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#5 古代 セイコ編
#5.4 破滅の空 (1/3)
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ただの小娘が、実は雷神様でした。神様は、自らその正体は明かさないもの。悟られ、思われ、そして神になる。
こんな時に、こんな時だからこそ、殺伐とした雰囲気を変えるには、絶好の材料となったようだ。燃料投下である。
祀られるイリアをよそに、俺は木の上にある通路の脇から、池を眺めていた。もうすぐ日が暮れる。
神か神のような存在になった、イリアとセリス。そこへ行くと、特に何もない俺。その差は歴然である。この疎外感、この劣等感。これは何だろう? それとも、そんな二人を連れている俺がすごいのか? いやいや、それじゃあ、すごい車に乗ってる俺、スゲーと変わらない。俺も何か、”これ”というのが欲しい。しかし……俺は冒険に来たんじゃない、旅行に来たんだ。もう少しで、目的を忘れるところだった。
人(と言ってもエルフだが)が大勢いても、誰も俺には関心が無い。逆に俺も、ここの人達に興味がるわけじゃない。いや、そんなことを言いたいんじゃない。誰とも、何も繋がりがないから、俺はここで一人なんだ。それはそれで、当然なことだ。しかしねー、何だか寂しいじゃないか? 俺。
「(ユウキ。私はいつでも一緒ですよ)」
「すみません。忘れていました」
「(いいんですよ。なるべく出しゃばらないように、してましたから)」
「フフフ。俺ってバカだねー。イオナがいてくれるのに」
「(そうですね)」
「え? そうなんだ」
セイコが歩いて帰って来たのが見えた。てっきりまた、ドラゴンで、ドワーと帰ってくるものだと思っていただけに、拍子抜けだ。
帰ってきたのはいいが、セリスと一緒じゃないようだ。まだ、遊び呆けているのだろうか。
「セイコ! セリスは?」
「なんだ、お前か。私も探しているところだ」
「一緒じゃなかったのか?」
「お姉様はポチ丸様と、遠くまで行ってしまったからな」
「そのうちに帰ってくるだろう」
「日が暮れる。心配だ」
「迷子にでもなるのか?」
「ドランゴは、太陽が沈むと飛ばないんだ。暗いなか飛ぶのは危険だからな」
「それでか」
「だいたい、お前は何をしてたんだ? 少しはお姉様を……」
セイコが急に頭を抱えて座り込んだ。
「どうした? セイコ。お腹でも痛いのか?」
「ポチ丸様が怒ってる。それもすごく。それに……それに、とても悲しそうだ」
「ポチが怒ってる? セリスはどうした?」
「近くに……いるみたい……ああああああああ」
「どうした? 大丈夫か?」
「ポチ丸様の怒りが伝わってくる。それも自分のことじゃない。仲間……と……お姉様のことを……すごく……心配してる」
「セリス達は、今、どこにいる?」
「あっち」
「場所は分かるんだな。なら、ちょっと迎えに行ってくるか」
セイコの体が、小刻みに震えている。よっぽど、強い思いが伝わっているんだろう。
「場所はどこだ? 詳しく教えろ」
「お前が言ってどうする? こんなのは初めてだ。ポチ丸様がここまで怒るなんて」
「場所はどこだ!」
「街の外れだよ。でも、行くなら里長様に言って、相談しなくちゃ」
「言っても無駄だ。そう言ってたじゃないか……ん? ……セイコはいなかったか。まあいいや。じゃあ、行ってくる」
「なんで行くんだよ? 一人で。ただの従者のくせに」
「セリスは俺の家族……みたいなもんだ。家族が困ってたら助けに行くのは当たり前だ。じゃあな。早く行った方がいんだろうな」
「待ってよ。私も行く」
「大丈夫なのか?」
「私はもう、平気」
◇
こんな時に、こんな時だからこそ、殺伐とした雰囲気を変えるには、絶好の材料となったようだ。燃料投下である。
祀られるイリアをよそに、俺は木の上にある通路の脇から、池を眺めていた。もうすぐ日が暮れる。
神か神のような存在になった、イリアとセリス。そこへ行くと、特に何もない俺。その差は歴然である。この疎外感、この劣等感。これは何だろう? それとも、そんな二人を連れている俺がすごいのか? いやいや、それじゃあ、すごい車に乗ってる俺、スゲーと変わらない。俺も何か、”これ”というのが欲しい。しかし……俺は冒険に来たんじゃない、旅行に来たんだ。もう少しで、目的を忘れるところだった。
人(と言ってもエルフだが)が大勢いても、誰も俺には関心が無い。逆に俺も、ここの人達に興味がるわけじゃない。いや、そんなことを言いたいんじゃない。誰とも、何も繋がりがないから、俺はここで一人なんだ。それはそれで、当然なことだ。しかしねー、何だか寂しいじゃないか? 俺。
「(ユウキ。私はいつでも一緒ですよ)」
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「(いいんですよ。なるべく出しゃばらないように、してましたから)」
「フフフ。俺ってバカだねー。イオナがいてくれるのに」
「(そうですね)」
「え? そうなんだ」
セイコが歩いて帰って来たのが見えた。てっきりまた、ドラゴンで、ドワーと帰ってくるものだと思っていただけに、拍子抜けだ。
帰ってきたのはいいが、セリスと一緒じゃないようだ。まだ、遊び呆けているのだろうか。
「セイコ! セリスは?」
「なんだ、お前か。私も探しているところだ」
「一緒じゃなかったのか?」
「お姉様はポチ丸様と、遠くまで行ってしまったからな」
「そのうちに帰ってくるだろう」
「日が暮れる。心配だ」
「迷子にでもなるのか?」
「ドランゴは、太陽が沈むと飛ばないんだ。暗いなか飛ぶのは危険だからな」
「それでか」
「だいたい、お前は何をしてたんだ? 少しはお姉様を……」
セイコが急に頭を抱えて座り込んだ。
「どうした? セイコ。お腹でも痛いのか?」
「ポチ丸様が怒ってる。それもすごく。それに……それに、とても悲しそうだ」
「ポチが怒ってる? セリスはどうした?」
「近くに……いるみたい……ああああああああ」
「どうした? 大丈夫か?」
「ポチ丸様の怒りが伝わってくる。それも自分のことじゃない。仲間……と……お姉様のことを……すごく……心配してる」
「セリス達は、今、どこにいる?」
「あっち」
「場所は分かるんだな。なら、ちょっと迎えに行ってくるか」
セイコの体が、小刻みに震えている。よっぽど、強い思いが伝わっているんだろう。
「場所はどこだ? 詳しく教えろ」
「お前が言ってどうする? こんなのは初めてだ。ポチ丸様がここまで怒るなんて」
「場所はどこだ!」
「街の外れだよ。でも、行くなら里長様に言って、相談しなくちゃ」
「言っても無駄だ。そう言ってたじゃないか……ん? ……セイコはいなかったか。まあいいや。じゃあ、行ってくる」
「なんで行くんだよ? 一人で。ただの従者のくせに」
「セリスは俺の家族……みたいなもんだ。家族が困ってたら助けに行くのは当たり前だ。じゃあな。早く行った方がいんだろうな」
「待ってよ。私も行く」
「大丈夫なのか?」
「私はもう、平気」
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