100 / 181
第3章 翼国編
100話 クロルの行方
しおりを挟む
私の考えを話すと、クロルは黙ったままだった。
ブロムは肩を掴んで問い詰めたのだ。
「いったいどう言う事だ。
自分の妹に何をしたのだ。
答えろ、クロル。」
クロルはブロムの手を振り払うと、真っ直ぐに見て答えたのだ。
「兄上、私は未だにリオの母親を許す事が出来ないのだ。
我らの母を死に追いやった女なのだ。
その娘であるリオを妹とは思えない。
だんだんその女に似てくるリオを黙って見ていることは出来なかった。」
そう言うと、クロルは腰元にあった剣を手にとり、草木を切りさきバルコニーに出る扉を開けたのだ。
そして、大きな羽音を立てて外に飛び立っていったのだ。
ブラックはスピネルとアクアに後をつけるように指示を出し、兄であるアルも一緒にクロルを探しに飛び立ったのだ。
「ブロム、いったいどう言う事なの?」
私がそう言うと、ブロムは今の王家について話してくれたのだ。
「・・・実は私達三兄弟とリオの母親は違うのです。」
ブロムの話によると、三兄弟の母であった王妃は自分で胸に剣を突き刺し自害したと言うのだ。
はっきりとした理由はわかっていないのだが、第二王妃のリオさんの母親が関係しているとクロルは思っていたようだ。
王様は一夫多妻が許されていたのだが、ブロム達の母親はどうしても我慢がならなかったようだ。
そして、リオさんが生まれた後、自分で命を絶ったというのだ。
それはクロルの目の前で起こり、その時まだクロルは8歳であった。
そして、その三年後に今度はリオさんの母親が亡くなったと言うのだ。
こちらは事故で亡くなったようだが、王子達が若かったこともあり、詳細は知らされていなかったようだ。
王家の若い女性が亡くなるという話と少し違ってはいるが、王妃達が次々に亡くなっている事が少し気味が悪く感じたのだ。
「・・・初めて聞きました。
あんなに優しかったのに、クロルお兄様は私や私の母を恨んでいたのですね。」
リオさんは涙ぐみながら、つぶやいたのだ。
「リオ、お前が気に病むことはない。
クロルは母親の死を受け入れられず、リオの母のせいにしたかったのだよ。
私が何とかするから、心配しなくていいのだよ。」
ブロムはリオさんに落ち着くように話し、ベッドに横になるように促したのだ。
私はとても後悔したのだ。
リオさんを陥れた犯人を探したいと思う一心で、今回の仕掛けを考えたのだが、犯人が分かった後のことを何も考えていなかったのだ。
クロルの可能性が高い事がわかっていたのに、判明した後の兄弟達の気持ちまで考えが及ばなかったのだ。
「ブラック、私はひどいことをしてしまったのかも。」
「舞・・・いつかは伝えなくてはいけないのですから。
隠しておける事では無いのですよ。」
私はとても心が痛くなってブラックに寄りかかると、優しく支えてくれたのだ。
そうだ、落ち込んでる場合では無いのだ。
クロルを見つけなくては。
彼を本当の意味で癒す事が出来なければ、何の解決にもならないのだ。
○
○
○
クロルを追いかけたスピネルとアクアは意外なところに向かっている事に気づいたのだ。
「これは、我らの世界に向かうのではないか?」
かなり離れてはいたが、アクアの目がクロルを捉えたのだ。
クロルは魔人の国に繋がるトンネルの元に行き、予想通り中に入り消えたのだ。
その世界は、黒翼人にとっては半日もすると呼吸が苦しくなり、そこで過ごすことが難しい世界なのだ。
何故その場所に向かうかが疑問であったのだ。
兄であるアルもクロルを追ってトンネルに入ったのだ。
スピネルは思念でブラックに連絡を取り、二人は自分達の世界に戻った。
スピネルから連絡が来たブラックは、舞やブロムに伝えたのだ。
「クロル殿は私たちの世界に入ったようです。
私と舞は戻ろうと思います。
ブロム殿はどうしますか?」
「もちろん行きます。
何としてもクロルを無事に連れ帰ります。
・・・私は兄ですから。」
ブロムは力強い口調で答えたのだ。
「では、二人とも私につかまってください。」
ブラックはそう言うと少し微笑んで私の肩を引き寄せ、ブロムもブラックの腕につかまったのだ。
そして一瞬で魔人の国の入り口であるトンネルに移動したのだ。
私達も、その暗いトンネルを上に向けて上がっていったのだ。
もちろん私はブラックに抱えられてであるのだが。
少しすると、明るい光が見えて、あの綺麗な湖を見る事が出来たのだ。
クロルの元に行かなければ。
その時の私はきっと大丈夫と、安易に思っていたのだ。
ブロムは肩を掴んで問い詰めたのだ。
「いったいどう言う事だ。
自分の妹に何をしたのだ。
答えろ、クロル。」
