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哀しき闇の子
奇妙な手品師
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アガルジ村での出来事から数日後――レイニーラ王国へ向かうグライン達は、ベリロ高地に続く岩山地帯に来ていた。
「あー腹減ったぁ……ったく、いつまで歩かなきゃなんねえんだよ」
半ば苛立ち気味にクレバルが言う。
「うるさいわね。グチグチ言ってる暇があったら足動かしなさいよ」
背後にいたリルモがクレバルの尻に蹴りを入れる。
「ってぇな。蹴っ飛ばすんじゃねえよ」
「黙って足動かせって言ってんのよ!」
「こんの野郎、きったねぇ足で蹴りやがって」
「きったねぇ足で悪かったわね!」
「まあまあ」
クレバルの首を締め上げるリルモを宥めるグライン。
「そういえバ、この岩山地帯にハ町があったはずヨ」
ティムの一言。前方には岩山の間に町らしき場所があるのが見える。セレバールの町であった。
「お、珍獣の言った通り確かに町があるぜ。丁度腹が減ってたとこなんだ!」
クレバルはセレバールの町まで足を急がせる。
「ンキー! 珍獣っテ呼ぶナって言ってるでショオ!」
頭から湯気を出しながらもクレバルの後を追うティム。リルモはやれやれとぼやきながらも、グラインと共に足を進める。
セレバールの町に辿り着いた一行は、まずは腹ごしらえという事で食堂に向かう。食事を堪能しながらも、グラインはふと手を止める。パスタの具材として入っている茄子が嫌いなのだ。
「何だお前。まさか茄子が嫌いなのかよ?」
「え、えっと……」
クレバルに問い詰められるグラインは正直に言えない様子。
「バカかお前。好き嫌いしてんじゃねぇぞ。俺は食い物に関しては基本的に好き嫌いはねぇんだからな」
「そ、そうなんですか」
「ふーん、好き嫌いで後輩にマウント取るわけ?」
リルモはクレバルに鋭い視線を送りながらもスープを飲む。
「はあ? 別にマウント取ってるわけじゃねえよ」
「自分には食べ物の好き嫌いがないからって威張るなって話よ。私だって茄子は嫌いなんだから」
「そ、そーでごぜーやすか……」
あっさり論破されたクレバルは黙って食事にありつける。
「ところデ……この町でモ妙な予感ガするわネ」
ホットミルクを飲み終えたティムが言う。
「妙な予感って?」
「何か起きそうというカ、ちょト情報を集めてみル必要がありそうヨ」
ティムは食堂にいる客人の話し声に耳を傾け始める。
「……うーん、何か悪い事がなければいいんだけど」
グラインは茄子を退けながらもパスタを口にする。こっそりと客人の会話を聞き取っていたティムは得られた情報を整理する。最近、旅の女手品師が毎日広場に現れて様々な手品を披露していて住民から絶賛されていると。そして夜になると正体不明の魔物が町中を徘徊している、といった情報であった。食事を終えた一行はティムから全ての情報を聞く。
「手品師?」
「どうやら町デ今大人気の旅の女手品師らしいわヨ」
グラインは旅の女手品師の事が気になり始める。
「夜になると魔物が町中を徘徊してるってのはどういう事なの?」
「それハ解らナいワ。ケド、どうニもクサイ臭いガするのよネ」
「おいリルモ、お前したのか?」
「は?」
クサイ臭いの意味を取り違えたクレバルの失言にリルモは怒りのあまり、クレバルの顔面目掛けて回し蹴りを叩き込む。
「ハァ……ヒトが真剣な話してルのニ」
ティムはのびているクレバルを見てウンザリした様子でぼやく。一行は一休みしようと宿屋へ向かおうとするが、町の広場の方に人だかりが出来ているのを見つけたグラインは思わずその様子を凝視する。
「ねえ、もしかしてティムが言ってた旅の女手品師が来てるんじゃない?」
「そうみたいだね」
リルモの一言に頷くグライン。
「手品ぁ? んなもんどうせインチキだろ?」
クレバルはあまり興味なさそうな様子。
「行ってみまショ。何かあるかモしれないワ」
ティムは進んで広場へ向かう。リルモはクレバルを引っ張りながらもティムの後に続くと、グラインも広場へ歩き出す。広場には巨大な箱が設置され、ステッキを手にマジシャンの衣装を着た美女がいる。噂の女手品師であった。
「さあ皆さん、ソフィア・メオリーラのマジックショーはここからが本番よぉ!」
ソフィアという名の女手品師はステッキを振り翳すと、傍らの箱からは猛獣が出現する。ソフィアは唸り声を上げる猛獣を大人しくさせ、シルクハットから一本の長剣を取り出す。舌で刀身をペロリと軽く舐め、次々と猛獣を剣で突き刺していくソフィア。その光景に驚く人々。だが、剣で刺されたはずの猛獣は全く動じずに毛繕いしている。それどころか、刃が猛獣の身体に貫通したままで、血が出ていないのだ。
「な、何だありゃあ?」
「どういう仕掛けなんだ? あれ本物だよな?」
人々が驚く中、ソフィアは猛獣の身体に突き刺した剣を抜き、シルクハットからリンゴを取り出しては上に投げ、一振りで真っ二つにする。両断されたリンゴはシルクハットで受け止められ、更に次々とリンゴを出現させ、一個ずつ上に投げて剣で突き刺し、団子状に串刺しにしては一個ずつ抜き取っていき、再び上に投げては一振りで両断していく。切られた全てのリンゴがシルクハットで受け止められると、再び猛獣に剣を深々と突き刺していく。だが猛獣は何も反応を示さず、立ち上がっては欠伸をしていた。
「おいおい、あの猛獣本物なのかよ?」
クレバルは手品の種を調べようとする。
「フフフ、皆さん。今のでここにいる猛獣に何かトリックが仕込まれていると思ったでしょう?」
ソフィアがステッキを回転させる。
「実はというとこの猛獣は本物。嘘だと思うなら触ってみてもいいのよ」
ソフィアから猛獣を触る許可が下りると、一部の人々が近付こうとする。だがすぐに猛獣が相手ではという考えになり、足を止めてしまう。
「あらぁ、流石に猛獣だとそう易々と触れないのね。だったら私が証明してあげるわ」
ソフィアはシルクハットから両断されたリンゴを出すと、そっと猛獣に与える。すると、猛獣は一口でリンゴを食べ始める。シャリシャリと噛み砕かれるリンゴの音。そっと猛獣の身体を撫でるソフィアの手。紛れもなく本物である事を証明していた。だが、猛獣の身体には剣が突き刺さったままである。
「なあ、まさかあの剣に仕掛けがあるってのか?」
剣が怪しいと見たクレバルが呟く。
「フフフフ、今度はこの剣が怪しいと思ったでしょ」
見事にクレバルの考えている事に対して返答したかのようにソフィアが言う。
「この剣も実は本物なのよ。試してあげようかしら」
ソフィアは猛獣の身体に突き刺さった剣を抜き、設置された巨大な箱に向けて大きく振る。箱に一筋の傷が刻まれると、更に剣を振り下ろす。巨大な箱はあっさりと斬り裂かれ、再び猛獣の身体を深々と突き刺す。だが、猛獣には何の変化もなく、ソフィアに与えられたリンゴを貪っていた。
「な……一体どうなってるんだ?」
トリックの種が解らず、呆然とするグライン達。ティムは真剣な表情でソフィアを見つめている。ソフィアはシルクハットから骨付き肉を出現させ、それを猛獣に与える。涎を垂らしながら肉を貪る猛獣を前に、ソフィアはステッキを掲げる。次の瞬間、広場は客人による拍手喝采に包まれた。
「あれが手品か……」
グラインはソフィアの手品を不思議に思いながらも、剣が刺さった状態で肉を食う猛獣の姿を見つめていた。
「今日の手品はここまで。それじゃ、また明日ね」
ソフィアは猛獣を連れて広場から去っていく。
「あの人がやった事って、本当に手品なのかしら。何か変な感じね」
リルモはソフィアの手品に不審めいたものを感じていた。
「確かに、あの猛獣には剣が突き刺さっても全く何もなかったし、血すら出ていない。剣に何かありそうだけど」
グラインもまた、ソフィアの手品の内容に不気味な印象を抱いていた。
「でもよ、ソフィアだっけ? あの手品師のお姉さん、なかなかの美人だったよな。今度俺が手品の実験台になってやろかな?」
ニヤニヤとするクレバルを見て何言ってんのよとリルモがぼやく。
「あの手品師も気になるケド、今は身体を休める事が先決ヨ。それニ……」
グラインはティムが得たもう一つの情報について気になり始める。ソフィアと名乗る謎の手品師の他、夜になると正体不明の魔物が町中を徘徊しているという話であった。
「夜になると魔物が出るってどういう事なんだ?」
「ウーン、詳しい事までハ解らなかっタかラネ……まずハワタシ達の目デ確かめルのガ先決だワ」
一先ず宿屋で休息を取る事になった一行は部屋を確保する。
「全く、俺達はいつになったらレイニーラに帰れるんだ?」
クレバルはレイニーラの状況が気掛かりである。
「この岩山地帯を抜けレばベリロ高地ヨ。デモ、まだ距離があるわネ」
「はああ? まだ歩かねえといけねえのかよ……」
「だからこうして一休みしてるんでしょ。私だって気になるのは山々だけど、グチグチ言っても何もならないわよ」
「へーへー」
