12☆ワールド征服旅行記

Tro

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#5 古代 セイコ編

#5.4 破滅の空 (3/3)

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セイコがセリスを支え、瞬間移動で姿を消した。三人同時は無理だそうだ。俺はセイコが戻ってくるのを待った……が、戻ってこない。どうやら、セリスのことで頭が一杯一杯なんだろう。そうじゃなかったら、恨んでやる。

里まで、どの位掛かるんだろう?

「(10Km位ありますね)」
「そんなに!」

「(大丈夫です。私が案内しますから)」
「そうだけど」

「(星を見ながらユウキと歩くのも、楽しいですよ)」
「そうだね」

俺はイオナと一緒に、夜道の散歩を楽しんだ。



次の日、セリスは元気になっていた。恐るべし、エルフの里。

セリスのいる部屋で、久しぶりのような感じで、顔を合わせた俺達。俺は、自分にとっては居心地の悪いここを離れて、次の行き先を考えていた。

「次は、どこに行こうかな?」
「なんだ、ユウキ。ずっとここにいるんじゃないのか?」
「セリスやイリアと違って俺は、小間使さんだからな~」
「オレは、ここにいるぞ。ポチのこともあるしな」
「なら、私も残るわ」
「そうなの?」
「お前達はいいよな。神様に、……なんだっけ、兄弟か? 羨ましい限りだ」
「後から追いかけるから心配すんな、ユウキ」
「うん」

俺は、何かを堪えながら部屋を出た。泣いてなんかないもん。

セイコがブスッとした顔で歩いてくる。昨夜の置き去り事件は、シラを切るつもりのようだ。黙ったまま俺に、右手を差し出した。何だ? 握手でもしたいのか?

「ポチ丸様が、お前に渡せって」

セイコの手の平には、白い、骨の様なものがあった。それを受け取ると、また黙ってセリスのいる部屋に入ろうとする。

「セイコ。これは何だ?」
「見ての通りだ」

それだけ言って、部屋に入ってしまった。何て奴だ。今度会ったら、お仕置きだ。

◇◇

俺の足は自然とコンビニ向かっていた。このまま行ってしまっても、いいかもしれない。それらしいことは言ってあるし。

「ユウキ!」
その声はイリア! お前って奴は。

「どうした? イリア」
「行くの? ユウキ」
「たぶん」
「そう」
「それだけか?」
「うーん。セリスがね、元気にはなったけれど、一人に出来ないし」
「そうだよな」
「それとね、利用限度額? あれ、解除しておいたから」
「それって、自分も困るからだろう?」
「それも、あるかも」
「無駄遣いするなよ」

「するかもー」
イリアは逃げるように去っていった。


コンビニのドアは自動ドアだ。店内はエアコンがビンビンに効いている。どうなっているんだろう。

「シャッセー」
「旅行の件なんですけど」
「どうぞー」
「何かこう、初心者でも能力が使えるようになるような所ってないですか?」

「そっすねー、うーん、店長!……あ、僕か。
なら、”中世 魔法入門の街”っていうの、どうすか?」

魔法・入門。いい感じだー。

「そこなら、魔法が使えるようになる?」
「そっす」
「俺でも?」
「そっす」
「そこでお願いします」

「えっと、”お持ち帰り券”の利用はありますか?」
「そうだなー、うーんと、じゃあ、これで」

俺はセイコに貰った骨のようなものを出してみた。本当は、伝説の剣になるはずだったのに。

「おお! これは」
「知ってるの?」
「いえ、言ってみただけです」
「間際らしいな」
「しゃーす。他には」
「こんなもんかな」
「ありあしたー。じゃあ、奥の部屋に進むっす」
「ありがとう」

こうして俺は一人寂しく、いや二人で、次の新天地を目指した。
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