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穏やかな生活
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離宮での生活はまるで神殿で生活しているのではないかと錯覚してしまうぐらい穏やかなものでした。
この離宮のまわりは森や小川などが身近にあって、精霊獣たちも伸びやかに過ごすことができました。
「不思議なことねぇ。苛烈としか思えないセイレイン大王がこのような穏やかな離宮を作るなんて」
アルカが思わず呟いた言葉に素直に反応したのはシャロンでした。
「こちらは陛下の母君がお住まいだった離宮なのですよ。母君はとてもお優しいお方だったと聞いております。それが大神殿から魔に取り込まれたと断罪されて処刑されておしまいになるのですから、神様も酷いことをなさるものですわ」
「どういうことなの? 私の育ての母様も邪瘴を招いた疑いで処刑されそうになって、結局その呪いで死んでしまったのよ。大神殿はそんなにも簡単に王族を断罪できるものなの?」
「大神殿は神子さまを握っておりましたからね。大神殿に睨まれたたら精霊の加護を失うのですから逆らえる者などおありませんわ。けれどこれは公然の秘密なんですけれども王妃の座を狙って大神殿にそんな讒言をしたのが後妻に入った方だったそうですよ」
「まさか。いくらなんでも神殿が讒言なんかで無実の人を処罰するなんて……」
そうは言っても師匠であるベルだってそう言えば神殿の被害者でした。
だとしたら神殿とは一体なんなのでしょうか?
「神殿は神子さまを握ってやりたい放題だったのですよ。教皇さまは巫女姫さまのお父さまですからこんなことは言いたくはありませんけれどもねぇ。神官だから人を疑うことがないような方だったそうですわ。ですから色々な思惑のある人々に利用されたのでしょう」
「そんなことは許されることではないわ。教皇というのがそこまでの権威があるとしたら、その力を振るうのはよほど調べてからしかできない筈よ」
「それは正論だがな。神殿はもはや一度全て打ち壊すしかないほど腐りきっていたのさ。神殿の被害者は私の母だけではないぞ。魔女とされた女どもがどれだけ虐殺されたか知っているか?」
いつの間にやってきたのかセイレイン大王の重々しい声が割って入ってきました。
「陛下」
アルカが軽く頭を垂れると王は手を振ってその必要はないと示し、椅子をアルカに進めました。
「お互いにかなり誤解があるようだ。確かに私はそなたにとれば憎むべき親の仇ではあろうが、大神殿を打ち壊したことで各国の神殿にも司直の手が入り、世にもおぞましい罪が明るみに出たのだぞ」
アルカはこのセイレイン大王をおぞましい侵略者として見ていましたが、救済者という側面を持っているというのです。
そう言えばナイトが無事に王太子として世に出ることができた背景にも、アルカの両親の死後神殿の権威が大きく削がれたことでナイトの父であるアストリア王が真犯人を見つけだすことが出来たからでした。
それでも証拠を追い求めて真実を掴むのに10年の歳月が必要でした。
「陛下は自分が救世主だとおっしゃるつもりなのですか?」
アルカの声が冷たいのは仕方がないことです。
アルカの両親はこの男に殺され、愛しいナイトとの結婚まで邪魔されたのですから、アルカにセイレイン大王を擁護できる訳がありません。
「お前は随分と馬鹿なのだな」
そう言われてアルカが絶句しました。
今までアルカに面と向かってこんな失礼なことを言った人はいません。
「世の中は善と悪に簡単に色分けできるとでも思っているのか? どんなことにも良い面と悪い面が存在するのが当たり前だし、見る者の立場によって見えるものが違うものだ。お前にとってはオレは侵略者であり虐殺者だろう。別の者には救済者であり、庇護者にもなる。ばかばかしい。お前はやはりあの教皇の娘なのだな。大甘なことだ」
アルカは何も言えなくなってしまいました。
どうやらセイレイン国民にとってセイレイン大王は英雄だということは、この国に入ってからアルカが実感してきたことです。
セイレイン大王は国民からはこよなく愛されていました。
不思議なことにセイレイン大王は弱者には恐ろしいほど優しく接するくせに、自分の部下である高位高官にある人々にたいしてはとてつもなく厳しい主君だったのです。
