2回目チート人生、まじですか

ゆめ

文字の大きさ
101 / 147
動き出した影と光

戦闘Ⅴ

しおりを挟む
「あっ、…………ちぃ…」

 すぐに下がったとはいえ至近距離での爆発は俺自身にも被害はあった。

 ま、魔力で身体をおおってたから熱いぐらいだけなんだけどねハッハッハ。

 顔を上げると激しく燃えるアヴォルの姿。

 地殻にある元素で何が多いか知っているだろうか?地殻中には様々な元素が含まれている。そして中でも多いとされているのがーO。つまり酸素。酸素が燃焼を促進させるのは理科を少し学んだ者なら誰でも知るところ。それを高密度に圧縮させ、魔法に組み込んだのだ。
 つまり。

「おーおー…燃える燃える」

 素晴らしく燃える。

「聖属性の方も組み込んどいて良かったなぁ」

 聖属性を組み込んだのだお陰で炎は白い。
 や、真っ白い炎は初めて見たわ。
 綺麗綺麗。

「ぐっ…………ただの炎じゃないのか………………」

 身を焦がされながらアヴォルは苦痛の声を漏らす。

 うんうん、流石にノーダメージは無理だよね。

 だがすぐに鎮火される。
 まあこれで倒すのは無理だとわかってたしダメージを与えられたから良しとしよう。

「…やるな………しかし………少し腹立たしい」

 あ、やべぇ、明らかにキレてる。

 アヴォルが口を開いた。
 詠唱をする、と分かっていたが今までとは比べ物にならない速さの詠唱に追いつけなかった。身体は一応魔力で覆ってた。
 だが高密度に凝さ圧縮れた魔法は見事に俺の横腹を貫いた。

「ぐっ…………………いっ………………………」

 圧縮されてたため威力が予想を遥かに超えた。しかしその分低範囲。
 横腹ということもあり致命傷にはならない。が、このまま放置しとけば出血多量でさようなら。

 い、いやすぎる…

 決着は早くつけなければいけない。魔力を腹部に集めて軽く止血をする。
 アヴォルがキレた状態では治癒魔法なんざ使う暇はない。瞬間的に行える方法しか不可能だ。

「『果てなき空』『越せ果てない過去』」
「ぐっ……………………」
「『越せ彼方』『遥か彼方』『荒れ狂え』」

 重力魔法を、増幅。さらに自身に身体能力向上の魔法重ねがけ、そしてその効果を何倍にも増幅させる魔法そして暴風での移動補助の魔法を連続で行使する。剣を構えながら明らかに動きが遅くなったアヴォルに向かって一直線に進む。

 重力何十倍にしてると思ってんだよ…

確かに動きは遅くなった、がそれでもなお素早い動きを見せるアヴォルに舌打ちをする。

「チッ、」

 更に凍結魔法で俺が地面に着地する寸前に俺の足元を上手く凍らせたアヴォルの器用さに腹が立つ。
 見事に滑り体勢を崩す。
 そこを見逃すアヴォルではない。

「ふっ……………………」 
「ウグッ………………………………………」

 回し蹴りを傷口とは逆の横腹にくらい吹っ飛ばされる。

 逆の横腹で良かったが俺今日吹っ飛ばされ過ぎじゃね?

 などと考える暇なく連撃は続く。

 吹っ飛ぶ俺と同時に地面を蹴ったアヴォルは更に追い打ちをかけるように俺を下から蹴りあげた。

「いってぇ………………な」

 予測は出来たので腕でガードする。しかし今度は上に飛ばされる。
 すぐにまたアヴォルが来る。
 瞬時に体勢を立て直し空中で空気を圧縮させ足場を作る。そして上に飛んでくるアヴォル目掛けて剣を振るう。

「くそっ……………」

 アヴォルの腕が中を舞う。

「やってくれたな……………」
「お返しだよ…」

 再生されるとせっかくの攻撃が台無しになるのですぐさま宙に舞った腕を焼く。

 息付く暇はない。アヴォルが放った攻撃魔法をギリギリで避けながら詠唱を行う。

「なっ…!?」

 突如として足元に現れた湖にアヴォルは沈む。さらに重力を増大させてやると一瞬で底まで沈む。
 そして俺は飛行魔法で湖の上空に移動。数秒後にはアヴォルは陸に上がってくるだろう。だからそれまでに終わらせる。

「『貫き、通し、拡散し、突き進む。意思持ち穿て、燃え尽きろ』」

 フォルティスに使った時より詠唱を長くした聖属性の大規模魔法。
 
 一瞬で魔法で生み出された湖の水は消え去った。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

二度目の勇者は救わない

銀猫
ファンタジー
 異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。  しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。  それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。  復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?  昔なろうで投稿していたものになります。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...