258 / 321
賑やかを通り越す冬の生活 1
緑青のちゅぱ期が終わると同時に代りの頭痛の種がやって来た。
迎えに行くと言ったのに気を使ってバスで麓のバス停まで来たらしい。なんでもこれも社会経験とか言うお父さんは二人の子供を引き連れてひーひー言ってくたばっていた。この後宮下の家で預かってもらっていた荷物を取りにもう一往復すると言う。まあ、頑張れお父さんよ。
「綾人ー!遊びに来たよー!雪合戦しよー!」
「おかーさん!」
一人はさっそく遊ぼうと大騒ぎする子供ともう一人はほんの数日あわなかった母親に飛びつきしばらくの間足にしがみ付いてしまって母親を困らせながらも喜ばせる事の出来る子供だった。
後者は大した問題ではないが前者は
「ほら、晴朝。まずはお仏壇にご挨拶でしょ?」
「お土産お供えしてくるね!」
なんて、仏壇のある家らしくすぐに動ける辺りちゃんと教育は行き届いている事は判る。
何とか土間から土間上がりをよじ登る辺り家をアスレチックか何かと思ってるんじゃないかと思うも
「囲炉裏暖かいね」
仏間にたどり着く間にある囲炉裏の側にぺたんと座るのは妹の陽菜乃。
あの坂道を上がって来たので疲れているのだろう。さっそくゴロンとしてしまうも
「陽菜乃。ご挨拶が先です」
お母さんにめっとされて疲れた体を起こしながらも襖一枚隔てたキンキンに冷えた仏間でなむなむと手を合わせる。
「暫くお邪魔します」
「おじゃまします」
そんな二人のご挨拶。
そんな大人たちを見て育ったのだろう。
中々よく出来たお子さんじゃないかとうちに遊びに来る大人と同じご挨拶をしているのでむしろそっちの方が問題だなと頭を痛めるも
「綾人、俺はもう一度降りて荷物取ってくるけど」
「車のってくか?スタッドレスにはしてあるぞ」
「ありがたいけど……」
「乗っていけ。谷に落ちたら拾ってやるから。骨を」
「遠慮しとく」
そんな渋い顔に綾人は笑いながら
「ローで降りて行けば十分だから。ブレーキにさえ注意すればいいから乗ってけ」
なんて無理やり車に乗せて行かせた。
さすがに荷物と子供二人連れての雪道は大変だった顔色を見ればそう言わざるを得なく、それに今はまだ昼間。朝や夜の凍った路面ではないから今なら問題ない、変に気を遣うからこんな大変な事になるんだと言いながらよたよたと走って行く車を見送りながらスマホで宮下家に電話をする。
「あ、大和さん?
今暁車に乗せて行かせたので荷物をお願いします」
「綾人君悪いね。一応車で送って行こうかって言ったんだけど子供達に雪を見せてやりたいからって言ってね」
暁なりの子供へのサービスだったらしい。
ただ家に着いた時は陽菜乃を抱っこして晴朝を引っ張りながらなんとかたどり着いたと言う姿に大変だったなと思って車で行かせたが、まあ、下に着けば大和さんが何とかしてくれるだろうと心配はしてない。
「主ー、誰かいるねー?」
「ん?紹介するな。
一番小さいのが陽菜乃でちょっと大きいのが晴朝。
つっきーと志月さんの子供だよ」
「綾人ー!なんかかっこいいのが飛んでるー!」
「鳥さんキレーねー!」
龍と言う概念がまだ難しいお年頃の陽菜乃は俺の頭の上にチョンとしがみ付く緑青を見て大はしゃぎだ。
確かに緑青の輝くような鱗はきらきらしてて綺麗だけど、やっぱり女の子。光物が好きかとニマニマしてしまうが
「ね!ね!綾人!その頭の奴貸して!」
このやんちゃと無謀を兼ね備えた晴朝はおもちゃを見つけたと言わんばかりの顔で俺の頭に手を伸ばしてジャンプする始末。
完全におもちゃだよなと思えば身の危険を察した緑青はそのまま二階へと上がって姿を隠せば体力有り余りすぎる子供は階段を駆け上がって追いかける始末。
だけど付喪神でもある緑青の方が要領はよく、スーッと庭の窓から家の中に戻ってきてまた俺の頭の上に着地をするのだった。
「主、ただいまー!」
「捕まらずに帰って来たか。えらいぞー」
「緑青偉いー!」
くふふと笑う緑青に陽菜乃も
「ろくちゃん凄いねー」
