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第2章 森再生編

53話 再転移

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 ブラックからの伝言は、あの森をさしているのは明らかだった。

『アブナイ』とは?

 何か問題がおきているのだろうが、これではさっぱりわからない。
 やっぱり行くしか無い。
 ハナさんが守った森に何か起きていると言うことは、ブラックも心配なのだろう。
 そして、私に伝言するとは、魔人の王であるブラックでも手に負えない事なのだろう。
 
 今回何を持っていけばいいのか考えなければ。
 植物達の危機なのだ。
 しかし、園芸の知識は全くない。
 そう言うレベルの話ではないのかもしれないが。

 さて、どうやって父を誤魔化して行けば良いか。
 海外の友人が重い病気で、会いに行きたいと話そう。
 そうでなければ、今すぐ転移できないだろう。
 1週間後でも、向こうでは3週間ほど経っているのだ。
 なるべく早く行かなければ。
 ただ、この手は何回も使えるものでは無いので、そのうち次の手も考えなければと思った。 

 手紙が届いてから3日がたった。
 何とか仕事のこと、父のこと、とりあえずこの世界から転移する準備は整ったのだ。
 持ち物に心配はあったが、行ってみなければわからないわけで、以前転移した時と同じように漢方薬と、少しだけ植物にいいものを持って行くことにしたのだ。
 
 私は前回と同じように魔法陣を自分の部屋に敷き、固定させた。
 そして、同じく薄水色の白衣で赤いスーツケースで向かう事にしたのだ。
 私は頭上に光の鉱石の粉末を投げたのだ。
 そして、魔法陣の中心に光の粉末が引き寄せられ、私を包み込んだのだ。

 光る霧が収まると、懐かしい薬草庫が見えたのだ。
そしてこの漢方薬に似た匂い。
 以前と変わらず同じなのだ。
 帰ってきたのだ。
 ただ、そこは舞のいた世界の気候と違い、とても寒かったのである。
 そう、冬の気候になっていたのだ。
 あれから、こちらの世界だと半年くらい経っているのだろう。
 早くカクのお屋敷に行って暖をとろうと急いだ。
 薬草庫の扉を開けると、外は白い世界になっていたのだ。
 寒いわけである。
 一面に雪が降り積もっていたのだ。
 お屋敷までの道がちゃんと雪かきがしてあり、スニーカーでも問題なく移動はできたのだ。
 きっと、カクが頑張ってやったのだろうと想像すると、つい顔が緩んだのだ。

 ゴロゴロとスーツケースを動かす音に気付いたのか、お屋敷の扉が開いた。
 そして、私としては2ヶ月ぶりに見る顔がそこにはあったのだ。

「舞!
 来てくれたんだね。」

 カクは私の元に駆け寄り、どさくさに紛れてぎゅーっと抱きしめたのだ。

「カク、とりあえず寒いから早く中に入れて」

 私は感動の再会よりも何よりも、荷物をカクにもたせ、急いでお屋敷の中に入りたかった。

 部屋の中はとても暖かかった。
 暖炉がある部屋で私は暖まった。
 カクがローブと、温かなお茶を持ってきてくれて、やっと落ち着いたのだ。
 相変わらず、優しい人なのだ。

 落ち着いた頃にヨクが戻ってきたのだ。

「ああ、舞。また来てくれたんだね。
 元気そうで何よりだよ。」

 私こそ、ヨクを見てホッとしたのだ。
 以前と変わらず元気そうなのだ。

 私は元の世界に戻った時、驚いたことを話したのだ。
 つまり、時間の流れが違うことを。
 多分こちらの世界の3日が向こうでの1日位になっていることを伝えた。
 そして、こちらに来て寒いことも驚いた。
 空には太陽と同じものが存在するので、季節があるのも頷けるのだが、こちらが冬になっているとは思いもしなかった。
 だから、防寒具を何一つ持ってきていないのだ。

 カクは喜んで、自分が服は準備をすると言って、あっという間に町に出かけてしまったのだ。
 そんなに女性モノの服を買うのが嬉しいのだろうか?
 よく分からないが、そこはカクにお願いしよう。

 さて、本題に入るのだ。

「ブラックからの伝言ですが、モリ ガ アブナイ
以外は何か言ってましたか?」

「いや、それだけ舞に伝言してくれと言われただけなのだよ。
 詳しいことはさっぱり・・・」

「思い当たることはあるのかな?」

 ヨクは不思議そうに私を見たのだ。

「・・・少しだけ。
 明日、魔人の国に行ってみます。
 今は自由に行き来できているのですか?」

「ああ、今は王が作成する通行証を持っておる者なら行き来できることになっておるよ。
 まだ、自由にと言うわけにはいかないがな。」

 それでも、少しずつ人間と魔人の関係が深まっていくなら良かったと思うのだ。
 ハナさんの時代のようになれればと思ったのだ。

「まあ、今日はご馳走を食べてゆっくりしなさい。
 カクがどんな服を手に入れてくるのかも楽しみだろう、ハッハッハ。」

 確かに楽しみでもあるが、少しの不安もあった。
 カクの趣味ってどうだったかな?
 私も苦笑いをしたのだ。

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