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神界に眠るもの
魔族の王国
しおりを挟む食堂にて腹ごしらえをするグラインは、ティムから獣王の遺言、リフが聖光の力を覚醒させてネヴィアを撃退した事を伝えられる。同席しているのは仲間だけでなく、ヨーテの姿もあった。
「獣王様亡き今、このビストール王国には王位を継ぐ者はいない。王家は疎か、王制も絶えてしまった我が国はごく僅かな同族と共に生きるしか他ないでしょう」
ヨーテは生気を失ったかのような声で言う。王族の血は途絶え、王位を継承出来る資格のある人物は存在しない。エルフ族との戦争で多大な犠牲が出た上、今となっては王国内に存在する同族の数はごく僅かだ。王国として死んでしまったビストールの未来は、獣人達が身を寄せ合いながらひっそりと生きるだけの住処でしかないのだ。
「勇者殿。あなた方に頼みたい事があります。どうか……生き残った我々が平和に暮らせる世界にして欲しいのです。エルフ族との争いが生まれたのも、全ては悪しき心を持つ者が存在していたから。憎しみを生み出す悪しき者が現れぬ世の中になれば、或いは……」
ヨーテの頼みに快く頷くグライン。
「勿論です。今戦うべき敵がいる限り、色んな場所で悲劇が起きてしまう。これ以上悲劇を生まない為にも、必ず平和な世界にしてみせます」
グラインの表情はいつになく精悍としていた。そして獣王の遺言の意味を考える。憎しみに囚われてはいけない。どんな手を使ってでも早くジョーカーズを倒したいという気持ちが生まれたのも、心の何処かで敵への深い憎しみを募らせていたからだろう。そのせいで精神に悪影響を及ぼし、自分の仲間が残虐な行為をしている夢を見たり、忌まわしい出来事がフラッシュバックする程にストレスが蓄積していて自分を見失ってしまったんだと。更に疲弊した心を蝕んだネヴィアの闇の力――。
「リフ。君に助けられた事は本当に感謝している。君のおかげで、僕は戻って来れたから」
改めてリフに礼を言うグライン。リフの聖光の力がなければ、自分は完全に闇に飲み込まれていた。勇者として目覚めたにも関わらず、自分の過ちで仲間割れした挙句、敵に囚われては闇の力に心を支配され、破滅の道を辿る事になっていたと考えると情けない話だ。もう二度と同じ過ちを繰り返さない。勇者に目覚める試練を乗り越えても、心の何処かでまだ捨て切れていない弱さが残っていたんだ。
「残る鍵はあと一つネ。あと一つがちょト厄介そうなのよネ」
ティムによると、最後の鍵――ガブリエルの印の在処は、暗黒大陸に存在する魔族の王国。並みの人間は勿論、生半可な実力では到底立ち入る事が出来ない死の大地とも呼ばれる大陸である。様々な種族を利用していた魔導帝国でもあまり手が出せなかった程であり、魔界への入り口まで存在すると云われている。
「魔族ねぇ……随分骨がありそうな予感がするぜ」
本来、魔族は魔界に住む種族であるが、太古の時代から地上の世界に憧れていた者達が次々と現れ、暗黒大陸に移り住んだという。地上に移住した魔族達による独自の国が生まれ、今では魔族による二つの国が大陸内に存在している。
「……みんな、一つ頼みがある」
突然のグラインの一言。
「僕と本気で戦って欲しい。もう一度自分を叩き直したいんだ」
仲間との手合わせを通じて、自分の中に残っていた弱さを完全に断ち切りたい。そんなグラインの想いを、リフ達は快く受け入れた。
「いい覚悟だな。まだ殴り足らねぇから覚悟しとけよ」
ボキボキと手を鳴らすキオ。
「わたくしのしごきは厳しいなんてものじゃないわよ」
威圧するようにガザニアが言う。
「特訓なら付き合うわ。あなたが本気なら、私も容赦しない」
