EM-エクリプス・モース-

橘/たちばな

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第九章「日蝕-エクリプス-」

戦士の帰還

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私は地上の生きとし生ける者全てを創生せし者。

全ての災いの根源は、太陽の女神の手で葬られました。

悪しき闇が消えた今、正しき光と共に生きるのです。


地上に生きる者達よ――あなた方の心に、希望の太陽があらんことを。



光の粒が降り注ぐ中、人々は女神の声を聞いていた。それは穏やかな響きで、全てを包み込むような安らぎを感じる声であった。
「なあ……今のが女神様だったのか?」
「信じられない。まさか女神様が本当にいたなんて」
世界中の人々は地上を救った女神の存在、そして女神の声についての噂で持ち切りであった。
「レンゴウさん。レウィシアさんは勝ったんですよね?」
「そうに違いねぇだろうよ。お前さんも聞いたろ? 女神様の声をよ」
トレイダの住民が大騒ぎする中、レンゴウとメイコはずっと空を見上げていた。


地上に降る光の粒が収まった頃、ヴェルラウドは意識を取り戻す。
「何だ、やけに眩しいな……」
不意に飛び込んできた光に思わず立ち上がるヴェルラウド。辺りを見回しつつも空を見上げると、広がる青空に太陽が照らしている。
「まさか……レウィシアが勝ったのか」
冥蝕の月は疎か、空を覆い尽くしていた闇は完全に消えており、晴れ渡る空を見てはレウィシアが勝利したと確信したヴェルラウドは高揚する感情を抑えながらも、仲間達の姿を探し始める。森林の焼け跡を探る中、倒れているテティノの姿を発見する。
「テティノ、しっかりしろ!」
ヴェルラウドが声を掛けると、テティノが目を覚ます。
「う……夢か? 明るい……」
「夢じゃない。空を見ろ」
ヴェルラウドに気付いたテティノは起き上がり、すぐさま空を見上げる。
「これは……戦いが終わったのか? みんなは?」
「今探している。無事だといいが」
テティノとヴェルラウドが辺りを探していると、倒れているラファウス、オディアン、リラン、マチェドニルを発見していく。それぞれ服装はボロボロであるものの、光の粒を浴びた事で全てのダメージは回復していた。二人が声を掛けた事で意識を取り戻した全員が起き上がる。
「良かった、みんな無事で何よりだ」
皆の無事に安堵の表情を浮かべるテティノ。
「そうか、とうとうやったのだな。レウィシアはどうなったのだ?」
リランの問いに全員が顔を見合わせる。レウィシアの行方はまだ解らないままであった。
「レウィシア……」
ヴェルラウドはレウィシアの行方が気になる余り、空の太陽に視線を移す。雲一つ無い青空に存在するのは眩しい日光が照らす太陽のみで、人影すらも見えない。
「皆さん、あれを!」
ラファウスが指す方向には、ソルがふらつきながらも歩いていた。
「あいつは、ソル?」
テティノが声を出した瞬間、ラファウスとテティノからエアロとスプラが飛び出し、ソルの元へ駆け寄る。エアロとスプラがやって来ると、ソルは倒れてしまう。
「ソル!」
異変を感じたラファウスとテティノが飛び出すと、倒れたソルの身体が仄かな光に包まれ、同時にエアロとスプラの身体も仄かな光に包まれる。三体の魔魂の化身が天に昇って行き、三色の輝きを放つと姿が変わっていく。魔魂の化身は、魔魂の主である古の英雄――ブレンネン、ベントゥス、アクリアムと化した。
「魔魂に選ばれし者達よ……お前達のおかげで我々は使命を果たした。冥神は、レウィシアと神々の手によって完全に滅んだ。そう、全てが終わったのだ……」
優しい笑みを浮かべるブレンネンの姿が薄れていく。
「僕達の使命は、我が力に選ばれた者達を導きながら冥神を滅ぼす事。僕達では成し遂げられなかった事を、あの子は成し遂げてくれたんだ。勿論あの子にそれが出来たのは君達がいたからこそ。これで僕達も心置きなく眠れるよ」
穏やかな表情を浮かべるベントゥスの姿も薄れ始める。
「俺達は神々によって生まれた古の民。全ての使命を終えた俺達は今、この地上から去らなければならない。俺達は眠りに就く。お前達は未来の光となるのだ」
僅かに笑みを見せるアクリアムの姿も薄れていく。
「レウィシアは……レウィシアはどうなった?」
ヴェルラウドが尋ねる。
「……レウィシアは……神界にいる。言える事はそれだけだ……」
薄らぐブレンネンの姿が眩い光に包まれる。光が収まるとブレンネンの姿は消え、小さな赤い石が残されていた。ヴェルラウドはブレンネンの言う神界という言葉が気になりつつも、赤い石を手に取る。
「それはブレンネンの心が緋石となったもの。心の欠片といったところかな」
ベントゥス曰く、全ての使命を終えた神に選ばれし者の魂が地上を去る時、精神体に存在する心の欠片を石として残していくという。石には魔魂のように力は宿っておらず、宝石と同等のものであった。緋石は火のように赤く輝いている。
「寂しくなるけど、お別れの時だ。君達がいなければこの世界は完全に滅ぼされていた。君達には本当に感謝している。ラファウス……光ある新たな英雄達。ありがとう……」
ベントゥスが眩い光に包まれ、緑色に輝く小さな石となる。翠石と呼ばれる石であった。ラファウスはベントゥスの翠石を手にすると、様々な想いを馳せながら握り締める。
「我が力に選ばれし者……テティノ。そして希望の光を齎す英雄達よ。世界を頼んだぞ……お前達と、世界の未来に光を……!」
光と共に、青色の輝く小さな石――蒼石に変化していくアクリアム。テティノは手にしたアクリアムの蒼石をジッと見つめながらも、心の中で礼を言う。ありがとう。僕達を導いてくれたあなた方の事は忘れない、と。使命を終えた魔魂の化身は、古の英雄として地上を去ったのだ。
「未来の光……か」
ヴェルラウドはブレンネンの緋石を握り締めながらも、ぼんやりと空を見上げていた。
「レウィシアが神界にいるというのはどういう事だ?」
リランが問うように言うが、誰も答える者はいない。
「考えたくはないが、レウィシアは最早……いや。必ず戻って来るはずだ。みんなは先に神殿へ戻っていてくれ。俺はもう少しこの辺りを調べて来る」
そう言い残し、ヴェルラウドはその場から去る。
「……レウィシアの事も気になるが、わしらは一先ず戻る事にしよう。神殿の者達は地下に避難させてある。神殿は壊されてしまったが、地下は大丈夫のはず。捕われていた者達の様子も気になるからの」
マチェドニルの一言で、ラファウス達は賢者の神殿跡へ向かう。神殿は破壊されているものの、幸い地下へ運ぶ祭壇は機能していた。