クロルはブロムの手を振り払うと、真っ直ぐに見て答えたのだ。
「兄上、私は未だにリオの母親を許す事が出来ないのだ。
我らの母を死に追いやった女なのだ。
その娘であるリオを妹とは思えない。
だんだんその女に似てくるリオを黙って見ていることは出来なかった。」
そう言うと、クロルは腰元にあった剣を手にとり、草木を切りさきバルコニーに出る扉を開けたのだ。
そして、大きな羽音を立てて外に飛び立っていったのだ。
ブラックはスピネルとアクアに後をつけるように指示を出し、兄であるアルも一緒にクロルを探しに飛び立ったのだ。
「ブロム、いったいどう言う事なの?」
私がそう言うと、ブロムは今の王家について話してくれたのだ。
「・・・実は私達三兄弟とリオの母親は違うのです。」
ブロムの話によると、三兄弟の母であった王妃は自分で胸に剣を突き刺し自害したと言うのだ。
はっきりとした理由はわかっていないのだが、第二王妃のリオさんの母親が関係しているとクロルは思っていたようだ。
王様は一夫多妻が許されていたのだが、ブロム達の母親はどうしても我慢がならなかったようだ。
そして、リオさんが生まれた後、自分で命を絶ったというのだ。
それはクロルの目の前で起こり、その時まだクロルは8歳であった。
そして、その三年後に今度はリオさんの母親が亡くなったと言うのだ。
こちらは事故で亡くなったようだが、王子達が若かったこともあり、詳細は知らされていなかったようだ。
王家の若い女性が亡くなるという話と少し違ってはいるが、王妃達が次々に亡くなっている事が少し気味が悪く感じたのだ。
「・・・初めて聞きました。
あんなに優しかったのに、クロルお兄様は私や私の母を恨んでいたのですね。」
リオさんは涙ぐみながら、つぶやいたのだ。
「リオ、お前が気に病むことはない。
クロルは母親の死を受け入れられず、リオの母のせいにしたかったのだよ。
私が何とかするから、心配しなくていいのだよ。」
ブロムはリオさんに落ち着くように話し、ベッドに横になるように促したのだ。
私はとても後悔したのだ。
リオさんを陥れた犯人を探したいと思う一心で、今回の仕掛けを考えたのだが、犯人が分かった後のことを何も考えていなかったのだ。
クロルの可能性が高い事がわかっていたのに、判明した後の兄弟達の気持ちまで考えが及ばなかったのだ。
「ブラック、私はひどいことをしてしまったのかも。」
「舞・・・いつかは伝えなくてはいけないのですから。
隠しておける事では無いのですよ。」
私はとても心が痛くなってブラックに寄りかかると、優しく支えてくれたのだ。
そうだ、落ち込んでる場合では無いのだ。
クロルを見つけなくては。
彼を本当の意味で癒す事が出来なければ、何の解決にもならないのだ。
○
○
○
クロルを追いかけたスピネルとアクアは意外なところに向かっている事に気づいたのだ。
「これは、我らの世界に向かうのではないか?」
かなり離れてはいたが、アクアの目がクロルを捉えたのだ。
クロルは魔人の国に繋がるトンネルの元に行き、予想通り中に入り消えたのだ。
その世界は、黒翼人にとっては半日もすると呼吸が苦しくなり、そこで過ごすことが難しい世界なのだ。
何故その場所に向かうかが疑問であったのだ。
兄であるアルもクロルを追ってトンネルに入ったのだ。
スピネルは思念でブラックに連絡を取り、二人は自分達の世界に戻った。
スピネルから連絡が来たブラックは、舞やブロムに伝えたのだ。
「クロル殿は私たちの世界に入ったようです。
私と舞は戻ろうと思います。
ブロム殿はどうしますか?」
「もちろん行きます。
何としてもクロルを無事に連れ帰ります。
・・・私は兄ですから。」
ブロムは力強い口調で答えたのだ。
「では、二人とも私につかまってください。」
ブラックはそう言うと少し微笑んで私の肩を引き寄せ、ブロムもブラックの腕につかまったのだ。
そして一瞬で魔人の国の入り口であるトンネルに移動したのだ。
私達も、その暗いトンネルを上に向けて上がっていったのだ。
もちろん私はブラックに抱えられてであるのだが。
少しすると、明るい光が見えて、あの綺麗な湖を見る事が出来たのだ。
クロルの元に行かなければ。
その時の私はきっと大丈夫と、安易に思っていたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編。
リーナ視点が主です。
-----
また続けるかもしれませんが、一旦完結です。
※小説家になろう様にも掲載中。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる