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ライブラリーカフェ
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重苦しい空気を打ち破ったのはロッテでした。
「お兄さま。王立図書館の幽霊の間って、クレメンタイン公爵家が買い上げたんですよね? あそこでカフエができませんかね。 家賃タダだし、水回りも完備しているし、業務用に改造しても改造費は安いでしょ。コーヒーなら匂いにつられて6階まで人がくるかも?」
ナオはその提案に心が躍りました。
王都みたいな街は家賃が高いことで知られています。
いくらセディの援助があるからと言って、高い家賃を払ってカフェをやればとても宰相閣下が期待するような利益なんて出せるとは思えません。
ナオはメイド喫茶で働いていましたから、店長が家賃や人件費で四苦八苦していたのを見て知っていたのです。
「それ面白いんじゃないか? 私はあんまり本を読む方じゃないけど、カフェで本読んだり勉強しているやつけっこういたよ」
ナオは嬉しそうにロッテの提案に賛成しましたが、ロッテの仲間たちは図書館とカフェという組み合わせに納得がいかないようです。
喫茶店というのは、人通りの多い街中にあって、歩き疲れた人が休息に使うものだと思っているようでした
それなら一度王立図書館の幽霊の間を見てから考えようと、ナオと仲間たちはひとまずクレメンタイン公爵家が所有しているという幽霊の間を見に行くことにします。
図書館へいく途中で役所によって、戸籍の申請をすれば一石二鳥ではありませんか。
「おい、役所はここみたいだぞ」
「ふぇー。立派な建物だなぁ」
「入り口に兵士がたっているけど、大丈夫なのか」
「大丈夫だって。こっちには宰相閣下が認めて下さった仮戸籍があるんだからな」
「ちょっと。みんなが見てるじゃない。恥ずかしいから黙って!」
たかが役所への届け出。
しかも、提出するだけの書類を用意してもらっているというのに、カムイたち一行はドギマギ、ギクシャクと役所に入っていきました。
警備兵に止められなかったのは、メイドさんたちに着せられた新しい服がかなり上等だったからでしょう。
役所に入ってきょろきょろしていると、グレーのプリンセスラインのワンピースを着た女性がにこやかに声をかけてきました。
「お手伝いいたしましょうか?」
「はい、助かります。私たち戸籍の届け出にきたんです」
ナオがほっとした顔で、仮戸籍を取り出して見せましたが、その印章をみるなり女性の顔はみるみるうちにこわばってしまいました。
「大変失礼いたしました。ご案内いたします。どうぞこちらに」
ナオ達は役所の2階にある豪奢な応接室に通され、ほとんど待つことなく偉そうな男の人が飛び込んできました。
「ご連絡を頂ければ、私共の方から係の者を派遣いたしましたのに、わざわざ足を運んで頂いてありがとうございます。私はこの役所の責任者を致しておりますトビィ・アンドリュー・グプタでございます」
ナオたちはあっけにとられてしまいました。
家名持ちってことは、貴族かさもなければナイトの位階を持っている人に違いありません。
それがナオたちみたいな平民どころか戸籍も持たないような子供たちに頭を下げるんですから。
けれどもすぐにカムイは、これは自分達ではなくクレメンタイン公爵家の威光だと気がつきました。
「いいんです。さきほど宰相閣下から馬車を出すと言われたのですが、僕たちは町を歩いてみたかったしそのついでにこちらに寄ったのですから」
「おぉ。宰相閣下直々にこちらの書類を渡されたのですか。それはそれは。戸籍の登録場所がクレメンタイン公爵家の離宮となっておりますが、皆さま方は公爵家とはそのう……」
どうやらお役人はナオたちと公爵家の関係を知りたいようです。
もしかしてこの子たちは、公爵の隠し子なのでしょうか?
