475 / 976
裏庭に潜む罠には飛び込むのが礼儀 2
しおりを挟む
日本ですっかり慣れたスマホ越しの会話は相変わらず一呼吸遅れての会話となる物のそのテンポもお互い慣れた物で、慣れとはすばらしくその差は全く気にならなくなっていた。
ルームツアーは一階と二階をメインに三階と屋根裏はちょろっとだけの案内。
生活の基盤となる一階は理解できたが二階は綾人の部屋、いわゆるスマスタールームとこれから暮す事になるだろうオリヴィエの部屋があるのでしっかりと自慢したいお年頃だったようで、高山は一番最後に案内されたオリヴィエの部屋でくるくると走り回る様子を微笑ましく眺めて耳を傾ける。
「この部屋は壁紙を張り替えてくれるんだって。壁一面を本棚にして綾人の部屋みたいにするんだ。大きなベットを部屋の奥のこの辺に置いて、綾人のパソコン部屋みたいな大きな勉強机を置くんだ。隣のクローゼットはそれなりに大きさがあるから防音の部屋にして昌隆の部屋みたいなスタジオにする。綾人にパソコンを買ってもらう約束したから作曲活動を本気でやる事にした。マイヤーが俺の先生になってくれるんだって。
そしてこの陽の当たらない壁際には俺専用のバイオリンの収納棚を買ってくれるんだって。湿度管理が難しいからってマイヤーが綾人に教えてくれてね、すぐにマイヤーが知り合いの楽器屋に連絡してくれてカタログからお薦めの奴を綾人は注文してくれたんだ。クローゼットもスタジオに変えちゃったからタンスも必要だって用意してくれるんだよ!
夢みたいだ!俺の部屋があるなんて!」
「ああ、本当に夢みたいな部屋が出来るんだな」
珍しく有意義な買い物をしているなと綾人を褒め称えながら今までホテル住まいで定住何てプロになってからした事がなく、帰る家と確かな自分の物をやっと手に入れたオリヴィエは俺が想像する以上に喜び無邪気に笑う。
「ただ、俺は綾人にこの部屋の家賃を入れなくちゃいけなくて、今は夏休みだから良いけど来月から仕事が始まったら支払えばいいんだって。
ちゃんと働いて自分で稼いで、それが自分の生活に当てれるって凄く正しくっていいよね」
やる気に満ち溢れたオリヴィエを見ながらまだ伸びる時期を迎えてない視線より下の子供の頭を撫でながら
「当たり前のことを当たり前のようにする、意外と難しい事だから。
綾人に恩を感じるのならしっかりと音楽を愛する事だ」
翻訳アプリでは何と翻訳されたか判らないが、少しだけ顔を真っ赤に染めて俺を部屋から追い出し
「俺、練習の時間だから!薫と散歩でもして来て!」
随分とシェフの名前を流暢に呼べるようになったと感心しながらもシェフと散歩なんてないわーなんて、枝の剪定をする事にした。
遠ざかる足音に目を閉じて、取り出したバイオリンを構えてゆっくりと今与えられた課題の曲を弾く。
初見ではないため、今の自分がどこまで弾けるか記憶を頼りに弓を滑らせながら少しだけこの生活が始まる前を思い出す。
何年もの間オリヴィエの稼いだお金は生活と演奏の為の移動の資金以外は総て母親が搾取していてオリヴィエに一切還元されなかった。働く事の虚しさと演奏の意味を理解できなく、音楽を純粋に愛せなくなったオリヴィエはただその技術だけでいままでやってきたのだ。
人生のターニングポイントと言うべき深山での綾人との出会いは確実にオリヴィエに自立を促し、綾人の支援を得て拠点も決まった。
今はジョルジュとマイヤーと言うクラッシック界の二大巨頭に支えられているけどそれも時間の問題。それまでにジョルジュとマイヤーが居なくても大丈夫なくらいの確固とした地位を作らなくてはいけないのだ。
仕事を支援してくれる事務所も決まり、既に再開の為の準備も始めている。マイヤーも散歩代わりにここに来て朝食を食べては庭をぐるりと散歩したり、部屋の中やテラスでバイオリンのレッスンをしてくれる。勿論作曲家としての勉強もきっちりと教えてくれる。
マイヤーに直接学べるなんて羨ましい。
オリヴィエがこの城に居る事を知る仲間はすぐに足を運べないだけあってこまめなメッセージをくれる。
ちなみにこの様子は事務所と相談して動画として上げている。
教える事になるマイヤーも快く引き受け、きっとオリヴィエが最後の弟子になるだろうからと言って最後の足跡を残したいと言う。
「古典な音楽ばかりやって来たからね。オリヴィエのような若手の力、衝動はこの年になると眩しくて羨ましくて。少しでもオリヴィエの成長を一番側で見守りたい私の我が儘ですから、ダメと言っても一緒に出演しますよ」
そんな脅迫。
事務所側は願ってもないと調整を始める中、オリヴィエにも一人のマネージャーが付いた。オリオールもマイヤーも知る事務所の所長の秘書の一人が引き受けてくれたと言う。
まぁ、クラッシック界の二大巨頭のいとし子に碌でもないマネージャーが付くよりはと所長が直接交渉してくれたようで、今日もオリヴィエに会いに来てくれるのだった。
練習の最中に部屋の扉が開いたのに気が付いて演奏を止めれば
「練習中に悪いな。
所でこの城のオーナーはまだお戻りにならないのですか?」
「ごめん。今イギリスに寄ってから帰るって連絡があった」
暑いのにきちんとスーツを着て眼鏡をかけた俺のマネージャーのセシル・デューリーは汗もかかずにまいりましたねとあまり笑う事もなくまじめに仕事をする様子はさすが所長の秘書だと妙な納得を覚えるのだった。
ルームツアーは一階と二階をメインに三階と屋根裏はちょろっとだけの案内。
生活の基盤となる一階は理解できたが二階は綾人の部屋、いわゆるスマスタールームとこれから暮す事になるだろうオリヴィエの部屋があるのでしっかりと自慢したいお年頃だったようで、高山は一番最後に案内されたオリヴィエの部屋でくるくると走り回る様子を微笑ましく眺めて耳を傾ける。
「この部屋は壁紙を張り替えてくれるんだって。壁一面を本棚にして綾人の部屋みたいにするんだ。大きなベットを部屋の奥のこの辺に置いて、綾人のパソコン部屋みたいな大きな勉強机を置くんだ。隣のクローゼットはそれなりに大きさがあるから防音の部屋にして昌隆の部屋みたいなスタジオにする。綾人にパソコンを買ってもらう約束したから作曲活動を本気でやる事にした。マイヤーが俺の先生になってくれるんだって。
そしてこの陽の当たらない壁際には俺専用のバイオリンの収納棚を買ってくれるんだって。湿度管理が難しいからってマイヤーが綾人に教えてくれてね、すぐにマイヤーが知り合いの楽器屋に連絡してくれてカタログからお薦めの奴を綾人は注文してくれたんだ。クローゼットもスタジオに変えちゃったからタンスも必要だって用意してくれるんだよ!
