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夏休みの始まり 4
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欲しい情報を集める、その前にやっておかなくてはならない事がある。
俺がバアちゃん化してた時に昇華された高校生達の問題を作らなければならない。期末対策に山ほど問題を作った物のそれはほぼほぼ消化されていたのだった。誰がどれだけ進めているかなんて判らないけど、アクセス解析を見れば一目瞭然、園田も陸斗も頑張っているようで何よりな結果となっている。
そしてコメント欄を活用して判らない問題をお互い教え合ってると言うインプットした物をアウトプットできる環境こそベストだと思う。
それにメッセージの中には俺の提案に沿って塾に行く事に決めたと今更遅いと言いたい受験対策の方向転換はそれでもいい方に向かっていると言う。
三人組が目指すレベルの塾となると入塾するのにお約束の如くテストもあるし、レベルによってもクラス分けがある。もっとも俺が底上げした即席の学力レベルアップでその程度の問題は余裕でクリアはしてあるので塾の勉強にはしっかりと着いていけて俺のお役御免となるはずだった。
なるはずだった。
と言うのは未だに問題を請求されると言う謎のドM仕様に育ってしまっていた。
おまいら青春の仕方間違ってるぞー。
何て何度声をかけただろうか。だけど園田と陸斗を含めて感覚はゲームをクリアして行く感覚。幾ら問題を用意しても足りない外道な奴らに俺の方が負けそうだ。判ってる、それが若さだと言う事を。なんて思えば妙に年を取った気になってしまうので開き直って英語の勉強をプラスして問題を全部英文で書いてやった。
「はっ!俺から時間を奪おうとするからだ!」
謎の笑い声を立てながらキーボードをガチャガチャと叩くカオス仕様。
いつの間にか晩御飯の時間になって、意気消沈となっていた飯田さんはそれでも月一のポテトグラタンデイをこなしてくれた。が、ちょうど運悪く扉一枚越しに俺の笑い声を聞いてしまったらしくドアをノックできないでいたとかなんとか。
だけどやっぱり神に恐れはないので普通に
「ご飯出来ましたよ~。今夜はポテトグラタンですよ~」
と、俺に幸せをくれる呪文を唱えてくれたのできっかりと作業の手を止めて鬼畜仕様となった問題を送りつけて高校生達の欲求を満たしてやるのだった。
「はわぁぁぁ……
天国があるとしたらこの食卓ですね」
俺が満足できるポテトグラタンとお昼のお詫びだろうかから揚げが並んでいた。
あっさりコンソメスープとバケットと言うお約束メニューの隅にはちゃんとグリーンサラダもあるけど視界に入っていない。
今俺の視界にはポテトグラタンと端っこの方にから揚げがあるそんな状況。
飯田さんは四年の学習期間を経てちゃんと自分の分は先に別に作ると言う学習能力を披露してくれていた。
向こうでは大皿で作ってみんなで取り分けて食べる仕様ならしいが、俺が全部抱え込んで独り占めする状況に残されたメニューはパンとサラダとスープのみ。俺よりガタイの良い飯田さんの腹を満たす要素はどこにもない。初めて食べた時はその後また料理をすると言う羽目になって……
嫌でも学習するわなと納得の結果だろうと思う事にして置いた。
「話を戻すようでなんですが、昼は本当にすみません」
お昼の事か、昔働いていた店の事かどちらかなんて聞きはしない。
「それより向こうにはいつ行く予定ですか?」
こっちにくる事はなくなるのでそのあたりの話しを聞きたいと思って切り出せば
「今すぐにでもと。準備出来次第行こうと思っている」
そんなにすぐにと言うのが第一の感想で、自然と溜息が落ちた。
俺ってお人好しで、仲よくしてくれた人にとことん甘い、甘すぎると溜息を零す。
「俺も、フランス行ってみたいです」
弾かれたように顔を上げた飯田さんのフォークからグラタンが机の上にぺたりと落ちた。
「行ってみたいって……」
あんなにも飯田さんの憧れた店を嫌悪してみせた俺に何を言っていると言う様に理解しようと瞬きを繰り返しながら
「せめて店がなくなる前に。飯田さんが尊敬する人の料理を食べて見たくて」
これは本音だ。
だてに四年間調べつづけた店はもう馴染のある常連のような錯覚を持つくらい内部は知り尽くしている。
だけどそれでは満足できないのが美食の世界。
負けはしてなくても敗者になってしまった時の無常に悔しい気持ちは飯田さんだけではないと思う。
