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第232話 悪魔を滅ぼす必要性
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聖域に転移した3人。
3人はソファーに座り、お互いに視線を向ける。
「…美緒…ここはギルドの中なのか?」
「うん。ここはね、この世界を滅ぼそうとしている虚無神、そしてそれに乗り移っている鳳乙那、そいつ等から隠蔽するために作られた施設なの。…本来入れる人は決まっているのだけれど…今回は特別だね」
美緒の言葉。
すでに数回にわたる美緒の同期で一応理解と言うか知っている事実ではあるものの。
ロナンとファルカンは今ここにいる重要性に思わず背筋が伸びてしまっていた。
「…それくらい重要なことだと私は思うの。万が一でもファルカンの中と言うか…繋がっている過去の英雄、グラコシニスの想い…邪魔はさせてはならない。そう思う」
美緒はゲームマスターで。
一応この星開闢以来のことは知識として備わっている状況だ。
しかしそんな彼女に知らされていない過去の英雄グラコシニス。
もちろん名前は知っている。
しかしそれは、まさに過去の物語のような状況。
つまり実感が伴っていなかった。
考えられる事。
恐らく何者かによる隠蔽。
しかも確実に相当な力を持つもの。
美緒は確信していた。
きっとこの今回の物事。
確実に根幹につながるものだと。
「…ふう。分かったよ美緒。それでファルカン、あなたを見ればいいんだね。深いところまで見るけど…覚悟はいいかな?」
「お、おう…頼む。…何しろ俺もすでに過去の自分の事、思い出せなくなってきているんだ。…正直恐ろしくなってきているところだ。…な、なあロナン」
「うん?」
覚悟を決めた瞳のファルカン。
しかし何故か顔を赤らめつつもロナンに請うような瞳を向ける。
「そ、その…覗ける物は取捨選択できるんだよな?…俺ははっきり言って…女が好きだ…数多くの女性と…関係を持っていた過去がある…そして…」
そう言いつつちらと美緒に視線を向けるファルカン。
「…正直美緒に対してもそういう劣情の思いはあるんだ…可能なら見ないでほしいのだが…」
思わず大きくため息をつくロナン。
美緒は真っ赤だが?
「…もちろんだよ。…それにさ…ファルカンだけじゃないよ?…ほとんどのギルドの男性は美緒に…その…色々な想いを持っている…それはむしろ恥ずかしい事じゃないから」
「うえ?!ロ、ロナン?…そ、それって…」
「あー。うん。美緒はさ、少し理解した方がいいと思うけど…まあ。…コホン。じゃあ行くよ?…力抜いてね……っ!?」
「お、おう…ひぐうっ?!!」
「え?…キ、キャアアアアアアーーー?!!」
刹那―――
3人はまるで真っ暗な大きな穴の中に落とされたような感覚にとらわれる。
落ちているのか。
上なのか下なのか。
まったくわからない未だかつて経験したことの無いような空間。
そして―――
3人の意識は繋がったまま。
全身を包む悪寒はますます増していき…
3人は全員が意識を失った。
※※※※※
脳裏にうつり込む情景。
3人の意識は混濁し混ざり合い―――
誰の記憶なのか誰の目なのか。
そして誰の脳内なのか。
既に分からない状況になっていた。
しかし情景が湧きそれは進行していく。
※※※※※
「……それで?…俺は虚像。そういう事なのか?」
「そうさね。…じゃが今ここにいるあんたは本物だよ」
古い民家の粗末な一室。
そこの壊れかけの椅子に腰を掛けた紳士が、訝し気な視線を中年の女性に向ける。
「…意味が分からぬ。……あんたの言う2面性。それは理解した。…でもそれって本質の話ではないのか?…ここにいるコイツ、孤児だが…俺とは全く繋がりは無いはずだが?」
二人の大人の話に目を煌めかせ見ている少年。
彼はつい先日滅ぼされたこの村唯一の生き残りだった。
瀕死の状態で倒れていた少年を、彼グラコシニスが助けていたのだ。
「ふむ。…確かにつながりはないねえ。でも情がある」
「…情?」
