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そうだ、山に帰ろう! 2
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案内された一件目はかつて米を作っていた農家の家だが既に屋根は半壊してとても住めるものではなかった。不動産はどんな状態でも家を建ててあるだけで税金が安くなるのでその仕組みの呪にすぐに踵を返して二件目へと向かう。
管理してるなら知ってるだろ、なんて突っ込みを心の中でしながら車は山道を走っていた。
二件目はちょうど谷間を見下ろすような場所にある家だった。川のせせらぎが心地よい家だが、家の建つ基礎が一つ抜けて宙ぶらりんとなっていた。
「あ、人が住んじゃいけない奴」
思わず水野がつっこんでしまえば不動産屋はその書類に赤いマジックで大きな文字で基礎は修復不可と書いて三件目に向かった。
ほんと管理頼むよと心の中で突っ込みながら車に揺られ、三軒目はそれなりに綺麗な家で予算もかなりオーバーした豪農の家だった。
水野なら将来的には返済可能なために家の中を見学させてもらい、これもありかなあととりあえずキープしてもらうも周辺にも家が立ち並び、交通は田舎でもあるようでトラクターや耕運機が目の前を通り過ぎて行く様子を見て興味が失せた所で次の物件へと向かう事になった。
四件目も豪農の家だったが今度は天井まで積まれたゴミがそのまま残された家だった。老夫婦が住んでいたと言う話を聞いて何気にググって見たらそこで家主さんがお亡くなりになっていた事故物件だった。報告義務あるだろうと思ったのだがちらりと盗み見た資料にはちゃんと書いてあるのでこの不動産屋が駄目な奴だったか。管理はどうなってると項垂れながらも回った五件目で足は止まった。
周囲に家はなく庭は背より高い雑草が侵入者を妨害する様に埋め尽くしていて伸びきった樹木が影を落とす鬱蒼とした家だった。
きちんと敷かれた石畳のアプローチはコンクリにめげずに育った雑草を踏みしめて進めば古い木造の家に辿り着いた。
小さいとは言えないが古民家と言うには年代感だがそれなりに貫録のある家だった。
内見したいと言えば鍵を開けてくれて玄関に上がる。
玄関はかつて憧れた師匠の山の家のように広い土間仕様となっていた。
「この家の持ち主は畑をされていて歳を取ったから麓の息子夫婦の家に移り住んだのですよ。一時間に一本あるかないかのバスは走っているけど駅から遠くて車がないと不便な所で、病院に通うのも大変なので息子夫婦が麓に呼び寄せたのですね」
四件目の事故物件があったのでそこの所は強く主張してくれた。
「仏壇も魂抜きもしてあるそうなので、気になるようでしたら麓の住職に処分御紹介先をお願いして仏壇を処分してもらいましょう」
言いながら隣に一枚板を敷いた床の間と書院障子から美しい影を落としていた。
残置物はあったが二件目ほどではなく、丁寧な暮らしをしていた物がそのまま置いて行かれた、そんな印象に多少の埃臭さ黴臭さに目を瞑れば悪くないと思った。
だけどこの家はそれなりに築年数があるようで……
「居間は掘りごたつがありまして、昔ながらの田の字型の部屋になってます」
師匠の家もこうだったなと思うもこうも暗さは感じなかったのはそれだけ先輩の家の居心地が良かった証拠だろうと話を聞きながら台所に案内されれば実家といい勝負の
「台所は一応システムキッチンですね。食器などは残ってますが現状渡しが条件なので……」
ゴミの処分はお願いしますと言う所だろう。
卒業間際に最後にお礼と言う様に高校の恩師の家を掃除に行った時があるがあの部屋に比べたら綺麗な物だと一応食器は食器棚に片づけてあるのにほっとしながらも
「床がたわみますね」
「ええと、三年ほど空家でしたのでどうしても風が抜けないのでそうなってしまいますね」
三年でこの程度。それ以上だと床が抜けるかもと慎重に歩きながら二階の部屋を見せてもらった。
使ってなかったのか何も置いてない部屋はそれでも壁紙が捲れたり天井に沁みが出来ていたりと時間の経過を感じてしまう。肝心なのがこのシミが雨漏りなのか空家に住みつく住人の物なのか疑問だが匂いからして後者なんだろうなと覚悟を決めながらルームツアーは続く。
押入れの中にみっしりと詰まった湿気を含む布団、そして残されたケースに入った衣類。未開封の箱に入ったままのタオル。なんとなく実家と同じ匂いがして四室もある部屋を一通り見てからまた一階に下りてきて
「この家は築百六十年ほどとなりまして」
ビルド&クラッシュとは言え尊敬する先輩、寧ろ師匠と勝手に呼んでいる人の家の離れの家の柱と家はその倍はあったはずだったなとリフォームの時に労力として駆り出されたのを思い出しながらその築年数自慢をふーんと聞いていればガラスの扉が開かれた先にはなんとなくデジャブ。
「今の若い人なんて見た事ないでしょう?
