神意再誕~ゲームマスターの少女は原初で微笑む~※旧『可愛くて最強?!知識チートの黒髪黒目の少女はゲーム世界に転移する?!』

たらふくごん

文字の大きさ
209 / 267

第199話 男性の方が強い?ほう?面白い事を言う

しおりを挟む
新たに美緒のギルドに加わったレストールとカナリナ、ダグマにロミューノ。
一応ヤマイサーク専属の護衛ということにはなっているが。

それ自体は『ここにいる理由』のようなものだった。

実際既に重要人物となったヤマイサークには、ファルカンはじめ数人のザッカート盗賊団の猛者がその役目についていた。

何より周りにいる者は非戦闘員を除き全員が遥か格上。
あまつさえ、アリアの方が強い状況だ。

あの決意の夜から数日が経過し。
今日も4人は全員が鍛錬すべく、修練場に向かっていた。

「なあ。鍛錬も良いけどさ。魔物とかと戦わないと経験値は得られないんじゃなかったっけ?」
「うん?ああ。そうだな。でも俺達、どうにも効率が悪いらしいぞ?」
「…効率?」

カナリナが首を傾げ、今発言したレストールに視線を投げた。

「どうにも俺たちは技術と言うか練度が低いらしいんだ。レベルではない、いわゆる熟練度?理解はできなかったけど…言っている事は何となくわかった。…俺達ってさ、感情でかなり力変わると思わねえ?」

彼等は若い。

レストールとダグマが17歳で、カナリナはまだ16歳。
一番年長のロミューノが18歳だ。

だからレストールの言っていること、理解が出来てしまう。
危機の時など、感情が高ぶったとき彼らはとんでもない力を出すことが良くあった。

「…だから鍛錬、なんだね?」
「ああ。俺達って今レベル50~60くらいじゃん?ついこの前来たっていうナナたちのパーティーメンバー、えっとルノークとゴデッサ、それからラミンダ。…実際俺達とそんなにレベル変わらないんだけどさ。…全く勝てる気しないだろ?」

ナナのパーティー『ブルーデビル』
同じ冒険者でランク自体は大きく違うものの、個々人のレベルに大差はない。

もちろんナナは別格だけど、ルノークたちはそこまでの化け物ではない。

「…無理。絶対に勝てない」

当然ここ数日の修練場で彼らの鍛錬だって見ている。
その時の動きや魔力の流れ。

洗練されたそれは彼らのはるか高みにあった。

「だからさ。もちろん魔物とも戦ってレベルだってあげるさ。でもまずは鍛錬して、安定した力を身に着けなくちゃだめだ。そうじゃなくちゃ……みんなに迷惑をかけちまう」

思わず立ち止まり、唇をかみしめる4人。
つい先日だって、助けられなければ間違いなく死んでいた。

「たしかにな。大体俺たちは冒険者だったからな。金もなかったしいつでもクエストばっかりだったしな。…冒険者ギルドの初期研修、お前ら受けた?」
「…受けてない」
「俺も」

「ははっ、そう言う事だ…それにここにはいいお手本がたくさんいるんだ…ほら」

気を取り直し歩き始めた4人。
到着した修練場。
そこにはすでに10名近いギルドの猛者たちが鍛錬に励んでいた。

「ふう。…ん?よう。お前たちも鍛錬か」

自分より数倍はありそうな岩石を下ろし、額から滝のような汗を流しているラムダスが声をかけてきた。
彼もまた、遥か格上だ。

「おはよう、ラムダス。うん。俺たちまだ全然弱っちいからさ。…せめてカナリナだけでも守れるくらいには力増したいんだ」

「ひうっ?!レ、レスト?…そ、それって…」

突然のレストールの『自分を守ってやりたい』発言。
カナリナは真っ赤に顔を染めてしまう。

「あん?だってお前女じゃん。女を守るのは男の仕事だろ?どうしたって女は男より弱いんだからさ」

きっと無意識の発言なのだろう。
そのレストールの言葉、それを聞いた皆を激しい悪寒が包み込む。

「ほう?面白い事を宣(のたま)うのう、小僧。…男の方が女より強い?ふふふ。まったくおろかじゃな」
「ひぐっ?!い、いえ、そ、そんなつもりじゃ…」
「ふむ。それでは強い男と言うもの…見せてみるがよいぞ?…かかってこい」

超絶者マキュベリア。
とんでもない魔力を纏い、修練場に現れた。

レストールの全身から冷や汗が噴き出す。
思わず言い訳の様のものを口にするが既に時遅し。
気付けば修練場の中央で何故か対峙していた。

刹那。
レストールはとんでもない後悔に包まれた。
そして全身を襲う凄まじい痛み。

すでに彼は涙目だった。

(勝てるわけない!!…ていうかそもそもの存在自体が違う?!…)

