4 / 90
スマホ、暴走する
しおりを挟む
食後の後は今までの人生通り歯磨きをして顔を洗う。
歯ブラシのある文化で良かったと思うと同時に泡立ちの悪い石鹸は不必要に顔の油分を奪って行きつっぱって仕方がない。
朝からシャワーを浴びれない為に水で髪を整えたら後はやる事がない。
暇だ。
拷問にも近い無駄な時間。
それならそれで本を読む。
動画は家のPCで見る派なのでスマホには通勤の間に読む予定の本が大量にDLされている。一度読んで二度読んでない作品が大量にあり、この暇な時間を潰す為にも読み続けていたが、さすがにおかしい事に気が付いていた。
「っかしーな。さすがにバッテリー持たないだろ……」
そう言ってバッテリーの状態を見るも相変らず100%になっていた。
さすがにそれはない。
昨日寝る前には70%切っていたのにといつどこに電源があるのかと思うもこの見知らぬ世界の理由なんて知らなく、俺は暇さ加減とベットの上でごろりとなっていた理由にまたウトウトとしだし始めるのだった。
ピコン
聞き慣れた音に無意識でスマホに手を伸ばす。
今日は久しぶりに予定が入っていたのでアラームをセットしたっけと言う様に手を伸ばせばぼんやりとした視界には一通のメッセージ。
『バージョンアップできます
バージョンアップしますか? YES/NO』
寝ぼけた頭でまたかと思えばもうそこは機械的にバナーに手を伸ばしてタップをし、一度も読んだ事のない長い注意文の一番下にある『同意します』の文字を押してDL開始。後は自動でアップデートしてくれるからとスマホを手から離して瞼を閉じる。またウトウトとしだした所でようやく違和感を感じて目を覚まそうとする様にごろりと転がりながらやたらと寝心地の良いベットから落ちた。
「いっ!!!」
ゴッ、なんて結構大きい音がしたけど、おかげでちゃんと目が覚めて
コンコン
控えめなまでのノックの音。
「は、はい……」
とりあえず返事をすれば
「何か大きな音がしましたが大丈夫ですか?」
外にまで響く音ってなんだよと苦笑しながら
「軽い運動をしてたらベットから落ちただけなので、お騒がせしてすみません」
なけなしの見栄でそう言う事にしておく。
「はあ、おだいじに」
会話終了。
寂しい……
ではなく
「バージョンアップって何なんだよ?!」
見る間に更新の進行はよどみなく進んでいき……
どうやって止めるんだっけ?
強制的に電源落してよかったんだっけ?
使えなくなったら本末転倒なんて考えている間に
『バージョンアップ完了しました』
そんなメッセージの後に強制再起動。
暗転した画面の後にはいつものリンゴマークではなく
「見た事ない絵が浮かんでるんだけど」
だけどそれは一瞬。
暫くしていつもの見慣れた画面に戻っていた。
「な、なんだったんだよ……」
言いながらいつも使うアプリを起動すれば何て事のないいつもの画面で違和感なく使う事が出来た。
Wi-Fiすらないこの世界での唯一の娯楽が読書何て寂しすぎるが、これを取り上げられたらマジ退屈過ぎて死ぬと泣きそうだったのでほっとして画面をホームに戻せば見た事のないアイコンがあった。
なんだ?
