不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党

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07 反りが合わない

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 ドワーフたちが鉱山ごと異世界から飛ばされてきた。
 異界震の余波と思われるが、確かなことは俺には分からない。


「ふむ、お前さんの領地には、あのちっこい連中がおるのか?」

「ホビットたちのことか?
 俺の領地には今のところ、ホビットと魔狼たちしかいない」

「ふん、そうか……」

 ドワーフたちは眉をひそめた。

「もしかして連中と仲が悪いのか?」

 そんな設定あったのか?
 いや、設定なんか知らん。これは現実なのだ。

「仲が悪いというわけじゃないが、肌が合わんのじゃ。
 森のあいつら程じゃあないがの。
 もともと、あまり行き来はないのじゃ」

 森のあいつらって、ひょっとしてエルフのことだろうか。 

「そうか。じゃあ、会わない方が良いかもな。
 ともかく、俺はあっちの街にいるから何かあったら言ってこいよ」

「うむ、分かった」

「ところで、あんたたちは酒が好きなんだろ?」

「お前さんはわしらのことをよく知っておるのぉ。
 そうじゃ、わしらは強い酒が好きじゃ」

「だろうな。今度持ってきてやるよ」

「そうか、楽しみに待っとるぞ」

 ドワーフたちと話を付けて俺は我が家に戻った。



「「「領主様!」」」

 心配していたらしいホビットたちが駆け寄ってくる。

「問題ない。
 単にドワーフたちが鉱山ごと飛んできただけだ」

 もちろんとんでもない異常事態だが、原因不明だし対処不能なので、なるようにしかならない。素直に受け入れて、納得するしかないのだった。

「「「えぇぇぇぇ!」」」

「あのひげもじゃたちですか?」
「大酒のみの皮肉屋たちですね」
「あいつら鍛冶と酒にしか興味ないんだよなぁ」
「あの偏屈たちか……」

 それにしても不評の嵐だ。
 ホビットの方もドワーフをあまり良く思ってない感じだ。

「お前たちはお互いに仲が良くないんだな。
 無理して会わなくていいからな」

「はい。
 どうも反りが合わないというか、趣味が合わないというか……」

 ここと鉱山との間に適度な距離があるのは幸運だったのかもしれない。
 喧嘩とかされてもめんどくさいしな。



 翌日、俺はリヤカーに酒と食料を満載してドワーフの鉱山へ行った。

「お~い! いるか?」

「おぉ、お前さんか。今日は大荷物だの」

「いきなりこんな所に来て、困ってるだろうと思ってな」

「いや、心配せんでも、わしらも貯えならあるがの。
 まぁ、せっかく持ってきてくれたんじゃ、もらっておくわぃ」

「ハハハ、それは安心した。
 ほら、これは強い酒だぞ。
 さすがのあんたたちもひっくり返るかもな」

 あまり評判の良くない某スーパーのPBウイスキーを持ち上げて見せる。
 ホビットたちも酒は好きなのだが、このウイスキーはほとんど飲まない。
 たくさん余っていたので、まとめて持って来たのだった。

「何を言うか!
 わしらがひっくり返るじゃとぉ?
 そんな酒などあるものか!」

「じゃぁ、とりあえずちょっと飲んでみろよ」

 俺はニヤリと笑い、ウイスキーを注いだ紙コップを手渡す。

「ふん、どれどれ……。
 グビリ。……うほぉぉぉぉぉ! 美味いぞ!
 こ、これは何ということじゃ!」


 遠巻きに見ていた他のドワーフたちが一斉に群がってくる。

「ちょっとわしにもよこせ!」
「おい! わしが先じゃろ」
「何を言うか、年長順に決まっておるだろうが」
「じゃぁわしが先じゃの」
「いいや、わしのが年上じゃろうが!」

「まてまて! 俺が配るから。
 十分に量はあるから、落ち着け!」

 彼らに紙コップを渡して、なみなみと注いでやる。

「強い酒だから、気を付けて飲めよ」

「「「グビリ」」」
「ふぉぉぉ!」
「わしらの火酒よりも強いぞ!」
「これはうめぇ!」
「なんという芳醇な味わい」
「ンゴゴゴゴ……。ぷはぁぁぁ、もう一杯!」

 ホビットたちが飲まない安物ウイスキーだが、ドワーフたちには大好評だった。
 お返しにドワーフ謹製のナイフやロングソードなどをもらった。

「これはなかなかの業物だなぁ……」

「ふん、あたりまえじゃ。
 わしらは鍛冶に命をかけておるからのぉ。
 そこらの獣なら真っ二つにできるわぃ」

 俺はホクホク顔で庁舎に戻った。すごく儲けた気分だ。
 ロングソードなんて、そこらの瓦礫をいくら掘り返しても絶対に出てこない。
 ずっとバールを武器にしていたので、これで一気に戦闘力がアップした。



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