それともここにいる女性が、公爵家の誰かの愛人ってことだって考えられます。
わからないのは、なんで5人もそろって離宮に住まわせることにしたのかということです。
ともかくもこの書類にはクレメンタイン公爵家の認証がありますし、しかも住まいもクレメンタイン公爵家の離宮なのですから、丁寧に扱っておくにかぎります。
「あぁ、ここにいるナオがもう1人の異界渡りの姫君なんだ。この姫君は少し変わり者でね。市井で暮らしたいと希望されたので、僕らが側近として選ばれたんですよ」
「なんと! 異界渡りの姫君がもう一方おいでとは!」
役人の目はキラリと光ました。
うまくナオを取り込もうとでも思ったのでしょうか。
「あぁ、言っとくけどナオさまは既にプレシュス辺境伯が正式に猶子とされています。クレメンタイン公爵家も非公式ながら後ろ盾を表明しているから、これ以上の庇護は必要ないわよ」
シリルがそんな役人の願望をすぐさま打ち消してしまいました。
こうしてナオたちは役所で、下へもおかぬもてなしを受けたので愉快でたまりません。
王立図書館に入った時には、とっくに役所から連絡が入っていて、ナオ達はビップ待遇で図書館内や幽霊の間を案内されることになってしまいました。
そんなナオの姿は、成り上がろうとする人々にとってはまたとない獲物でしたから、図書館の中では既になんとかナオに取り入ろうとする人々が集まっていたのです。
これが貴族ならば平民から声をかけることなんて出来ませんし、貴族と知り合いたければ御大層な紹介状を手に入れる必要があります。
なのにナオはそんな人々の欲望の前に、哀しい程無防備な姿をさらしていますし、ナオを守る若者たちは貴族社会や上流社会の恐ろしさをまったくわかっていないのです。
ロッテやクレメンタイン公爵家が憂慮した事態は、すでにその口を開けていたのでした。
しかもナオが持つ、クレメンタイン公爵家にざまぁしてやろうというような、幼い稚気がナオの意思に反して大きなうねりになっていくことになります。
そんなこととは知らないナオたちは幽霊の間の設備に歓声を上げていました。
「うわぁー。凄い。業務用のオーブンが標準装備なんて信じられないわ」
「うん、水回りは完璧だね。これならすぐにでもカフェがはじめられるぞ」
「でも、少し狭くない?」
「あぁ、それならオープンカフェ方式にするといいのよ。どうせ図書館の中なんだもの。天候にも左右されないしね」
「オープンカフェって何よ!」
「お部屋の外に、テーブルや椅子を出して、そこにもお客様に座ってもらうのよ」
「おい、そんなことしていいのかよ」
「大丈夫よ。オープンカフェってお洒落なんだからね」
わいわい、がやがやと騒いでいるといつの間にかそんなナオたちの周りには人だかりができています。
「異界渡りの姫君がもう1人現れたんですってよ」
「その姫君がこちらでカフェを開かれるんですって」
「ナオさまとおっしゃるそうよ。気さくに平民ともお話なさるんですって」
「まぁ、ナオさま。私、カフェができたら常連になりますわ」
「あら、抜け駆けするなんてずるいわ。ナオさま、私こそ絶対にカフェを応援いたしますわ」
そんな応援の声を聞いて、ナオ達はもう上機嫌です。
これならきっと喫茶店は上手くいくでしょう。
大いに儲けて、あの偉そうな宰相閣下をぎゃふんといわせてやろうじゃありませんか。
ナオ達は、もうすっかり喫茶店が大成功する未来しか見えなくなっていました。
若いナオ達は知らなかったのです。
良く知らない相手に、真っ先に親切そうにすり寄ってくる人こそ、最も危険な相手であるということを。
ナオ達が上機嫌でクレメンタイン公爵家に帰宅すると、ロッテが吉報を聞かせてくれました。
図書館でカフェを開く許可を取るために、セディが図書館の本を守る術式を掛ければいいのではないか?というのです。
確かに図書館で火器を使うのですから、それぐらいのことをしないと王立図書館でのカフェの認可はおりないでしょう。
宰相閣下がセディさえ図書館防御の術式を展開することに同意すれば、カフェ設立の認可は取ってくれると言って下さったそうです。
それを聞いたナオたち5人は揃ってセディを見つめました。
「わかった。わかった! 降参だと。防御の術式ぐらいいくらだって作ってやるさ」
とたんにドッとナオ達が歓声をあげました。
「さすが。セディ」
「セディ、ありがとう」
「いよ! セディは男だね」
「セディは頼りになると思ってたわ」
「セディ、恩に着るぜ」
セディはナオたちにお礼を言われて照れています。
「いいから、いいから。兄貴には私から頼んでおくよ。明日は模様替えの為に業者にいかなきゃなぁ。今夜は自分達でカフェに必要なものを書き出しておけよ」
そう言ってセディはこの場から逃げ出してしまいました。
残ったロッテの側には美しい少女と凛々しい貴公子がいます。
それに気づいてナオが質問しました。
「あんたたち、誰?」
「ごめんなさい、自己紹介が遅れたわね。私はリリー、こちらが兄のアンバーよ。二人ともロッテの友達なの。なんだか楽しそうなことをしているわね。私たちもてつだうわ。」
そのリリーの言葉にかぶせるようにアンバーも言いました。
「図書館でカフェなんて、凄いアイデアじゃないか! 僕にも手伝わせてくれ。アンバーだ」
「ナオよ」
「アリスです」
「カムイだ」
「シリル」
「ソルだ」
彼等はあっという間に友達になると、家でカフェのことをもっと相談しようぜ!とぞろぞろと図書館を出ていってしまいました、
なぜかアンバーまで、仲間みたいにあとに続いています。
いいのかなぁ?
ロッテは横目でリリーを覗きこみました。
リリーを見ると、リリーは澄ました顔でお茶を飲んでいます。
リリーはナオ達に身分を明かしませんでしたが、その正体はリリアナ・メンドーサ・マクギネス公爵令嬢にして、現王太子殿下の婚約者です。
つまりリリーは将来は王妃様になる訳で、その兄であるアンバーは当然未来のマクギネス公爵閣下なのです。
そんなアンバー公子が、壁外出身の若者たちと仲間みたいにつるむというのは、本来はいけないことだと思うのですが……
けれどもロッテはリリーがあまりにも平然としているので、ともかくはまぁいいことにしてしまいました。
一方、ナオ達にとっては、すでにアンバーはただの友達として認識されてしまったのです。
「お兄さま。王立図書館の幽霊の間って、クレメンタイン公爵家が買い上げたんですよね? あそこでカフエができませんかね。 家賃タダだし、水回りも完備しているし、業務用に改造しても改造費は安いでしょ。コーヒーなら匂いにつられて6階まで人がくるかも?」
ナオはその提案に心が躍りました。
王都みたいな街は家賃が高いことで知られています。
いくらセディの援助があるからと言って、高い家賃を払ってカフェをやればとても宰相閣下が期待するような利益なんて出せるとは思えません。
ナオはメイド喫茶で働いていましたから、店長が家賃や人件費で四苦八苦していたのを見て知っていたのです。
「それ面白いんじゃないか? 私はあんまり本を読む方じゃないけど、カフェで本読んだり勉強しているやつけっこういたよ」
ナオは嬉しそうにロッテの提案に賛成しましたが、ロッテの仲間たちは図書館とカフェという組み合わせに納得がいかないようです。
喫茶店というのは、人通りの多い街中にあって、歩き疲れた人が休息に使うものだと思っているようでした
それなら一度王立図書館の幽霊の間を見てから考えようと、ナオと仲間たちはひとまずクレメンタイン公爵家が所有しているという幽霊の間を見に行くことにします。
図書館へいく途中で役所によって、戸籍の申請をすれば一石二鳥ではありませんか。
「おい、役所はここみたいだぞ」
「ふぇー。立派な建物だなぁ」
「入り口に兵士がたっているけど、大丈夫なのか」
「大丈夫だって。こっちには宰相閣下が認めて下さった仮戸籍があるんだからな」
「ちょっと。みんなが見てるじゃない。恥ずかしいから黙って!」
たかが役所への届け出。
しかも、提出するだけの書類を用意してもらっているというのに、カムイたち一行はドギマギ、ギクシャクと役所に入っていきました。
