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SS-12.お買い物デート1
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良い天気に恵まれたウッドストック領。
自然に腕を組み仲睦まじく散策する二人。
道行く人々はお似合いの二人にうっとりと視線を向けてしまう。
「なんか不思議……憧れの本田先輩と腕を組んでデートしてるなんて。……嬉しくて夢みたいです」
「お、俺も嬉しいよ。絵美里いつも可愛くてきれいだけど……今日は特別に凄く可愛い。服もとても似合ってるね」
「っ!?……良かった♡」
今日の絵美里は襟のところにワンポイントのあるクリーム色のトップスにシックな色合いのロングスカート。
可愛いイヤリングと控えめなネックレスが彼女の美しさを引き立てる。
少し派手な彼女の魅力を控えめにすることで可愛らしさがメチャクチャ引き立っている。
凄く可愛い。
「はあ。絵美里可愛い。……絵美里は服のセンスもすごくいいんだね。なんか申し訳なくなっちゃうよ。……俺そういうの苦手で」
「ふふっ、先輩もとっても格好いいですよ?それに…」
そう言って絵美里は俊則の腕を強く抱き頭を肩に預ける。
「とってもいい匂い♡……香水つけてくれたんですね」
実はこのデートの少し前、絵美里が俺に香水をプレゼントしてくれていた。
彼女の柔らかさが腕に伝わり、俺は思わず顔を赤らめてしまう。
優しくも心震わす彼女の香りに胸がときめく。
「う、うん。俺も気に入っているんだ。…絵美里の方がとってもいい匂いだけど」
「っ!?もう。……恥ずかしいけど……嬉しい」
ああ、やばい。
絵美里はいつでも可愛いし奇麗だ。
流石は主人公なのだろう。
目を引く美しさに素晴らしいプロポーション。
でも何よりも彼女が美しいのはその心だ。
幾つもの酷い目に合ってきた彼女。
でも歯を食いしばり前を向く心の強さが彼女の美しさを引き立てていた。
「ねえ絵美里?」
「はい?」
「……君は凄いね」
「……えっ」
立ち止まり俺は改めて彼女の瞳を見つめた。
「もう仕事は慣れた?」
「は、はい。……舞奈さんも侯爵様も、皆よくしてくれます。……どうしたんですか?急に」
「うん?すごく素敵だなって。いつも思うけど、なかなかそういう事、言う機会無くてさ。俺の尊敬する頑張る後輩は、異世界にきても変わらないんだなって……君の努力、本当に尊敬する」
ズルい。
先輩はいつもそうだ。
いつでも私が欲しい言葉をくれる。
涙を我慢できなくなる。
「……もう。泣いちゃいますよ?」
「うあっ、ご、ごめん……ちょ、ちょっとそこのお店で休もうか」
最近オープンしたばかりのお洒落なカフェ。
当然だが舞奈のプロデュースだ。
そこに二人は入っていった。
「いらっしゃいませ。今メニューをお持ちしますね」
案内され窓際の席に座る二人。
水とメニューを持ってきた店員さんがにこやかに対応してくれる。
店内の装飾は可愛らしさを出しつつも落ち着いた色合いでセンスの良さがうかがえる。
「キレイなお店だね」
「うん。すごくいい感じ……舞奈さんの提案ですよね……えっと、先輩?」
「ん?」
「ちょっといいですか」
絵美里がなぜかそわそわしている。
…あ、そ、そういう事か。
「うん。大丈夫だよ。俺はメニュー選んでるから」
「は、はい、ちょっと失礼しますね」
そう言いポーチ片手に席を立つ絵美里。
うん。
女性は大変だ。
きっとお化粧とか直すんだろうな。
そんなことを考え俺はメニューに集中した。
※※※※※
「ふう」
私は一人、洗面所へと来ていた。
さっき涙が出ちゃったから、お化粧崩れちゃったか確認がしたかった。
(先輩……あんまり女の子とデートしたことないって言っていたけど……すごく気を使ってくれる。……本当に優しい)
鏡に映る自分の顔。
取り敢えずお化粧は問題なかった。
そしてわずかな時間だけど二人で歩いたことを思いかえす。