それからヴェルラウドは、辺りを探索していた。レウィシアは神界にいる、というブレンネンの言葉が頭から離れられず、その言葉の意味が解る何かがあればと考えているのだ。一時間近くに渡る探索の中、ヴェルラウドは立ち止まる。
「これは!」
ヴェルラウドが見たものは、レウィシアの武器である折れたアポロイアの剣であった。柄を握ると、僅かな温もりが感じられる。
「バカな……レウィシアの剣までもがこんな……」
折れたアポロイアの剣を手にしているうちに、自身が使っていた神雷の剣と同じ運命を辿ったという事実に何とも言えない気分に陥るヴェルラウド。
「レウィシア……!」
ヴェルラウドは行方が解らなくなったレウィシアの事を想いつつも、アポロイアの剣を手に賢者の神殿跡へ向かって行く。


完全に破壊し尽くされ、瓦礫だけしか存在しない孤島の中、ボロボロの装束を纏った一人の男が立ち尽くしている。ロドルであった。ロドルの前に飛び出したトレノは光に包まれ、主であるトトルスの姿に変化していく。
「どうした……俺の中に居れなくなったのか?」
血を流しつつも、ロドルが無愛想に尋ねる。
「フッ、そういう事だ。俺はもう、役目を終えたのだからな」
トトルスは笑みを浮かべる。
「お前は色々ひと癖のある輩だったが、相棒としては悪くはなかった。だが、最後の時が来た。俺は神に選ばれし者として生まれた古の民の一人。冥神を滅ぼす為に長年に渡り、精神体として存在していた。冥神が滅びた今、お前と共にするのはここまでだ」
薄れていくトトルスの姿。ロドルは表情を変える事無く、黙って見据えている。
「ロドル。お前はこれからどうするのだ? 母親を救う目的を果たしても、金で動く暗殺者として生きるのか?」
ロドルは僅かに眉を顰める。
「最後までお節介のつもりか? 俺は俺でやる。何者であろうと口出しは無用だ」
「そうか」
トトルスの姿が眩い光に包まれていく。
「お前がこれからどう生きるつもりか知らぬが……母親に顔を見せるのも悪い事ではなかろう。例えお前が何者であろうとな……」
そう言い残し、紫色に輝く小さな石に変化していくトトルス。


