53 / 321
雨が降った空を見上げて駆けあがる 1
一つの大きな仕事を終えて、仕事を頂いた元職場にも無事運用がスタートした事を報告が出来た。
もちろんトラブルの事は先輩から会社の方へと先に連絡が回ったが、そういったトラブルはどうしようもない事もよく理解してくれる職場なので不運だったなと逆に慰めてもらうのだった。
まあ、無事納品が出来たからの話しだけど。
その後次の仕事を貰うのだけど後日会社のシステムも大幅アップデートをしたと元同僚から聞いた。
もちろんすぐさま先輩に連絡を取れば
「あれだけの進化系を見たからな。うちだって導入しない理由はないだろう?」
しれっとした顔で言うのだろう姿を想像して笑いながら
「実際綾っちにも言われたんだ。
もし万が一あればこれぐらいのリターンがあればすぐに切る事はないだろうって」
切るって、やっぱり俺の事だよなと信用信頼が一番のシステム開発と飽和状態の人材はすぐにどうとでもなる業界。
いかに有益プラス何かの部分にうま味がないと繋がりを持ち続ける理由はないという事を嫌でも理解してしまう。
実際先輩には応援の代わりに新システムのお持ち帰りと言う作業をしてもらったのだ。
是非とも繋がっていたいパイプラインと言うように先輩の重要性もより増す事になるが……
「あのデスマーチが終わったのに会社でもデスマーチ再びだよ。周囲は屍類類でもうデスパレードだよ」
つまり今回俺の仕事が会社のバージョンアップの為のプロトタイプとなったわけか。どのみちあれだけ変わるとハッキングとかはさらに難しいだろうから安全が守られれば良いだろうと釈然としないものが残ったがほぼほぼ手伝ってもらったのだ。文句が言えるわけもなくそれを手土産に会社に戻った先輩の疲労からの顔色の悪さに愚痴は言えなかった。
会社での寝泊まりのせいでお疲れの様子にようやく夜はぐっすりと寝れるようになった俺はあの目の下のくまはもう綺麗に消え去っていて、先輩にお疲れ様です。ですががんばってくださいとものすごい良い笑顔でエールを送るしか言葉が見つからなかった。
そうやって手に入れた穏やかな日常。
今日も日の出と共に一日が始まって
「真ー朝だよー!」
「真ーおなか出して寝ると風邪ひくよー?」
「真ー朝ごはんは西瓜がよろしいかと思います!」
「真ー朱華は西瓜もよろしいかと思いますが葡萄も食べたく思います!」
「真ートイレー!」
ますます容赦ない目覚まし時計のちみっこ達に確実に俺は寝起きが素晴らしく良くなったと思う。
いつものように真白を抱えてトイレへと連れて行き、その後は朝ごはんの準備に取り掛かる。
ちみっこ達は基本野菜や果物と言ったものから生臭を避けた料理で十分。
まあ、真白のような肉食系の子には姿から本能的に肉類を求めるのでそこはお肉の味を覚えないようにカリカリで埋め合わせる事にする。
そして今新たな住人…… とまではいわないがお客様が来るようになった。
「あ、猫のおばあちゃんだ!おはよーの挨拶してくるね!」
「だったら後でご飯を持っていくからちょっと待っててもらうように伝えてね」
そう。
あの日、真白が勇気を振り絞った冒険をした時に助けてくれた老齢の猫が縁側でお昼寝に来る時にニャーとご挨拶してくれる仲になったのだ。
真白に通訳してもらってお世話になったお礼と言って真白のカリカリをおすそ分けするようになれば朝と夕方に顔を見せてくれる常連さんになった。
家にいたずらはしないしドアを開けていても決して家の中に入る事もない。
少し寂しく思うも真白も少しだけ残念そうな顔をして
「この家には入れないんだって」
「そうなのか?」
野良猫だからって気にする事はないのにと真白の恩人に遠慮しないでと思うも
「この家は神様がお住まいになる邸だから扉の内側に入ることは出来ないのだって」
なんて真白から教えてもらった。
まあ、五体の付喪神がいればそうだし、そもそも朱華がこの家の欄間から発生したのだ。家自体の格式が上がるのは当然かと思うも、俺はそんな家を事故物件並みに汚してしまい……
浩太さんが綺麗に手を入れてくれたことで朱華が力を取り戻したと言う事例を知っていたのに、家の取り扱いに手を抜けばそれはまた朱華にも影響するのかと思えばつっきー懸案だなと久しぶりに連絡を取るのだった。
「やっぱりまずいでしょうか」
『そりゃもちろんまずいな。それなりに力のある場所なんだから、汚れがたまれば運気も下がるって言うようによくないものも集まる。そう言うモノならお前だったら視えるだろ?』
「ええ、確かに視えていたのですが、なんだか綺麗さっぱりいなくなっていて……」
「それねー!朱華が羽でパタパタしてお空に追い払ったんだよー!」
突然会話の中に混ざりこんだ。
普通の人なら聞こえないけど
『そっか。朱華が頑張ってくれたんだ?』
「主がねー、パタパタして来いって言ったの。主もお家の中お掃除してたから朱華がお外をお掃除したんだよー」
『朱華はすごいな!そしてあいつは相変わらず無意識に払いまくってるのか』
「え?無意識に払いまくるって、そんな事して大丈夫なんですか?」
あり得るのかと思うも
『あいつはいろんな意味で規格外だ。人間じゃないって言われた方が納得する』
なんで人間なんだよとさりげなく酷いことを小声でぼやいていたが
「まあ、すごい人ではあるけどかなり人間味にあふれた人ですよね」
先輩を高校生時代から面倒を見ていて今も変わらず続いてさらに人外の面倒まで見てしまうのだ。面倒見良すぎるだろうと俺もそのうちの一人に数えられているのは棚に上げておけば
「俺も十年以上の付き合いになるけどあいつは確かに面倒見はいいけど自分に有益にならない相手は容赦なく切り捨てるから気を付けろよ」
まだ知り合って間もない俺にはできない評価を教えてくれた。
でなきゃあんな山奥に住んでないよなとそこは黙って聞いておく。
いや、口が挟める状況ではなくなったのだ。
朱華がスマホ越しに乱入してきたのを羨ましく思ったのか他のちみっこ達までやって来たのだ。
「つっきーだ!あのね、真白凄い冒険してきたんだよ!」
「つっきーおひさしぶりー!玄はね、泳げるようになったんだよー」
「つっきー今日もお暇なんだね?岩は今玄さんに泳ぎを教えてもらってるんだー!羨ましいでしょ?」
「つっきー、あのね……」
なんていつもは真っ先に飛んできて一番に飛びつくのに今日は一番最後の上どこか元気がない。
『緑青今日はどうした?元気いっぱいが緑青のかわいい所だろ?』
そんなつっきーの心配げな声にすくっと顔をあげた緑青は
「なんでもないもん!」
そう言ってぴゅーっとお外へと行ってしまうのだ。
「な、なんだ?」
俺はその後姿を見送るだけだけどつっきーは仕方がないと言うように笑い
『多分これが成長段階の前触れってやつだ。
五体の子育ては大変かもしれんが暫くの間緑青には気にかけてくれ』
そんな警告を受けて今回の相談会は終わった。
つっきーが何を警告してくれたのか俺には全く分からないけど元気いっぱい一番が大好きな緑青のらしくもない姿。
警告されるまでもなく心配になるのはそれだけ近しい関係になったと嬉しいのにあんな顔をされては素直に喜べず、庭に植えられた梅の木の洞の中に隠れていたのをどうやって声を掛ければいいのか、聞こえてきた泣き声についに言葉を見つけることが出来なかった。
もちろんトラブルの事は先輩から会社の方へと先に連絡が回ったが、そういったトラブルはどうしようもない事もよく理解してくれる職場なので不運だったなと逆に慰めてもらうのだった。
まあ、無事納品が出来たからの話しだけど。
その後次の仕事を貰うのだけど後日会社のシステムも大幅アップデートをしたと元同僚から聞いた。
もちろんすぐさま先輩に連絡を取れば
「あれだけの進化系を見たからな。うちだって導入しない理由はないだろう?」
しれっとした顔で言うのだろう姿を想像して笑いながら
「実際綾っちにも言われたんだ。
もし万が一あればこれぐらいのリターンがあればすぐに切る事はないだろうって」
切るって、やっぱり俺の事だよなと信用信頼が一番のシステム開発と飽和状態の人材はすぐにどうとでもなる業界。
いかに有益プラス何かの部分にうま味がないと繋がりを持ち続ける理由はないという事を嫌でも理解してしまう。
実際先輩には応援の代わりに新システムのお持ち帰りと言う作業をしてもらったのだ。
是非とも繋がっていたいパイプラインと言うように先輩の重要性もより増す事になるが……
「あのデスマーチが終わったのに会社でもデスマーチ再びだよ。周囲は屍類類でもうデスパレードだよ」
つまり今回俺の仕事が会社のバージョンアップの為のプロトタイプとなったわけか。どのみちあれだけ変わるとハッキングとかはさらに難しいだろうから安全が守られれば良いだろうと釈然としないものが残ったがほぼほぼ手伝ってもらったのだ。文句が言えるわけもなくそれを手土産に会社に戻った先輩の疲労からの顔色の悪さに愚痴は言えなかった。
会社での寝泊まりのせいでお疲れの様子にようやく夜はぐっすりと寝れるようになった俺はあの目の下のくまはもう綺麗に消え去っていて、先輩にお疲れ様です。ですががんばってくださいとものすごい良い笑顔でエールを送るしか言葉が見つからなかった。
そうやって手に入れた穏やかな日常。
今日も日の出と共に一日が始まって
「真ー朝だよー!」
「真ーおなか出して寝ると風邪ひくよー?」
「真ー朝ごはんは西瓜がよろしいかと思います!」
「真ー朱華は西瓜もよろしいかと思いますが葡萄も食べたく思います!」
「真ートイレー!」
ますます容赦ない目覚まし時計のちみっこ達に確実に俺は寝起きが素晴らしく良くなったと思う。
いつものように真白を抱えてトイレへと連れて行き、その後は朝ごはんの準備に取り掛かる。