大きくため息をつき、途端に優しい表情で少年の髪を撫でる中年の女性。
「坊主…お前名はあるのかい?」
「…えっと…イルア」
「ふむ。イルアかい。…このおっさんは優しいかい?」
イルアと名乗った少年。
実は悪魔そのものだった。
今は無垢な状態。
中年の女性、創世神であるルーダラルダは悲しげな表情を浮かべ寂しそうに微笑む。
「…イルア」
「うん?」
「;lszdjfx;;、hpmdp;mふぁrx;f:。s・あ」」s:;えあじょ;d、s」
「っ!?」
突然紡がれる上位神聖語。
見たことの無い光に包まれ気を失い倒れ伏すイルア。
「っ!?お、おい?!」
「…ハアハアハア……禁呪さね…しばらくは目を覚ますことはない。…あんたは囚われた。とんでもない呪いさね…私でも解呪できない」
「呪い?」
まるでこの一瞬で数十年老け込んだような女性にグラコシニスは息をのむ。
やがて落ち着いた女性は静かに口を開いた。
「悔しいね…どうしても届かない…あんたはやはり送り込まれた要素なんじゃな」
「…説明をくれ…意味が分からぬ」
そして女性の瞳に光が灯る。
覚悟の光だ。
「あんたはいわばこの子の餌だよ。やがてすべての力を奪われ封印される存在。だからこそ最強の力を得る」
「……餌?……その…分かっていても…抗えぬのか?」
「ああ。残念じゃがね…お前さん、コイツを殺せるかい?」
「なっ?!」
…殺す?
…俺がこいつ…イルアを?
何を言って……っ!?
改めて倒れ伏すイルアを見たグラコシニスに驚愕が走る。
ただの孤児、そういう認識。
しかし。
すでにイルアの今の状態。
どんな攻撃も届かない状況になっていた。
殺すことのできない状態。
それはまるで悪夢。
あどけない少年の体には。
幾重にも想像もつかないほど強力な結界が付与されていた。
「……殺せまい?私でも無理だ。……創造神である私でもね」
「なあっ?!…あ、あんた…まさか…ルーダラルダ様?」
実はグラコシニス。
この少年を助けたのち、少しでもこの少年の生活のためにと滅ぼされたこの村に赴き…
そこで中年の女性、つまりは創造神であるルーダラルダに出会っていた。
そうとは知らずに。
「…わざとじゃよ。知ってしまえば因果が発生する…じゃがすでに遅かった。お前は囚われた」
背筋に冷たいものが流れ落ちる。
分かってしまう。
恐らく数十年後、全てを奪われることを。
「…こいつは…イルアは何なのだ」
「悪魔さね」
「悪魔?」
ルーダラルダはいくつかの術式を展開。
彼女の知る全てをグラコシニスに同期した。
「ぐうっ?!!………………なるほど…」
「……勝てまいよ?…悔しいがこの世界モノでは奴には届かん」
知ってしまった絶望。
何度やり直しても、その上を行く悪魔たち。
そして。
それを操る虚無神ブラグツリー。
そんな中ニヤリとグラコシニスが顔を歪めた。
そしてとんでもない事を宣う。
「……仕返ししないか?」
「…仕返し?」
思わぬ提案にルーダラルダは彼女らしからぬキョトンとした顔をしてしまう。
思わず零れる笑み。
グラコシニスは静かにささやく。
「…あなたは俺を創造していないのだろう?」
「…ああ」
「俺は誰が送り込んだんだ?…その性悪の虚無神なのだろう?…あんたなら辿れるんじゃないか?」
「っ!?」
この世界を創造したのは間違いなく創造神であるルーダラルダだ。
そこに侵入してきたグラコシニス。
まごうことなく異物だ。
「…俺はいわゆるイレギュラーなのだろう?そしてあんたが言ったように虚像。ならば…俺の命、その魂魄…あんたなら解析できるのだろう?」
「……出来る…じゃが…お前の魂が…」
「かまわぬ…何より今の話を聞いて…俺は頭に来ているんだ…それに。…違う魂、含まれているのだろう?次元だか何だかわからぬが…超えられる魂…そうでなければあんたの構築した世界に侵入など出来まい」
「っ!?」
確かにそうだ。
いくらとんでもない力を持っているとしても。
何でもできるのなら。
それこそこの瞬間にもこの世界は終焉を迎えているはずだった。
創世神アークディーツ。
彼の構築した摂理。
それを上回れる存在…
原神のみだ。