さらばだ。我が力に選ばれし相棒よ……


ロドルは地に落ちたトトルスの紫石をそっと手にする。
「……これでは金にすらならんな。世話焼きで鬱陶しい奴だったが、取っといてやる」
風が吹く中、ロドルは懐にトトルスの紫石を潜め、ボロボロのマントを脱ぎ捨てて歩き始める。


俺は金と引き換えに、数え切れない程の人を殺した暗殺者として生きる身。そんな俺の姿を母は知らん。

母に望む事は、俺のようになるな。それだけだ。


俺がこれからやる事――殺しても殺し切れない奴を、この手で殺す。奴が最後のターゲットだ。

一度殺した奴とはいえど、俺の中では殺し切れていない。ターゲットは絶対に仕留める。奴のいる場所が死後の世界であろうと。



賢者の神殿の地下の大広間に戻ったヴェルラウドは、折れたアポロイアの剣を差し出しつつも、レウィシアに関する何らかの手掛かりは得られなかったと仲間達に報告する。
「レウィシア……本当にどうなってしまったんだろうな。神界にいるという事はつまり、神の世界に行ったって事なんだろう?」
アポロイアの剣を見つめながらもテティノが言う。
「神界……つまり太陽の女神になったという事か。奴はこれから太陽の女神として我々を見守っていくのかな」
椅子に腰掛けるヘリオが脱帽したような様子で呟く。レウィシアはいつか帰って来るのか。それとも、もう二度と帰って来ないのか。全員がそう考えている中、一人の賢人が慌てた様子でやって来る。
「賢王様! たった今、冥神に魂を抜かれていた皆様がお目覚めに!」
「何だと?」
賢人の報告に驚くマチェドニル。冥神ハデリアが倒され、モルス神の導きによってルーチェ達の魂が無事で肉体に帰還したのだ。ヴェルラウド達は一斉に奥の部屋へ向かう。部屋には目を覚ましたルーチェ、ガウラ、シルヴェラ、エウナ、マレン、ブレドルド王、リティカがいた。
「母上! ルーチェ!」
「女王!」
「マレン!」
「陛下!」
それぞれが名前を呼びつつ駆け付ける。
「ラファウスお姉ちゃん……みんな……ぼくは助かったの?」
「ラファウス……此処は?」
戸惑うルーチェとエウナにラファウスは全ての出来事を説明する。
「ヴェルラウド、私は今まで何を……?」
ヴェルラウドを前にしたシルヴェラは辺りを見回しつつも、状況を確認している。ヴェルラウドはシルヴェラに敬礼しつつも、これまでの経緯を話す。
「陛下! ご無事であらせられましたか!」
「……その声はオディアンか。何も見えぬが……」
オディアンの姿を確認しようとするブレドルド王の目には光が無い状態であった。闇王ジャラルダの魂である憎悪と破滅の魂との融合でブレドルド王の魂は深い闇に染められ、魂を浄化するにはジャラルダの魂だった部分を削り取らざるを得ない状況となっていた。六柱の神々との協力を得たモルス神の力で完全な浄化は成功したものの、肉体面においては視力が戻らなくなるという影響を及ぼしており、身体状況も不自由なものとなっていた。
「陛下、もしや目が……? どうかご無理なさらぬよう」
状況を察したオディアンはブレドルド王を支えていた。
「お兄様!」
テティノの姿を発見したマレンが颯爽と抱きつく。
「わ、バカ! いきなり抱きつくなよ」
「お兄様……助けてくれたのね。うう……」
テティノに抱きつきながらも涙を流すマレン。
「ああ。僕だけじゃなく、みんなのおかげさ。お前が無事で本当に良かったよ」
テティノはマレンを抱きしめると、無事でマレンを救い出せた事に感極まり、涙を浮かべていた。
「久しいな、ガウラよ。暫く見ぬうちにお前さんも随分と老けたな」
マチェドニルはかつての戦友でもあるガウラに声を掛ける。
「ふむ……お前はマチェドニルか。あそこにはシルヴェラも……どうやら私は長い間、闇に捕われていたようだ」
「そういう事じゃな。お前さんを含む此処にいる者達と、この世界を救ったのはレウィシアじゃ」
「何と?」
ガウラとマチェドニルが会話している中、リティカは今いる場所や今置かれている状況が把握出来ず、戸惑いながら辺りを見回していた。
「あなたは……」
リティカの事が気になったリランが声を掛ける。
「あの……此処は? 私、今まで何を?」
「此処は多くの賢人や賢者と呼ばれる者が住む場所。あなたは邪悪なる存在に捕われていたところを、光ある者達によって救出されたのだ」
リランが説明するものの、リティカはますます戸惑うばかり。
「戸惑うのも無理はなかろう。私は光ある者達と共にしていた僧正のリランという者だ。あなたが何者なのか教えてくれないか?」
「はい。私はリティカ……」
リティカは自身の経緯――故郷であるライトナ王国から逃げ、鍛冶師ジュロと共にトレイダへ駆け落ちした事や、伝説の武器を生み出す執念の余り闇組織との取引を始めた事で歪に向かって行くジュロの元から逃げたところにケセルと出会い、意識を奪われた事。そして、息子であるロドルをジュロの元に残していた事を話した。
「何と、そういう事であったか……」
リランは現在のロドルについては話さない方が良さそうかと思い、言葉を詰まらせてしまう。
「ジュロとロドルの事で何か知っているのですか?」
「……いや。兎に角、あなたは行き場がないのであろう? 此処で暮らしてはどうだ? 賢人達には伝えておくぞ」
哀れに思いながらもリティカの助けになろうとするリラン。リティカは何も答えず、表情を暗くさせたまま項垂れていた。


皆が再会を喜び、全てを救ったのはレウィシアによるものだとマチェドニルから伝えられる。だが、レウィシアの復帰については誰にも知る由はなく、ラファウス達は冥神に捕われていた人々と共に、それぞれの帰る場所へ向かう事にした。地下から出ると、オディアンは盲目となったブレドルド王を支えながら、一行に顔を向ける。
「皆には本当に世話になった。国王陛下を救い出せたのも皆のおかげだ。本当にありがとう」
オディアンが一行に感謝の意を述べる。
「目が見えないせいで英雄達の姿が拝められぬのが残念だが、そなた達には心から感謝している。いつでもブレドルドに訪れると良い」
ブレドルド王が一行に礼を言う。
「賢王様。リラン様もお世話になりました。スフレの事はとても残念ですが、命を落とした彼女の分まで希望の光を胸に、誇り高き剣聖の王国ブレドルドの平和を守り抜いてみせます」
胸に手を当て、マチェドニルとリランに向けて深く頭を下げるオディアン。二人が笑顔で応対すると、オディアンとブレドルド王は帰路に就く。
「オディアン!」
ヴェルラウドが声を掛けると、オディアンが立ち止まる。
「……もしよかったら、また俺と剣を交えたい。赤雷の力に頼らない真剣勝負でな」
オディアンはヴェルラウドの頼みを無言で聞き入れ、ブレドルド王を支えながら再び歩き出す。
「さあ、僕達も帰るか。アクリム王国のみんなは無事だろうか」
テティノが飛竜カイルを呼び出す。
「お、お兄様……これって飛竜?」
「ああ。手懐けたのはごく最近だが、オルシャンみたいに利口な奴だ」
「す、凄い……お兄様ったら他の飛竜まで……」
「乗る時はしっかり掴まってろよ」
テティノとマレンがカイルに乗り込む。
「母上。あの飛竜に乗る事になりますが……」
飛竜に乗っての空の旅の経験がないエウナの事でラファウスが心配そうに言う。
「まあ……私の事は心配しないで。きっと大丈夫、のはず」
恐る恐る飛竜に乗り込むエウナ。
「ふむ、心配無用じゃぞ」
そう言ったのはマチェドニルであった。マチェドニルは杖を手に念じると、カイルの周囲が薄い光の膜に覆われる。光の結界であった。
「これは?」
「うっかり落っこちぬよう結界を張ったのじゃよ。この結界は壁として機能しておる。即ち落下の心配がない結界というわけじゃ」
「本当ですかぁ……?」
半ば信じられないと言わんばかりの表情になるテティノ達。四人を乗せたカイルは鳴き声を上げながら翼を広げ、ゆっくりと飛び立っていった。
「俺は出来るだけあれには乗りたくないが……」
飛んで行くカイルを見ていたヴェルラウドが呟く。
「何だ? もしや我々もあのような飛竜に乗って行くという事か?」
シルヴェラが問い掛ける。
「いや……私のリターンジェムがあればクレマローズには瞬時に行ける。サレスティルは残念ながら訪れた事がない故に不可能だが」
リランがリターンジェムを取り出す。
「クレマローズに行く事が出来れば問題ない。遠距離といえど、馬を借りれば済む事だ。ガウラよ、貴国の馬を借りる事に問題はなかろう?」
「うむ。断る理由など無い」
シルヴェラとガウラのやり取りになるほどなとリランが納得すると同時に、ヴェルラウドは安心した様子になる。
「ルーチェ。君の帰る場所もクレマローズだったか?」
リランがルーチェに問う。
「うん……でも、ぼくが住んでいた教会はもうない。だから、ここに残る。お姉ちゃんが帰って来るまで」
ルーチェが住んでいたクレマローズの教会は完全に破壊され、家族のような存在だった神父ブラウトと教会の修道士もこの世を去っている。帰る場所がない故にレウィシアの帰還を待つ目的で賢者の神殿に残る事を選んだのだ。
「そうか……確かに帰る場所がないとならば此処で過ごすのが賢明であろう。レウィシアならばきっと帰って来るはずだ」
「うん。ありがとう、リラン様」
リランはルーチェの頭を軽く撫で、ヴェルラウド、シルヴェラ、ガウラと共にリターンジェムでクレマローズまでワープ移動した。


