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さあ、始めようじゃないか 8
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飯田さんの猪カレーと言う初めてのジビエを食べた初心者様は皆さんテンション高くやる気になっていた。飯田さんのカレー美味しいからね。そこら辺のやってみたって言うだけの猪カレーはこんなにも美味しさは求められないぞと国道沿いの道の駅風な休憩所ではかなり野生味の強いカレーと出会う事となる事を密かに願うのはこのカレーは飯田さんが作るから美味しいと言う事を忘れんじゃねえと密かに腹立たしく思っているだけ。なんとなく俺の様子に気付いた宮下が森下さんに断って飯田さんを連れて俺を捕獲して圭斗の家に移動した。
そして黙ってご飯を食べ終わってご機嫌に遊んでいた凛ちゃんを俺に抱かせて
「綾にいちゃん面白いお顔してまちゅね」
宮下の赤ちゃん言葉。
痛々しいと思いながらも
「綾にいちゃんでちゅよ~
凛ちゃんは今日もご機嫌ちゃんでちゅねー」
実桜さんも大笑いの俺の赤ちゃん言葉。お母様に笑ってもらえた分俺の勝ち。飯田さんは仏の顔で黙って眺めていた。
前髪で凛ちゃんをくすぐるように揺らせばその小さな手で絡め取られて引っ張られる始末。
いてーっ!!!
なんて大声は出しません。耐えて耐えてあたふたしていれば零歳児の小さなお姫様は声を上げて大喜び。あまりの喜びように誰も止める気はなくなりました。
「とりあえず飯田さんと綾人は凛ちゃんのお世話を頼むよ」
言いながら宮下は立ち上がれば
「あー、私は何か手伝えればいいんだけど」
「いやいや、実桜さんは食器洗ってもらったし。休憩してよ」
宮下はそう言って逃げるように去って行った。
縁側から離れを見れば丁度合板の上に防水シートが貼られた所。若手の職人さん達が屋根に上がりいよいよかと思うも少し悪くなり出した天気はそれでも十分持ちそうだと綾人は空を見上げ雲の流れを見ていた。その隣で実桜さんがポツリと漏らす。
「これから私たちが住む家だと思うもじっとしてられないんだよね」
ずっと働きっぱなしだった人間の悲しい習性だと綾人はそっと涙を流し
「だったら植木手入れしてきてよ。剪定鋏と大バサミぐらいしかないけど」
できないなりに他のことをすればいいと言えば
「うわっ、難易度が地味にヤラシイんだけど」
「春に一度手を入れて以来だから。金柑が来年は実がなるようによろしく?」
「金柑なんて放っておいても実がなるのに何やったの?」
不審な目で何をしたんだと言う疑う目には素直に白状。
「今頃だったかな。
陸斗の希望で山の畑から若い金柑の苗木を移植しました」
呆れたと言う顔で
「良く根付いたね」
「そこは藁の力で。土も肥料を入れたし、陸斗もちゃんと水やりをしたからね。木も頑張って根付いてくれたんだよ」
去年の冬の寒さにも夏の暑さにも耐えきった金柑の木。広い庭だけどあまり陽のあたりの良くない地形でも目一杯太陽の恵みを得られる特等席に植えられた細い金柑の木は本来なら可憐な小さな花を咲き終えて鈴なりの小さな実を付け出している頃。
だけど移植の時期の悪さに花も咲かせなければ実もなってない、最初からわかってたとは言え花ぐらい見たかったなと言うのが期待というもの。
まあ、無事根付いてくれただけでも十分だがと無い物ねだりをしてしまうのが人間の性だ。
俺の話を聞いた実桜さんはうんうんと頷いただけで
「鋏は自前のがあるから。ちょっと時期的にギリギリだけど他の剪定もしてくるよ」
先日購入したクマのぬいぐるみを凛ちゃんに持たせて行ってきますとあしどりかるくでかけるようすに根っからの植物の奴隷の人だと俺と飯田さんは黙って見送った。
さて俺たちはどうしたものかと思いながら
「凛ちゃんと一緒に散歩行きませんか?」
そんな飯田さんのお誘い。
「戦力外なので問題ないです」
「なら一郎さん達のお墓参りでも良いでしょうか?」
「ここからなら行って帰って三十分ほど。いい感じですね」
そう言って出かける準備をして実桜さんに許可をもらいぶらぶらと歩くのだった。
ただ俺たちは赤ちゃんの体重を舐めていた。
高々十キロ前後。いつのまにかお昼寝をしてしまったその体重の重さに元宮下のバイト先に立ち寄ってベビーカーを購入した。
実桜さんがひょいひょいと長時間疲れる事なく抱き上げていたから気にしれなかったけど
「飯田さん、赤ちゃんを抱き上げる筋肉って普段使ってない筋肉でした」
「緊張もありますが、まだまだ鍛えるべき筋肉はありましたね」
交代で抱っこしてたとは言え二人揃って軽い筋肉痛に悩まされるのだった。
そして黙ってご飯を食べ終わってご機嫌に遊んでいた凛ちゃんを俺に抱かせて
「綾にいちゃん面白いお顔してまちゅね」
宮下の赤ちゃん言葉。
痛々しいと思いながらも
「綾にいちゃんでちゅよ~
凛ちゃんは今日もご機嫌ちゃんでちゅねー」
実桜さんも大笑いの俺の赤ちゃん言葉。お母様に笑ってもらえた分俺の勝ち。飯田さんは仏の顔で黙って眺めていた。
前髪で凛ちゃんをくすぐるように揺らせばその小さな手で絡め取られて引っ張られる始末。
いてーっ!!!