彼は常に私の歩く速さに合わせてくれていた。
そして必ず道路の内側に私を守るようにいてくれる。
さりげなく彼は気を使ってくれているんだ。
何より私を思いやってくれる。
顔が上気し、ため息が出てしまう。
改めてまじまじと鏡を見つめてみる。
日本に居た時とは全然似ていないけど……
確かにとても可愛い顔をしている。
大きな少し垂れた目。
プルプルした艶やかな唇。
それにすごく胸も大きい。
腰がほっそりとしまっているから余計に目立ってしまう。
「凄いね……こんなかわいい子地球じゃあんまりいないよね」
私は転生してから多くの男から求愛を受けていた。
中にはあからさまに胸ばかり見る人も居たけど……
これはしょうがないかもしれない。
(でも…先輩……本田先輩からはそういういやらしい視線を感じたことがない。彼は、いつでも……私の心を見てくれている。…もう。本当に心の奇麗な人だ)
舞奈さんから聞いた。
本田先輩の事情。
お父さんが騙され亡くなり、沢山の借金に心の弱いお母さんの面倒を見ながら必死に働いていた。
さらには親友も亡くなってしまっていた。
私の境遇もたいがいだったけど……
彼もあり得ないくらい酷い目に合っていたんだ。
そしてそんな彼を支えていた舞奈さん。
思わずため息が出てしまう。
「勝てない……よね」
本田先輩は今舞奈さんと同じくらい私とルルを愛してくれている。
在りえないくらいに幸せだ。
心の中でズルい私が声を上げる。
(このまま二人で逃げちゃいな)
私は大きくかぶりを振る。
本田先輩の事、心の底から愛している。
でも。
舞奈さんの事も本当に大好きなんだ。
今のこの環境。
きっとおかしいのだろう。
でも私は今の生活が愛おしくてたまらないのだ。
「よし」
私は大きく息を吐き、愛おしい本田先輩のところへと戻っていった。
※※※※※
私の姿が彼の視界に入る。
途端にやさしい色を浮かべる彼の瞳。
ああ。
この人は本当に……
私は今。
あり得ないくらい満たされていた。
自然に腕を組み仲睦まじく散策する二人。
道行く人々はお似合いの二人にうっとりと視線を向けてしまう。
「なんか不思議……憧れの本田先輩と腕を組んでデートしてるなんて。……嬉しくて夢みたいです」
「お、俺も嬉しいよ。絵美里いつも可愛くてきれいだけど……今日は特別に凄く可愛い。服もとても似合ってるね」
「っ!?……良かった♡」
今日の絵美里は襟のところにワンポイントのあるクリーム色のトップスにシックな色合いのロングスカート。
可愛いイヤリングと控えめなネックレスが彼女の美しさを引き立てる。
少し派手な彼女の魅力を控えめにすることで可愛らしさがメチャクチャ引き立っている。
凄く可愛い。
「はあ。絵美里可愛い。……絵美里は服のセンスもすごくいいんだね。なんか申し訳なくなっちゃうよ。……俺そういうの苦手で」
「ふふっ、先輩もとっても格好いいですよ?それに…」
そう言って絵美里は俊則の腕を強く抱き頭を肩に預ける。
「とってもいい匂い♡……香水つけてくれたんですね」
実はこのデートの少し前、絵美里が俺に香水をプレゼントしてくれていた。
彼女の柔らかさが腕に伝わり、俺は思わず顔を赤らめてしまう。
優しくも心震わす彼女の香りに胸がときめく。
「う、うん。俺も気に入っているんだ。…絵美里の方がとってもいい匂いだけど」
「っ!?もう。……恥ずかしいけど……嬉しい」
ああ、やばい。
絵美里はいつでも可愛いし奇麗だ。
流石は主人公なのだろう。
目を引く美しさに素晴らしいプロポーション。
でも何よりも彼女が美しいのはその心だ。
幾つもの酷い目に合ってきた彼女。
でも歯を食いしばり前を向く心の強さが彼女の美しさを引き立てていた。
「ねえ絵美里?」
「はい?」
「……君は凄いね」
「……えっ」
立ち止まり俺は改めて彼女の瞳を見つめた。
「もう仕事は慣れた?」
「は、はい。……舞奈さんも侯爵様も、皆よくしてくれます。……どうしたんですか?急に」
