Radiantmagic-煌炎の勇者-

橘/たちばな

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勇者の極光

地底に眠る文明

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古びた炭鉱に潜入した一行は坑道を進んでいく。周囲の坑木は朽ちており、かつて様々な鉱物が採掘された事を物語っていると言わんばかりに大量の砂利が詰め込まれたままのトロッコと途切れた線路が設けられていた。しかも周囲には採掘していた者達が使っていたとされるボロボロに錆びたスコップやツルハシ等採掘用の道具が転がっている。至る所に小さな灯が壁に設置され、辛うじて周囲を見渡せる明るさであった。
「何だよこりゃ。見るからに作業員の屍が出てきそうじゃねえか」
「気味悪い事言わないでよ。本当に古びた炭鉱って感じね」
クレバルとリルモが率直な感想を口にする中、ティムは炭鉱内にドワーフがいるかどうか確認すべく、杖を地面に置いてサーチ能力を試みる。
「……感じたワ。この炭鉱の奥ニ幾つかノ気配がスル」
ティム曰く、炭鉱内にドワーフが住んでいるとの事で坑道を進む一行。
「気を付けて! 何か来るよ」
グラインが身構えると、腐敗臭が漂い始める。採掘していた者達の成れの果てとなる食屍鬼『グール』、動く強酸の塊『アシッドジェル』、邪悪な意思を持つ有毒ガス『ベノムスモーク』といった魔物の群れであった。
「あまり近付きたくない生ゴミの山ね」
生理的な嫌悪感を抱いたガザニアは一歩後ろに下がる。グラインは炎の魔力を蓄積させ、リルモは槍を手に応戦しようとするものの、左胸の痛みは残っている。
「ストーンドライブ!」
クレバルの地魔法による岩石の嵐がグール達を襲う。同時にグラインがファイアウェイブを発動させ、アシッドジェルとベノムスモークの群れを焼き尽くしていく。残るグールの群れにガザニアが種子を投げ、無数の蔦を出現させて檻のように捕らえていく。
「さあ、今のうちにやってしまいなさい」
炎の刃が出たヘパイストロッドを手にしたグラインは捕らわれたグール達を次々と叩き斬る。
「ふう、大した事なかったな」
敵が全滅した事を確認し、再び先へ進む一行。その様子を遠目に見ている者達がいた。ルビー一味である。
「や、やっぱりアイツらとはまともにやり合ってもかないそうにないわね」
魔物の群れを難なく全滅させたグライン達を見て、自分達にとって最も厄介な連中だと認識するルビー。数時間前――

「アンタ達! 奴らの後を追って古びた炭鉱へ行くわよ」
グライン一行の元から少し離れた場所で一晩を過ごした後、突然のルビーの一言にバンとディットが驚く。
「え、諦めたんじゃないんですかい?」
「当たり前よ! ってか、芝居だって事も気付けないわけ?」
「おお! 流石はオネエ様! 敵を欺く作戦とはナイスですぜ!」
「これくらい基本的な事よ! さ、ボサッとしてると見失うわよ!」

ティムに諭され、一度炭鉱へ行くのを断念して去ったがそれは全て演技であり、グライン一行が炭鉱に向かったのを見計らってから後を追い、グライン達が求めているエレメントオーブを何とか手に入れようと考えているのだ。
「アンタ達、でかい音立てるんじゃないわよ! とりあえずオーブは奴らに任せるわ」
「へ、へい!」
小声で言いながらもこっそりとグライン達の後を付けるルビー一味。グライン達は魔物を退けながらも道なりに炭鉱を進んで行った。暫く進むと、空洞に出る。そして地下へ続く階段がある。階段を降りた先には、幾つもの炎の灯りが設けられた巨大な空洞が広がっている。ドワーフの集落であった。
「ドワ! 人間がここに来るなんていつぶりだ」
グライン一行の来訪を歓迎するかのように、ドワーフが次々とやって来る。肌は茶色で背丈は並みの人間よりも一回り小さく、小太り型の体格をしているのが特徴だ。集落の中心部には斧を持った蛮族のような逞しい男の像が建てられている。大地の勇者エザフォルの像であった。
「大当たりだったみたいネ」
ティムはドワーフに地のエレメントオーブの在処を聞こうとすると、長老らしき老ドワーフがやって来る。
「ドワ。ワシがドワーフの長だ。おぬしらは人間と珍獣のようだが」
「ア、アナタまでェッ! ワタシは珍獣じゃないわよオオオッ!」
頭から湯気を立たせながらもいきり立つティム。
「すみません。えっと、僕達は訳あってエレメントオーブを探しているんですが」
グラインが目的を伝えるとティムは落ち着きを取り戻し、全ての事情を話す。長老曰く、地のエレメントオーブはエザフォルによって炭鉱の地下深くに広がる古代都市に封印されたとの事で、古代都市は古の時代にて炭鉱に発掘されし石炭の繁栄がもたらした文明が残る忘れ去られし都市であり、今でも文明の遺産が存在するという。石炭の繁栄についてはグランディオというドワーフの生みの親となる大地の守護神の恵みによるものだと伝えられているのだ。有力な情報を掴んだグライン一行は古代都市へ向かおうとする。
「まあ待て。急がば回れって言葉があるじゃろう? ここは一つ、温泉でゆっくりしてはどうだ?」
「温泉?」
ドワーフの集落には地下のマグマを利用した温泉があり、鍛冶や石炭、鉄の原料となる鉱物の採掘、山林から食料の調達等に明け暮れているドワーフ族の癒しの場となっている名スポットであった。
「マア! 温泉だなんテ最高じゃなイ! 休憩がてら温泉デゆっくりしていきまショウ!」
温泉と聞いて大はしゃぎのティム。
「確かに、たまには温泉もいいかもな」
クレバルは横目でリルモを見る。混浴じゃないかと密かな期待をしているのだ。
「……あんた、何を期待してるわけ?」
クレバルの視線を感じたリルモは鋭い視線で返す。
「べ、別に何でもねえよ!」
誤魔化すように反論するクレバルだが、ティムは何を考えているのか察した様子。
「僕も一度は温泉に入りたいと思ってたんだ。旅の疲れには丁度良さそうだよ」
グラインも温泉に入る事に賛同していた。
「ね、ねえ……温泉ってもしかして混浴? 男女別じゃないの?」
リルモが思わず混浴かどうか聞いてみる。
「男女別? 男だろうと女だろうと関係なく入るぞよ」
「えっ……」
長老の回答にリルモが硬直すると同時に、表情が大喜びになるクレバル。
「やっぱりそんな期待していたのね」
リルモがクレバルに詰め寄る。
「ん、んなこたぁねえよ!」
「嘘付くんじゃないわよ! 全くあんたは!」
クレバルの胸倉を掴むリルモを横に、ティムは温泉に入る準備をする。一行は長老の案内で温泉に向かっていった。

一方、グライン一行の後を追っていたルビー一味はドワーフの集落に辿り着き、グライン達が温泉に案内された事をしっかりと把握していた。
「お、温泉ですってぇ! こんなところに温泉があるなんて聞いてないわよ!」
ルビーは鼻息を荒くする。美と健康の為に良いという理由もあって大の温泉好きであり、日頃の旅の疲れで温泉に入りたい気分なのだ。
「オネエ様、ここはあいつらと仲良くなって温泉でゆっくりしますかい?」
「仲良くなる? ちょっと待ちなさい」
バンとディットに内緒話を持ちかけようとした途端、ドワーフの若者がやって来る。
「ドワ! あんたら、何しているんだ?」
声を掛けられた瞬間、驚きの声を上げるルビー。
「な、何よ! 不意打ちで声掛けるんじゃないわよ!」
「それはすまん。あんたらも人間か?」
「見ての通りよ! えっと……」
ルビーはふと考えるものの、温泉に入ってみたいという欲に勝てず、思わず温泉について聞く。
「おお、あんたらも温泉に入りたいのか。だったらオレが案内するよ。天然の温泉だし無料だからな」
「何ですって! 随分とサービスがいいのねぇ」
ウキウキな気分で温泉に案内されるルビー。
「アンタ達! 温泉に入るわよ!」
「へい喜んで!」
バンとディットもルビーに続いて温泉の場所へ向かう。