なんて大声は出しません。耐えて耐えてあたふたしていれば零歳児の小さなお姫様は声を上げて大喜び。あまりの喜びように誰も止める気はなくなりました。
「とりあえず飯田さんと綾人は凛ちゃんのお世話を頼むよ」
言いながら宮下は立ち上がれば
「あー、私は何か手伝えればいいんだけど」
「いやいや、実桜さんは食器洗ってもらったし。休憩してよ」
宮下はそう言って逃げるように去って行った。
縁側から離れを見れば丁度合板の上に防水シートが貼られた所。若手の職人さん達が屋根に上がりいよいよかと思うも少し悪くなり出した天気はそれでも十分持ちそうだと綾人は空を見上げ雲の流れを見ていた。その隣で実桜さんがポツリと漏らす。
「これから私たちが住む家だと思うもじっとしてられないんだよね」
ずっと働きっぱなしだった人間の悲しい習性だと綾人はそっと涙を流し
「だったら植木手入れしてきてよ。剪定鋏と大バサミぐらいしかないけど」
できないなりに他のことをすればいいと言えば
「うわっ、難易度が地味にヤラシイんだけど」
「春に一度手を入れて以来だから。金柑が来年は実がなるようによろしく?」
「金柑なんて放っておいても実がなるのに何やったの?」
不審な目で何をしたんだと言う疑う目には素直に白状。
「今頃だったかな。
陸斗の希望で山の畑から若い金柑の苗木を移植しました」
呆れたと言う顔で
「良く根付いたね」
「そこは藁の力で。土も肥料を入れたし、陸斗もちゃんと水やりをしたからね。木も頑張って根付いてくれたんだよ」
去年の冬の寒さにも夏の暑さにも耐えきった金柑の木。広い庭だけどあまり陽のあたりの良くない地形でも目一杯太陽の恵みを得られる特等席に植えられた細い金柑の木は本来なら可憐な小さな花を咲き終えて鈴なりの小さな実を付け出している頃。
だけど移植の時期の悪さに花も咲かせなければ実もなってない、最初からわかってたとは言え花ぐらい見たかったなと言うのが期待というもの。
まあ、無事根付いてくれただけでも十分だがと無い物ねだりをしてしまうのが人間の性だ。
俺の話を聞いた実桜さんはうんうんと頷いただけで
「鋏は自前のがあるから。ちょっと時期的にギリギリだけど他の剪定もしてくるよ」
先日購入したクマのぬいぐるみを凛ちゃんに持たせて行ってきますとあしどりかるくでかけるようすに根っからの植物の奴隷の人だと俺と飯田さんは黙って見送った。
さて俺たちはどうしたものかと思いながら
「凛ちゃんと一緒に散歩行きませんか?」
そんな飯田さんのお誘い。
「戦力外なので問題ないです」
「なら一郎さん達のお墓参りでも良いでしょうか?」
「ここからなら行って帰って三十分ほど。いい感じですね」
そう言って出かける準備をして実桜さんに許可をもらいぶらぶらと歩くのだった。
ただ俺たちは赤ちゃんの体重を舐めていた。
高々十キロ前後。いつのまにかお昼寝をしてしまったその体重の重さに元宮下のバイト先に立ち寄ってベビーカーを購入した。
実桜さんがひょいひょいと長時間疲れる事なく抱き上げていたから気にしれなかったけど
「飯田さん、赤ちゃんを抱き上げる筋肉って普段使ってない筋肉でした」
「緊張もありますが、まだまだ鍛えるべき筋肉はありましたね」
交代で抱っこしてたとは言え二人揃って軽い筋肉痛に悩まされるのだった。
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