ちみっこ達は基本野菜や果物と言ったものから生臭を避けた料理で十分。
まあ、真白のような肉食系の子には姿から本能的に肉類を求めるのでそこはお肉の味を覚えないようにカリカリで埋め合わせる事にする。
そして今新たな住人…… とまではいわないがお客様が来るようになった。
「あ、猫のおばあちゃんだ!おはよーの挨拶してくるね!」
「だったら後でご飯を持っていくからちょっと待っててもらうように伝えてね」
そう。
あの日、真白が勇気を振り絞った冒険をした時に助けてくれた老齢の猫が縁側でお昼寝に来る時にニャーとご挨拶してくれる仲になったのだ。
真白に通訳してもらってお世話になったお礼と言って真白のカリカリをおすそ分けするようになれば朝と夕方に顔を見せてくれる常連さんになった。
家にいたずらはしないしドアを開けていても決して家の中に入る事もない。
少し寂しく思うも真白も少しだけ残念そうな顔をして
「この家には入れないんだって」
「そうなのか?」
野良猫だからって気にする事はないのにと真白の恩人に遠慮しないでと思うも
「この家は神様がお住まいになる邸だから扉の内側に入ることは出来ないのだって」
なんて真白から教えてもらった。
まあ、五体の付喪神がいればそうだし、そもそも朱華がこの家の欄間から発生したのだ。家自体の格式が上がるのは当然かと思うも、俺はそんな家を事故物件並みに汚してしまい……
浩太さんが綺麗に手を入れてくれたことで朱華が力を取り戻したと言う事例を知っていたのに、家の取り扱いに手を抜けばそれはまた朱華にも影響するのかと思えばつっきー懸案だなと久しぶりに連絡を取るのだった。
「やっぱりまずいでしょうか」
『そりゃもちろんまずいな。それなりに力のある場所なんだから、汚れがたまれば運気も下がるって言うようによくないものも集まる。そう言うモノならお前だったら視えるだろ?』
「ええ、確かに視えていたのですが、なんだか綺麗さっぱりいなくなっていて……」
「それねー!朱華が羽でパタパタしてお空に追い払ったんだよー!」
突然会話の中に混ざりこんだ。
普通の人なら聞こえないけど
『そっか。朱華が頑張ってくれたんだ?』
「主がねー、パタパタして来いって言ったの。主もお家の中お掃除してたから朱華がお外をお掃除したんだよー」
『朱華はすごいな!そしてあいつは相変わらず無意識に払いまくってるのか』
「え?無意識に払いまくるって、そんな事して大丈夫なんですか?」
あり得るのかと思うも
『あいつはいろんな意味で規格外だ。人間じゃないって言われた方が納得する』
なんで人間なんだよとさりげなく酷いことを小声でぼやいていたが
「まあ、すごい人ではあるけどかなり人間味にあふれた人ですよね」
先輩を高校生時代から面倒を見ていて今も変わらず続いてさらに人外の面倒まで見てしまうのだ。面倒見良すぎるだろうと俺もそのうちの一人に数えられているのは棚に上げておけば
「俺も十年以上の付き合いになるけどあいつは確かに面倒見はいいけど自分に有益にならない相手は容赦なく切り捨てるから気を付けろよ」
まだ知り合って間もない俺にはできない評価を教えてくれた。
でなきゃあんな山奥に住んでないよなとそこは黙って聞いておく。
いや、口が挟める状況ではなくなったのだ。
朱華がスマホ越しに乱入してきたのを羨ましく思ったのか他のちみっこ達までやって来たのだ。
「つっきーだ!あのね、真白凄い冒険してきたんだよ!」
「つっきーおひさしぶりー!玄はね、泳げるようになったんだよー」
「つっきー今日もお暇なんだね?岩は今玄さんに泳ぎを教えてもらってるんだー!羨ましいでしょ?」
「つっきー、あのね……」
なんていつもは真っ先に飛んできて一番に飛びつくのに今日は一番最後の上どこか元気がない。
『緑青今日はどうした?元気いっぱいが緑青のかわいい所だろ?』
そんなつっきーの心配げな声にすくっと顔をあげた緑青は
「なんでもないもん!」
そう言ってぴゅーっとお外へと行ってしまうのだ。
「な、なんだ?」
俺はその後姿を見送るだけだけどつっきーは仕方がないと言うように笑い
『多分これが成長段階の前触れってやつだ。
五体の子育ては大変かもしれんが暫くの間緑青には気にかけてくれ』
そんな警告を受けて今回の相談会は終わった。
つっきーが何を警告してくれたのか俺には全く分からないけど元気いっぱい一番が大好きな緑青のらしくもない姿。
警告されるまでもなく心配になるのはそれだけ近しい関係になったと嬉しいのにあんな顔をされては素直に喜べず、庭に植えられた梅の木の洞の中に隠れていたのをどうやって声を掛ければいいのか、聞こえてきた泣き声についに言葉を見つけることが出来なかった。
あなたにおすすめの小説
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?