「…俺は思うが儘生きそして世界を救おう。力を増して…そして取り込まれるのだろう」
「お主…」
「仕方あるまい?それが俺のシナリオなのだろう?…だが、只では死なぬ。俺とて英雄を名乗る男だ。できることはしよう」
そして始まる逆襲の物語。
「…いつか時が来る。その時に悪魔を滅ぼす必要がある。悪魔はこの世界の想いでは撥ね退けることのできない存在だ」
「ああ。そうさね。…あんたの言う通りだ」
「きっと俺の2面性、つまりイルアが悪魔の首領格になる。ならば制限を俺が刻もう。強くなり、その対価で心に刻み付けよう」
グラコシニスは。
彼は。
自分の生きざまを肯定しつつ。
罠を張った。
自身の魂に。
いつか訪れるその時が来ることを信じて。
「なあ、創造神様よ」
「なんじゃ」
「あんたの力も貸してくれ。俺に紐づくもの…想像できるのだろう?残滓でも良い…あと。できれば俺の魂…いくつかに分けて封印してくれ…出来るな?」
創造神の権能でできること。
今回のグラコシニスの要望はその権能を超えていた。
でも。
対価を払えば…
出来る。
「ふん。良いだろう。…私も覚悟を決めよう。…じゃが…あんたは完全に報われることはないぞ?いいのか?」
「…報われたさ…イルアを助けられた」
「…あんたは…分かったよ。もう何も言うまい」
※※※※※
そして。
創造神は原神の欠片を追い強烈な呪いに囚われ―――
英雄グラコシニスは幾つもの呪詛に蝕まれ―――
二人の絶対者は苦しみにのたうち回り。
ついに逆転の目を。
後世につなげることに成功していた。
視界が元に戻っていく―――
※※※※※
ギルドの聖域―――
「……美緒…理解したよ」
「ええ。…おばあ様…グラコシニス…あなた達の覚悟…受け取りました」
「美緒…」
全てがつながった3人。
美緒の幸運値。
ロナンの超絶スキル。
そして奇跡的に適合したファルカン。
まさに究極のご都合主義の結晶。
美緒は覚悟を決める。
悪魔を滅ぼす。
悪魔は…
この世界の摂理に囚われないもの。
つまりは完全なイレギュラー。
残っていればすべての計画が狂うもの。
美緒の瞳に覚悟の光が瞬いていた。
3人はソファーに座り、お互いに視線を向ける。
「…美緒…ここはギルドの中なのか?」
「うん。ここはね、この世界を滅ぼそうとしている虚無神、そしてそれに乗り移っている鳳乙那、そいつ等から隠蔽するために作られた施設なの。…本来入れる人は決まっているのだけれど…今回は特別だね」
美緒の言葉。
すでに数回にわたる美緒の同期で一応理解と言うか知っている事実ではあるものの。
ロナンとファルカンは今ここにいる重要性に思わず背筋が伸びてしまっていた。
「…それくらい重要なことだと私は思うの。万が一でもファルカンの中と言うか…繋がっている過去の英雄、グラコシニスの想い…邪魔はさせてはならない。そう思う」
美緒はゲームマスターで。
一応この星開闢以来のことは知識として備わっている状況だ。
しかしそんな彼女に知らされていない過去の英雄グラコシニス。
もちろん名前は知っている。
しかしそれは、まさに過去の物語のような状況。
つまり実感が伴っていなかった。
考えられる事。
恐らく何者かによる隠蔽。
しかも確実に相当な力を持つもの。
美緒は確信していた。
きっとこの今回の物事。
確実に根幹につながるものだと。
「…ふう。分かったよ美緒。それでファルカン、あなたを見ればいいんだね。深いところまで見るけど…覚悟はいいかな?」
「お、おう…頼む。…何しろ俺もすでに過去の自分の事、思い出せなくなってきているんだ。…正直恐ろしくなってきているところだ。…な、なあロナン」
「うん?」
覚悟を決めた瞳のファルカン。
しかし何故か顔を赤らめつつもロナンに請うような瞳を向ける。
「そ、その…覗ける物は取捨選択できるんだよな?…俺ははっきり言って…女が好きだ…数多くの女性と…関係を持っていた過去がある…そして…」
そう言いつつちらと美緒に視線を向けるファルカン。
「…正直美緒に対してもそういう劣情の思いはあるんだ…可能なら見ないでほしいのだが…」
思わず大きくため息をつくロナン。
美緒は真っ赤だが?