リフが真剣な表情で言うと、グラインは無言で頷いた。
「それなら訓練所へ行くといい」
クロウガ曰く、宮殿の地下には獣人兵の訓練所が設けられている。訓練所は地下に広がる巨大な空洞であり、獣王を始めとする獣人達が様々な鍛錬で利用していた場所だ。クロウガによって、訓練所に案内されるグライン達。最初の手合わせの相手はキオであった。
「死にたくなかったら全力で来な」
キオは炎の力を高め、腰に収めていた三節棍を取り出す。
「そういや、こいつの存在をすっかり忘れてたぜ。折角だから利用させてもらうかな!」
炎の拳と三節棍による攻撃で挑もうとするキオに、グラインはヘパイストロッドを構え、対抗するかの如く炎の魔力を全開まで高めた。炎と炎のぶつかり合いが始まる。キオの拳と三節棍を駆使した連続攻撃を凌ぎつつも、ロッドの炎の刃で攻撃を繰り出すグライン。二人の攻防によって、周囲が炎による熱気に包まれていく。
「チッ……随分暑苦しい手合わせしてくれるわね」
暑さの余り不機嫌な表情になるガザニア。
「反省点と向き合って自分を鍛え直す。いい心掛けだわ」
勇者としての使命感を重んじて、自分の中に残っていた弱さと向き合いつつ、もう一度自身を磨く。そんなグラインの心意気を感じ取ったティムは、ティマーラとしてグラインの特訓を見守っていた。真剣勝負は長らく続き、炎気砲と炎の魔法の激突。そしてお互いの渾身の一撃が繰り出される。
「ごはあっ!」
唾液を撒き散らすグライン。口から血を流し、打撃による痣が浮かんでいる。
「ぐおはっ……ぐおおおおおあああああっ!」
炎の刃による一撃を受けたキオが絶叫しながら倒れる。傷が刻まれると同時に、傷口が炎に包まれていた。
「へ、へへっ……やるじゃねぇか。それこそ男ってもんだ」
激痛を堪えつつも、キオは満足そうな表情を浮かべている。思わず笑顔になるグライン。
「ガザニア、大丈夫? アナタ、炎は苦手なんじゃナイ?」
ティムが気遣うように言う。
「ふん、見縊るんじゃないわよ。わたくしが恐れるとでも?」
高圧的な態度で返答するガザニア。グラインは口からの血を軽く拭い、呼吸を整えて構えを取る。
「手合わせでも、戦法を選ばないわよ」
ガザニアの言葉に対し、グラインは風の魔力を呼び起こす。周囲に風を纏い、片手は炎を宿している。炎と風の魔力の併用であった。ガザニアが鞭を振るうと同時に種を撒く。種から現れる巨大な食虫植物と極太の蔦。襲い来る植物を、風の刃で切り倒していくグライン。同時に炎魔法を発動させては植物を焼き払っていく。次の瞬間、グラインは猛烈な眠気に襲われる。眠りの花粉だった。眠気と戦うグラインの前に、ガザニアの鞭の舞が襲い掛かる。
「ぐああっ!」
鞭による激しい攻撃を受け、容赦なく襲うリーフスラッシャーによる木の葉の刃。グラインの全身は傷だらけになっていた。更に、鋭い樹木の杭が次々と湧き上がる。杭の攻撃が直撃する瞬間、グラインは目を見開いてヘパイストロッドを振り回す。杭は燃やされ、巨大な炎の玉を放つグライン。
「あああぁぁぁぁああっ!」
炎の玉の直撃を受けたガザニアは倒れてしまう。いけない、やり過ぎたかとグラインは思わず駆け寄るものの、ガザニアはよろめきながら立ち上がる。
「クッ……吹っ切れたようね」
ガザニアはグラインの意思は本物だと理解し、潔く負けを認める。
「手負いの状態でも続けるつもり?」
リフの問いに黙って頷くグライン。
「そう。ならば死ぬ気で来なさい」
聖剣ルミナリオを手に、聖光の力を呼び起こすリフ。
「うおおおおおお!」
傷みが走る身体を抑えつつ、グラインは魔力を最大限まで高める。リフが繰り出す様々な剣技を受け止めつつ、数々の魔法で反撃するグライン。ヘパイストロッドの炎の刃でリフと切り結ぶグラインだが、リフは剣の腕においては一瞬の隙を見逃さない程の実力を持っている。そんな相手と切り結ぶ事で武器による戦いの技量を会得しようという考えによるものだ。
