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プロローグ
勇者になる40人と勇者にならない1人
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「ありがとうございます!皆様!それでは早速…」
「ちょっと待ってください」
王女の嬉しそうな言葉を遮るように声を発したのは、俺。
このままの流れは困る。非常に困る。何が困るかって?そんなの決まっている。
「俺は魔王退治の勇者とやらにはなりません」
これ、コレ大切。
やる気を出していたクラスメート40人がは?とまたもや口をポカーンと開けた。
すみません、俺一言もやるなんて行ってないんですけど…
え、ちょ!やめてよ!そんな目で見ないで!
「え…っと…貴方様は…」
「あ、俺の名前は一之瀬蒼涼です。とにかく俺は勇者にはなりません」
「あの…元の世界にお返しすることは不可能ですが…」
「あ、別にいいです」
良くないけど。
良くないけど勇者になるのはもうごめんだ!!!
だって俺は昔1回勇者になって魔王退治〝しているんだから〟
隣に居る徹の方を見ると心配そうな瞳でこちらを見る。
うん、やっぱりこいつは他の奴と違うんだな。
お前は他の奴らのような目で見ないんだな。
本当に徹は良い奴だ。良い奴だからこそこの世界を助けようとしてしまう。
「蒼涼…」
「悪いな、徹。俺はパスだ。勇者なんかになるくらいだったら元の世界には帰らなくてもいい」
「そ…か」
なんだあいつ、という目でみてくる徹を除いた39人の目が辛い。
徹は俺の意見を尊重する、という感じだ。
他は違う。クラスの輪を乱す異端視を見る目。
軽く震えてしまう。
情けない。こんなことでトラウマが蘇りそうになるだなんて。
「申し訳ありませんが俺はさよならです、王女様」
軽く一礼して扉へと手をかける。
その時、慌てて止めに入る声が響いた。
「お、お待ちください!!勇者にならないという貴方様のご意見は分かりました。しかしこの後どうなさるのですか?元の世界にお送りすることは叶いません。そして勇者以外の方を国が生活をサポートすることも出来ません!」
そりゃそか。国が役に立ちもしない一般ピーポーの面倒なんかみてたら反感とかいろいろ大変そうだもんな。
しかしこの王女様のこのセリフは遠回しに勇者になる以外に選択肢がないぞ、と言っているのと同じだ。
つまりどういう訳か。
そちらの都合で呼び出しておいてさらには俺に軽く脅しをかけているのと同じことだ。
「外でも生きていくのは大変です!なら…」
「申し訳ありません」
それでも俺は笑う。
「勇者など、二度となりません。では失礼します」
「二度…と?」
あ、やべ。口が滑った…けどまぁいっか。
俺の台詞にこの場にいたもの全てが疑問に思ったのだろう。
だが俺はその疑問を解消する気もなく徹にじゃあな、と告げ早足で立ち去った。
「蒼涼…」
徹は止めることなく俺を見ていた。
俺の頭の中には勇者だった頃の記憶ー前世の記憶がグルグル渦をまいていた。
「ちょっと待ってください」
王女の嬉しそうな言葉を遮るように声を発したのは、俺。
このままの流れは困る。非常に困る。何が困るかって?そんなの決まっている。
「俺は魔王退治の勇者とやらにはなりません」
これ、コレ大切。
やる気を出していたクラスメート40人がは?とまたもや口をポカーンと開けた。
すみません、俺一言もやるなんて行ってないんですけど…
え、ちょ!やめてよ!そんな目で見ないで!
「え…っと…貴方様は…」
「あ、俺の名前は一之瀬蒼涼です。とにかく俺は勇者にはなりません」
「あの…元の世界にお返しすることは不可能ですが…」
「あ、別にいいです」
良くないけど。
良くないけど勇者になるのはもうごめんだ!!!
だって俺は昔1回勇者になって魔王退治〝しているんだから〟
隣に居る徹の方を見ると心配そうな瞳でこちらを見る。
うん、やっぱりこいつは他の奴と違うんだな。
お前は他の奴らのような目で見ないんだな。
本当に徹は良い奴だ。良い奴だからこそこの世界を助けようとしてしまう。
「蒼涼…」
「悪いな、徹。俺はパスだ。勇者なんかになるくらいだったら元の世界には帰らなくてもいい」
「そ…か」
なんだあいつ、という目でみてくる徹を除いた39人の目が辛い。
徹は俺の意見を尊重する、という感じだ。
他は違う。クラスの輪を乱す異端視を見る目。
軽く震えてしまう。
情けない。こんなことでトラウマが蘇りそうになるだなんて。
「申し訳ありませんが俺はさよならです、王女様」
軽く一礼して扉へと手をかける。
その時、慌てて止めに入る声が響いた。
「お、お待ちください!!勇者にならないという貴方様のご意見は分かりました。しかしこの後どうなさるのですか?元の世界にお送りすることは叶いません。そして勇者以外の方を国が生活をサポートすることも出来ません!」
そりゃそか。国が役に立ちもしない一般ピーポーの面倒なんかみてたら反感とかいろいろ大変そうだもんな。
しかしこの王女様のこのセリフは遠回しに勇者になる以外に選択肢がないぞ、と言っているのと同じだ。
つまりどういう訳か。
そちらの都合で呼び出しておいてさらには俺に軽く脅しをかけているのと同じことだ。
「外でも生きていくのは大変です!なら…」
「申し訳ありません」
それでも俺は笑う。
「勇者など、二度となりません。では失礼します」
「二度…と?」
あ、やべ。口が滑った…けどまぁいっか。
俺の台詞にこの場にいたもの全てが疑問に思ったのだろう。
だが俺はその疑問を解消する気もなく徹にじゃあな、と告げ早足で立ち去った。
「蒼涼…」
徹は止めることなく俺を見ていた。
俺の頭の中には勇者だった頃の記憶ー前世の記憶がグルグル渦をまいていた。
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