なんて拍手をしていた。
その音に二階をパタパタ走っていた晴朝が階段を転げ落ちたのではないかというような足音を立てて
「こんな所に居たー!」
なんて追いかけてくるからまた緑青は二階に逃げて、無限の体力を持つ子供。また追いかけて二階に駆けあがっていく様子に
「一度ぐらい階段から転げ落ちるな」
「夏にも私の実家の階段を転げ落ちたって言うのに」
勘弁してくれと言う志月さんは子供達が緑青に気を取られている合間に俺のリクエストの生八ッ橋を茶菓子にお茶を淹れてくれた。
あまりいい茶葉を使ってないのがご不満だったのか荷物に入れてもらっていたお茶の袋を開けて淹れてくれたお茶は確かにおいしく
「お茶が美味しくてこのお茶だと八ッ橋じゃもったいない」
「私は飲みなれているお茶なので問題はありませんよ」
「いい生活させてもらってるなー」
つっきーのくせにと思うもつっきーの家は何と飯田さんの家から徒歩圏内にあるご近所さんで飯田さんのお父さんとお母さんとは顔見知りだった。
ほら、飯田さん休みの日はうちでまったり料理に励んでいるからね。地域のコミュニティには顔を出さないスタイルをとっているからね……
料理屋で働いてるのに顔を売らないなんてダメじゃんと思うも所詮は一見さんお断りの店だから顔を売る意味はないのですよとさらにダメな答えが返ってきた。まあ、確かにそうかもしれないけどと思うもどうせ明日の朝にはうちに来るだろうからとりあえずそこで紹介させてもらえばいいと思っている。黙ってここで顔を合わせるとすねるから先に連絡は入れるけど。
とりあえず車が上がってくる音が聞こえたからつっきーとどうやって話を合わせるか詰めないとなと考えながらめんどくさいと思う綾人だった。
迎えに行くと言ったのに気を使ってバスで麓のバス停まで来たらしい。なんでもこれも社会経験とか言うお父さんは二人の子供を引き連れてひーひー言ってくたばっていた。この後宮下の家で預かってもらっていた荷物を取りにもう一往復すると言う。まあ、頑張れお父さんよ。
「綾人ー!遊びに来たよー!雪合戦しよー!」
「おかーさん!」
一人はさっそく遊ぼうと大騒ぎする子供ともう一人はほんの数日あわなかった母親に飛びつきしばらくの間足にしがみ付いてしまって母親を困らせながらも喜ばせる事の出来る子供だった。
後者は大した問題ではないが前者は
「ほら、晴朝。まずはお仏壇にご挨拶でしょ?」
「お土産お供えしてくるね!」
なんて、仏壇のある家らしくすぐに動ける辺りちゃんと教育は行き届いている事は判る。
何とか土間から土間上がりをよじ登る辺り家をアスレチックか何かと思ってるんじゃないかと思うも
「囲炉裏暖かいね」
仏間にたどり着く間にある囲炉裏の側にぺたんと座るのは妹の陽菜乃。
あの坂道を上がって来たので疲れているのだろう。さっそくゴロンとしてしまうも
「陽菜乃。ご挨拶が先です」
お母さんにめっとされて疲れた体を起こしながらも襖一枚隔てたキンキンに冷えた仏間でなむなむと手を合わせる。
「暫くお邪魔します」
「おじゃまします」
そんな二人のご挨拶。
そんな大人たちを見て育ったのだろう。
中々よく出来たお子さんじゃないかとうちに遊びに来る大人と同じご挨拶をしているのでむしろそっちの方が問題だなと頭を痛めるも
「綾人、俺はもう一度降りて荷物取ってくるけど」
「車のってくか?スタッドレスにはしてあるぞ」
「ありがたいけど……」
「乗っていけ。谷に落ちたら拾ってやるから。骨を」
「遠慮しとく」
そんな渋い顔に綾人は笑いながら
「ローで降りて行けば十分だから。ブレーキにさえ注意すればいいから乗ってけ」
なんて無理やり車に乗せて行かせた。
さすがに荷物と子供二人連れての雪道は大変だった顔色を見ればそう言わざるを得なく、それに今はまだ昼間。朝や夜の凍った路面ではないから今なら問題ない、変に気を遣うからこんな大変な事になるんだと言いながらよたよたと走って行く車を見送りながらスマホで宮下家に電話をする。
「あ、大和さん?
