付き合う条件が挿入の有無、なら

雪本 風香

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「奈緒さん、ゆっくりでいいから。腰、落として」
 改めて指で私のナカを解した絢斗さんが求めた体位は、対面座位だった。
 奈緒さんが挿入をコントロールできるから、と言い、自身がベッドのヘッドボードに枕を挟み、足を投げ出して軽くもたれるように座った絢斗さんに私はそっと跨った。
 何度か他の男性としたことのある体位だ。私はただ腰を落とすだけでいいのに。絢斗さんに見られている、と思うだけで恥ずかしくてトロトロの愛液を垂れ流す。それがゴムを付けた絢斗さんの肉棒に伝うと、目の前にある喉がゴクリと音を立てた。

「えっろ……」
 そう呟いた絢斗さんはおもむろに腰を掴むと、そのままズブリと自身を私のナカに納めていく。
「ひゃあ!! 待っ……!! んんっ!! ふかっ……だめっ……んっふぅん!?」
 絢斗さんが喘ぐ私の口を塞いだ。太ももの上に座る形になっている私は一段高くなっているから顔は近いし、少し絢斗さんが首を傾げてくれたからキスは容易に出来る体勢だけど。
 最初にされた時のように快感を引き出すように深く口づけをする絢斗さんに、私は堪らなくなって彼の胸を叩く。けれど、そんなことではガタイのいい絢斗さんには響かない。私の舌を見つけると器用に絡め取り、愛撫してくる。
 逃げようとする私の後頭部を片手で押さえ、もう片一方の手を腰にぐるりと回して私を固定した絢斗さんは、小刻みに下から突き上げる。
 上の口も下の口も同時に犯されていると、まだ絢斗さんの大きさに慣れていなかった私のナカが徐々に順応してきたのだ。
「んんーー! んっ!! んんんんっ!!」
 出せない声は呻きになる。それがまた私の脳を刺激する。

 気持ちよすぎて、耐えれない。

 私がそう思った瞬間、腰がズルっと落ちた。
「ふぁっ!! んんんっ!! ふかっああ!! おっきいいい!! 痛いのにっ、きもちいいっ!!」
 ようやく離れた口から私は喘ぎ声を出しながら、解放された腰を振る。深く刺さった絢斗さんのモノは大きくて痛みも感じているのに、遠くの方で快感の波が見え隠れしているのだ。
 私はこの波を捕まえようと無我夢中だった。

「ちょっ……、奈緒さん。……っつ、それやばっ……いって」
 絢斗さんが私を無理やり制止させる。
「やぁっ! なんでっ!? イきたいのにっ!!」
「うん、イッていいよ。けど……」
 絢斗さんは、前屈みになっていた私を軽く後ろに倒す。咄嗟に後ろ手をついた私は、結合部が丸見えの姿勢にキュンと膣口を締めてしまった。
「うっ……。急に締めつけない」
 教師が生徒を注意するように注意をした絢斗さんは、私のぷくりと膨れ上がったクリトリスに指を沿わす。
「ナカだけじゃイけないでしょ、まだ」
 言い終わると同時に淫豆をぬるんと指で挟んだ。

「ひゃっ!! あっ!! んんっ!! ふぁんん!! それだめっ!!」
「ダメじゃない。でしょ?」
 腰を反らして逃げようとする私の背中に空いている手を回し、緩く出し入れを繰り返しながらクリトリスをシコシコされる。
 時間をかけて行った前戯で私のクリの弄り方を熟知している絢斗さんの動きは容赦ない。
 遠くに見えていた快感は一瞬で目前まで迫ってきていた。

「やっあっ!! きちゃっ!! んんっ!! なにかっ……出ちゃっ!!」
「……っつ! いいよ、全部……出して」
 絢斗さんは耐えるように眉間にシワを寄せて、声を上擦らせて答えた。絢斗さんにそんな顔を、そんな声をさせているのは自分だと気づいた瞬間、私の中で何かが弾けた。

「え……」

 一瞬、深すぎて何が起きているのか分からなかった。
 直後、クリトリスがビクンと反応し、膣内がぎゅっと締まった。絢斗さんの太いモノを思いっきり締め付けると同時にゾクゾクしたものが背筋を走り、脳天まで突き抜けた。

「んぁ!! あっ!! な……これっ!! イッ!! くううぅぅ!! イッ……てっ!!! んんんんんああああっ!!!」
「っつ!! ごめんっ!! もう無理っ」
 絢斗さんはクリトリスをピンと弾くと、反っていた私の腰を掴んだ。そして自身のを深く私のナカに納めていく。
「ひゃっ!! 入っ……って!! おくっ!! 届いっ……んっく!!!」
 ばちゅん、と肉がぶつかる音が響いた。絢斗さんの手で上から腰を落とされ、下からも突き上げられる。