「もしかして陛下は地位ある者が間違いを犯すことを最も罪深いことだと考えておられるのではありませんか? 民にはとても甘くていらっしゃるようですもの」
「国とは何だと思っているのかな。神子の姫君は? 私は民を守るために王があり貴族がいると思っているよ。庇護者である我らが間違いを犯せば、民が苦しむことになる。民を守れぬ貴族にその地位は相応しいとは思わぬがな」
これは信じられないような考え方でした。
普通なら民が王を支え守るものだと考えるでしょう。
なのにこの王は民を守るのが王であり、それが出来ぬならその地位からおりるべきだというのです。
苛烈すぎる意見ですがそう考えるようになったのは、きっと罪なき母君を弑された怒りがこの根源になったに違いありません。
アルカは黙って考え込んでしまいました。
ふっと気が付いた時にはセイレイン大王の姿がなく、ただアルカへのプレゼントらしい甘い香りがする菓子が残っているだけでした。
「姫さま、このお菓子は陛下からのプレゼントですのよ。お茶を入れますから召し上がってください。それにしてもあの陛下がいったどんな顔をしてこんなお菓子を選ばれたのかしら?」
シャロンがそう笑うのは無理もありません。
一口大の焼き菓子は、子猫や子犬を精巧に模して造られていて、見た目にもまことに愛らしいものでした。
アルカが口に運んでみると、果物のジャムやクリームなどが菓子の中にたっぷりと詰まっていて思わず顔がほころんでしまいます。
「おいしいわ。それにとても繊細な味がするのね」
そんな感想を聞いてシャロンは嬉しそうに微笑みました。
「お気に召してよかったです。これは陛下のお母さまが好んでいらしたお菓子なので、陛下のお母さまの愛称で呼ばれているのですよ。フィナといってお客様がいらしたときやお祝い事などの時に食べられるものなんです」
「陛下のお母さまってフィナって呼ばれたいらしたのですか? 歌姫フィナと同じ名前ですね」
「当然ですわ。これは内緒のお話ですけれど伝説の歌姫フィナが突然消えてしまったのは前王と御結婚されたからなのですよ。さすがに王妃さまが民間の出であることを明かす訳にはいかないので、王妃様はやんごとなきかたの深窓の姫として社交界にデビューしたんですけれどね」
「まぁ。それは素敵なお話ではありませんか。どうしても内緒にしておかなければいかなかったのですか?」
「貴賤結婚は神殿に固く禁じられていたのですよ。昔は特に厳しかったのです。王妃さまが無実の罪に落とされたのもその生まれがばれたからとも言われているんですから」
「そんな!」
アルカはセイレイン大王の真実の姿が思ったものと大きく違っていることに驚愕してしまいました。
確かに歌姫フィナはそれこそ天使のような歌声で人々を魅了していましたが、その身分は平民よりも卑しい流民です。
流民というのは旅から旅へと諸国を巡りあるく芸人や商人などを指す言葉で、国籍を持たないのでどうしても不利な扱いを受けてしまうのでした。
いくら隠されていたにしても母君の身分が低かったことは、口さがない人々によってひそやかに語られたでしょうし、幼い王子を蔑む人々だっていたことでしょう。
その上その母親を殺され、しかもその張本人だろう人が義理の母になれば、王子の処遇が悲惨だったろうことは容易に想像できることです。
幼い王子が身分や血筋を振りかざすだけの人々憎むことがあってもおかしくありません。
だからこそ大王は身分を持たぬ人々に慈愛の心を向けているのでしょう。
「私はどうしたらいいのかしら」
思わずそんな言葉を洩らしてしまったアルカに、シャロンがほおを緩ませました。
「アルカさまはそのままでよろしいのですよ。陛下はアルカさまに負い目があるのですわ。ですからアルカさまが穏やかに過ごせるように心を砕いていらっしゃるんですもの」
「それならあのままアカツキ皇国で暮らしていくことを認めてくれれば、それだけでよかったのよ。だって私は初恋の人と結婚するところだったのですもの」
「陛下だってきっとそうしたかったはずですわ。けれども巫女姫をお迎えしなければならないほどセイレインの国は荒れ果ててしまったのです。どうか3年間だけ我慢してくださいまし。3年経てば国も復興するでしょうから、そうなったら何としても父に頼んでアルカ様をアカツキ皇国にお返ししますから」