「…もちろんだよ。…それにさ…ファルカンだけじゃないよ?…ほとんどのギルドの男性は美緒に…その…色々な想いを持っている…それはむしろ恥ずかしい事じゃないから」
「うえ?!ロ、ロナン?…そ、それって…」
「あー。うん。美緒はさ、少し理解した方がいいと思うけど…まあ。…コホン。じゃあ行くよ?…力抜いてね……っ!?」
「お、おう…ひぐうっ?!!」
「え?…キ、キャアアアアアアーーー?!!」
刹那―――
3人はまるで真っ暗な大きな穴の中に落とされたような感覚にとらわれる。
落ちているのか。
上なのか下なのか。
まったくわからない未だかつて経験したことの無いような空間。
そして―――
3人の意識は繋がったまま。
全身を包む悪寒はますます増していき…
3人は全員が意識を失った。
※※※※※
脳裏にうつり込む情景。
3人の意識は混濁し混ざり合い―――
誰の記憶なのか誰の目なのか。
そして誰の脳内なのか。
既に分からない状況になっていた。
しかし情景が湧きそれは進行していく。
※※※※※
「……それで?…俺は虚像。そういう事なのか?」
「そうさね。…じゃが今ここにいるあんたは本物だよ」
古い民家の粗末な一室。
そこの壊れかけの椅子に腰を掛けた紳士が、訝し気な視線を中年の女性に向ける。
「…意味が分からぬ。……あんたの言う2面性。それは理解した。…でもそれって本質の話ではないのか?…ここにいるコイツ、孤児だが…俺とは全く繋がりは無いはずだが?」
二人の大人の話に目を煌めかせ見ている少年。
彼はつい先日滅ぼされたこの村唯一の生き残りだった。
瀕死の状態で倒れていた少年を、彼グラコシニスが助けていたのだ。
「ふむ。…確かにつながりはないねえ。でも情がある」
「…情?」
大きくため息をつき、途端に優しい表情で少年の髪を撫でる中年の女性。
「坊主…お前名はあるのかい?」
「…えっと…イルア」
「ふむ。イルアかい。…このおっさんは優しいかい?」
イルアと名乗った少年。
実は悪魔そのものだった。
今は無垢な状態。
中年の女性、創世神であるルーダラルダは悲しげな表情を浮かべ寂しそうに微笑む。
「…イルア」
「うん?」
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「っ!?」
突然紡がれる上位神聖語。
見たことの無い光に包まれ気を失い倒れ伏すイルア。
「っ!?お、おい?!」
「…ハアハアハア……禁呪さね…しばらくは目を覚ますことはない。…あんたは囚われた。とんでもない呪いさね…私でも解呪できない」
「呪い?」
まるでこの一瞬で数十年老け込んだような女性にグラコシニスは息をのむ。
やがて落ち着いた女性は静かに口を開いた。
「悔しいね…どうしても届かない…あんたはやはり送り込まれた要素なんじゃな」
「…説明をくれ…意味が分からぬ」
そして女性の瞳に光が灯る。
覚悟の光だ。
「あんたはいわばこの子の餌だよ。やがてすべての力を奪われ封印される存在。だからこそ最強の力を得る」
「……餌?……その…分かっていても…抗えぬのか?」
「ああ。残念じゃがね…お前さん、コイツを殺せるかい?」
「なっ?!」
…殺す?
…俺がこいつ…イルアを?
何を言って……っ!?