「動きが甘いわよ!」
その考えを読み取ったのか、リフは隙を突いて反撃しようとせず、剣戟を続けていた。双方が幾度も切り結ぶと間合いを取り、呼吸を整えつつ魔力を集中させる。炎と風のグライン、聖光のリフ――二人の勇者による全力を賭けた攻撃が繰り出される。鮮血が舞う激しい打ち合いは、全ての力を使い果たすまで続いた。
「ハァッ、ハァッ……」
互いがボロボロになった時、二人の手合わせは終わりを告げた。
「あなたの実力は、本物だわ」
リフは穏やかな笑みを浮かべる。彼がいると、妹と共に全てを救えるかもしれない。そんな希望を感じていた。
「全く、みんな揃ってとんでもない奴らだよ。あんた達なら希望を託せそうだな」
蚊帳の外状態となっていたクロウガの一言。特訓は終了し、一先ず宮殿にて休む事となった。
翌日――一行は次の目的地となる暗黒大陸へ向かおうとするものの、ビストール王国の領域となる百獣の密林内では森の険しさや霧に阻まれてヒーメルを呼ぶ事が出来ないせいで、密林から出る必要がある。その為にクロウガの案内で密林から脱出する事になるのだ。
「全く不便な森だぜ。こんなんじゃあもう二度と来る気が起きねぇな」
キオが愚痴を零している中、一人の少年が駆け付けて来る。クネイだった。
「あなたは……」
リフはクネイの姿を見ると、父親のラビトはやはりあの時に死んでしまったのかと察すると同時に、家族共々敵の手から助けられなかった事で申し訳ない気持ちになってしまう。
「……お父ちゃんもあいつのせいで死んじゃった。ニンゲンは嫌いだけど……ニンゲンよりもずっと悪いヤツらがどこかにいる。そいつらのせいで、お父ちゃんは死んだんだ」
クネイはリフに鋭い目を向ける。
「おばさん。悪いニンゲンじゃないっていうなら……ぼくのお父ちゃんを殺したヤツの……ニンゲンよりも悪いヤツらをやっつけて」
涙を流しながらも頼み込むクネイに、リフは快く頷く。
「約束するわ。お父さんとお母さんの分まで、強く生きなさい」
真剣な表情でリフが返事すると、クネイは涙を拭いながらも頷いた。
「この子のお父さんも、ネヴィアが……」
グラインは怒りを覚える。彼の想いに応えなくては、世界中のあらゆるところでこのような悲劇が起きてしまう。ジョーカーズは絶対に倒すべき存在。その為にも、同じ過ちを繰り返してはいけないと改めて思う。ヨーテを始めとする数少ない獣人に見送られながらも、一行はクロウガに連れられてビストール王国を後にする。密林の出口はさほど遠くはなく、正しい道のりを進めば僅か数時間程度で辿り着けるものだった。
「ふう、やっと出られたな」
密林から出た先は、太陽の光が眩しい大地だった。近くには湖が広がっている。
「それじゃあ、オレはこの辺で失礼するぜ。また会えるといいな」
クロウガと別れた一行はヒーメルを呼び出し、暗黒大陸へと向かう。クロウガは空の彼方へ飛び去って行くヒーメルを見つめながらも、生き残った数少ない同族達を守る決意を固めていた。残る聖竜の塔の鍵はあと一つ。魔族が支配する大陸には一体何が待ち受けているのか? ジョーカーズの一人であるネヴィアを倒しても、戦うべき敵はまだ沢山いる。そしてジョーカーズの陰謀は……。
暗黒魔城に帰還した一匹のファントムアイが、常闇の空間にいるタロスにネヴィアの死を知らせていた。
「ふむ、ネヴィアが倒されるとはな……。どうやら害虫どもを甘く見ていたようだ」