 動かない時はまだしも、激しく動かれると苦しくて痛みも感じる。なのに。
「ひゃんっ!! あっ!! いったあああ!! あっ!! そこはだめぇ!!」
 ピストンする度に擦られるクリトリスの裏側から小さな快感が弾けてくるのだ。小さくても積み重なれば大きなものになる。私はビクビクと腰を震わせて奥から蜜を垂れ流し、絢斗さんのモノを締め付ける。

「ごめっ……奈緒さんっ!! もう……限界っ」
 ぐいっとひときわ深く絢斗さんの肉棒を咥えさせられた私は、彼のモノが硬く大きく膨らんだのを感じた。直後、ドクンと絢斗さんのモノが脈打った。
「うっ……」
 短く声を漏らしながら長く深く射精をする絢斗さんは私を強く抱き締める。

 この痛みと快楽の波からやっと解放される。

 そう思って目を閉じた瞬間、私の意識は途切れたのだった。


 ※

 次に目を開けた時、私は絢斗さんの腕の中にスッポリと納まっていた。
「起きた?」
 少しだけ掠れた声で目尻を下げた絢斗さんが身に纏っている空気は、明らかに昨日までと違う。というか。
「なんで顔隠すのさ」
 恥ずかしくなって顔を覆った私に、絢斗さんは苦笑しているようだ。フッと息を吐く音が聞こえたと思うと、肩を抱き寄せられる。
 その瞬間、身体に走った痛みで私は小さく声を漏らす。腰のあたりに鈍痛と、ナカもヒリヒリとしている。きっと少し裂けているのだろう。トイレに行く度にしばらく染みそうな感覚もあり、私はそっと嘆息した。
 聞き逃さなかった絢斗さんは、申し訳なさそうに眉を寄せて反省の色を見せる。
「やっぱり痛いか。……ごめん、無茶させて」
「いえ……。私もその……致している最中は夢中だったし」
 ゴニョゴニョと口の中で伝えた私に、絢斗さんはハッとした後、嬉しそうな顔を浮かべる。

 私の記憶は途中で途切れているから、情事のあとの後始末は全部彼がしてくれたのだろう。服こそ着ていないがイヤらしいほど蜜を流していた下半身もベタベタしていないし、風邪引かないようにとの配慮か、きちんと布団も掛けられてるし、頭の下には枕も設置されている。
「本当は俺の腕を枕にしたかったんだけど。……奈緒さん、寝にくそうだったから」 
 残念そうに言いながら絢斗さんは私の腰に手を当てて、労わるように優しく撫でる。変な動きではないのに、私は敏感に反応してしまう。
「坂木さん、それはちょっと……」
「痛い?」
「っていうか、その……。……変なスイッチ入りそうで」
 私の言葉に絢斗さんは弾かれたように動きを止め、はぁ、と息をついた。
「……俺は今の言葉でスイッチ入りそうだった」
 うっ、と呻いた私を絢斗さんはジト目で見てくる。
「っていうか、また苗字呼びになってる」
「そ、それは……」
「もう恋人だろ? 名前で呼んでよ」
「…………恥ずかしいんだけど」
 私の言葉に絢斗さんは噴き出した。

「それ以上に恥ずかしいことしたのに?」
「……うるさいよ」
 軽く絢斗さんの胸を拳で叩いた私は、ふぅと息をついた。
 
「立てるかな……」
 思いの外、腰の痛みは強かった。ここから帰れるか危惧している私に、絢斗さんは軽く口づけをすると安心して、と呟いた。
「彼氏の俺がきちんとご自宅までお送りしますよ、奈緒さん」

 絢斗さんの笑みに私は不安げな色を隠さない声で確認する。

「送り狼にならない自信、ある?」
 絢斗さんはうっと言葉に詰まって、ボソリと呟いた。
「……送り狼になる自信ならある」 
「やっぱり」

 驚きはなかった。何故なら今も絢斗さんのモノは緩やかに屹立しているのだから。ホテルなら時間制限があるけれど、家になると時間の制限など関係ない。しかも、今日は土曜日である。土日休みの私たちには、月曜日の仕事までたっぷりと時間が残されているのだから。

「……頑張って我慢します。なので、家まで送らせてください。っていうか、フラフラな状態の奈緒さんを一人で帰せないし。それに……」

 ふぅ、と耐えるようにため息をついた絢斗さんは、少しだけ楽しそうに笑った。

「我慢した分は次回用にとっとけば問題ないしね」

 あれ……?
 私、墓穴掘った……かも?

 私が何か言おうと開けた口は、絢斗さんのそれで塞がれてしまったのだった。
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