改めて倒れ伏すイルアを見たグラコシニスに驚愕が走る。
ただの孤児、そういう認識。
しかし。
すでにイルアの今の状態。
どんな攻撃も届かない状況になっていた。
殺すことのできない状態。
それはまるで悪夢。
あどけない少年の体には。
幾重にも想像もつかないほど強力な結界が付与されていた。
「……殺せまい?私でも無理だ。……創造神である私でもね」
「なあっ?!…あ、あんた…まさか…ルーダラルダ様?」
実はグラコシニス。
この少年を助けたのち、少しでもこの少年の生活のためにと滅ぼされたこの村に赴き…
そこで中年の女性、つまりは創造神であるルーダラルダに出会っていた。
そうとは知らずに。
「…わざとじゃよ。知ってしまえば因果が発生する…じゃがすでに遅かった。お前は囚われた」
背筋に冷たいものが流れ落ちる。
分かってしまう。
恐らく数十年後、全てを奪われることを。
「…こいつは…イルアは何なのだ」
「悪魔さね」
「悪魔?」
ルーダラルダはいくつかの術式を展開。
彼女の知る全てをグラコシニスに同期した。
「ぐうっ?!!………………なるほど…」
「……勝てまいよ?…悔しいがこの世界モノでは奴には届かん」
知ってしまった絶望。
何度やり直しても、その上を行く悪魔たち。
そして。
それを操る虚無神ブラグツリー。
そんな中ニヤリとグラコシニスが顔を歪めた。
そしてとんでもない事を宣う。
「……仕返ししないか?」
「…仕返し?」
思わぬ提案にルーダラルダは彼女らしからぬキョトンとした顔をしてしまう。
思わず零れる笑み。
グラコシニスは静かにささやく。
「…あなたは俺を創造していないのだろう?」
「…ああ」
「俺は誰が送り込んだんだ?…その性悪の虚無神なのだろう?…あんたなら辿れるんじゃないか?」
「っ!?」
この世界を創造したのは間違いなく創造神であるルーダラルダだ。
そこに侵入してきたグラコシニス。
まごうことなく異物だ。
「…俺はいわゆるイレギュラーなのだろう?そしてあんたが言ったように虚像。ならば…俺の命、その魂魄…あんたなら解析できるのだろう?」
「……出来る…じゃが…お前の魂が…」
「かまわぬ…何より今の話を聞いて…俺は頭に来ているんだ…それに。…違う魂、含まれているのだろう?次元だか何だかわからぬが…超えられる魂…そうでなければあんたの構築した世界に侵入など出来まい」
「っ!?」
確かにそうだ。
いくらとんでもない力を持っているとしても。
何でもできるのなら。
それこそこの瞬間にもこの世界は終焉を迎えているはずだった。
創世神アークディーツ。
彼の構築した摂理。
それを上回れる存在…
原神のみだ。
「…俺は思うが儘生きそして世界を救おう。力を増して…そして取り込まれるのだろう」
「お主…」
「仕方あるまい?それが俺のシナリオなのだろう?…だが、只では死なぬ。俺とて英雄を名乗る男だ。できることはしよう」
そして始まる逆襲の物語。
「…いつか時が来る。その時に悪魔を滅ぼす必要がある。悪魔はこの世界の想いでは撥ね退けることのできない存在だ」
「ああ。そうさね。…あんたの言う通りだ」
「きっと俺の2面性、つまりイルアが悪魔の首領格になる。ならば制限を俺が刻もう。強くなり、その対価で心に刻み付けよう」
グラコシニスは。
彼は。
自分の生きざまを肯定しつつ。
罠を張った。
自身の魂に。
いつか訪れるその時が来ることを信じて。
「なあ、創造神様よ」
「なんじゃ」
「あんたの力も貸してくれ。俺に紐づくもの…想像できるのだろう?残滓でも良い…あと。できれば俺の魂…いくつかに分けて封印してくれ…出来るな?」
創造神の権能でできること。
今回のグラコシニスの要望はその権能を超えていた。
でも。
対価を払えば…
出来る。
「ふん。良いだろう。…私も覚悟を決めよう。…じゃが…あんたは完全に報われることはないぞ?いいのか?」
「…報われたさ…イルアを助けられた」
「…あんたは…分かったよ。もう何も言うまい」
※※※※※
そして。
創造神は原神の欠片を追い強烈な呪いに囚われ―――
英雄グラコシニスは幾つもの呪詛に蝕まれ―――
二人の絶対者は苦しみにのたうち回り。
ついに逆転の目を。
後世につなげることに成功していた。
視界が元に戻っていく―――
※※※※※
ギルドの聖域―――
「……美緒…理解したよ」
「ええ。…おばあ様…グラコシニス…あなた達の覚悟…受け取りました」
「美緒…」
全てがつながった3人。
美緒の幸運値。
ロナンの超絶スキル。
そして奇跡的に適合したファルカン。
まさに究極のご都合主義の結晶。
美緒は覚悟を決める。
悪魔を滅ぼす。
悪魔は…
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