シャロンが心からそう言っているのがアルカにはわかりました。
ナイト。
私もしかしたら間違っていたかもしれないわ。
アルカは愛しいナイトが、ひたすらセイレイン国を打ち滅ぼそうとしているだろうと考えて、なんとも言えない気持ちになるのでした。
この離宮のまわりは森や小川などが身近にあって、精霊獣たちも伸びやかに過ごすことができました。
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アルカが思わず呟いた言葉に素直に反応したのはシャロンでした。
「こちらは陛下の母君がお住まいだった離宮なのですよ。母君はとてもお優しいお方だったと聞いております。それが大神殿から魔に取り込まれたと断罪されて処刑されておしまいになるのですから、神様も酷いことをなさるものですわ」
「どういうことなの? 私の育ての母様も邪瘴を招いた疑いで処刑されそうになって、結局その呪いで死んでしまったのよ。大神殿はそんなにも簡単に王族を断罪できるものなの?」
「大神殿は神子さまを握っておりましたからね。大神殿に睨まれたたら精霊の加護を失うのですから逆らえる者などおありませんわ。けれどこれは公然の秘密なんですけれども王妃の座を狙って大神殿にそんな讒言をしたのが後妻に入った方だったそうですよ」
「まさか。いくらなんでも神殿が讒言なんかで無実の人を処罰するなんて……」
そうは言っても師匠であるベルだってそう言えば神殿の被害者でした。
だとしたら神殿とは一体なんなのでしょうか?
「神殿は神子さまを握ってやりたい放題だったのですよ。教皇さまは巫女姫さまのお父さまですからこんなことは言いたくはありませんけれどもねぇ。神官だから人を疑うことがないような方だったそうですわ。ですから色々な思惑のある人々に利用されたのでしょう」
「そんなことは許されることではないわ。教皇というのがそこまでの権威があるとしたら、その力を振るうのはよほど調べてからしかできない筈よ」
「それは正論だがな。神殿はもはや一度全て打ち壊すしかないほど腐りきっていたのさ。神殿の被害者は私の母だけではないぞ。魔女とされた女どもがどれだけ虐殺されたか知っているか?」
いつの間にやってきたのかセイレイン大王の重々しい声が割って入ってきました。
「陛下」
アルカが軽く頭を垂れると王は手を振ってその必要はないと示し、椅子をアルカに進めました。
「お互いにかなり誤解があるようだ。確かに私はそなたにとれば憎むべき親の仇ではあろうが、大神殿を打ち壊したことで各国の神殿にも司直の手が入り、世にもおぞましい罪が明るみに出たのだぞ」
アルカはこのセイレイン大王をおぞましい侵略者として見ていましたが、救済者という側面を持っているというのです。
そう言えばナイトが無事に王太子として世に出ることができた背景にも、アルカの両親の死後神殿の権威が大きく削がれたことでナイトの父であるアストリア王が真犯人を見つけだすことが出来たからでした。
それでも証拠を追い求めて真実を掴むのに10年の歳月が必要でした。
「陛下は自分が救世主だとおっしゃるつもりなのですか?」
アルカの声が冷たいのは仕方がないことです。
アルカの両親はこの男に殺され、愛しいナイトとの結婚まで邪魔されたのですから、アルカにセイレイン大王を擁護できる訳がありません。
「お前は随分と馬鹿なのだな」
そう言われてアルカが絶句しました。
今までアルカに面と向かってこんな失礼なことを言った人はいません。
「世の中は善と悪に簡単に色分けできるとでも思っているのか? どんなことにも良い面と悪い面が存在するのが当たり前だし、見る者の立場によって見えるものが違うものだ。お前にとってはオレは侵略者であり虐殺者だろう。別の者には救済者であり、庇護者にもなる。ばかばかしい。お前はやはりあの教皇の娘なのだな。大甘なことだ」
アルカは何も言えなくなってしまいました。
どうやらセイレイン国民にとってセイレイン大王は英雄だということは、この国に入ってからアルカが実感してきたことです。
セイレイン大王は国民からはこよなく愛されていました。
不思議なことにセイレイン大王は弱者には恐ろしいほど優しく接するくせに、自分の部下である高位高官にある人々にたいしてはとてつもなく厳しい主君だったのです。