警備兵に止められなかったのは、メイドさんたちに着せられた新しい服がかなり上等だったからでしょう。
役所に入ってきょろきょろしていると、グレーのプリンセスラインのワンピースを着た女性がにこやかに声をかけてきました。
「お手伝いいたしましょうか?」
「はい、助かります。私たち戸籍の届け出にきたんです」
ナオがほっとした顔で、仮戸籍を取り出して見せましたが、その印章をみるなり女性の顔はみるみるうちにこわばってしまいました。
「大変失礼いたしました。ご案内いたします。どうぞこちらに」
ナオ達は役所の2階にある豪奢な応接室に通され、ほとんど待つことなく偉そうな男の人が飛び込んできました。
「ご連絡を頂ければ、私共の方から係の者を派遣いたしましたのに、わざわざ足を運んで頂いてありがとうございます。私はこの役所の責任者を致しておりますトビィ・アンドリュー・グプタでございます」
ナオたちはあっけにとられてしまいました。
家名持ちってことは、貴族かさもなければナイトの位階を持っている人に違いありません。
それがナオたちみたいな平民どころか戸籍も持たないような子供たちに頭を下げるんですから。
けれどもすぐにカムイは、これは自分達ではなくクレメンタイン公爵家の威光だと気がつきました。
「いいんです。さきほど宰相閣下から馬車を出すと言われたのですが、僕たちは町を歩いてみたかったしそのついでにこちらに寄ったのですから」
「おぉ。宰相閣下直々にこちらの書類を渡されたのですか。それはそれは。戸籍の登録場所がクレメンタイン公爵家の離宮となっておりますが、皆さま方は公爵家とはそのう……」
どうやらお役人はナオたちと公爵家の関係を知りたいようです。
もしかしてこの子たちは、公爵の隠し子なのでしょうか?
それともここにいる女性が、公爵家の誰かの愛人ってことだって考えられます。
わからないのは、なんで5人もそろって離宮に住まわせることにしたのかということです。
ともかくもこの書類にはクレメンタイン公爵家の認証がありますし、しかも住まいもクレメンタイン公爵家の離宮なのですから、丁寧に扱っておくにかぎります。
「あぁ、ここにいるナオがもう1人の異界渡りの姫君なんだ。この姫君は少し変わり者でね。市井で暮らしたいと希望されたので、僕らが側近として選ばれたんですよ」
「なんと! 異界渡りの姫君がもう一方おいでとは!」
役人の目はキラリと光ました。
うまくナオを取り込もうとでも思ったのでしょうか。
「あぁ、言っとくけどナオさまは既にプレシュス辺境伯が正式に猶子とされています。クレメンタイン公爵家も非公式ながら後ろ盾を表明しているから、これ以上の庇護は必要ないわよ」
シリルがそんな役人の願望をすぐさま打ち消してしまいました。
こうしてナオたちは役所で、下へもおかぬもてなしを受けたので愉快でたまりません。
王立図書館に入った時には、とっくに役所から連絡が入っていて、ナオ達はビップ待遇で図書館内や幽霊の間を案内されることになってしまいました。
そんなナオの姿は、成り上がろうとする人々にとってはまたとない獲物でしたから、図書館の中では既になんとかナオに取り入ろうとする人々が集まっていたのです。
これが貴族ならば平民から声をかけることなんて出来ませんし、貴族と知り合いたければ御大層な紹介状を手に入れる必要があります。
なのにナオはそんな人々の欲望の前に、哀しい程無防備な姿をさらしていますし、ナオを守る若者たちは貴族社会や上流社会の恐ろしさをまったくわかっていないのです。
ロッテやクレメンタイン公爵家が憂慮した事態は、すでにその口を開けていたのでした。
しかもナオが持つ、クレメンタイン公爵家にざまぁしてやろうというような、幼い稚気がナオの意思に反して大きなうねりになっていくことになります。
そんなこととは知らないナオたちは幽霊の間の設備に歓声を上げていました。
「うわぁー。凄い。業務用のオーブンが標準装備なんて信じられないわ」
「うん、水回りは完璧だね。これならすぐにでもカフェがはじめられるぞ」
「でも、少し狭くない?」
