神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

文字の大きさ
139 / 267

第131話 アルディの苦悩の日々と帝国に忍び寄る影

しおりを挟む
あてがわれた個室。
まだ夜も明けぬ薄暗いアルディの部屋。
彼は一人なぜか立ち尽くし、苦虫をかみつぶしたような表情を張り付けていた。

「ぐふっ、ぐふっ、ぐへへへ。…まさにパラダイス。尊い!!ちいちゃんは最高でござる!!」
「嬉しいです♡ご主人様♡」

何故かアルディのベッドの上、幼女であるちいちゃんの膝にでかい頭を乗せ、だらしなく顔を緩ませている琢磨が耳かきをされながらにやけていた。

「んん♡…もっと奥…先っちょが届きそう?」
「おうっ?!た、たまらん。はあはあはあ♡いいでござるよ?グイっと、ぐぐぐいっと!!」
「えー。こわーい♡……こ、壊れちゃう……ん♡…ちょっと触った?」
「ひぐうっ?!こ、この伝わる刺激……ハアハアハアハア、も、もう辛抱溜まらんでござる」
「あんっ♡動いちゃダメ♡…痛くなっちゃう♡」

耳かきをしているだけなのだが?
違うように聞こえる人はいませんよね?………コホン。

取り敢えずアルディは耳をふさぎ視界に映さないようにしていた。

「まったく。なんだこの拷問じみた悍ましい時間は……」

つぶやきうなだれるアルディ。
勿論原因はあの時の召喚魔法だった。



※※※※※


ジパングの民を守るために多くの幼女を召還していたアルディ。
大方おおかた救助を終え、彼女たちを戻そうと魔力で構築した呪印を切る。

美緒のバフでかなり魔力は回復したものの、限界まで使用した魔力。
さらには禁呪に近いものを使用したことでアルディの精神的な疲弊は想像を超えていた。

「……やばい。気を抜くと意識が飛びそうだ。…早く戻してギルドに帰ろう」

呪印に魔力を込めるアルディ。
100人の幼女が可愛く手を振りながら、その存在を薄くさせていく。

「「「「「さよなら」」」」」
「「「ばいばい」」」

アルディとて元は琢磨。
彼は限定し、100人の幼女に呪印を適応させていた。

確実に戻してあげるために。

可愛らしい幼女100人、思っていたより愛着が沸いていたことにアルディは驚いていた。

「うん。ありがとうね皆。もう会えないと思うけど…元気でね」
「「「「うん♡」」」」

その様子に癒されながらも、アルディは一つ最大の過ちを犯していた。
ほぼ100人が消え自身の魔力が霧散した時、背筋に嫌な気配を拾うアルディ。
恐る恐る振り向いた。

……そこには。

「うん?拙者は消えぬでござるか?おうっ、ちいちゃん。ぐふっ、ぐふっ、ぐふふふ」
「ご主人様♡」

何故か琢磨ともう一人の幼女ちいちゃんが佇んでいた。
瞬間顔を青ざめさせるアルディ。
余りの疲弊に、琢磨ともう一人の幼女を範囲に入れることを忘れていたのだ。

「……マジか?!…くうっ?!…ま、魔力が…ね、練れない?…う、嘘だ――――――!!!!??」

今回の召喚はほぼ禁呪。
つまり通常の範疇を大きく超えていた。

現実として、アルディが単体で構築できる範囲を超えている。

当然召喚から戻すまではセットで構築していたのだが…
しかし最後の最後、アルディはあまりの疲弊に範囲選択を自身の確認した範囲、つまり意識的に見なかった琢磨とちいちゃんを除外してしまっていた。

唯一の救いは逆に魔力が足りず、時間の限定を組み込んでいた事だ。
つまり1日2時間。
琢磨とちいちゃんはそれしか顕現けんげん出来ない。
深夜にそれを設定すればどうにか他人に気づかれる事はないだろう。

しかしその滞在期間。
アルディはそこまでの確認ができていない。

何しろ媒介に使用したものは美緒の錬成した魔刻石。
恐ろしい想像がアルディを包み込む。

(不味い…美緒の錬成?…たぶん僕の数十倍の魔力……ううっ、コイツ等いつ消えるんだ?)

こうしてアルディと琢磨、そしてちいちゃんとの奇妙な共同生活が始まった。


※※※※※


暫く悍ましい時間を耐え、徐々に体を薄くさせる琢磨とちいちゃん。
設定した時間が終わりに近づき、アルディは大きく安堵の息を吐く。

「ぐふっ、ぐふ。さらばでござるよ?アルディ殿」
「ばいばーい♡またね!」
「…………はあ」

これでもうこの状況、すでに8日目を迎えようとしていた。
まだまだ消える気配のない二人。
こうなったら美緒に相談したほうが良いかもしれない。

「…やっぱり美緒、チートすぎるでしょ」

もうすぐ夜が明ける。
睡眠不足のアルディはもう一度ベッドにもぐりこんだ。


※※※※※


神聖ルギアナード帝国西方の地アリューシャン列島。
そこに新設された物見やぐらでハインバッハは上空を見上げていた。

「2つ…いや、4つ?…くそっ、だんだん増えてきている。おいっ、陛下へ報告をしておけ」
「はっ」

新年を迎え帝国歴26年の初頭。
昨年末から数回目撃されていたガザルト王国の新たな航空戦力、それが年明けとともに頻繁に帝国の領土上空で確認されていた。

勿論ガザルト王国からは通達は来ている。
何でも新造船の運用試験だそうだが…

それにしてもあまりに大胆にその姿をさらし続けていた。

「今確認したものを含め最低でも20機ほどが確認されている。我が帝国の航空戦力は50機。…おそらくガザルト本国ではこの数倍は開発済みなのだろうな」

苦虫をかみつぶした顔をし、つぶやくハインバッハ。
美緒たちのギルドとの交流の中、神聖ルギアナード帝国の技術分野は格段の進化を遂げた。
主な功績としては上空まで届く結界の構築。

これによりあからさまな国土内への侵入は防ぐ事が出来ていた。
だがそうは言え、結界の維持には多くの魔力が必要になる。
そのため帝国の魔力師団、3つあるうちの一つは結界の維持がその仕事になってしまっていた。

(強すぎる力…ままならぬものだな…)

美緒ほどのチートならきっと彼女一人でこの帝国全土を包む結界の維持、問題はないのだろう。
だが通常の範疇で考えれば、いわゆる魔法に特化した人材、常にその10名ほどの全魔力を必要としていた。

(ああ、美緒さま……会いたい…あのご尊顔をこの目に焼き付けたい…そして…)

年末からこっち、ハインバッハはここアリューシャン列島にほぼ在中、新年を祝う式典にすら参加していなかった。

募る想い。

勿論彼だって大国の皇子。
幾人かは皇妃候補がいるし、当然夜だってともに過ごしていた。

美しく聡明な皇妃候補の女性たち。
不満なぞない。

だが。

ハインバッハはどうしても美緒を求めてしまう。
悶々とし1人百面相をしていた彼に報告が入る。

それはまさにこの世界を動かすきっかけとなる一報だった。

「で、殿下、至急やぐらへお越しください。緊急の知らせ、陛下からです」
「っ!?緊急な知らせ?陛下自らだと?」
「はっ」

慌ててやぐらへと走るハインバッハ。
報告に来た近衛兵を置き去りにするその速さ、すでにハインバッハも人外に近づきつつあった。

「陛下?何事です?!」
『…うむ。ハインよ、良いか?よく聞け。…スタンピードだ。…しかも今まで見たことのない魔物が多く溢れた。現在シュレイヒが部隊を率いて対応に当たってはいるが…何しろ数が多すぎる。どうにか美緒の結界が防いでいるが…おそらく持つまい。魔力の供給が足りん。…一応リッドバレーには救援の要請はしたところだ。…戻ってこられるか?』

神聖ルギアナード帝国の国土は広大だ。
何しろ多くの国を併合したのだ。

今ハインバッハの居るアリューシャン列島は王都から1000kmくらい離れている。

「陛下?私は今アリューシャン列島です。…どんなに急いでも、それこそ我が帝国の最新鋭飛空艇でも半日以上かかってしまう。間に合うのですか?」

至急戻れとの通達。
しかし現実として転移の使える人材のいない今その距離はまさに絶望であった。

『…ハイン?今あなたの位置、確認できました。…準備してくださいますか?私が迎えに行きますよ?』
「っ!?み、美緒さま?…おおっ、何と麗しき声…ええ、是非っ、今すぐにでも行けます!!」

ランルガンとの戦いの翌日である今日。
美緒はすでに皇帝の懇願により、神聖ルギアナード帝国の居城へと赴いていた。

『わかりました。では行きます』

瞬間ハインバッハのすぐ近くに在り得ないような魔力が噴き出す。
そして現れる愛おしい人。

思わず跪くハインバッハ。

「…お久しぶりですハイン。……ふふっ、しっかり鍛えたのですね?嬉しいです♡」
「ああっ、美緒さま……なんとお美しい…」

久しぶりにまみえる美緒にハインバッハは胸が熱くなる。
今日の美緒は可愛らしいブラウスに膝まであるフレアスカート。

美しい彼女を引き立てるコーデにハインバッハの顔が真っ赤に染まる。
そして広がる戦場とは思えぬ心ひく女性の香り。

「コホン。それではまいりましょうか。ハイン、腕に触れても?」
「っ!?は、はい」

ハインバッハの腕にそっと触れる美緒。
思わず思いきり抱き締めたい衝動がハインバッハに突き抜ける。

「…もう。だめですよ?…今はそんな場合じゃありませんから」
「う、うむ。……顔に出ていたのだろうか?」
「う、うん。…もう。あなたはカッコいいんだから…そんな顔、反則です♡」

大国ルギアナード帝国。
その第一皇子。

まごう事なき超絶イケメンだ。
いくら多くの美男子がいるギルドに居ようと基本美緒は男性には慣れていない。

正直二人きりでいる今、かつての美緒なら卒倒しているだろう。
しかも遠慮なく向けられる自分を思う男性の欲情と憧れの熱い瞳。

実は今もすでに私は心臓が激しく脈を打っていた。

(もう。本当にかっこいいのよね。ハイン。…心臓に悪い)

現場に残る多くの兵士に指示を出したハインバッハと美緒。
程なく皇帝の待つ皇居へと転移していった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】 逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します! 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【書籍第3巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【2024年10月23日コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...