ヴェルラウド達がそれぞれの帰路に就き、地下の大広間にいるのはルーチェ、リティカ、マチェドニル、ヘリオ、その他賢人一同となっていた。その場に居る全員が会話の無い静かなひと時を過ごしている中、マチェドニルが首飾りを手にルーチェの元へやって来る。首飾りには神秘的な輝きの宝珠が埋め込まれていた。
「君は聖職者として育てられたのじゃろう? 君には道に迷いし人々に光を与える賢者……いや、聖者としての素質がある。この賢者の神殿を我が家として過ごすといい」
そっとルーチェに首飾りを与えるマチェドニル。首飾りは聖者の証と呼ばれ、光を司る者が装着すると聖なる加護が施されるという。
「えっと……私も、本当に此処で暮らして良いのですか?」
リティカがマチェドニルに問う。
「勿論じゃ。リラン様から全ての事情は聞いておる。そなたも色々苦労しておったようじゃからのう」
「はい……ありがとうございます」
深々と頭を下げて礼を言うリティカ。
「やれやれ、賢王よ。家族が増えた気分ではないか?」
ヘリオが笑みを浮かべながら言う。
「そうじゃな。スフレとマカロを育てた頃を思い出すわい」
マチェドニルは穏やかな表情を浮かべていた。


リランはヴェルラウド達をクレマローズに送った後、リターンジェムを利用して氷の大陸チルブレイン――聖都ルドエデンを訪れる。そこでリランが見たものは、無残にも破壊された聖都の姿であった。神殿は瓦礫と化し、廃墟でしかない有様に愕然とするリラン。おまけに氷である陸地の所々が地割れになっており、時が経てば大陸ごと崩壊するような状況となっていた。
「何て事……聖都ルドエデンが完全に崩壊するとは」
リランは廃墟となった聖都を回りながらもマナドール族を探す。
「誰か! 誰かおらぬか!」
リランが大声で呼び掛ける。
「……その声、リラン様ですの?」
声の主は、デナであった。
「デナ! 無事だったのか!」
リランが返事した瞬間、デナを筆頭とするマナドール達が一斉にやって来る。
「リラン様!」
「おお、お前達……無事だったのだな」
マナドール達の無事にリランが歓喜する。
「リラン様もご無事で何よりですわ。このデナ、聖都をお守り出来なくて申し訳ありませぬ」
聖都を死守出来なかった事を詫びるデナ。
「気にする事では無い。我が祖先が治めていたというこの聖都ルドエデンも、きっと大いなる災いに挑む為に存在していたもの。災いの根源となるものが滅びた今、使命を果たしたと見てよかろう。お前達もよくやった」
リランが賛辞の意を述べる。
「そこで、お前達に頼みたい事がある。どうか、賢者の神殿の復旧を手伝って頂きたい」
破壊された賢者の神殿の事を伝えると、マナドール達は快く承諾する。
「お任せ下さいまし! わたくし共が団結すれば、神殿の一つや二つくらいの復旧など訳はありませんわ」
「ありがとう。お前達に感謝する」
リランは礼を言い、マナドール達を賢者の神殿跡まで連れて行く。
「おお? リラン様、もしやその者達はマナドール族ですかな?」
マナドール達と共にリランが地下の大広間へ戻ると、マチェドニルが興味深そうに見つめている。
「うむ、神殿の復旧を引き受けて頂いた。こう見えても色々頼りになる。仲良くして頂けると幸いだ」
「初めまして。私はリラン様の忠実なるしもべ。マナドール族の闘士デナと申します」
デナが礼儀正しく自己紹介する。
「ふむ、宜しく頼む。一気に大所帯となったもんじゃ」
マナドール達は挨拶を終えると、一斉に神殿の復旧作業に取り掛かった。
「全く、これでは当分の間賑やかになって落ち着けそうにないな」
ヘリオがぼやくように言う。
「そう言うな。行き場を失った者が安心して暮らせる場所を作らなくてはならぬからな」
「フン、あまり騒がしいのは得意ではない」
リランとヘリオが会話を交わしている中、ルーチェは首飾りの宝珠を見つめながらも想う。