リルモとクレバルが会話している横で、グラインは部屋の窓から外の様子を眺めていた。丁度日が沈む頃で、空は夕焼けになっている。
「それにしても喉が渇いたぜ。誰かジュース買ってきてくれよ」
ベッドの上に横たわるクレバルからの一言。
「僕が行きます」
「お、案外気が利くじゃねえか。ならグレープジュース頼むぜ。炭酸の」
「リルモは?」
「イチゴミルクでいいわ」
「ティムは?」
「ワタシはココア、と言いたイところだけド、ワタシも付いていくワ。もう少し色んな話ヲ聞く必要があルみたいだカラ」
ティムは、ジュースを買うついでに町の住民から更に情報を集めるつもりでグラインと同行する気なのだ。グラインはティムと共に部屋から出ると、クレバルは現在部屋の中でリルモと二人きりという事実を知って真顔になる。
「何真顔になってるのよ」
リルモからの突っ込みの一言。
「いや、珍しく部屋で二人きりになっちまったと思ってな」
「私も同行すればよかったかしら?」
「いやいやいやとんでもない!」
リルモと同室状態のクレバルは内心ドキドキしていた。
「ところでよ。珍獣が言ってた夜に町中を徘徊する魔物って何なんだろうな」
「さあ……もしかしてティムが同行したのは魔物に関する情報を探す為じゃない?」
「あいつはよくわかんねぇってか、薄気味悪いぜ」
ベッドに横たわりながらも一息付くクレバルを横に、リルモはふと窓の方に目をやる。
「……母さん……」
リルモは内心、母であるルルカの事を気に掛けていた。バキラ達の襲撃からずっと自宅に帰っていない上、現在レイニーラがどうなっているのかも解らない。そんな現状に心配が募っているのだ。
宿屋から少し離れた場所にある万屋にてジュースを買いに行くグライン。その間、ティムは町中で周囲の人々からこっそりと記憶を読み取る事で様々な情報を集めていた。一通りジュースを買い終え、勘定を済ませたグラインは店から出ると、ティムがやって来る。
「丁度買い終えタばかリなのネ」
「うん。思ったよりも色んな種類のジュースがあって驚いたよ」
二人は宿屋に戻ろうとする。
「きゃあああ!」
突然の悲鳴。何事かと周囲を見渡すグライン。
「ま、魔物だー!」
パニックになる一人の男。
「魔物だって?」
グラインとティムは思わず身構える。その時、建物の陰に怪しい人影が見える。
「あそこだ!」
人影を追うグライン。彷徨うように歩く人影は、小さな魔物の姿をしていた。
「待ちなさイ、グライン!」
ティムが呼び止める。
「ティム?」
「下手に深追いしないデ、泳がせルのヨ」
ティムの言う通りに、遠目で魔物の様子を見るグライン。だが、魔物の姿は突然消滅していく。
「消えた……?」
一体何だったんだと思いつつも、グラインは辺りを見回す。魔物らしき姿はどこにもない様子だった。
「まさか今のが、夜に町中を徘徊する魔物だったのか?」
グラインは用心しつつも、周囲を確認するばかり。
「グライン。どうやラさっきの魔物ハもういなイようだワ。一先ず戻ルわヨ」
「う、うん」
ティムの言葉に従い、グラインはクレバル達が待つ宿屋へ戻っていく。
宿屋のベッドで寝転がっているクレバルはずっと窓の外を眺めているリルモが気になっていた。
「なあリルモ。いつまで外の景色眺めてんだよ」
思わず声を掛けるクレバルだが、リルモは振り返ろうとしない。
「おい! 聞いてんのかよ?」
「うるさいわね! ちゃんと聞こえてるわよ」
返事するものの、リルモは尚も窓の外を眺めていた。
「お前も気になってんのか? レイニーラが今どうなってるのか」
「いいえ。夕日が綺麗だから景色を見て落ち着いてたのよ」
クレバルが問うものの、リルモは何事もないように振る舞う。内心母が無事かどうか気にしているものの、仲間の前では下手に心配を掛けさせないよう、極力心情を表に出さないと考えているのだ。そんな時、グラインとティムが戻って来る。
「おせぇぞお前ら」
「マア、アナタ達の為にジュース買いニ行っテあげてルのニ、随分な事言ってくれルじゃナイ?」
立腹するティムを前に、グラインが買ったばかりのジュースを配っていく。
「ん? おい。ちょっと待てよ。これ、普通のグレープジュースじゃねえか」
クレバル用に買ったジュースは炭酸ジュースではなく、濃縮果汁タイプのグレープジュースであった。
「え? でも確かグレープジュースって」
「バカかお前。炭酸のグレープって言っただろ」
「へ? えっと……」
グラインは困惑の表情を浮かべる。グラインは生まれて一度も炭酸飲料タイプのジュースを飲んだ経験がないどころか、野菜ジュース等の健康飲料しか飲ませて貰えない上、水とお茶以外の飲み物は健康飲料しか飲んではいけないという決まり事がある家庭で育ったせいで炭酸飲料そのものを知らなかったのだ。その事もあって普通の濃縮果汁グレープジュースとの違いが解らず、グレープジュースを買えばいいと思い込んで間違えてしまったのである。
「そういえば炭酸って言ってたけど、炭酸って? 普通のジュースとどう違うんですか?」
素っ頓狂な声でグラインが聞くと、クレバルの視線が冷ややかになる。
「お前……まさか炭酸のジュース知らねえの?」
「……はい。飲んだ事がないもので」
気まずい空気を感じたグラインはどうしたらいいものかと戸惑う。
「ウソだろおい……お前、まさかオレンジジュースばっかり飲んでたってのか?」
「えっと、水とお茶以外は野菜ジュースとか健康に良いものしか飲ませて貰えなかったから……」
「ふーん……健康第一な家庭でのお育ちでございますか」
呆れたようにクレバルが言うと、グレープジュースを飲み始める。グラインは申し訳なさそうに黙り込んでしまう。
「気にしなくていいわよ。健康最優先なのはいい事だから」
気の毒に感じたリルモが励ましの言葉を掛ける。
「クレバル、あんたも少しはマシな事言えないの? 先輩だからって何言ってもいいってもんじゃないわよ」
「何だよ? お前はなんでそんなにグラインには甘いんだよ」
「別に甘いわけじゃないわよ。大体あんた、ちょっと威張りすぎじゃないの? もし何かあったら許さないって事は解ってるでしょうね?」
「あーあー解ってるっての。ったく、クチ開けばとことんうるせぇ女だぜ」
「あんたねぇ!」
リルモがクレバルの髪の毛と胸倉を掴み始める。
「エーと、ちょっとワタシからモ話したい事ガあるんだケド……いいかしラ?」
ティムが話を切り出し始める。グラインがジュースを買っている間に町中で得た人々からの情報――西の方向にはアバルの村があり、更にその先には黒い雲と不気味な光が見えるという話であった。
「アバルの村だって?」
グラインが声を張り上げる。
「知ってるの?」
「うん……僕の幼馴染だった子の引っ越し先なんだ」
アバルの村に住むグラインの幼馴染、その名はダリム。グラインが幼い頃に毎日仲良く遊んでいた友達だったが、ある日ダリムの両親が考え方の食い違いで不仲になってしまい、衝突の末に父親は蒸発し、母親の実家があるアバルの村に引っ越してしまった。グラインにとっては数少ない友達であり、文通すら交わしていない事もあっていつかまた会いたいと考えていたのだ。
「へえ、その子は元気してるのかしら」
「だといいけど……」
グラインはダリムに会いたいと思うものの、ティムの不穏な情報を聞いて何とも言えない不安に襲われていた。
「で、それが何だってんだ?」
言ったのはクレバルである。
「グラインの幼馴染の事なんか今はどうでもいいんだよ。俺達はまずレイニーラに帰らねぇといけねえだろ。レイニーラに早く帰れる情報くらいねぇのかよ」
クレバルの言い草に内心カチンと来るグライン。そこでリルモが鋭い目を向けたままクレバルに顔を近付ける。
「どうでもいいって言い方はないでしょ! 言葉を選びなさいよ」
「いちいち寄るなっての! お前らだってレイニーラが今どうなってんのか気になってるんじゃねえのか」
「問題はそんな事じゃないわよ!」
リルモとクレバルが揉め合ってると、外から突然叫び声が聞こえてくる。女の叫び声であった。
「今の声は?」
一行はすぐさま部屋から出ると、パニックになっている一人の女性を発見する。
「何があったんですか?」
「バケモノよ! 今この辺にバケモノが……!」
バケモノ、つまり例の魔物が宿屋に現れたのかと察したグラインとティムは辺りを見回す。
「宿屋にバケモノだと? 冗談じゃねえぜ!」
クレバルが身構えた瞬間、グラインは怪しい人影を発見する。その人影は明らかに魔物の背後であり、グラインとティムが町中で目撃した彷徨う魔物であった。
「やはりさっきの町中にいた魔物だ! どうする?」
まだ様子見でいくべきなのか、追うべきなのかとグラインは考えてしまう。
「どうするもこうするも、こんなところにいるんだったらとっ捕まえるしかねえだろ」
躊躇なく魔物の元へ向かうクレバル。
「ア! 待ちナさイ!」
ティムの声も聞かず、クレバルは魔物の前までやって来る。
「待ちやがれバケモノ!」
魔物がクレバルの方に振り返ると、赤い目を持つ醜悪な顔が露になる。だがその顔はどんどん変化していき、幼い顔立ちの少年の顔になっていく。その顔を見たグラインの表情が凍り付く。
「……ダリム……?」