タロスは動じる事なく、ご苦労だったとファントムアイに労いの言葉を掛ける。だがその瞳の奥には、愚者とみなした者達を惨たらしい形で消し去るという意思が込められたドス黒い闇が浮かんでいる。表には出さないものの、内面的な怒りは相当のものであった。それは腹心となるネヴィアが倒されたからではなく、自分に楯突く者が最も忌まわしき光の存在である事や、光を宿す者こそ自分の理想郷を汚す最大の害虫となるが故の怒りであった。
「聞こえるかね、ルシーナよ」
ファントムアイの目玉部分に映し出されたのは、高貴かつ妖艶な風貌をした魔族の女――地上に存在する魔族を束ねる王の一人、悪魔王ルシーナである。ジョーカーズと協力関係を結んでいるのだ。
「何かしら。まだ献上するものがあるわけ?」
ルシーナは気怠そうな態度で振る舞いつつも、紫色の酒が注がれたグラスを軽く飲み干す。
「これ以上君のつまらぬ期待に応えるつもりは無い。どうやら君の部下が奴を発見して捕らえたそうだが、虫篭にいるのかね?」
タロスの言う奴とは、イーヴァの事であった。ゾルアとの戦いで倒れ、黒い血の中で死んだように動かなくなっていたところをルシーナの配下に発見され、牢獄に閉じ込めているという。意識はないものの、僅かに生命反応はあるとの事だ。
「例の男なら手駒として利用させてもらうまでよ。汚らわしい男を使うなんてヘドが出る話だけど」
「ふむ、まぁそれもよかろう。だが、奴は決して何者にも従わぬ狂戦士だ。本能で生きている魔獣な故、いつ牙を剥けてもおかしくはないぞ」
「フン、私を舐めないで欲しいわね。我が悪魔軍は野蛮な男如きに負けやしないわ」
ルシーナが指を鳴らすと、侍女の女悪魔が空っぽのグラスに酒を注いでいく。
「問題は奴の事では無い。我が理想郷を汚す害虫どもがいずれ君と合間見る事になろう」
タロスはグライン達が近いうちにルシーナと敵対し、決して侮れない最大の障害となる事を告げる。
「あぁ、そんな事も話していたわね。私にとって目障りな存在とならば消し去るまでよ」
注がれたグラスの酒を再び飲み始めるルシーナ。
「奴らの駆除は君に任せる。私にはまだやる事があるのでね」
その一言で、ルシーナとの通信が途絶える。
「フフフフフ……どうかね。そろそろ準備は出来た頃かな?」
声と共に現れたのは、ジョーカーの精神体だった。
「おや、ジョーカー殿。やはりお出でになったか」
「新たな世界の創造主が誕生する瞬間を直接拝もうと思ったものでね。歴史的瞬間ではないか……」
興味深そうに言うジョーカーを前に、タロスは不敵な笑みを浮かべていた。
暗黒大陸内に存在する王国サターナル。魔族には二種類のタイプが存在する。強靭な肉体を持つ人寄りの姿で、武力主体の戦いを駆使する『魔人』、蝙蝠状の翼とシッポを持つ魔物寄りの姿で、魔法主体の戦いを駆使する『悪魔』。サターナルは、魔族の一種となる悪魔の王国であり、魔人の王国デルモンドとは対立関係となっている。魔人と悪魔が対立する理由は、地上に生きる魔族に相応しいのはどちらかという事で雌雄を決する為。魔人に属する者が男の魔族で、悪魔に属する者が女の魔族というのも特徴である。そして悪魔王としてサターナルを治めるルシーナも女であった。女でありながら女王と呼ばれていないのは、魔族に性別という概念はあってないようなものだからだ。
「ご苦労だったわね」
謁見の間の玉座に腰を掛けるルシーナの元に、バキラ、クロト、ダグ、ヴァルキネス、そして黒い衣装を身に纏う青みがかった黒い肌の女がやって来る。女はフィドールによく似た見た目をしており、黒い肌は魔族特有の肌の色であるものの、悪魔の特徴である翼とシッポは持っていない。つまり肌の色が魔族のものに変化した人間であった。
「そんな小娘の特訓なんかに、私のマラクトを利用する必要はあるのかしら」
魔族肌の女の名はマラクト。ヴァルキネスと同様ジョーカーズから与えられた兵力であり、漆黒の魔導師と呼ばれていた。