「うん?すごく素敵だなって。いつも思うけど、なかなかそういう事、言う機会無くてさ。俺の尊敬する頑張る後輩は、異世界にきても変わらないんだなって……君の努力、本当に尊敬する」
ズルい。
先輩はいつもそうだ。
いつでも私が欲しい言葉をくれる。
涙を我慢できなくなる。
「……もう。泣いちゃいますよ?」
「うあっ、ご、ごめん……ちょ、ちょっとそこのお店で休もうか」
最近オープンしたばかりのお洒落なカフェ。
当然だが舞奈のプロデュースだ。
そこに二人は入っていった。
「いらっしゃいませ。今メニューをお持ちしますね」
案内され窓際の席に座る二人。
水とメニューを持ってきた店員さんがにこやかに対応してくれる。
店内の装飾は可愛らしさを出しつつも落ち着いた色合いでセンスの良さがうかがえる。
「キレイなお店だね」
「うん。すごくいい感じ……舞奈さんの提案ですよね……えっと、先輩?」
「ん?」
「ちょっといいですか」
絵美里がなぜかそわそわしている。
…あ、そ、そういう事か。
「うん。大丈夫だよ。俺はメニュー選んでるから」
「は、はい、ちょっと失礼しますね」
そう言いポーチ片手に席を立つ絵美里。
うん。
女性は大変だ。
きっとお化粧とか直すんだろうな。
そんなことを考え俺はメニューに集中した。
※※※※※
「ふう」
私は一人、洗面所へと来ていた。
さっき涙が出ちゃったから、お化粧崩れちゃったか確認がしたかった。
(先輩……あんまり女の子とデートしたことないって言っていたけど……すごく気を使ってくれる。……本当に優しい)
鏡に映る自分の顔。
取り敢えずお化粧は問題なかった。
そしてわずかな時間だけど二人で歩いたことを思いかえす。
彼は常に私の歩く速さに合わせてくれていた。
そして必ず道路の内側に私を守るようにいてくれる。
さりげなく彼は気を使ってくれているんだ。
何より私を思いやってくれる。
顔が上気し、ため息が出てしまう。
改めてまじまじと鏡を見つめてみる。
日本に居た時とは全然似ていないけど……
確かにとても可愛い顔をしている。
大きな少し垂れた目。
プルプルした艶やかな唇。
それにすごく胸も大きい。
腰がほっそりとしまっているから余計に目立ってしまう。
「凄いね……こんなかわいい子地球じゃあんまりいないよね」
私は転生してから多くの男から求愛を受けていた。
中にはあからさまに胸ばかり見る人も居たけど……
これはしょうがないかもしれない。
(でも…先輩……本田先輩からはそういういやらしい視線を感じたことがない。彼は、いつでも……私の心を見てくれている。…もう。本当に心の奇麗な人だ)
舞奈さんから聞いた。
本田先輩の事情。
お父さんが騙され亡くなり、沢山の借金に心の弱いお母さんの面倒を見ながら必死に働いていた。
さらには親友も亡くなってしまっていた。
私の境遇もたいがいだったけど……
彼もあり得ないくらい酷い目に合っていたんだ。
そしてそんな彼を支えていた舞奈さん。
思わずため息が出てしまう。
「勝てない……よね」
本田先輩は今舞奈さんと同じくらい私とルルを愛してくれている。
在りえないくらいに幸せだ。
心の中でズルい私が声を上げる。
(このまま二人で逃げちゃいな)
私は大きくかぶりを振る。
本田先輩の事、心の底から愛している。
でも。
舞奈さんの事も本当に大好きなんだ。
今のこの環境。
きっとおかしいのだろう。
でも私は今の生活が愛おしくてたまらないのだ。
「よし」
私は大きく息を吐き、愛おしい本田先輩のところへと戻っていった。
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私の姿が彼の視界に入る。
途端にやさしい色を浮かべる彼の瞳。
ああ。
この人は本当に……
私は今。
あり得ないくらい満たされていた。
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