なんと、魔物の姿でありながらも幼い少年の顔立ちに変化したその顔は、グラインの幼馴染であるダリムの顔そのものだったのだ。
「あー腹減ったぁ……ったく、いつまで歩かなきゃなんねえんだよ」
半ば苛立ち気味にクレバルが言う。
「うるさいわね。グチグチ言ってる暇があったら足動かしなさいよ」
背後にいたリルモがクレバルの尻に蹴りを入れる。
「ってぇな。蹴っ飛ばすんじゃねえよ」
「黙って足動かせって言ってんのよ!」
「こんの野郎、きったねぇ足で蹴りやがって」
「きったねぇ足で悪かったわね!」
「まあまあ」
クレバルの首を締め上げるリルモを宥めるグライン。
「そういえバ、この岩山地帯にハ町があったはずヨ」
ティムの一言。前方には岩山の間に町らしき場所があるのが見える。セレバールの町であった。
「お、珍獣の言った通り確かに町があるぜ。丁度腹が減ってたとこなんだ!」
クレバルはセレバールの町まで足を急がせる。
「ンキー! 珍獣っテ呼ぶナって言ってるでショオ!」
頭から湯気を出しながらもクレバルの後を追うティム。リルモはやれやれとぼやきながらも、グラインと共に足を進める。
セレバールの町に辿り着いた一行は、まずは腹ごしらえという事で食堂に向かう。食事を堪能しながらも、グラインはふと手を止める。パスタの具材として入っている茄子が嫌いなのだ。
「何だお前。まさか茄子が嫌いなのかよ?」
「え、えっと……」
クレバルに問い詰められるグラインは正直に言えない様子。
「バカかお前。好き嫌いしてんじゃねぇぞ。俺は食い物に関しては基本的に好き嫌いはねぇんだからな」
「そ、そうなんですか」
「ふーん、好き嫌いで後輩にマウント取るわけ?」
リルモはクレバルに鋭い視線を送りながらもスープを飲む。
「はあ? 別にマウント取ってるわけじゃねえよ」
「自分には食べ物の好き嫌いがないからって威張るなって話よ。私だって茄子は嫌いなんだから」
「そ、そーでごぜーやすか……」
あっさり論破されたクレバルは黙って食事にありつける。
「ところデ……この町でモ妙な予感ガするわネ」
ホットミルクを飲み終えたティムが言う。
「妙な予感って?」
「何か起きそうというカ、ちょト情報を集めてみル必要がありそうヨ」
ティムは食堂にいる客人の話し声に耳を傾け始める。
「……うーん、何か悪い事がなければいいんだけど」
グラインは茄子を退けながらもパスタを口にする。こっそりと客人の会話を聞き取っていたティムは得られた情報を整理する。最近、旅の女手品師が毎日広場に現れて様々な手品を披露していて住民から絶賛されていると。そして夜になると正体不明の魔物が町中を徘徊している、といった情報であった。食事を終えた一行はティムから全ての情報を聞く。
「手品師?」
「どうやら町デ今大人気の旅の女手品師らしいわヨ」
グラインは旅の女手品師の事が気になり始める。
「夜になると魔物が町中を徘徊してるってのはどういう事なの?」
「それハ解らナいワ。ケド、どうニもクサイ臭いガするのよネ」
「おいリルモ、お前したのか?」
「は?」
クサイ臭いの意味を取り違えたクレバルの失言にリルモは怒りのあまり、クレバルの顔面目掛けて回し蹴りを叩き込む。
「ハァ……ヒトが真剣な話してルのニ」
ティムはのびているクレバルを見てウンザリした様子でぼやく。一行は一休みしようと宿屋へ向かおうとするが、町の広場の方に人だかりが出来ているのを見つけたグラインは思わずその様子を凝視する。
「ねえ、もしかしてティムが言ってた旅の女手品師が来てるんじゃない?」
「そうみたいだね」
リルモの一言に頷くグライン。
「手品ぁ? んなもんどうせインチキだろ?」
クレバルはあまり興味なさそうな様子。
「行ってみまショ。何かあるかモしれないワ」
ティムは進んで広場へ向かう。リルモはクレバルを引っ張りながらもティムの後に続くと、グラインも広場へ歩き出す。広場には巨大な箱が設置され、ステッキを手にマジシャンの衣装を着た美女がいる。噂の女手品師であった。
「さあ皆さん、ソフィア・メオリーラのマジックショーはここからが本番よぉ!」
ソフィアという名の女手品師はステッキを振り翳すと、傍らの箱からは猛獣が出現する。ソフィアは唸り声を上げる猛獣を大人しくさせ、シルクハットから一本の長剣を取り出す。舌で刀身をペロリと軽く舐め、次々と猛獣を剣で突き刺していくソフィア。その光景に驚く人々。だが、剣で刺されたはずの猛獣は全く動じずに毛繕いしている。それどころか、刃が猛獣の身体に貫通したままで、血が出ていないのだ。
「な、何だありゃあ?」
「どういう仕掛けなんだ? あれ本物だよな?」
人々が驚く中、ソフィアは猛獣の身体に突き刺した剣を抜き、シルクハットからリンゴを取り出しては上に投げ、一振りで真っ二つにする。両断されたリンゴはシルクハットで受け止められ、更に次々とリンゴを出現させ、一個ずつ上に投げて剣で突き刺し、団子状に串刺しにしては一個ずつ抜き取っていき、再び上に投げては一振りで両断していく。切られた全てのリンゴがシルクハットで受け止められると、再び猛獣に剣を深々と突き刺していく。だが猛獣は何も反応を示さず、立ち上がっては欠伸をしていた。
「おいおい、あの猛獣本物なのかよ?」
クレバルは手品の種を調べようとする。
「フフフ、皆さん。今のでここにいる猛獣に何かトリックが仕込まれていると思ったでしょう?」
ソフィアがステッキを回転させる。
「実はというとこの猛獣は本物。嘘だと思うなら触ってみてもいいのよ」
ソフィアから猛獣を触る許可が下りると、一部の人々が近付こうとする。だがすぐに猛獣が相手ではという考えになり、足を止めてしまう。
「あらぁ、流石に猛獣だとそう易々と触れないのね。だったら私が証明してあげるわ」
ソフィアはシルクハットから両断されたリンゴを出すと、そっと猛獣に与える。すると、猛獣は一口でリンゴを食べ始める。シャリシャリと噛み砕かれるリンゴの音。そっと猛獣の身体を撫でるソフィアの手。紛れもなく本物である事を証明していた。だが、猛獣の身体には剣が突き刺さったままである。
「なあ、まさかあの剣に仕掛けがあるってのか?」
剣が怪しいと見たクレバルが呟く。
「フフフフ、今度はこの剣が怪しいと思ったでしょ」
見事にクレバルの考えている事に対して返答したかのようにソフィアが言う。
「この剣も実は本物なのよ。試してあげようかしら」
ソフィアは猛獣の身体に突き刺さった剣を抜き、設置された巨大な箱に向けて大きく振る。箱に一筋の傷が刻まれると、更に剣を振り下ろす。巨大な箱はあっさりと斬り裂かれ、再び猛獣の身体を深々と突き刺す。だが、猛獣には何の変化もなく、ソフィアに与えられたリンゴを貪っていた。
「な……一体どうなってるんだ?」
トリックの種が解らず、呆然とするグライン達。ティムは真剣な表情でソフィアを見つめている。ソフィアはシルクハットから骨付き肉を出現させ、それを猛獣に与える。涎を垂らしながら肉を貪る猛獣を前に、ソフィアはステッキを掲げる。次の瞬間、広場は客人による拍手喝采に包まれた。
「あれが手品か……」
グラインはソフィアの手品を不思議に思いながらも、剣が刺さった状態で肉を食う猛獣の姿を見つめていた。
「今日の手品はここまで。それじゃ、また明日ね」
ソフィアは猛獣を連れて広場から去っていく。
「あの人がやった事って、本当に手品なのかしら。何か変な感じね」
リルモはソフィアの手品に不審めいたものを感じていた。
「確かに、あの猛獣には剣が突き刺さっても全く何もなかったし、血すら出ていない。剣に何かありそうだけど」
グラインもまた、ソフィアの手品の内容に不気味な印象を抱いていた。
「でもよ、ソフィアだっけ? あの手品師のお姉さん、なかなかの美人だったよな。今度俺が手品の実験台になってやろかな?」
ニヤニヤとするクレバルを見て何言ってんのよとリルモがぼやく。
「あの手品師も気になるケド、今は身体を休める事が先決ヨ。それニ……」
グラインはティムが得たもう一つの情報について気になり始める。ソフィアと名乗る謎の手品師の他、夜になると正体不明の魔物が町中を徘徊しているという話であった。
「夜になると魔物が出るってどういう事なんだ?」
「ウーン、詳しい事までハ解らなかっタかラネ……まずハワタシ達の目デ確かめルのガ先決だワ」
一先ず宿屋で休息を取る事になった一行は部屋を確保する。
「全く、俺達はいつになったらレイニーラに帰れるんだ?」
クレバルはレイニーラの状況が気掛かりである。
「この岩山地帯を抜けレばベリロ高地ヨ。デモ、まだ距離があるわネ」
「はああ? まだ歩かねえといけねえのかよ……」
「だからこうして一休みしてるんでしょ。私だって気になるのは山々だけど、グチグチ言っても何もならないわよ」
「へーへー」
リルモとクレバルが会話している横で、グラインは部屋の窓から外の様子を眺めていた。丁度日が沈む頃で、空は夕焼けになっている。
「それにしても喉が渇いたぜ。誰かジュース買ってきてくれよ」
ベッドの上に横たわるクレバルからの一言。
「僕が行きます」
「お、案外気が利くじゃねえか。ならグレープジュース頼むぜ。炭酸の」
「リルモは?」
「イチゴミルクでいいわ」
「ティムは?」
「ワタシはココア、と言いたイところだけド、ワタシも付いていくワ。もう少し色んな話ヲ聞く必要があルみたいだカラ」
ティムは、ジュースを買うついでに町の住民から更に情報を集めるつもりでグラインと同行する気なのだ。グラインはティムと共に部屋から出ると、クレバルは現在部屋の中でリルモと二人きりという事実を知って真顔になる。
「何真顔になってるのよ」
リルモからの突っ込みの一言。
「いや、珍しく部屋で二人きりになっちまったと思ってな」
「私も同行すればよかったかしら?」
「いやいやいやとんでもない!」
リルモと同室状態のクレバルは内心ドキドキしていた。
「ところでよ。珍獣が言ってた夜に町中を徘徊する魔物って何なんだろうな」
「さあ……もしかしてティムが同行したのは魔物に関する情報を探す為じゃない?」
「あいつはよくわかんねぇってか、薄気味悪いぜ」
ベッドに横たわりながらも一息付くクレバルを横に、リルモはふと窓の方に目をやる。
「……母さん……」
リルモは内心、母であるルルカの事を気に掛けていた。バキラ達の襲撃からずっと自宅に帰っていない上、現在レイニーラがどうなっているのかも解らない。そんな現状に心配が募っているのだ。
宿屋から少し離れた場所にある万屋にてジュースを買いに行くグライン。その間、ティムは町中で周囲の人々からこっそりと記憶を読み取る事で様々な情報を集めていた。一通りジュースを買い終え、勘定を済ませたグラインは店から出ると、ティムがやって来る。
「丁度買い終えタばかリなのネ」
「うん。思ったよりも色んな種類のジュースがあって驚いたよ」
二人は宿屋に戻ろうとする。
「きゃあああ!」
突然の悲鳴。何事かと周囲を見渡すグライン。
「ま、魔物だー!」
パニックになる一人の男。
「魔物だって?」
グラインとティムは思わず身構える。その時、建物の陰に怪しい人影が見える。
「あそこだ!」
人影を追うグライン。彷徨うように歩く人影は、小さな魔物の姿をしていた。
「待ちなさイ、グライン!」
ティムが呼び止める。
「ティム?」
「下手に深追いしないデ、泳がせルのヨ」
ティムの言う通りに、遠目で魔物の様子を見るグライン。だが、魔物の姿は突然消滅していく。
「消えた……?」
一体何だったんだと思いつつも、グラインは辺りを見回す。魔物らしき姿はどこにもない様子だった。
「まさか今のが、夜に町中を徘徊する魔物だったのか?」
グラインは用心しつつも、周囲を確認するばかり。
「グライン。どうやラさっきの魔物ハもういなイようだワ。一先ず戻ルわヨ」
「う、うん」
ティムの言葉に従い、グラインはクレバル達が待つ宿屋へ戻っていく。
宿屋のベッドで寝転がっているクレバルはずっと窓の外を眺めているリルモが気になっていた。
「なあリルモ。いつまで外の景色眺めてんだよ」
思わず声を掛けるクレバルだが、リルモは振り返ろうとしない。
「おい! 聞いてんのかよ?」
「うるさいわね! ちゃんと聞こえてるわよ」
返事するものの、リルモは尚も窓の外を眺めていた。
「お前も気になってんのか? レイニーラが今どうなってるのか」
「いいえ。夕日が綺麗だから景色を見て落ち着いてたのよ」
クレバルが問うものの、リルモは何事もないように振る舞う。内心母が無事かどうか気にしているものの、仲間の前では下手に心配を掛けさせないよう、極力心情を表に出さないと考えているのだ。そんな時、グラインとティムが戻って来る。
「おせぇぞお前ら」
「マア、アナタ達の為にジュース買いニ行っテあげてルのニ、随分な事言ってくれルじゃナイ?」
立腹するティムを前に、グラインが買ったばかりのジュースを配っていく。
「ん? おい。ちょっと待てよ。これ、普通のグレープジュースじゃねえか」
クレバル用に買ったジュースは炭酸ジュースではなく、濃縮果汁タイプのグレープジュースであった。
「え? でも確かグレープジュースって」
「バカかお前。炭酸のグレープって言っただろ」
「へ? えっと……」
グラインは困惑の表情を浮かべる。グラインは生まれて一度も炭酸飲料タイプのジュースを飲んだ経験がないどころか、野菜ジュース等の健康飲料しか飲ませて貰えない上、水とお茶以外の飲み物は健康飲料しか飲んではいけないという決まり事がある家庭で育ったせいで炭酸飲料そのものを知らなかったのだ。その事もあって普通の濃縮果汁グレープジュースとの違いが解らず、グレープジュースを買えばいいと思い込んで間違えてしまったのである。