「もしかして陛下は地位ある者が間違いを犯すことを最も罪深いことだと考えておられるのではありませんか? 民にはとても甘くていらっしゃるようですもの」
「国とは何だと思っているのかな。神子の姫君は? 私は民を守るために王があり貴族がいると思っているよ。庇護者である我らが間違いを犯せば、民が苦しむことになる。民を守れぬ貴族にその地位は相応しいとは思わぬがな」
これは信じられないような考え方でした。
普通なら民が王を支え守るものだと考えるでしょう。
なのにこの王は民を守るのが王であり、それが出来ぬならその地位からおりるべきだというのです。
苛烈すぎる意見ですがそう考えるようになったのは、きっと罪なき母君を弑された怒りがこの根源になったに違いありません。
アルカは黙って考え込んでしまいました。
ふっと気が付いた時にはセイレイン大王の姿がなく、ただアルカへのプレゼントらしい甘い香りがする菓子が残っているだけでした。
「姫さま、このお菓子は陛下からのプレゼントですのよ。お茶を入れますから召し上がってください。それにしてもあの陛下がいったどんな顔をしてこんなお菓子を選ばれたのかしら?」
シャロンがそう笑うのは無理もありません。
一口大の焼き菓子は、子猫や子犬を精巧に模して造られていて、見た目にもまことに愛らしいものでした。
アルカが口に運んでみると、果物のジャムやクリームなどが菓子の中にたっぷりと詰まっていて思わず顔がほころんでしまいます。
「おいしいわ。それにとても繊細な味がするのね」
そんな感想を聞いてシャロンは嬉しそうに微笑みました。
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「陛下のお母さまってフィナって呼ばれたいらしたのですか? 歌姫フィナと同じ名前ですね」
「当然ですわ。これは内緒のお話ですけれど伝説の歌姫フィナが突然消えてしまったのは前王と御結婚されたからなのですよ。さすがに王妃さまが民間の出であることを明かす訳にはいかないので、王妃様はやんごとなきかたの深窓の姫として社交界にデビューしたんですけれどね」
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「そんな!」
アルカはセイレイン大王の真実の姿が思ったものと大きく違っていることに驚愕してしまいました。
確かに歌姫フィナはそれこそ天使のような歌声で人々を魅了していましたが、その身分は平民よりも卑しい流民です。
流民というのは旅から旅へと諸国を巡りあるく芸人や商人などを指す言葉で、国籍を持たないのでどうしても不利な扱いを受けてしまうのでした。
いくら隠されていたにしても母君の身分が低かったことは、口さがない人々によってひそやかに語られたでしょうし、幼い王子を蔑む人々だっていたことでしょう。
その上その母親を殺され、しかもその張本人だろう人が義理の母になれば、王子の処遇が悲惨だったろうことは容易に想像できることです。
幼い王子が身分や血筋を振りかざすだけの人々憎むことがあってもおかしくありません。
だからこそ大王は身分を持たぬ人々に慈愛の心を向けているのでしょう。
「私はどうしたらいいのかしら」
思わずそんな言葉を洩らしてしまったアルカに、シャロンがほおを緩ませました。
「アルカさまはそのままでよろしいのですよ。陛下はアルカさまに負い目があるのですわ。ですからアルカさまが穏やかに過ごせるように心を砕いていらっしゃるんですもの」
「それならあのままアカツキ皇国で暮らしていくことを認めてくれれば、それだけでよかったのよ。だって私は初恋の人と結婚するところだったのですもの」
「陛下だってきっとそうしたかったはずですわ。けれども巫女姫をお迎えしなければならないほどセイレインの国は荒れ果ててしまったのです。どうか3年間だけ我慢してくださいまし。3年経てば国も復興するでしょうから、そうなったら何としても父に頼んでアルカ様をアカツキ皇国にお返ししますから」
シャロンが心からそう言っているのがアルカにはわかりました。
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