夢みたいだ!俺の部屋があるなんて!」
「ああ、本当に夢みたいな部屋が出来るんだな」
珍しく有意義な買い物をしているなと綾人を褒め称えながら今までホテル住まいで定住何てプロになってからした事がなく、帰る家と確かな自分の物をやっと手に入れたオリヴィエは俺が想像する以上に喜び無邪気に笑う。
「ただ、俺は綾人にこの部屋の家賃を入れなくちゃいけなくて、今は夏休みだから良いけど来月から仕事が始まったら支払えばいいんだって。
ちゃんと働いて自分で稼いで、それが自分の生活に当てれるって凄く正しくっていいよね」
やる気に満ち溢れたオリヴィエを見ながらまだ伸びる時期を迎えてない視線より下の子供の頭を撫でながら
「当たり前のことを当たり前のようにする、意外と難しい事だから。
綾人に恩を感じるのならしっかりと音楽を愛する事だ」
翻訳アプリでは何と翻訳されたか判らないが、少しだけ顔を真っ赤に染めて俺を部屋から追い出し
「俺、練習の時間だから!薫と散歩でもして来て!」
随分とシェフの名前を流暢に呼べるようになったと感心しながらもシェフと散歩なんてないわーなんて、枝の剪定をする事にした。
遠ざかる足音に目を閉じて、取り出したバイオリンを構えてゆっくりと今与えられた課題の曲を弾く。
初見ではないため、今の自分がどこまで弾けるか記憶を頼りに弓を滑らせながら少しだけこの生活が始まる前を思い出す。
何年もの間オリヴィエの稼いだお金は生活と演奏の為の移動の資金以外は総て母親が搾取していてオリヴィエに一切還元されなかった。働く事の虚しさと演奏の意味を理解できなく、音楽を純粋に愛せなくなったオリヴィエはただその技術だけでいままでやってきたのだ。
人生のターニングポイントと言うべき深山での綾人との出会いは確実にオリヴィエに自立を促し、綾人の支援を得て拠点も決まった。
今はジョルジュとマイヤーと言うクラッシック界の二大巨頭に支えられているけどそれも時間の問題。それまでにジョルジュとマイヤーが居なくても大丈夫なくらいの確固とした地位を作らなくてはいけないのだ。
仕事を支援してくれる事務所も決まり、既に再開の為の準備も始めている。マイヤーも散歩代わりにここに来て朝食を食べては庭をぐるりと散歩したり、部屋の中やテラスでバイオリンのレッスンをしてくれる。勿論作曲家としての勉強もきっちりと教えてくれる。
マイヤーに直接学べるなんて羨ましい。
オリヴィエがこの城に居る事を知る仲間はすぐに足を運べないだけあってこまめなメッセージをくれる。
ちなみにこの様子は事務所と相談して動画として上げている。
教える事になるマイヤーも快く引き受け、きっとオリヴィエが最後の弟子になるだろうからと言って最後の足跡を残したいと言う。
「古典な音楽ばかりやって来たからね。オリヴィエのような若手の力、衝動はこの年になると眩しくて羨ましくて。少しでもオリヴィエの成長を一番側で見守りたい私の我が儘ですから、ダメと言っても一緒に出演しますよ」
そんな脅迫。
事務所側は願ってもないと調整を始める中、オリヴィエにも一人のマネージャーが付いた。オリオールもマイヤーも知る事務所の所長の秘書の一人が引き受けてくれたと言う。
まぁ、クラッシック界の二大巨頭のいとし子に碌でもないマネージャーが付くよりはと所長が直接交渉してくれたようで、今日もオリヴィエに会いに来てくれるのだった。
練習の最中に部屋の扉が開いたのに気が付いて演奏を止めれば
「練習中に悪いな。
所でこの城のオーナーはまだお戻りにならないのですか?」
「ごめん。今イギリスに寄ってから帰るって連絡があった」
暑いのにきちんとスーツを着て眼鏡をかけた俺のマネージャーのセシル・デューリーは汗もかかずにまいりましたねとあまり笑う事もなくまじめに仕事をする様子はさすが所長の秘書だと妙な納得を覚えるのだった。
255
あなたにおすすめの小説
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる