不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党

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24 ゴブリン

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 缶詰、レトルト食品、、インスタント食品、インスタント飲料、乾パン、菓子類、エナジーバー、サプリ、乾物、酒類、塩、砂糖、常備薬など……。
 おそらく消費期限など何十年も過ぎていると思うが、ホビットたちはまだ大丈夫そうなものを、あちこちから拾ってくる。

 最初のうちは、庁舎一階のホールに棚を作り、分類分けして保管していた。しかし、しだいにホールが一杯になり、二階の空き部屋も一杯になり、今現在では、俺が占有している三階の一部の部屋まで倉庫として使われる始末だ。
 迷惑エルフのサラが菓子を食い散らかそうが、健啖家のジャンヌがカレーを水のように飲み込もうが、全体には全く響かないだけの食料があるのだった。
 当然、食料だけではなく、建材、衣類、日用品、使えそうな家電なども回収され、保管されている。

 ホビットたちは飢えて苦しい思いをした経験があるので、食えそうなものや使えそうなものは絶対に無駄にしたくないという。俺としても彼らの気持ちは分かるので、むやみに止めろとは言わない。

「向かいの小学校は?」

「はい、各部屋に棚を設置している最中です」

 ホビットが良い笑顔で答えた。やはり、抜かりはないようだ。

「そうか。大きいものは体育館に保管してくれ」

「はい、そのように」

 そのうち周辺の建物が全部倉庫になるかもしれないな。まぁ物資がなくて困るよりはずっと良いことだろうが。



 ポチが部屋に駆け込んできた。

「ガゥガゥガゥ」

「なにぃ! 妖魔か!」

 俺はいつものワイバーン革の戦闘服に着替えて、ロングソードを背負う。
 漫画の忍者みたいな恰好だが、ロングソードを腰に差すと走りにくいのだ。日本刀を背負う場合は、左肩から柄が出るように背負うのが正解らしいが、ロングソードはどうなのかは知らない。ブ〇イドみたいに真ん中ってことはないと思う。どちらにしても背負ったままだと、抜剣も納剣も難しいので、戦う時は鞘ごと背から降ろさないといけない。

 俺たちの様子を察知したジャンヌが部屋にやって来た。

「戦闘か? 戦闘なのか? 戦闘なのだろう?
 だったら私も行くぞ!」

 ちょっとうれしそうだ。ジャンヌは戦闘狂のケがあるな。

「俺たちは自分の足で走るが、ジャンヌは馬で来た方がいいぞ」

「わかった!」

 ジャンヌは風のように自室に消え、あっという間に新調したばかりの戦闘服に着替えてきた。変身ヒーローもかくやという程の早業だ。


「妖魔討伐に行ってくる」

「「「いってらっしゃいませ、領主様」」」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 魔狼たちは妖魔の一団をゆるく囲み、つかず離れず絶妙な距離を保って、動きを封じていた。妖魔の後ろからそっと近づいては突っつき、妖魔が振り返り攻撃しようとすればスッと引く。そうやって妖魔の気力体力を少しずつ奪うのだった。

 その妖魔は、人間のように二本足で立ち、手にはボロい剣を持ち、粗末な鎧を身につけている。子供くらいの背丈で、肌は暗い緑色、凶悪な面構えをしている。数は十体ほど。


「あれはゴブリンだな。ブラド、私にやらせてくれ」

 ダメだと言っても突っ込みそうな勢いだったので、素直に許可する。

「よし、ジャンヌに全て任せる」

「承知した!」

 ジャンヌはサファイア号から飛び降りると、ダッと駆け出して、ゴブリンの一団に一瞬で接近する。
 いつか俺に見せた、あの素早い突きであっさりと一体しとめた。首を突かれたゴブリンは即死。周りのゴブリンが慌ててジャンヌに反撃を加えようとする。

 ジャンヌは見事な体さばきでそれをかわして、逆にそのゴブリンを下からすくうように斬り上げた。体を斜めに両断されたゴブリンは昏倒。返す刀でもう一体。流れるようにゴブリンたちを次々と倒してしまった。


「さすがは騎士だ、俺の出る幕はなかった。
 惚れ惚れするような剣さばきだったな」

「なんのこれしき」

 ジャンヌはまんざらでもない様子だ。
 俺は倒されたゴブリンたちの装備をしげしげと観察する。鉄板を三日月形に打ち抜いて、簡単に研いだだけの片刃の刀。鎧は、何枚かの鉄板を適当に組み合わせただけのもの。ドワーフたちが見たら鼻で笑うだろうな。
 とはいえ、
 
「こういうのを作って使う程度の知能はあるわけだ。
 しかも、それなりの集団でまとまって行動していた」

 一体一体はザコかもしれないが、下手な妖魔よりもずっと脅威だ。

「そうだ。ゴブリンは油断ならない存在だぞ。
 この程度ならまだ問題ないが、数の力でゴリ押しされると厄介だ」

 とりあえず、俺はゴブリンたちの装備をはぎ取って一か所に集める。あとで回収するつもりだ。出来は悪いが、くず鉄としての価値はある。ドワーフたちに材料として提供すればいい。
 ゴブリンたちの血は真っ黒で、ひどい臭いだ。まったく食欲をそそらない。

「ポチ、食うか?」

「クゥン……」

 ポチは嫌そうな顔で後ずさりする。
 他の魔狼たちもゴブリンは食いたくないらしい。

「ゴブリンは泥から生まれると聞いたことがある。
 食わないのが賢明だろうな」

 ジャンヌは剣に付いたゴブリンの血や脂を、ボロ布で丁寧に拭き取っている。

「ドワーフの剣の切れ味はどうだった?」

「素晴らしい、という言葉につきる。
 彼らが自慢するだけのことはあるな」

 抜き身の剣をうっとりと見つめ、頬ずりしそうな勢いだ。

「……なるほど」

 俺はポチ達にご褒美として犬のおやつをやる。
 うれしそうにジャーキーを味わう姿はやはり犬に似ているな。

「ジャンヌはカレーが好きか?」

「あぁ、カレーは良い!
 あの香り、あの刺激、濃厚な味わい。完ぺきだ!」

「今日は頑張ったからカツカレーだな」

「おぉぉぉぉ!」

 日暮れ前、俺たちは無事に我が家に帰った。





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