「貴様の兵力として鍛える必要があったからだ。この女が扱う魔法も特訓に利用出来るものでな」
ダグが返答すると、バキラがクスクスと笑う。
「悪魔王のオバサンって変わってるよね。女なのに元人間のオバサンが好きだなんて。それに引き換え、こいつには冷たいのは何でかなぁ?」
ヴァルキネスを指しながらもからかう調子でバキラが言うと、ルシーナは鋭い目を向ける。
「ガキの分際で気安くオバサン呼ばわりするんじゃないわよ」
ルシーナ曰く、ヴァルキネスを見ていると嫌悪感を覚えるという。外見が人間だからという理由ではなく、自分でも答えがはっきりと解らない、生理的な嫌悪感に近いものであった。
「悪魔王よ、貴様にとって気に食わぬ存在でも兵力である事に変わりない。我々が貴様らに手を貸している事を有難く思え」
作り上げた空間の穴を潜り、穴と共にダグは消えていく。
「あの甲冑の男……この私に随分と偉そうなクチを叩くなんて、何処までも気に入らないわね」
威圧的なダグの態度に、ルシーナは怒りで表情を強張らせていた。
「そっか。もうすぐアレが始まるって事か」
愉快そうにバキラが笑う。
「あんた達、いつまでこの場にいるつもり? 早く出て行きなさいよ。この場にいてもいいのは私とマラクトだけなのよ」
不機嫌な物言いでルシーナが言う。
「はいはい。これだからオバサンはやんなっちゃうね。すぐ怒るんだから」
バキラはクロト、ヴァルキネスを連れて謁見の間から去っていく。
「……フフ、やっと二人きりになれたわね。マラクト」
ルシーナはマラクトの近くまで歩み寄り、顔を寄せる。顔の距離が近付くと、ルシーナは軽く舌なめずりしつつ、そっとマラクトの頬を両手で覆う。
「ルシーナ様……仰せのままに」
顔が近いままマラクトが口を開く。至近距離で息が交差する中、ルシーナはマラクトの頬を撫でる。
「マラクト……いい子ね」
吐息を感じつつも、ルシーナはマラクトの頬を覆ったまま更に顔を近付けていく。微動だにしないマラクトは、ルシーナの意のままに身を預けていく。二人は、女同士の主従でありながらも深い関係で結ばれていた。
デルモンド王国――魔人は、己の力のみ信じる闘士の魔族とも呼ばれる存在。皆がそれぞれの鍛錬で力を付けていき、魔人王によって地下深くに設けられた暗黒の闘技場で激しい戦いを繰り広げ、血を流し合っている。血沸き肉躍る魔人達の戦いに酔いしれ、自身も常に強者との戦いを望む魔人王の名は、バアル。
「流石だな。我が精鋭の魔人どもを倒すとは」
緑色の血反吐を吐きながら倒れた魔人を足蹴にしつつ、剣を振りかざす一人の剣士。ゾルアであった。そしてゾルアの前に現れたのはバアル。闘技場にて対戦相手となる魔人を次々と撃破したゾルアを久しぶりに心の底から楽しませてくれる相手だと認識し、両刃の戦斧を手に構えを取る。
「アンタの娯楽などどうでもいい。俺の正体を知っているならば、勝たせてもらう」
ゾルアがバアルと戦う理由……それは、バアルが自身の正体について知っているとの事で、闘技場での試合に勝てば教えてやるという口約束であった。闘技場には、試合を楽しむ多くの魔人が観戦している。
「バアル様が直々に挑みになられるとは……あのニンゲンの男、何者だ?」
「あの男、ニンゲンなのか? どうにも我々と似たような力を感じるぞ」
試合を観戦する者達が口々に噂をする中、戦斧を両手に持つバアルは自身の魔力を開放する。強者特有の威圧感が闘技場全体に伝わっていく。ゾルアは険しい表情で剣を構える。響き渡るドラの音と共に、ゾルアとバアルの戦いが始まった。
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