「そういえば炭酸って言ってたけど、炭酸って? 普通のジュースとどう違うんですか?」
素っ頓狂な声でグラインが聞くと、クレバルの視線が冷ややかになる。
「お前……まさか炭酸のジュース知らねえの?」
「……はい。飲んだ事がないもので」
気まずい空気を感じたグラインはどうしたらいいものかと戸惑う。
「ウソだろおい……お前、まさかオレンジジュースばっかり飲んでたってのか?」
「えっと、水とお茶以外は野菜ジュースとか健康に良いものしか飲ませて貰えなかったから……」
「ふーん……健康第一な家庭でのお育ちでございますか」
呆れたようにクレバルが言うと、グレープジュースを飲み始める。グラインは申し訳なさそうに黙り込んでしまう。
「気にしなくていいわよ。健康最優先なのはいい事だから」
気の毒に感じたリルモが励ましの言葉を掛ける。
「クレバル、あんたも少しはマシな事言えないの? 先輩だからって何言ってもいいってもんじゃないわよ」
「何だよ? お前はなんでそんなにグラインには甘いんだよ」
「別に甘いわけじゃないわよ。大体あんた、ちょっと威張りすぎじゃないの? もし何かあったら許さないって事は解ってるでしょうね?」
「あーあー解ってるっての。ったく、クチ開けばとことんうるせぇ女だぜ」
「あんたねぇ!」
リルモがクレバルの髪の毛と胸倉を掴み始める。
「エーと、ちょっとワタシからモ話したい事ガあるんだケド……いいかしラ?」
ティムが話を切り出し始める。グラインがジュースを買っている間に町中で得た人々からの情報――西の方向にはアバルの村があり、更にその先には黒い雲と不気味な光が見えるという話であった。
「アバルの村だって?」
グラインが声を張り上げる。
「知ってるの?」
「うん……僕の幼馴染だった子の引っ越し先なんだ」
アバルの村に住むグラインの幼馴染、その名はダリム。グラインが幼い頃に毎日仲良く遊んでいた友達だったが、ある日ダリムの両親が考え方の食い違いで不仲になってしまい、衝突の末に父親は蒸発し、母親の実家があるアバルの村に引っ越してしまった。グラインにとっては数少ない友達であり、文通すら交わしていない事もあっていつかまた会いたいと考えていたのだ。
「へえ、その子は元気してるのかしら」
「だといいけど……」
グラインはダリムに会いたいと思うものの、ティムの不穏な情報を聞いて何とも言えない不安に襲われていた。
「で、それが何だってんだ?」
言ったのはクレバルである。
「グラインの幼馴染の事なんか今はどうでもいいんだよ。俺達はまずレイニーラに帰らねぇといけねえだろ。レイニーラに早く帰れる情報くらいねぇのかよ」
クレバルの言い草に内心カチンと来るグライン。そこでリルモが鋭い目を向けたままクレバルに顔を近付ける。
「どうでもいいって言い方はないでしょ! 言葉を選びなさいよ」
「いちいち寄るなっての! お前らだってレイニーラが今どうなってんのか気になってるんじゃねえのか」
「問題はそんな事じゃないわよ!」
リルモとクレバルが揉め合ってると、外から突然叫び声が聞こえてくる。女の叫び声であった。
「今の声は?」
一行はすぐさま部屋から出ると、パニックになっている一人の女性を発見する。
「何があったんですか?」
「バケモノよ! 今この辺にバケモノが……!」
バケモノ、つまり例の魔物が宿屋に現れたのかと察したグラインとティムは辺りを見回す。
「宿屋にバケモノだと? 冗談じゃねえぜ!」
クレバルが身構えた瞬間、グラインは怪しい人影を発見する。その人影は明らかに魔物の背後であり、グラインとティムが町中で目撃した彷徨う魔物であった。
「やはりさっきの町中にいた魔物だ! どうする?」
まだ様子見でいくべきなのか、追うべきなのかとグラインは考えてしまう。
「どうするもこうするも、こんなところにいるんだったらとっ捕まえるしかねえだろ」
躊躇なく魔物の元へ向かうクレバル。
「ア! 待ちナさイ!」
ティムの声も聞かず、クレバルは魔物の前までやって来る。
「待ちやがれバケモノ!」
魔物がクレバルの方に振り返ると、赤い目を持つ醜悪な顔が露になる。だがその顔はどんどん変化していき、幼い顔立ちの少年の顔になっていく。その顔を見たグラインの表情が凍り付く。
「……ダリム……?」
なんと、魔物の姿でありながらも幼い少年の顔立ちに変化したその顔は、グラインの幼馴染であるダリムの顔そのものだったのだ。
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