お姉ちゃん……

ぼくがこうして生きていられるのも、お姉ちゃんがいたからこそ。

お姉ちゃんはずっとぼくを助けてくれた。ぼくだけじゃなく、この世界を救ってくれたんだね。

ぼくはずっと待っている。お姉ちゃんが帰って来るのを。

お姉ちゃんが帰って来る事を、ぼくはずっと信じてるから――。


それぞれの帰る場所に帰還した戦士達――ヴェルラウド、シルヴェラ、ガウラがクレマローズ城の謁見の間にやって来ると、トリアス率いる兵士達、そしてアレアスが待っていた。発作を起こしてからベッドで安静にしていたものの、冥神が滅びてからアレアスの容態は回復していたのだ。
「あなた!」
「おお、アレアス……心配かけて済まなかった」
再会を喜び合うガウラとアレアス。ヴェルラウドが全ての事情を話すと、アレアスは項垂れながらも玉座に腰を掛ける。
「ガウラを助け出せたというのに、今度はレウィシアがいなくなるなんて……」
レウィシアが消息不明になったという知らせを聞かされ、兵士達も不安な表情を浮かべていた。
「大丈夫だ。王女ならば必ず帰って来る。親であるお前達が信じてやらなくてどうするのだ?」
シルヴェラが激励の言葉を投げ掛ける。
「ガウラ、アレアス。お前達の子は我々にとっても誇りだ。冥神の力として利用されていた我々のみならず、この世界の全てを救う太陽となったそうだからな。かつての我々では到底成し遂げられぬ事だ」
シルヴェラの言葉を聞き、ガウラはかつて戦士の一人として多くの邪悪なる存在と闇を司りし者との戦いの日々を思い出してしまう。そして、戦友であったエリーゼ、グラヴィル、ジョルディスはもうこの世にいないという事を改めて知る。
「エリーゼ……グラヴィル……ジョルディス……誠に惜しい奴らを亡くしたものだが、奴らもきっと浮かばれるであろう。ヴェルラウドよ、そなたも我が娘レウィシアの力になってくれた事に感謝しているぞ」
「ハッ、有難きお言葉に恐縮の限りです」
深々と頭を下げるヴェルラウド。
「では、我々はそろそろ失礼する。もしレウィシアが帰還すれば、その時は……」
シルヴェラはヴェルラウドに視線を移しつつも、すぐさまガウラに視線を向ける。
「どうかしたか?」
「ああ、何でもない。行くぞ、ヴェルラウドよ」
ヴェルラウドは胸に手を当ててお辞儀をすると、シルヴェラと共に謁見の間を後にした。


レウィシアよ。お前がいつ帰って来るのか解らぬが、我々はいつでもお前の帰りを待っている。お前がどのような存在になろうとも、お前は私達の子だ。ネモアだって、お前の帰りを願っているはず。どうか、必ず帰って来てくれ……

