異世界転生者と始めるギルドづくり~稼げるギルド目指します~

フクロウ

文字の大きさ
105 / 128
第7章 コーヒーは世界を回すかもしれない

第105話 嫌な予感ほど的中するって言うけど、ホントやだよね

しおりを挟む
 エルサ邸を出たその足で、私たちはギルドセンターへと向かった。エルサパパに一筆したためてもらった手紙を携えて。エルサさんは、まだ話し足りないのか、屋敷に残ったけど。

「そう言えば、ランクが2に上がったことで事務員がもう一人増えたのですわね。あなたのギルドにとっては一石二鳥といったところかしら? 事務員も増えて、コーヒーの安全性を確かめてもらえる」

「……だといいんだけどね」

 横を歩きながらマリーは私の表情をうかがう。

「なにか含みがある言い方ですわね」

 そりゃあ、ね。最初に派遣された事務員はトーヴァだもの。今度はどんなくせのある人なのか──。

 頭に思い浮かべる。悪魔のチハヤと悪魔のトーヴァ……それにもう一人悪魔が加わったら。

 ダメだ。頭が痛くなりそう……。せめて、今度の事務員は悪魔じゃないことを祈ろう。

 神に祈りを捧げながら歩いていると、向こうから見慣れた顔が歩いてきた。

「おっと、サラ様奇遇ですね」

 奇遇じゃねぇーだろ。だいたい声が聞こえてるんだから私がどこにいるかわかるだろうに。

 ため息をつくと、ギルドセンターの真っ白な建物の前でチハヤと合流する。

「あれ、でも買い物した割にあんま物もってないね。チハヤのことだから張り切ってたくさん買い込んだんじゃないかと思ってたんだけど」

「ああ、空間魔法で収納しています。それでも入りきらなかったんですが」

 チハヤはこともなげに言うと、片手の紙袋を示してみせた。そうだよな、あんな便利魔法あればなんでも買えるわな。だが、頼むからギルドに収納できる分にしてくれよ……。

「さて、それでは迎えに行きましょうか?」

「迎えに行くって、誰を?」

 チハヤは悪戯っぽく微笑んだ。

「誰って、新しい事務員ですよ。コーヒーのお墨付きをもらわなければ」

 扉を開けて中へ入っていくチハヤの背中を見ながら、私は毒づいていた。

 やっぱり、話聞いてたんじゃねーか!!

「……サラ。あなた、いつもああやってからかわれているのね」

「うるさいな~。そうだよ! チハヤはいつもあんな感じだよっ!」

 マリーの呆れ声に反論しながら、ギルドへ入る。すでにチハヤは受付で話をしていた。少し頬を染めながら、チハヤをうっとりと見つめる受付嬢の様子から、やはりチハヤはイケメンなのだと改めてわかる。

 受付嬢は慌てて立ち上がると、そそくさと奥へ消えていった。

「チハヤ。話は聞いたの?」

「ええ、今呼んできてくださるそうです。それにしてもとても丁寧な対応でした。村の外から来るギルド員や観光客も多くなってくるでしょうから、ああいう対応が求められるかもしれませんね」

 丁寧なのはお前がイケメンだからだよ! と言ってやりたがったが、うちのトーヴァとのやり取りを思い出して言葉を呑み込む。イケメンはときに何の力も発揮しないことがある。

「トーヴァさんは、乱雑な方だと聞いていますわ。わたくしのギルドの事務員も心配していましたらから」

 お前が言うんかいっ! 否定できないけど!

「──トーヴァ先輩は素敵な方です。今の発言、訂正してください」

 私たちの会話を否定するように、凛とした鈴の音のような声が遠くから聞こえてきた。受付の奥の扉から現れたのは、紫髪の女の子。私と同じかちょっと上くらいの真面目そうな感じの子だった。

「なんですって!? いきなり、発言を訂正しろだなんて、失礼ですわ!」

「失礼なのは、あなたの方です。どこの馬の骨か知りませんが、トーヴァ先輩の悪口は見過ごせません!」

「う、馬の骨!? 言うに事欠いて馬の骨ですって!?」

 突然マリーと一触即発になる。後ろでさっきの受付嬢が慌てふためいて止めようとしているけど、全く聞く耳を持っていない。

 たぶん、あの子が第2の事務員なんだろうけど……いいぞ~もっとやれ~!!

「……サラ様、さすがに止めた方がいいのではないですか? ここで騒ぎを起こすのも面倒です」

 チハヤはまた私の考えを見透かして……まあ、わかったよ。トーヴァの関係とか、マリーのことを知らないとか、いろいろ気になることはあるけど、それはおいておこう。

 私は、今にも剣を抜きそうな怒りで髪が逆立っているマリーの肩にポンと手を置いた。

「やめときなってマリー。悪口を言っていたのは確かだし、失礼な言動の一つや二つくらいは許してやるのが貴族の務めだろ?」

「……ぐっ。ま、まあそうですわね」

 マリーは肩の力を抜いた。そしたら話を──。

「そういうあなたも! トーヴァ先輩のことをかばいませんでしたね! 同じことを思っていたということです! 許せません! 謝罪してください!」

「えっ……?」

 怒りの矛先が私に向いた。あっ、これはさらにややこしいことにな──った。

「サラ様を侮辱することは私が許しません」

 チハヤがマジモードになっちまってる!

「なんですか、あなたは!」

「私は、サラ様の執事、チハヤです」

「執事? 私はトーヴァ先輩の後輩! リリアです!」

 なんで今、自己紹介した!? あーとりあえず、何か起こる前に止めないと!

 新しい事務員は、別の意味で大変かもしれない!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...