「俺は店の事に手出しはしない。悪いけど、これは彼が招いた事だから」
そう断ってなんとなく苦い気のするポテトグラタンに息を吹き付けて無言で食べ続けていれば
「綾人さん、パスポートいつ取ったのですか?どこに行くつもりだったのですか?!」
この家から滅多にはなれない俺が持つようなアイテムではないと言うのだろう。
まぁ、確かにと納得できるくらいの引きこもり生活をしている自覚はあったがと口の中で暴れる熱をかみ砕くようにグラタンをのみ込めれるまで咀嚼するつもりが、飯田さんが俺の手を急に握ってきて思わず熱いままグラタンを飲み込んでしまい慌ててさしだされたビールを呷る。
「すみません……」
さすがにタイミングが悪かったと言って謝るも
「パスポートは、オリヴィエに何かあった時にって取っただけです。
気が早いって笑っていいですよ?」
すっかり情が移ってしまったバイオリンだけしか持たない小さなバイオリニストを思いだしながら今頃チョリさんの家で飯田さんのお土産のケーキを食べてるのかななんて寂しさを感じていれば
「でしたら、何時頃……」
どこか期待する様に神経を集中して俺を見る飯田さんに苦笑しながら
「最低限夏休みに入ってからだよ。陸斗に家の事を頼もうと思うにも学業に穴をあけれないからね」
陸斗には夢と目的がある。
圭斗と共に一緒に肩を並べて仕事をすると言う憧れが陸斗を突き動かしている。
今までずっとかばってくれていた兄に恩返しをする為にと日々努力する様を俺は応援すると決めたのだ。
「折角だから一ヶ月ほど美術館とか回りたいと思ってる。他にもおのぼりさんよろしく観光地を回って、ドイツとかイギリスとかも足を伸ばしたい。オリエント急行とまでは言わないけど豪華列車の電車の旅やりたい。世界の車窓みたいな?」
「是非ポーターとして雇ってください」
「飯田さんはレストランで働いてください」
くうっ!と泣き真似をしながらもから揚げを口へと運んでいた。昼にもあれだけ食べてまだ食べれるのですねとどんだけから揚げ好きなのと聞きたかったもののそこは知らない方が良いかもしれないと無視をしてポテトグラタンとの対話の時間に入る。きっとこの後かなり苦い話をしなくてはいけないだろうから、それまではこの月に一度の幸せな時間を堪能する事にする。たとえ現実逃避だと言われようとしてもだ。
この時間の為に俺は頑張っている。
それを言うと絶対圭斗が殴って来そうだから黙っておこう。
俺がバアちゃん化してた時に昇華された高校生達の問題を作らなければならない。期末対策に山ほど問題を作った物のそれはほぼほぼ消化されていたのだった。誰がどれだけ進めているかなんて判らないけど、アクセス解析を見れば一目瞭然、園田も陸斗も頑張っているようで何よりな結果となっている。
そしてコメント欄を活用して判らない問題をお互い教え合ってると言うインプットした物をアウトプットできる環境こそベストだと思う。
それにメッセージの中には俺の提案に沿って塾に行く事に決めたと今更遅いと言いたい受験対策の方向転換はそれでもいい方に向かっていると言う。
三人組が目指すレベルの塾となると入塾するのにお約束の如くテストもあるし、レベルによってもクラス分けがある。もっとも俺が底上げした即席の学力レベルアップでその程度の問題は余裕でクリアはしてあるので塾の勉強にはしっかりと着いていけて俺のお役御免となるはずだった。
なるはずだった。
と言うのは未だに問題を請求されると言う謎のドM仕様に育ってしまっていた。
おまいら青春の仕方間違ってるぞー。
何て何度声をかけただろうか。だけど園田と陸斗を含めて感覚はゲームをクリアして行く感覚。幾ら問題を用意しても足りない外道な奴らに俺の方が負けそうだ。判ってる、それが若さだと言う事を。なんて思えば妙に年を取った気になってしまうので開き直って英語の勉強をプラスして問題を全部英文で書いてやった。
「はっ!俺から時間を奪おうとするからだ!」
謎の笑い声を立てながらキーボードをガチャガチャと叩くカオス仕様。
いつの間にか晩御飯の時間になって、意気消沈となっていた飯田さんはそれでも月一のポテトグラタンデイをこなしてくれた。が、ちょうど運悪く扉一枚越しに俺の笑い声を聞いてしまったらしくドアをノックできないでいたとかなんとか。
だけどやっぱり神に恐れはないので普通に
「ご飯出来ましたよ~。今夜はポテトグラタンですよ~」
と、俺に幸せをくれる呪文を唱えてくれたのできっかりと作業の手を止めて鬼畜仕様となった問題を送りつけて高校生達の欲求を満たしてやるのだった。
「はわぁぁぁ……
天国があるとしたらこの食卓ですね」
俺が満足できるポテトグラタンとお昼のお詫びだろうかから揚げが並んでいた。
あっさりコンソメスープとバケットと言うお約束メニューの隅にはちゃんとグリーンサラダもあるけど視界に入っていない。
今俺の視界にはポテトグラタンと端っこの方にから揚げがあるそんな状況。
飯田さんは四年の学習期間を経てちゃんと自分の分は先に別に作ると言う学習能力を披露してくれていた。
向こうでは大皿で作ってみんなで取り分けて食べる仕様ならしいが、俺が全部抱え込んで独り占めする状況に残されたメニューはパンとサラダとスープのみ。俺よりガタイの良い飯田さんの腹を満たす要素はどこにもない。初めて食べた時はその後また料理をすると言う羽目になって……
嫌でも学習するわなと納得の結果だろうと思う事にして置いた。
「話を戻すようでなんですが、昼は本当にすみません」
お昼の事か、昔働いていた店の事かどちらかなんて聞きはしない。
「それより向こうにはいつ行く予定ですか?」
こっちにくる事はなくなるのでそのあたりの話しを聞きたいと思って切り出せば
「今すぐにでもと。準備出来次第行こうと思っている」
そんなにすぐにと言うのが第一の感想で、自然と溜息が落ちた。
俺ってお人好しで、仲よくしてくれた人にとことん甘い、甘すぎると溜息を零す。
「俺も、フランス行ってみたいです」
弾かれたように顔を上げた飯田さんのフォークからグラタンが机の上にぺたりと落ちた。
「行ってみたいって……」
あんなにも飯田さんの憧れた店を嫌悪してみせた俺に何を言っていると言う様に理解しようと瞬きを繰り返しながら
「せめて店がなくなる前に。飯田さんが尊敬する人の料理を食べて見たくて」
これは本音だ。
だてに四年間調べつづけた店はもう馴染のある常連のような錯覚を持つくらい内部は知り尽くしている。
だけどそれでは満足できないのが美食の世界。
負けはしてなくても敗者になってしまった時の無常に悔しい気持ちは飯田さんだけではないと思う。
「俺は店の事に手出しはしない。悪いけど、これは彼が招いた事だから」
そう断ってなんとなく苦い気のするポテトグラタンに息を吹き付けて無言で食べ続けていれば
「綾人さん、パスポートいつ取ったのですか?どこに行くつもりだったのですか?!」
この家から滅多にはなれない俺が持つようなアイテムではないと言うのだろう。
まぁ、確かにと納得できるくらいの引きこもり生活をしている自覚はあったがと口の中で暴れる熱をかみ砕くようにグラタンをのみ込めれるまで咀嚼するつもりが、飯田さんが俺の手を急に握ってきて思わず熱いままグラタンを飲み込んでしまい慌ててさしだされたビールを呷る。
「すみません……」
さすがにタイミングが悪かったと言って謝るも
「パスポートは、オリヴィエに何かあった時にって取っただけです。
気が早いって笑っていいですよ?」
すっかり情が移ってしまったバイオリンだけしか持たない小さなバイオリニストを思いだしながら今頃チョリさんの家で飯田さんのお土産のケーキを食べてるのかななんて寂しさを感じていれば
「でしたら、何時頃……」
どこか期待する様に神経を集中して俺を見る飯田さんに苦笑しながら
「最低限夏休みに入ってからだよ。陸斗に家の事を頼もうと思うにも学業に穴をあけれないからね」
陸斗には夢と目的がある。
圭斗と共に一緒に肩を並べて仕事をすると言う憧れが陸斗を突き動かしている。
今までずっとかばってくれていた兄に恩返しをする為にと日々努力する様を俺は応援すると決めたのだ。
「折角だから一ヶ月ほど美術館とか回りたいと思ってる。他にもおのぼりさんよろしく観光地を回って、ドイツとかイギリスとかも足を伸ばしたい。オリエント急行とまでは言わないけど豪華列車の電車の旅やりたい。世界の車窓みたいな?」
「是非ポーターとして雇ってください」
「飯田さんはレストランで働いてください」
くうっ!と泣き真似をしながらもから揚げを口へと運んでいた。昼にもあれだけ食べてまだ食べれるのですねとどんだけから揚げ好きなのと聞きたかったもののそこは知らない方が良いかもしれないと無視をしてポテトグラタンとの対話の時間に入る。きっとこの後かなり苦い話をしなくてはいけないだろうから、それまではこの月に一度の幸せな時間を堪能する事にする。たとえ現実逃避だと言われようとしてもだ。
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