レウィシア……あなたは私達の誇りです。いつかあなたがこのクレマローズに帰って来る事を、私達はずっと信じています。


ガウラとアレアスは心の中でレウィシアの帰還を願い続けた。


テティノが操るカイルによって風神の村付近まで送られたラファウスとエウナは、テティノとマレンに別れの挨拶を始める。
「テティノ。こうしてお別れするのは名残惜しいですが……また会えますよね?」
「ああ。そんな事は当たり前だろう? その気になればいつでも会いに行けるからさ。別に寂しくもないよ」
まるで本心を隠すかのように気取った振る舞い方をするテティノ。ラファウスは涙ぐみながらも、本当は寂しい心情のテティノを見てふふっと微笑む。
「兄が、本当にお世話になりました。レウィシア様が此処にいないのが残念ですが、あなた達にはとても感謝し切れません。またいつでもアクリム王国へ遊びに来て下さいね」
マレンが深々と頭を下げつつ礼を言う。
「……じゃあな、ラファウス。母上様を大事にするんだぞ」
テティノとマレンがカイルに乗り込むと、ラファウスの目から一筋の涙が零れ落ちる。けたたましく鳴き声を轟かせながらも飛び立っていくカイルを、ラファウスとエウナはずっと見守っていた。
「良いお友達を持ったのですね、ラファウス」
「そうですね。共に苦難を乗り越えた大切な仲間ですから」
爽やかな風が吹き付ける中、ラファウスとエウナは風神の村へ向かう。村に辿り着くと、ウィリーを始めとする村人達が一斉にやって来る。
「ラファウス! エウナ様!」
「ラファウス様とエウナ様が帰って来たぞおおおお!」
ラファウスとエウナの帰還に喜ぶ村人達。村は異常事態によって荒れてはいるものの、村人達は皆無事であった。
「無事で本当に良かったよ、ラファウス。ノノアもすっかり元気になったからな」
ウィリーの傍らにはノノアが笑顔で立っている。
「まあ。ノノア、お身体の方はもう大丈夫ですか?」
「はい! 何だか嘘みたいに病気が治っちゃって。きっと女神様が助けてくれたんですよ!」
女神様という言葉を聞いたラファウスの頭に一瞬レウィシアの姿が過る。これもレウィシアが齎した奇跡だろうか。そんな事を考えつつも、ラファウスはエウナ、ウィリー、ノノアと共に聖風の社へ歩き始める。
「約束通り、とっておきの七草粥を御馳走してやるよ。エウナ様も宜しければ!」
「まあ、ウィリーの七草粥……楽しみですね」
和気藹々とした雰囲気に心が和みつつも、ラファウスは再び笑顔になる。日は暮れていき、夕焼けとなった空は黄金色に染まっていた。


