手はカツミの服をゲット、離すもんかと握りしめた。しかし、見えない力には勝てない。カツミの服が破れ、離れていった。カツミが何かを言っている。俺は聞こえないと合図した。カツミは親指を立て。それを下に向けた。遊んでいる場合ではない。
俺は次のチャンスを狙った。
今度は、掴める場所が増えているので楽勝だ。破れた服の端を掴んだ。それを、俺の方にグイっと引き寄せる。想定外が発生した。服の端を掴んだものだから、その勢いでカツミがクルっと回り、服の殆どが破れてしまった。
仕方あるまい。
俺はカツミを抱きしめることに成功。あとは、風に揺られて降りるだけだ。地上に降りるまでの間、俺は空を見上げていた。決して、下を見ることはなかった。色々な意味で、怖かったからだ。
◇
「いらっしゃいませ、ようこそ”ツアーレ”へ」
俺は旅に出ることにした。借金は全額返済して、余裕も出来た。何と晴れ晴れしい気分だろう。これが金持ちの余裕ってやつか。
イリアとセリスは、ここが気に入ったらしく、残ると言っている。厄介払いできて、俺もほっとしている。
俺の見送りに来た、イリアとセリス。ついでにカツミも。”仕事柄、興味がある”と言って付いて来た。カツミには、あの二人を押しつけるような形になったが、上手くやるだろう。
「どちらの旅行先をご希望ですか?」
「今度は、もっと、こう、未来的な感じがいいんですけど。もう、原始時代とかは、こりごりなんで」
「はい、それでは”未来 科学万能の街”は如何でしょうか?」
「それ、それですよ。それでお願いします」
「かしこまりました、”未来 科学万能の街”ですね。では、ご出発の予定は何時になさいますか?」
「今すぐにでも行けますか?」
「はい、大丈夫です。では、奥の部屋に進んでください。見送りの方は、ここまでとなっております」
俺は振り返り、手を振ると、カツミが近寄ってきた。
「行きますか?」
「行きます。もし、あの二人が不要になったら、売ってもいいですよ」
「そうですか。あの」
「はい?」
「連絡は取れますか?」
何だ。付いてきたいのか? この俺に。正直に申してみよ。
「イリアとセリスの件で、相談したい場合に困ります」
違うのか。煮るなり焼くなり、好きにしていいのに。
「好きに扱っていいですよ」
「そういう訳には。大事な預かり物です」
「連絡ね~」
受付のお姉さんが、そっとアドバイスしてくれた。
「アイテムに登録すれば、世界が違ってもメッセージの送受信が出来ますよ」
「アイテムって言ってもカツミは…」
受付のお姉さんはカツミに”お持ち帰り券”の説明を始めた。きっと呆れて帰ってしまうだろう。ところが、カツミはアイテム登録に承諾したようだ。メッセージだけなら問題ないと。
さて、これで準備完了だ。イリアとセリスは、俺との別れに泣いているだろう。しょうがない奴らだ。頭でも撫でてやろう。
さあ、カモーン。手のかかるお前達よ……………いない。
「イリアとセリスは、お昼に行きました」
何という仕打ち、恩知らず。
「じゃあ、カツミ。……お世話になりました」
「お世話をしました」
こうして俺は、次の世界を目指した。
なんだか、寂しいのは、気のせいだろう。
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