竈と薪風呂です。昔は五右衛門風呂だったらしいのですが子供が産まれたからと言ってすのこを沈めて入らなくても良い様にって変えたそうなんですよ。傾くと怖いですからね。
だけどやっぱり薪で焚いたお風呂はいつまでもホカホカして気持ちがよくってそれだけはやめれなかったようでね。一応前の住人の方が足腰悪くてシステムバスを導入したそうですが、調子のいい時はこっちに入っていたと言っていたので今も使えますよ。
薪割は大変だけど麓で薪を売っているから頼めば運んでくれるサービスもしていて……」
「この家が良いです。この家下さい」
説明も途中だったがまるで野菜でも買う様に即決する水野は多分疲れよりも懐かしさからの暴走だと後に親友に突っ込まれるのだった。
管理してるなら知ってるだろ、なんて突っ込みを心の中でしながら車は山道を走っていた。
二件目はちょうど谷間を見下ろすような場所にある家だった。川のせせらぎが心地よい家だが、家の建つ基礎が一つ抜けて宙ぶらりんとなっていた。
「あ、人が住んじゃいけない奴」
思わず水野がつっこんでしまえば不動産屋はその書類に赤いマジックで大きな文字で基礎は修復不可と書いて三件目に向かった。
ほんと管理頼むよと心の中で突っ込みながら車に揺られ、三軒目はそれなりに綺麗な家で予算もかなりオーバーした豪農の家だった。
水野なら将来的には返済可能なために家の中を見学させてもらい、これもありかなあととりあえずキープしてもらうも周辺にも家が立ち並び、交通は田舎でもあるようでトラクターや耕運機が目の前を通り過ぎて行く様子を見て興味が失せた所で次の物件へと向かう事になった。
四件目も豪農の家だったが今度は天井まで積まれたゴミがそのまま残された家だった。老夫婦が住んでいたと言う話を聞いて何気にググって見たらそこで家主さんがお亡くなりになっていた事故物件だった。報告義務あるだろうと思ったのだがちらりと盗み見た資料にはちゃんと書いてあるのでこの不動産屋が駄目な奴だったか。管理はどうなってると項垂れながらも回った五件目で足は止まった。
周囲に家はなく庭は背より高い雑草が侵入者を妨害する様に埋め尽くしていて伸びきった樹木が影を落とす鬱蒼とした家だった。
きちんと敷かれた石畳のアプローチはコンクリにめげずに育った雑草を踏みしめて進めば古い木造の家に辿り着いた。
小さいとは言えないが古民家と言うには年代感だがそれなりに貫録のある家だった。
内見したいと言えば鍵を開けてくれて玄関に上がる。
玄関はかつて憧れた師匠の山の家のように広い土間仕様となっていた。
「この家の持ち主は畑をされていて歳を取ったから麓の息子夫婦の家に移り住んだのですよ。一時間に一本あるかないかのバスは走っているけど駅から遠くて車がないと不便な所で、病院に通うのも大変なので息子夫婦が麓に呼び寄せたのですね」
四件目の事故物件があったのでそこの所は強く主張してくれた。
「仏壇も魂抜きもしてあるそうなので、気になるようでしたら麓の住職に処分御紹介先をお願いして仏壇を処分してもらいましょう」
言いながら隣に一枚板を敷いた床の間と書院障子から美しい影を落としていた。
残置物はあったが二件目ほどではなく、丁寧な暮らしをしていた物がそのまま置いて行かれた、そんな印象に多少の埃臭さ黴臭さに目を瞑れば悪くないと思った。
だけどこの家はそれなりに築年数があるようで……
「居間は掘りごたつがありまして、昔ながらの田の字型の部屋になってます」
師匠の家もこうだったなと思うもこうも暗さは感じなかったのはそれだけ先輩の家の居心地が良かった証拠だろうと話を聞きながら台所に案内されれば実家といい勝負の
「台所は一応システムキッチンですね。食器などは残ってますが現状渡しが条件なので……」
ゴミの処分はお願いしますと言う所だろう。
卒業間際に最後にお礼と言う様に高校の恩師の家を掃除に行った時があるがあの部屋に比べたら綺麗な物だと一応食器は食器棚に片づけてあるのにほっとしながらも
「床がたわみますね」
「ええと、三年ほど空家でしたのでどうしても風が抜けないのでそうなってしまいますね」
三年でこの程度。それ以上だと床が抜けるかもと慎重に歩きながら二階の部屋を見せてもらった。
使ってなかったのか何も置いてない部屋はそれでも壁紙が捲れたり天井に沁みが出来ていたりと時間の経過を感じてしまう。肝心なのがこのシミが雨漏りなのか空家に住みつく住人の物なのか疑問だが匂いからして後者なんだろうなと覚悟を決めながらルームツアーは続く。
押入れの中にみっしりと詰まった湿気を含む布団、そして残されたケースに入った衣類。未開封の箱に入ったままのタオル。なんとなく実家と同じ匂いがして四室もある部屋を一通り見てからまた一階に下りてきて
「この家は築百六十年ほどとなりまして」
ビルド&クラッシュとは言え尊敬する先輩、寧ろ師匠と勝手に呼んでいる人の家の離れの家の柱と家はその倍はあったはずだったなとリフォームの時に労力として駆り出されたのを思い出しながらその築年数自慢をふーんと聞いていればガラスの扉が開かれた先にはなんとなくデジャブ。
「今の若い人なんて見た事ないでしょう?
竈と薪風呂です。昔は五右衛門風呂だったらしいのですが子供が産まれたからと言ってすのこを沈めて入らなくても良い様にって変えたそうなんですよ。傾くと怖いですからね。
だけどやっぱり薪で焚いたお風呂はいつまでもホカホカして気持ちがよくってそれだけはやめれなかったようでね。一応前の住人の方が足腰悪くてシステムバスを導入したそうですが、調子のいい時はこっちに入っていたと言っていたので今も使えますよ。
薪割は大変だけど麓で薪を売っているから頼めば運んでくれるサービスもしていて……」
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