アクリム王国へ帰還したテティノとマレンはウォーレン率いる槍騎兵隊に迎えられ、周囲が歓喜の声に包まれる。
「テティノ様! マレン様あああ!」
「テティノ王子万歳! マレン王女万歳!」
王都の人々が、王宮の兵士達がテティノとマレンの帰還を大いに喜び、手厚い声援を送る。
「みんな……何だか夢みたいだ……」
人々の声援が送られる中、飛竜オルシャンがテティノの前にやって来る。
「オルシャン! お前もずっと待っていてくれたんだな」
思わず感極まり、涙を流すテティノ。
「もう、お兄様ったら涙なんてまだ早いわよ」
からかうようにマレンが言う。
「う、うるさいな。最近涙腺が緩いんだよ。お前はこんな時でも涙を流さないのか?」
「私は後で思いっきり泣く事にしてるんだから!」
そんなやり取りをしながらも、二人は謁見の間へ向かう。玉座に腰掛けている王と王妃を前に跪くテティノとマレン。
「戻ったな、テティノよ。マレンも、よく無事で帰って来てくれた」
優しい眼差しで王が言葉を送る。
「父上。母上。私はレウィシアとの出会いや、この旅を通じて多くの大切な事を学びました。マレンを救い出せても、これからが本当の始まりであると私は考えています」
テティノが顔を上げ、真剣な表情で見つめる。
「それは……世界の崩壊を招く災いと悲劇を生まない為にも、正しき光を絶やさぬ世界に変えていくという事。このアクリムもエルフ族を犠牲にした大罪を背負う国であるが故、人としての大いなる過ちを繰り返さぬよう世界中に伝えていく。それが、我々に与えられた使命だと思います。その為にも……!」
偽りの心を感じさせない真剣な眼差しのテティノの主張に、その場にいる全員が思わず心を打たれていた。
「テティノよ。お前の言いたい事はよく解った。だが……レウィシアは何処にいる?」
王がレウィシアについて問うと、沈黙による重い空気に支配される中、テティノは心を落ち着かせる。
「……レウィシアは、神界にいるとの事です。マレンと、この世界を救ったのもレウィシアです。レウィシアは、全てを救う為に……」
僅かに震えた声でテティノが返答する。
「レウィシアも、使命を果たしたのだな。贖罪を背負う必要など無かったものの……」
王はレウィシアが打ち明けた胸中についてテティノとマレンに話す。ケセルの幻術に嵌められる形で港町マリネイの住民十数人の命を奪ってしまい、その罪の意識を背負っていたという事を。
「レウィシア……そんな事があったというのか? でも、だからといってレウィシアが悪いわけでは……」
事情を初めて聞かされたテティノとマレンは驚きはしたものの、レウィシアを悪く思う気は全くなかった。
「彼女はとても心優しい。それ故に敵の卑劣な罠によるものであっても、己の手で人を殺めたという事実が耐え難かったのであろう。だからこそ、命に代えてでも使命を果たそうとしていたのだろう……」
思わず黙り込んでしまうテティノとマレン。
「……お前達も疲れたであろう。少しばかり休むと良い」
王の言葉に甘え、テティノとマレンは夕食時まで休息を取る事にした。二人は心を落ち着かせようと、バルコニーに出る。夕焼けに染まった空に、吹き付ける潮風。テティノはかつてこの場でレウィシアと口論になり、頬を引っ叩かれた事を思い出していた。そして過去の言動を振り返り、心の中で自らを戒める。あの時の僕は本当に馬鹿だったな、と。
「レウィシア様……帰って来るよね?」
王都の光景を見下ろしながらもマレンが問う。
「当たり前だろ。神様のところにいるとか言われてたけど、ちょっとした用事で行ってるだけだよ。すぐに帰って来るさ」
テティノは半ば切ない気分になりながらも空を見る。不意に視界がぼやけ始め、得体の知れない違和感を覚えるものの、表に出さず夕焼けの空をずっと見ていた。
「レウィシア様には本当に感謝しなきゃあね。レウィシア様が帰って来たら、たくさんお話したい。私の憧れのお方だから」
マレンはテティノの隣で空を見上げる。
「……何だか眠くなってきたな。色々な事がありすぎて疲れてるのかもな」
眠気に襲われたテティノはバルコニーから去ろうとする。
「まあ、それならひと眠りする? 夕食時までまだ時間あるから」
「ああ。そうさせてもらうよ」
テティノは自室へ向かって行く。
「レウィシア様……兄の心を救ってくれた事や、私達を救ってくれた事……そしてこの世界を守ってくれたあなたには本当に感謝しています。私は兄と共に、このアクリムを過ちの無い平和な王国に導いていきます。どうか、帰って来て……」
マレンはレウィシアの帰還を祈りつつも、空に向けて想いを打ち明けた。


自室のベッドに入るテティノは、猛烈な眠気に襲われていた。


あの頃はどうしても父上から一人前として認められたくて必死だったけど、今はそれ以上のものを得られた気がする。まるであの頃の自分が嘘みたいに。

人としてまだ未熟だと思うけど、決して悪くはないと思う。命を捨てる覚悟で幾多の困難を乗り越え、やるべき事を全てやり遂げたのだから。

……僕はもう、堂々と胸を張ってもいいんですよね。水の神に選ばれしアクリムの王子として。

父上……母上……マレン……

……僕は……もう……

……


暫く経つと、マレンがノックしながらもテティノの部屋に入る。
「お兄様! いつまで寝てるの? 夕食の時間よ!」
テティノが眠るベッドの前にやって来ては、揺すって起こそうとするマレン。だが、テティノは目を覚まさない。
「ねえお兄様! 起きてってば! お兄様!」
何度も呼び掛けながら起こそうとするマレン。一向に目覚める気配がなく、思わずテティノの寝顔を見るマレン。次の瞬間、マレンの表情が凍り付いた。
「お兄……様……?」
マレンが見たものは、血色が失せたテティノの寝顔であった。死んだように眠っているテティノの姿を目の当たりにしたマレンは口元を抑え、涙を浮かべていた。


沈み行く太陽は黄金に輝き、黄金に染まった夕闇の空の中、微かな光が見える。月が出る頃になっても、微かな光はまだ空の上に残っていた。光はゆっくりと消えていき、星空が輝く夜を迎えた頃――。
「こ、これは……!」
マチェドニルが驚愕の声を上げる。台座に神雷の剣と共に保管されていたアポロイアの剣が砂のように崩れ始めているのだ。音も無く、砂と化して散って行く剣。突然の出来事に、マチェドニルは言葉を失っていた。

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