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一年、三年、十年先のブルーマウンテン 3
憧れのコックさんから頂いたオーダーに早速と言う様にドリップケトルでお湯を沸かす。
電気コンロで湯の温度を85℃にセット。
その間にスケールで10gをきっちりと計り、ミルでゴリゴリと豆を挽いて行く。
そうしている間に沸いたお湯でペーパーをセットしたドリッパーにお湯をそそぎ、コーヒーサーバーを温めてそのお湯を捨ててドリッパーに挽きたての粉を入れる。ドリッパ―の下の方を揺らして粉を平らにしてからお湯を注ぐ。
最初に30g、円を描きながらお湯を注ぎ、しっかりお湯を落しきるまで蒸らしてからもう一度30gお湯を注ぐ。同じようにお湯を落しきるまで待ってから70gのお湯を注ぐ。
これが俺なりに10gの粉の割合に対して150gのお湯が美味しく思えた対比だ。誰が来ても何度飲みに来てもらっても同じ味を保つように導き出した俺の黄金比を自信を持ってしっかりと抽出するのが終わるのを待ってカップへと注いで
「どうぞ」
緊張する手は震えていたけど、飯田さんはありがとうございますと笑顔と共に受け取ってくれて
しっかりと香りを嗅ぎ、ゆっくりと一口口に含んでさっきまでのイケメンが嘘のようなくらい真剣な目でコーヒーを睨みつけるように味わっていた。
いや、俺、犬のマスクをつけた動画しか知らないけど、飯田さんってこんな風に真剣に料理する人なの?!コーヒー一杯にここまで真剣になるの?!何て篠田に問いただしたいけど既に背中を向けて仕事の準備に取り掛かっている。
あれ、ここに俺の味方はいないとか?
アウェイではないが一対一の対決に俺は戦う前から瞬殺されていたのをやっと今悟った。
こくりと飲み込んでしばらく目を閉じていた飯田さん。
そっと息を吐き出す共に香るコーヒーの匂いと共にゆっくりと目を開いて
「それで、このコーヒーはいくらお支払すればお客様に飲んでいただけると思うのでしょうか?」
今まで聞いた事のない位の辛辣な感想を貰ってしまった。
涙が出そうだ。
一生懸命丁寧に淹れたはずなのに飲んでいただく為に俺からお金を払って飲んで貰えと言う一言にそんなにも酷いのかと既に二カ月ほどの練習を否定されて心が折れた気がした。
聞こえた言葉が嘘であるようにとそっと篠田を見るも、篠田は耳を両手で覆って聞こえないと言うポーズのまま俺達を見ないと言う様に背中を向けていた。
憧れの上司、今までのクソ上司以上に厳しかった……
言葉もなく立ち尽くす俺に飯田さんは溜息を一つついて
「これからの事全部その目でちゃんと見ていてください」
そう言ってドリップケトルでお湯を沸かし始めた。湯の温度設定はしてないけどお構いなしにお湯を沸かし始めた。
その間にコーヒーサーバーとドリッパ―を洗い、ミルも綺麗に洗っていた。
「良いですか?ミルは挽いたらちゃんと洗ってください。その為にも洗える物を選んでください。
折角のブルーマウンテンなのに前のコーヒー豆が混ざっています。折角の味を楽しめるのにこれでは意味が無くなってしまいます。それにコーヒー豆は粉にしたらどんどん酸化が進むので苦味や酸味もえぐみとなって現れます。豆を挽いてコーヒーを淹れる意味が無くなります」
俺のコーヒーのまずさの正体。
ここでは言えないけど一度も洗った事ありませんと言えない代わりに冷や汗が流れて行く。
その間にお湯が沸騰して、そこで初めて電気コンロを85℃にセットする。
「料理もですが、お湯は必ず沸騰させてください。
スープなんかでもそうですが、殺菌をすると言う意味合いもあります。これは世界共通の意識です。いくら機械で便利になったからと行っても必ず沸点の100℃までお湯を沸かしてください。手間はかかりますが、お客様の姿が店の前に見えた時から沸かし始めればジュースを頼まれてお湯が無駄になる事はあっても時間を無駄にする事は一切ありません」
そんな事教材では教えてくれなかった……
教材では教えてくれない事を俺は学ぶ事が出来たから幸運だが、それを知らないまま店を開いて何か起きたと思うとぞっとするのだった。
電気コンロで湯の温度を85℃にセット。
その間にスケールで10gをきっちりと計り、ミルでゴリゴリと豆を挽いて行く。
そうしている間に沸いたお湯でペーパーをセットしたドリッパーにお湯をそそぎ、コーヒーサーバーを温めてそのお湯を捨ててドリッパーに挽きたての粉を入れる。ドリッパ―の下の方を揺らして粉を平らにしてからお湯を注ぐ。
最初に30g、円を描きながらお湯を注ぎ、しっかりお湯を落しきるまで蒸らしてからもう一度30gお湯を注ぐ。同じようにお湯を落しきるまで待ってから70gのお湯を注ぐ。
これが俺なりに10gの粉の割合に対して150gのお湯が美味しく思えた対比だ。誰が来ても何度飲みに来てもらっても同じ味を保つように導き出した俺の黄金比を自信を持ってしっかりと抽出するのが終わるのを待ってカップへと注いで
「どうぞ」
緊張する手は震えていたけど、飯田さんはありがとうございますと笑顔と共に受け取ってくれて
しっかりと香りを嗅ぎ、ゆっくりと一口口に含んでさっきまでのイケメンが嘘のようなくらい真剣な目でコーヒーを睨みつけるように味わっていた。
いや、俺、犬のマスクをつけた動画しか知らないけど、飯田さんってこんな風に真剣に料理する人なの?!コーヒー一杯にここまで真剣になるの?!何て篠田に問いただしたいけど既に背中を向けて仕事の準備に取り掛かっている。
あれ、ここに俺の味方はいないとか?
アウェイではないが一対一の対決に俺は戦う前から瞬殺されていたのをやっと今悟った。
こくりと飲み込んでしばらく目を閉じていた飯田さん。
そっと息を吐き出す共に香るコーヒーの匂いと共にゆっくりと目を開いて
「それで、このコーヒーはいくらお支払すればお客様に飲んでいただけると思うのでしょうか?」
今まで聞いた事のない位の辛辣な感想を貰ってしまった。
涙が出そうだ。
一生懸命丁寧に淹れたはずなのに飲んでいただく為に俺からお金を払って飲んで貰えと言う一言にそんなにも酷いのかと既に二カ月ほどの練習を否定されて心が折れた気がした。
聞こえた言葉が嘘であるようにとそっと篠田を見るも、篠田は耳を両手で覆って聞こえないと言うポーズのまま俺達を見ないと言う様に背中を向けていた。
憧れの上司、今までのクソ上司以上に厳しかった……
言葉もなく立ち尽くす俺に飯田さんは溜息を一つついて
「これからの事全部その目でちゃんと見ていてください」
そう言ってドリップケトルでお湯を沸かし始めた。湯の温度設定はしてないけどお構いなしにお湯を沸かし始めた。
その間にコーヒーサーバーとドリッパ―を洗い、ミルも綺麗に洗っていた。
「良いですか?ミルは挽いたらちゃんと洗ってください。その為にも洗える物を選んでください。
折角のブルーマウンテンなのに前のコーヒー豆が混ざっています。折角の味を楽しめるのにこれでは意味が無くなってしまいます。それにコーヒー豆は粉にしたらどんどん酸化が進むので苦味や酸味もえぐみとなって現れます。豆を挽いてコーヒーを淹れる意味が無くなります」
俺のコーヒーのまずさの正体。
ここでは言えないけど一度も洗った事ありませんと言えない代わりに冷や汗が流れて行く。
その間にお湯が沸騰して、そこで初めて電気コンロを85℃にセットする。
「料理もですが、お湯は必ず沸騰させてください。
スープなんかでもそうですが、殺菌をすると言う意味合いもあります。これは世界共通の意識です。いくら機械で便利になったからと行っても必ず沸点の100℃までお湯を沸かしてください。手間はかかりますが、お客様の姿が店の前に見えた時から沸かし始めればジュースを頼まれてお湯が無駄になる事はあっても時間を無駄にする事は一切ありません」
そんな事教材では教えてくれなかった……
教材では教えてくれない事を俺は学ぶ事が出来たから幸運だが、それを知らないまま店を開いて何か起きたと思うとぞっとするのだった。
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