湯煙が立ち込める温泉に浸かるグラインとクレバル。
「はぁ……生き返るなぁ。これが温泉かぁ」
初めての温泉を堪能するグラインの表情は気持ち良さそうな様子だ。そこに胸元を隠したリルモ、ガザニア、そしてティムがやって来る。リルモはかなり恥ずかしそうにしていた。
「うおおおおおお! 待ってましたあ!」
リルモの登場にクレバルはハイテンションで舞い上がる。
「待ってましたってどういう意味よ! 妙な真似したらタダじゃおかないわよ」
リルモは呆れつつも後ろを向いて温泉に浸かる。
「ふーん、温泉というのも案外悪くないわね」
温泉の雰囲気を堪能しつつも、ガザニアもゆっくりと浸かり始める。
「ワタシだって乙女なんだかラ、チラチラ見たりしないデよネ!」
ティムは胸元を手で隠しながらも顔を赤らめる。
「バーカ、犬っころの裸なんか見るわけねえだろ」
「犬っころって何ヨ!」
皆が和気藹々としている中、三人の男がやって来る。ルビー一味であった。
「ア! アナタ達……」
「あーら、これはこれは。先程はお世話になったわねん」
ルビー一味の登場に何しに来たんだと言わんばかりの表情になるグライン達。
「お前らまで何で来たんだよ? オーブは諦めたんじゃねえのか?」
「そのつもりだったんだけど、やっぱり炭鉱の事が気になっちゃって。ホラ、この炭鉱って古びた炭鉱って呼ばれてるでしょ? もしかしたらオーブ以外に思わぬ発見があると思って付いて来ちゃったってわけよ。そしたら案の定だったわ」
ルビーはグライン一行と長老の話を盗み聞きした事で地下深くに広がる古代都市の存在を知ってしまい、古代都市に興味を抱いていた。
「デ、何なのヨ? エレメントオーブは絶対に譲らないわヨ。何かあったラこのコ達がいるんだからネ」
ティムが鋭い目つきで反論する。
「それとは別よ! つまり、歴史探検よ! 古代都市とならばトレジャーハンターの血が滾るものなのよ! アンタ達が求めているモノとは違うお宝が隠されているかもしれないって事よ! てか、オーブ以外のお宝だったらアンタ達には何のデメリットもないでしょ!」
「そ、それはそうだけド……」
早口でまくし立てるルビーに、ティムはそっと記憶を読み始める。
「そんなわけで、少しの間アンタ達と同行させてもらうわよん」
一行と同行しようと考えているルビーに、グライン達はあまり乗り気ではない様子だ。
「別に付いて来るのは構わないけど、途中で変な気を起こさないって約束して欲しいな」
グラインの一言に勿論よとルビーは返答する。ティムは何か考え事をしていた。

温泉から上がると、一行はドワーフ一の料理人ドミニクによるキノコのソテー、キノコスープ等の様々なキノコ料理をご馳走になる。ドミニクは、ルビー一行を温泉に案内した若者であった。
「おお! 旨そうなキノコですぜ!」
「あーら、温泉の後はキノコ料理でもてなし? ドワーフったら、旅人に優しいのね」
キノコ料理を前に大はしゃぎのルビー一行。しかも無料によるサービスとの事であった。
「うっ……キノコかよ……」
キノコを見た瞬間、クレバルの表情が青ざめる。クレバルは過去にキノコが原因で食あたりを起こしたという苦い思い出があり、キノコが大嫌いなのだ。
「ん? どうした? オレはキノコ料理に自信あるんだが、別に毒とかはないんだぞ?」
「いや、そういう事じゃなくてだな……」
キノコが大嫌いな理由をドミニクに説明するクレバル。
「ふーん……うっかり毒キノコ食っちまったとかじゃないのか?」
「んなわけねえだろ」
過去のトラウマでキノコが食べられないクレバルと元々食事を必要としないガザニア以外の面々は、喜んでキノコ料理を味わっていた。
「しかしキノコって不思議よね。食べられるキノコを最初に発見したのって誰かしら」
「噂でハ世界を渡る冒険家が飢えニ耐えかねテ、ふと見つけたキノコをクチにしたラそれガとても美味しくて毒のナイ食べられルキノコだっタのが始まりだったそうヨ」
「え、そうなの?」
「あくまで噂だけどネ。アト、キノコの毒に耐えられル種族が発見したとか何とカとも言われてるわネ」
キノコについて語り合うグライン達。
「わたくしからするとキノコを食べるという発想自体が不思議よ」
軽く水を口にしながらもガザニアがぼやく。腹ごしらえを終え、改めてオーブ探しに向かう一行。
「さぁ、遺跡探検の始まりよん! 何があるかわからない古代の遺跡には、もしかすると予想外のお宝ちゃんが見つかるかもしれない! だからこそワクワクが止まらないのよねぇ!」
「仰る通りですぜ、オネエ様!」
ルビー達のはしゃぎようを見て、こいつら本当に大丈夫なのかとクレバルがぼやく。グライン、リルモもどう扱うべきかと思うばかりであった。
「ちょっと待ちな」
声を掛けたのはドミニクだった。
「あんたら、地下遺跡に向かうんだろ? オレも付いていくぜ」
「え?」
ドミニクが同行する理由は、長老に頼まれての事であった。以前、ドレイアド族の村にも訪れた謎の予言者が選ばれし人間の訪れを予言し、世界に希望をもたらす者にエレメントオーブを授けよと言い残して去って行ったとの事だ。更に古代都市に封印された地のエレメントオーブは、ドワーフ族の力を借りないと手に入らないと言われている。
「フーン、アナタ達も予言者からワタシ達の訪れヲ聞かされタわけネ」
「そういう事だな。最近どうにも悪い予感がしてならない。あの予言者と名乗る女、嘘付いてる感じじゃなかったからな」
ドミニクに連れられ、一行は古代都市へ向かう。
「ドワーフの人達ったらとても親切なのね! 温泉に加えてキノコ料理をご馳走してくれたり、ガイドまでしてくれるなんて! アタシったら、ドワーフに惚れちゃいそうだわぁん!」
目を輝かせるルビーを見つつも、クレバルがこっそりとティムに耳打ちを始める。
「やっぱりこいつら連れて行かねぇ方がいいんじゃねえの? お前の事だから記憶読んでるんだろ?」
「ウーン……今ハ様子見しておく事ヨ。デモ、油断はしないでよネ」
ティムが読み取ったルビーの記憶情報は、バンとディットを従えつつ世界各地の様々な場所を流離い、ひたすらお宝を求めての冒険といった内容であった。そして一度炭鉱へ向かうのを諦めたというのも実は演技で、エレメントオーブを何とかして手に入れようとグライン達の後を追ったという記憶も読んでいた。
「……何か妙な予感がするな」
ドミニクの表情が険しくなる。
「どうしたんですか?」
グラインが声を掛ける。
「いや、何ていうか……野生のカンって奴かな。この先にヤバイのがいる予感がするんだ」
ドミニクの返答に、思わず辺りを見回すグライン。
「やはりそう簡単にはいかないってわけかしら」
リルモの一言にグラインは黙って頷く。炭鉱の地下深くに進んでいくと、朽ちた植物の根っこに囲まれた巨大な石の門が見える。門は石の扉で固く閉ざされており、様々な古代文字が彫られている。
「扉ならオレに任せな。こいつはドワーフ族にしか開けられないようになってるんだ」
ドミニクは両手で扉に触れ、目を閉じる。
「……マゴケラヒ。ミサセザ・プーオンシムシムセザム・マゴマゴウーヴルトワ!」
呪文のような言葉を発すると、扉に刻まれた古代文字が光を放ち、重々しい音を立てながらゆっくりと開く。扉の向こう先には、広大な空洞に様々な石の建造物が並ぶ都市が広がっていた。
「凄い……これが古代都市……」
地底に広がる都市を前にただ驚くばかりのグライン達。人が住んでいる気配はなく、建造物はどれも荒れ果てており、今や風化同然の状態である。だが、所々に住居のみならず様々な施設として機能していた名残があり、奥には庭園跡と小さな神殿がある。まさに古の文明を感じさせる雰囲気が漂っていた。
「ひゃあああ素敵! まさか本当にこんな地底都市が存在していたなんて世界は広いわね! これぞロマンというか、世界の神秘だわ!」
大騒ぎのルビーはバン、ディットと共にひたすら辺りを見回していた。
「アンタ達、行くわよ! 歴史探検がてら、お宝探しにゴーよ!」
「ヘイ、オネエ様!」
ルビー一行は颯爽と都市内に突入する。
「おい、ちょっと待て!」
ドミニクは止めようとするが、ルビー一行の足は止まらない。
「なあ、あいつらを止めねぇとろくな事にならなさそうじゃねえか?」
クレバルの一言に、グライン達はルビー一行を追おうとする。だが次の瞬間――
「びゃああああああああ!」
「ひいいいいいいいいい!」
ルビー達の叫び声であった。駆け付けるとそこには、多数の足が付いたトカゲのような爬虫類の魔物が二体いる。
「こいつは……バジリスク!」
ドミニクが驚愕する。バジリスクとはドワーフ族の間では地底に棲む魔物の中で最も凶悪な存在として伝えられ、生物を石化させる力を持つ恐ろしい魔物である。何故こんな魔物が? 心の中で思った矢先、二体のバジリスクは灰色の霧状のガスを吐き掛けた。
「いけなイ! 逃げテ!」
ティムの声に応えるかのようにルビー達がその場から逃げようとするが、下半身が石のように固まり始める。
「うひゃああああああ! な、何なのよこれええええええ!」
「ひあああああああああ!」
「ぎえええええええええええ!」
バジリスクが吐いたガスは、石化効果のあるブレスだった。完全に石化したルビー一味を前に愕然とするグライン達。
「クッ、お前達の思い通りにはさせない!」
グラインとリルモが魔法を放つ態勢を取る。
「よせ! まともにやり合ったらあんたらまで石になるぞ!」
ドミニクが二人に呼び掛けると、バジリスク二体の足元から植物の太い蔦が次々と湧き上がる。ガザニアの自然魔法による巨大植物だった。蔦はバジリスクを捕えるものの、二体のバジリスクは更に石化ブレスを吐き出す。
「レイフィルム!」
ティムの光魔法による光の膜のバリアがグライン達を覆う。ファイアウェイブ、アクエリアボルトといったグラインとリルモの同時魔法、そしてクレバルのストーンドライブによって二体のバジリスクは動かなくなった。
「危ないとこだった……でも」
グラインは石化したルビー一味を見て言葉を失う。
「こいつらを元に戻すには秘伝の湯で作った薬しかねぇんだが……」
ドミニクによると石化を治すには『やわらか薬湯』と呼ばれる薬が必要との事で、温泉の湯とトロピ山林内に生えている様々な薬草を調合して作る必要があるという。更に調合には丸一日も要するが故、すぐに石化を解く事は出来ないのだ。
「気の毒だけど、こいつらの事は後回しにするしかねぇな」
石化状態のルビー一味を置いて、グライン一行は小さな神殿へ向かう。神殿にエレメントオーブが隠されているかもしれない。そう考えていると、バジリスクが次々と現れる。
「ま、まだいるのかよ!」
石化ブレスを吐き出すバジリスク達。クレバルがライジングロックの岩盤でブレスを防ぐ。
「こいつらニ接近戦は禁物ヨ! 奴らの石化ブレスはレイフィルムでも防げるカどうかわからないワ」
ティムの助言を受け、グライン達は魔法主体で応戦していく。クレバルのサンドストームとガザニアの操る植物による足止め戦法でバジリスク達を次々と倒していく。
「うわあ!」
「きゃああ!」
突然叫ぶグラインとリルモ。なんと、新たな個体がグラインとリルモの背後から石化ブレスを吐き掛けてきたのだ。
「うっ!」
グラインとリルモの足が固まり始め、じわじわと下半身が石化していく。ティムのレイフィルムでは石化効果を防ぐ事は出来なかったのだ。
「グライン! リルモ!」
驚きのあまり飛び出すクレバル。
「近寄っちゃダメ!」
ティムが叫んだ瞬間、バジリスクが更に石化ブレスを吐き出した。
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