この理不尽な世界を終わらすために、立ち上がりました

Ena

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10 世界初の聖剣士

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聖剣士。昔誰がそんなものを作ったかはわかっていない。しかしこの世界で初めての聖剣士はある一人の幼い少女であったことは事実だ。その少女の名は蒼風愛麗雛(そのかぜありす)という。村人は皆、アリスを可愛がった。女剣士見習いという珍しい枠に当てられていたアリスは、友達もいなければ家族もいなかった。しかしアリスは大人の言うことをよく聞き、言ったことはなんでも成し遂げるような子だった。アリスはある日、旅人として村に訪れた老人に質問をした。「どうしてあの人に出来ることが自分にはできないのか。」と。
なぜアリスが旅人にそのような質問をしたかはわからない。しかし旅人はその質問に答えた。自分に出来ることを探せと。
聞き分けのよかったアリスはその言葉を信じ、14という若さで立派な女剣士になった。女剣士になったアリスにはある指名が出来た。北の山脈をこえたその先の谷を抜けたところに飛竜がいるとされている洞窟がある。そこに行き、飛竜をうちとってこいというものだった。アリスは命を大切にする少女であったため、罪のない飛竜を殺すなど出来るはずがない。しかし指名は指名。与えられた以上やるしかない。アリスはしぶしぶその洞窟へ向かった。洞窟はとても遠く、50里はあった。やっとの思いで洞窟にたどり着き、飛竜を探した。しかし進めど進めど、飛竜はおろか、コウモリ、ヤモリなど何一つ生き物がいない。もうすぐ洞窟が終わろうとしていたその時だった。眩い光が差し込んできたのだ。光源へ向かったアリスが見たものは神々しく光り輝く一本の長剣。それを守るかのように体を丸くしている飛竜の姿がだった。アリスはその光景に見とれ、飛竜をうちとることなど忘れていた。その時、飛竜は大きな体をゆっくりと持ち上げ、アリスを見つめた。アリスは我にかえり、警戒心と恐怖を覚えた。剣の柄に手をおいた、そんな時だった。
『我が待っていたのはお主だ』
なんと、飛竜が人間の言葉を話したのだ。流石のアリスもこれにはかなりの同様を見せた。
『我が1000年に渡り守り抜いてきた剣をお前に授ける。この剣は選ばれし剣士にしか使えぬ。お前は我に、そして剣に選ばれたのだ。』
その言葉を聞いたアリスは何故か飛竜の言っていることが全てわかった気がした。無意識のうち、アリスは光り輝く長剣へと足を運び、そして長剣の柄を握りしめ長剣を高々と抜いた。その瞬間光は凝縮されたように長剣へと集まり、やがて光は消えた。
『お前にその剣を預ける。光源は剣のエネルギー、魔力である。その剣を持ち、近い未来に訪れる争いを収めるのだ』
そう言うと飛竜は羽を広げ、顔を高々とあげてから大きく吠えた。その瞬間、アリスの意識が遠のいていった。








気がつけばアリスは元いた自分の村にたっていた。アリスは飛竜はいなかったという嘘の報告書を書いてその場をしのいだ。
しかし飛竜から貰った長剣の使い方がよく分からない。見た目はどこでもあるような素朴なものだが、長年に渡り剣を握った感覚が言っているのだ。この剣には秘められし力がある、それを使いこなすべきだ、と。アリスはその事を確信し、自分の持てる知識と経験を全て長剣に費やした。
こうしてアリスは新しい力を手に入れたのだ。










アリスが17歳になる頃だっただろうか。
世界に異変がおきた。それは普通の異変などではない。荒野を行き交う謎の生き物。人を無造作に殺してゆく生き物。それはどう見ても昔から伝えられた魔物、ゴブリンだった。ゴブリンの集団は悲鳴と血と殺戮を欲していた。知性があるのか、その行動に意味があるのかも人間にはわかることはなかった。
村人は村で一番安全とも言える建物に避難し、村の長や剣士などが対策法を考えている。しかしこうしている間にも一刻一刻と時間は過ぎていく。アリスは立ち上がり、3年前に手に入れた長剣を持ち、ゴブリンのいる場所へとかけていった。ゴブリンとは基本的に最弱クラスの魔物だが、実戦などをしたことが無いアリスにとっては充分過ぎるほどの迫力だった。アリスも聖剣士と言われるだけあり、腕のたつものではあるが、所詮は一人の少女である。殺しだけを望むゴブリンの鋭くギラギラ光った目を見るだけで足がすくんでしまう。当然のことだ。聖剣士も所詮は人間、所詮は人間なのだ。自分可愛さで全てを決める、醜い人間。人間の力で魔物に立ち向かう、ましてや勝とうなど、無謀にもほどがある。
アリスは恐怖で心が揺らぎ、とても戦える状態などではなかった。



だが長剣は、いや。長剣に宿る精霊はそれを許さなかった。
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