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9 魔法具

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村に入り歩くことはや5分。なんだか小汚い...と言ったら失礼だろうか、古い小屋のようなものの前についた。
「...。え。こ、ここ?」
あまりにも想像と違かったため、一応えなに確認をとる。
「うん。ここだよ。」
どうやらここらしい。ま、まぁ私の想像がちょっと大げさだっただけだ。きっと。中に入ってみればいいものも沢山あるだろうし、まだ期待をして良さそうだ。多分。
えなは小屋のドアを開け、中へと入っていく。私もそれに続き中に入った。見た感じは人間界の武具屋と同じ感じだ。となるとあとの問題は店の主ということになる。果たしてどんな捻くれ者がくるのやら。
「おや、もうきたのかな?早いね~えな!」
不意にカウンター越しにそんな声が聞こえた。えなよりやや声の低めの声だ。そして姿は...。ぬいぐるみみたいな犬型の精霊...かな。いつ見ても精霊はへんないきものとしか思えない。まあ、精霊にしたら人間がへんないきものだろうけど。
「やあアビス、久しぶり。今日は僕のパートナーのナチを連れてきたよ」
えなにいきなり紹介をされたので、思考を中断してアビスさん?にぺこりと1例をした。
「ふうん。見たところえなに合うような強さを持ってそうじゃないけど。まあ、大精霊様が選ぶなら間違いじゃないんだろうね。」
あって早々なかなか失礼なことを言いやがる...。
これが性格の悪さか、などと思っているとアビスはこちらを向き、にやりと笑った。
「君、ナチ...。だっけね。聖剣士らしいね。その背中に下げてる剣、もしかして魔法具だったりする?」
いきなり話しかけられたと思えば魔法具という、わけのわからないワードで私の剣について尋ねられ、少々混乱していると
「あぁ。ナチは魔法具のことを知らないんだよ。ちょっと剣見てやってよ」
えなもどうやら魔法具のことを知っていたらしい。
すると、えなは剣をアビスに渡すようにジャスチャーしてきた。少し不安を残したまま私の愛剣をカウンターに置く。そう言えばこの剣とはもう長い付き合いになるが、名前を知らない。自分で付けようと思ったことも思い返せばあったかもしれないが。
「うん。これは完全な火属性の魔法具だよ。恐らく名前はソースリー・スピューレッドブレードだね。」
私が色々と昔のことを思い出しているとアビスは早々に剣の鑑定が終わったらしく、魔法具やら火属性やらとわけのわからないことを言っている。
そう言えば剣の名前も言ってたな。後でもう1回聞いておこう。
「魔法具って言うのは精霊界と人間界、そして魔界の3つの種族の生息地の中で、合計47個しかない魔法の力が秘められた武器のことさ。魔法具には意思があり、自分を全力で使えないような奴は絶対に認めない。拒絶されたものは何らかのダメージをうけるんだ。そうなれば今後、一切その魔法具には触れられなくなる。だからナチ。君はこの剣に選ばれたんだ。大事に使うことだね。」
アビスは突然と説明を開始し、魔法具について教えてくれた。言っていることは8割型理解したつもりだ。しかし魔界という場所は聞いたことがないなぁ。
私がその説明を聞き、新たな謎を考えるべく、唸っていると
「ナチ、君は聖剣士の昔話を知っているかい?」
アビスは聖剣士の昔話と言った。そんなもの、聖剣士なら誰でも知っている。
「もちろん知ってるよ。一人の少女が素晴らしい剣技を身につけ、村に襲いかかってくる獣たちを倒す話でしょ?」
私は自慢げにそう言った。先祖代々この話は受け継がれて来たらしく、親にもこの話は散々聞かされた。
「残念。あってるのは少女と素晴らしい剣技だけだね。他はすべて間違ってる。いいかい。今から僕がする話が聖剣士の本当の歴史でこの世界の歴史だ。この話は今のモンスター増殖にも深く関わりがあると僕は思ってる。よく聞いておくことだね、二人とも。」
まさか。先祖代々受け継がれて来たこの話の8割が嘘...?ありえない。そんなはずはない。どの村のどの聖剣士もみな、この話を聞き、成長してきたのだ。今更否定されてもどうしようもないものだ。しかし、アビスの話も聞いてみたい。私はえなとほぼ同時に頷いた。
「それじゃあ話そうか。聖剣士の歴史を。」
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