「あぁ、それならオープンカフェ方式にするといいのよ。どうせ図書館の中なんだもの。天候にも左右されないしね」
「オープンカフェって何よ!」
「お部屋の外に、テーブルや椅子を出して、そこにもお客様に座ってもらうのよ」
「おい、そんなことしていいのかよ」
「大丈夫よ。オープンカフェってお洒落なんだからね」
わいわい、がやがやと騒いでいるといつの間にかそんなナオたちの周りには人だかりができています。
「異界渡りの姫君がもう1人現れたんですってよ」
「その姫君がこちらでカフェを開かれるんですって」
「ナオさまとおっしゃるそうよ。気さくに平民ともお話なさるんですって」
「まぁ、ナオさま。私、カフェができたら常連になりますわ」
「あら、抜け駆けするなんてずるいわ。ナオさま、私こそ絶対にカフェを応援いたしますわ」
そんな応援の声を聞いて、ナオ達はもう上機嫌です。
これならきっと喫茶店は上手くいくでしょう。
大いに儲けて、あの偉そうな宰相閣下をぎゃふんといわせてやろうじゃありませんか。
ナオ達は、もうすっかり喫茶店が大成功する未来しか見えなくなっていました。
若いナオ達は知らなかったのです。
良く知らない相手に、真っ先に親切そうにすり寄ってくる人こそ、最も危険な相手であるということを。
ナオ達が上機嫌でクレメンタイン公爵家に帰宅すると、ロッテが吉報を聞かせてくれました。
図書館でカフェを開く許可を取るために、セディが図書館の本を守る術式を掛ければいいのではないか?というのです。
確かに図書館で火器を使うのですから、それぐらいのことをしないと王立図書館でのカフェの認可はおりないでしょう。
宰相閣下がセディさえ図書館防御の術式を展開することに同意すれば、カフェ設立の認可は取ってくれると言って下さったそうです。
それを聞いたナオたち5人は揃ってセディを見つめました。
「わかった。わかった! 降参だと。防御の術式ぐらいいくらだって作ってやるさ」
とたんにドッとナオ達が歓声をあげました。
「さすが。セディ」
「セディ、ありがとう」
「いよ! セディは男だね」
「セディは頼りになると思ってたわ」
「セディ、恩に着るぜ」
セディはナオたちにお礼を言われて照れています。
「いいから、いいから。兄貴には私から頼んでおくよ。明日は模様替えの為に業者にいかなきゃなぁ。今夜は自分達でカフェに必要なものを書き出しておけよ」
そう言ってセディはこの場から逃げ出してしまいました。
残ったロッテの側には美しい少女と凛々しい貴公子がいます。
それに気づいてナオが質問しました。
「あんたたち、誰?」
「ごめんなさい、自己紹介が遅れたわね。私はリリー、こちらが兄のアンバーよ。二人ともロッテの友達なの。なんだか楽しそうなことをしているわね。私たちもてつだうわ。」
そのリリーの言葉にかぶせるようにアンバーも言いました。
「図書館でカフェなんて、凄いアイデアじゃないか! 僕にも手伝わせてくれ。アンバーだ」
「ナオよ」
「アリスです」
「カムイだ」
「シリル」
「ソルだ」
彼等はあっという間に友達になると、家でカフェのことをもっと相談しようぜ!とぞろぞろと図書館を出ていってしまいました、
なぜかアンバーまで、仲間みたいにあとに続いています。
いいのかなぁ?
ロッテは横目でリリーを覗きこみました。
リリーを見ると、リリーは澄ました顔でお茶を飲んでいます。
リリーはナオ達に身分を明かしませんでしたが、その正体はリリアナ・メンドーサ・マクギネス公爵令嬢にして、現王太子殿下の婚約者です。
つまりリリーは将来は王妃様になる訳で、その兄であるアンバーは当然未来のマクギネス公爵閣下なのです。
そんなアンバー公子が、壁外出身の若者たちと仲間みたいにつるむというのは、本来はいけないことだと思うのですが……
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一方、ナオ達にとっては、すでにアンバーはただの友達として認識されてしまったのです。
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