今暁車に乗せて行かせたので荷物をお願いします」
「綾人君悪いね。一応車で送って行こうかって言ったんだけど子供達に雪を見せてやりたいからって言ってね」
暁なりの子供へのサービスだったらしい。
ただ家に着いた時は陽菜乃を抱っこして晴朝を引っ張りながらなんとかたどり着いたと言う姿に大変だったなと思って車で行かせたが、まあ、下に着けば大和さんが何とかしてくれるだろうと心配はしてない。
「主ー、誰かいるねー?」
「ん?紹介するな。
一番小さいのが陽菜乃でちょっと大きいのが晴朝。
つっきーと志月さんの子供だよ」
「綾人ー!なんかかっこいいのが飛んでるー!」
「鳥さんキレーねー!」
龍と言う概念がまだ難しいお年頃の陽菜乃は俺の頭の上にチョンとしがみ付く緑青を見て大はしゃぎだ。
確かに緑青の輝くような鱗はきらきらしてて綺麗だけど、やっぱり女の子。光物が好きかとニマニマしてしまうが
「ね!ね!綾人!その頭の奴貸して!」
このやんちゃと無謀を兼ね備えた晴朝はおもちゃを見つけたと言わんばかりの顔で俺の頭に手を伸ばしてジャンプする始末。
完全におもちゃだよなと思えば身の危険を察した緑青はそのまま二階へと上がって姿を隠せば体力有り余りすぎる子供は階段を駆け上がって追いかける始末。
だけど付喪神でもある緑青の方が要領はよく、スーッと庭の窓から家の中に戻ってきてまた俺の頭の上に着地をするのだった。
「主、ただいまー!」
「捕まらずに帰って来たか。えらいぞー」
「緑青偉いー!」
くふふと笑う緑青に陽菜乃も
「ろくちゃん凄いねー」
なんて拍手をしていた。
その音に二階をパタパタ走っていた晴朝が階段を転げ落ちたのではないかというような足音を立てて
「こんな所に居たー!」
なんて追いかけてくるからまた緑青は二階に逃げて、無限の体力を持つ子供。また追いかけて二階に駆けあがっていく様子に
「一度ぐらい階段から転げ落ちるな」
「夏にも私の実家の階段を転げ落ちたって言うのに」
勘弁してくれと言う志月さんは子供達が緑青に気を取られている合間に俺のリクエストの生八ッ橋を茶菓子にお茶を淹れてくれた。
あまりいい茶葉を使ってないのがご不満だったのか荷物に入れてもらっていたお茶の袋を開けて淹れてくれたお茶は確かにおいしく
「お茶が美味しくてこのお茶だと八ッ橋じゃもったいない」
「私は飲みなれているお茶なので問題はありませんよ」
「いい生活させてもらってるなー」
つっきーのくせにと思うもつっきーの家は何と飯田さんの家から徒歩圏内にあるご近所さんで飯田さんのお父さんとお母さんとは顔見知りだった。
ほら、飯田さん休みの日はうちでまったり料理に励んでいるからね。地域のコミュニティには顔を出さないスタイルをとっているからね……
料理屋で働いてるのに顔を売らないなんてダメじゃんと思うも所詮は一見さんお断りの店だから顔を売る意味はないのですよとさらにダメな答えが返ってきた。まあ、確かにそうかもしれないけどと思うもどうせ明日の朝にはうちに来るだろうからとりあえずそこで紹介させてもらえばいいと思っている。黙ってここで顔を合わせるとすねるから先に連絡は入れるけど。
とりあえず車が上がってくる音が聞こえたからつっきーとどうやって話を合わせるか詰めないとなと考えながらめんどくさいと思う綾人だった。
あなたにおすすめの小説
追放されたおっさんが「天才付与術師」になる将来を誰も知らない~自分を拾ってくれた美女パーティーを裏方から支えて何気に大活躍~
きょろ
ファンタジー
才能も彼女もなく、気が付けばチェリーのまま30歳を超えたおっさんの「ジョニー」は今日、長年勤めていたパーティーを首になってしまった。
理由は「使えない」という、ありきたりで一方的なもの。
どうしたものか…とジョニーが悩んでいると、偶然「事務」を募集していた若い娘パーティーと出会い、そして拾われることに。
更にジョニーは使えないと言われた己のスキル「マジック」が“覚醒”──。
パワーアップしたジョニーの裏方の力によって、美少女パーティーは最高峰へと昇り詰めて行く!?
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
『今日も平和に暮らしたいだけなのに、スキルが増えていく主婦です』
チャチャ
ファンタジー
毎日ドタバタ、でもちょっと幸せな日々。
家事を終えて、趣味のゲームをしていた主婦・麻衣のスマホに、ある日突然「スキル習得」の謎メッセージが届く!?
主婦のスキル習得ライフ、今日ものんびり始まります。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
もふもふ村へようこそ〜パーティを追放されたペットショップ店長、最強のもふもふ村を作る。獣も傷ついた冒険者も暖かいご飯を食べて安心できる居場所
積野 読
ファンタジー
勇者パーティを「足手まとい」として追放された、前世ペットショップ店長のショウ。
彼の持つスキル【ペット飼育】は、Eランク以下の小動物しかテイムできない外れスキルだった。
しかし、危険な「嘆きの森」で保護した犬のポチ、猫のタマ、スライムのプルン、ヒヨコのヒナたちは、鑑定不能なステータスや不思議な力を持つ規格外の存在だった。
ショウは前世の知識を活かした手作りご飯を振る舞い、ペットたちと穏やかな生活を築いていく。
やがてその温かな居場所には、モフモフ中毒のエルフの森番、教会から逃げてきた元聖女見習い、食いしん坊な魔族の少女、剣が握れなくなった元Sランク冒険者など、ワケありな人々が次々と集まってくる。
これは、ただ動物を愛するだけの男が、美味しいご飯とモフモフの力で傷ついた人々を癒やし、時には森の脅威すらも退けてしまう、優しくて賑やかなスローライフの物語。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」