不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党

文字の大きさ
7 / 59

07 反りが合わない

しおりを挟む

 ドワーフたちが鉱山ごと異世界から飛ばされてきた。
 異界震の余波と思われるが、確かなことは俺には分からない。


「ふむ、お前さんの領地には、あのちっこい連中がおるのか?」

「ホビットたちのことか?
 俺の領地には今のところ、ホビットと魔狼たちしかいない」

「ふん、そうか……」

 ドワーフたちは眉をひそめた。

「もしかして連中と仲が悪いのか?」

 そんな設定あったのか?
 いや、設定なんか知らん。これは現実なのだ。

「仲が悪いというわけじゃないが、肌が合わんのじゃ。
 森のあいつら程じゃあないがの。
 もともと、あまり行き来はないのじゃ」

 森のあいつらって、ひょっとしてエルフのことだろうか。 

「そうか。じゃあ、会わない方が良いかもな。
 ともかく、俺はあっちの街にいるから何かあったら言ってこいよ」

「うむ、分かった」

「ところで、あんたたちは酒が好きなんだろ?」

「お前さんはわしらのことをよく知っておるのぉ。
 そうじゃ、わしらは強い酒が好きじゃ」

「だろうな。今度持ってきてやるよ」

「そうか、楽しみに待っとるぞ」

 ドワーフたちと話を付けて俺は我が家に戻った。



「「「領主様!」」」

 心配していたらしいホビットたちが駆け寄ってくる。

「問題ない。
 単にドワーフたちが鉱山ごと飛んできただけだ」

 もちろんとんでもない異常事態だが、原因不明だし対処不能なので、なるようにしかならない。素直に受け入れて、納得するしかないのだった。

「「「えぇぇぇぇ!」」」

「あのひげもじゃたちですか?」
「大酒のみの皮肉屋たちですね」
「あいつら鍛冶と酒にしか興味ないんだよなぁ」
「あの偏屈たちか……」

 それにしても不評の嵐だ。
 ホビットの方もドワーフをあまり良く思ってない感じだ。

「お前たちはお互いに仲が良くないんだな。
 無理して会わなくていいからな」

「はい。
 どうも反りが合わないというか、趣味が合わないというか……」

 ここと鉱山との間に適度な距離があるのは幸運だったのかもしれない。
 喧嘩とかされてもめんどくさいしな。



 翌日、俺はリヤカーに酒と食料を満載してドワーフの鉱山へ行った。

「お~い! いるか?」

「おぉ、お前さんか。今日は大荷物だの」

「いきなりこんな所に来て、困ってるだろうと思ってな」

「いや、心配せんでも、わしらも貯えならあるがの。
 まぁ、せっかく持ってきてくれたんじゃ、もらっておくわぃ」

「ハハハ、それは安心した。
 ほら、これは強い酒だぞ。
 さすがのあんたたちもひっくり返るかもな」

 あまり評判の良くない某スーパーのPBウイスキーを持ち上げて見せる。
 ホビットたちも酒は好きなのだが、このウイスキーはほとんど飲まない。
 たくさん余っていたので、まとめて持って来たのだった。

「何を言うか!
 わしらがひっくり返るじゃとぉ?
 そんな酒などあるものか!」

「じゃぁ、とりあえずちょっと飲んでみろよ」

 俺はニヤリと笑い、ウイスキーを注いだ紙コップを手渡す。

「ふん、どれどれ……。
 グビリ。……うほぉぉぉぉぉ! 美味いぞ!
 こ、これは何ということじゃ!」


 遠巻きに見ていた他のドワーフたちが一斉に群がってくる。

「ちょっとわしにもよこせ!」
「おい! わしが先じゃろ」
「何を言うか、年長順に決まっておるだろうが」
「じゃぁわしが先じゃの」
「いいや、わしのが年上じゃろうが!」

「まてまて! 俺が配るから。
 十分に量はあるから、落ち着け!」

 彼らに紙コップを渡して、なみなみと注いでやる。

「強い酒だから、気を付けて飲めよ」

「「「グビリ」」」
「ふぉぉぉ!」
「わしらの火酒よりも強いぞ!」
「これはうめぇ!」
「なんという芳醇な味わい」
「ンゴゴゴゴ……。ぷはぁぁぁ、もう一杯!」

 ホビットたちが飲まない安物ウイスキーだが、ドワーフたちには大好評だった。
 お返しにドワーフ謹製のナイフやロングソードなどをもらった。

「これはなかなかの業物だなぁ……」

「ふん、あたりまえじゃ。
 わしらは鍛冶に命をかけておるからのぉ。
 そこらの獣なら真っ二つにできるわぃ」

 俺はホクホク顔で庁舎に戻った。すごく儲けた気分だ。
 ロングソードなんて、そこらの瓦礫をいくら掘り返しても絶対に出てこない。
 ずっとバールを武器にしていたので、これで一気に戦闘力がアップした。



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...