『指導』と言う名の蹂躙劇。
レストールは結構本気で生まれてきたことを後悔していた。


※※※※※


実はマキュベリア、先のザナンクの件で自身を見つめ直していたところだった。

彼女は強い。
それは間違いない。

しかし格下であるマールデルダをはじめ、このギルドには自分に届くものが間違いなく存在していた。

(ふむ。たまにはあやつらの鍛錬、見学でもしてみるか)

何の気なく訪れた修練場。
まだまだ弱く、しかしとんでもない素質を持ったレストールの何気ない一言。

聞き流すには、今の彼女の気持ちが許せなかった。

つい先日経験したこと。
それが起因していたからだ。

正直幾つもある平行世界、他のルートについて彼女たちは認識が出来ない。

しかし悪魔のとんでもない権能に触れ、マキュベリアはザナンクに凌辱されつくしたルート、それを完全に自身の脳裏に焼き付けていた。
当然より強くなるために、だ。

まさに今レストールが言った言葉。
実はそのルートの時ザナンクが同じことを言っていたのだ。

『てめえは確かに強ええ。だが女だ。…女は男にはかなわねえんだよ。お前は俺のおもちゃだ。ひゃはははははははは!!!!』

悍ましい。
そしてはらわたが煮えくり返るような激しい怒り。

しかし残念ながらあのルートのマキュベリアはザナンクに手も足も出なかった。

(強くなりたい)

絶対者の、生まれて初めての本気の渇望。
それは彼女の能力を覚醒させる。

美緒を穢され、あり得ない怒りにより到達した新たな称号『アンガーアパルソー』憤怒の使徒。

そして深く認識し焼き付けたことで、あり得ない『力への渇望』と相まって今彼女は壁を越えさらなる高みに到達していた。

そのレベル、なんと397。
既にナナを超え、まさに最強に近づきつつあった。


※※※※※


「…ふん。強さを求めるその姿勢。それは認めてやろう。じゃがな、お前一度美緒に言って同期してもらえ。…このとんでもないギルド、上位5名はすべからく女性じゃ」

「……う…うう」

「ふん。口もきけぬか。まあわらわも大人げなかった。じゃが今日のこの経験、貴様の糧になろうよ?精進するのだな」

そう言い姿を消すマキュベリア。
ようやく修練場を包む、息もできないような魔力が霧散し、皆が大きく息を吐きだした。

「うあ、レ、レスト…大丈夫?」

目の前でまるで物のように吹き飛ばされ、致命傷にならないぎりぎりで痛めつけられたレストール。

すでに虫の息で話すこともままならない状況に、何故かカナリナは涙が浮かんできてしまっていた。

分かっていた事だ。
自分たちはこの中で一番弱い。

だけど。

改めて突き付けられた現実、心が折れそうだった。

そんなカナリナをいきなり温かいものが包み込んだ。

「っ!?えっ?…マルレット…さん?」
「マルレット、だよ?もう仲間でしょ?…大丈夫だよ。みんなは絶対に強くなる。ここに来たのが皆よりちょっと遅かっただけ」
「…そう、かな」

そして今度は強く抱きしめてくれるマルレット。
その優しいしぐさと温かさに、今度は違う涙が止まらなくなっていく。

「泣いていいんだよ?だって私たち女の子でしょ?女の子はね、泣いて強くなるの。だからあなたは昨日のあなたより絶対に強いんだから」

カナリナとダグマ、そしてロミューノは孤児だ。
だから正直他人の優しさ、いまいちよくわかっていなかった。

でも。

マルレットの真直ぐな自分を想ってくれる気持ち。
カナリナは自分の心の壁が、音を立てて崩れ行くのを認識していたんだ。

「…うん。…ありがとう、マルレット。…ねえ?」
「うん?」
「…私に魔法、教えてくれる?」
「ふふっ。うん。任せて!…確かに同じレベルであれば、男性の方が強いかもしれない。でもね、女の子は絶対に好きな人、守り切る力を得られるの。だから頑張ろ!」

超絶者の集う美緒のギルド。
でも全員が初めから超絶者だったわけではない。

だからこそ、皆が上を目指す。

何よりも一番信望し守りたい美緒。
彼女はあり得ない高みで一人、覚悟を持って戦っているのだから。


いずれ伝説になるギルド。

今日もまた鍛錬に励む皆の闘志に包まれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】 逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します! 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【書籍第3巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【2024年10月23日コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

処理中です...