まさかこれが今回の更新ってわけじゃないだろうなと親切なのか一つのフォルダに纏められていたので一応気を付けながらもタップをする。
マップ、辞書、スキル、倉庫、ショップ。
五つのわけのわからんアイコンが入っていた。
とりあえず一番わかりやすいマップと言うのを押せば画面上に見た事もない地図が描かれており、現在地を示すマーカーをズームして行けばこの地域の名前が分った。
ノルドシュトルム国 ・ノルドシュトルム城
そういや初日にそんな事言ってたなとぼんやり思い出しながらもどこまで詳しく書かれているのかと思えばこの城の名前を触ってしまった。
そうすると画面が読み込み状態となり……
次に現れたのは城内マップだった。
「これダメなやつ!!!」
絶叫しそうになる口元を思わず手で押さえてしまいながらも見てはいけないほど見たくなると言う様に口を手元で押さえてない手でサクサクと操作。
立派な事に七階建てのこのお城は地下も二階あり、いくつかの離れまである事が分った。
俺が滞在しているのは三階のようで、窓から見える景色と俺の感覚で間違いない事は保障で来た。
飛び降りたら怪我をする。そんな逃走のしにくい部屋は城の隅っこにあった。
警戒されてるんだなとぼんやりと思いながらも俺も警戒してるから同じかと思いつつもフロアマップを見ながら階段の位置やトイレの位置を確認してしまう。
トイレの位置重要だからね。
まぁ、この部屋から出る事が出来ればの話だけど。
取り合えずお宅拝見という様に東の離れやいくつかある離れ、そして北の塔など沢山施設あるんだなと感心しながら次のアプリに変更する。
辞書は文字通り普通の辞書だった。
この世界の常識やマナーも書いてあり、これで当面時間を潰せると歓喜しながら次々と何種類もある辞書をチェックする中何故かカメラ機能を発見。
何なんだと思ってタップすればすぐにカメラワークへと変更となり、この部屋の様子が映し出されていた。
何の変哲もないカメラワークだが、その世界を覗き見れば何故かそこには文字も映し出していた。何が問題かという様に部屋の壁に飾ってあったランプに合わせれば
「はあ?!」
なんて思う同様にピコンとシャッターを切っていて、その後にはメッセージ。
『辞書に登録しますか? YES/NO』
NO何て進展のない言葉はむしをしてYESをタップ。
その後中央で読み込み中のマークがくるくると回ればすぐに『登録完了』の文字と登録したページが開かれた。
さっきの簡易説明ではなく
『魔道ランプ(汎用品)
魔力を込められた魔石を利用したランプ。
使用時間は残り三日ほど。
価格銀貨五枚』
「いや、値段なんて知りたくないし、銀貨五枚の価値なんて判んないし」
普通に考えれば五千円ぐらいのランプって事で良いのか?
って言うか魔力とか魔石とか魔導とかっていう言葉があるって事は
「魔法があるのか?あるわな。俺達それでこっちに来たんだし」
一応辞書で調べればちゃんとあって、こちらの世界では誰もが持つ力だと言う。
俺にはないからヤバいなあと思いながらも
「この辞書は便利だけど一々スマホ取り出して調べるって不便だよな」
なんて言えばピコンとメッセージ音。
『持ち主と生体リンクできます。
生体リンクしますか? YES/NO』
生体リンクって何ぞやと思いながらもリンクって事はいちいちスマホ取り出さなくっていいって事かと安直に考えながらYESをタップ。
すぐにバージョンアップの時みたいにダウンロードを始めますと文字が現れた瞬間、俺は意識を手放していた。
歯ブラシのある文化で良かったと思うと同時に泡立ちの悪い石鹸は不必要に顔の油分を奪って行きつっぱって仕方がない。
朝からシャワーを浴びれない為に水で髪を整えたら後はやる事がない。
暇だ。
拷問にも近い無駄な時間。
それならそれで本を読む。
動画は家のPCで見る派なのでスマホには通勤の間に読む予定の本が大量にDLされている。一度読んで二度読んでない作品が大量にあり、この暇な時間を潰す為にも読み続けていたが、さすがにおかしい事に気が付いていた。
「っかしーな。さすがにバッテリー持たないだろ……」
そう言ってバッテリーの状態を見るも相変らず100%になっていた。
さすがにそれはない。
昨日寝る前には70%切っていたのにといつどこに電源があるのかと思うもこの見知らぬ世界の理由なんて知らなく、俺は暇さ加減とベットの上でごろりとなっていた理由にまたウトウトとしだし始めるのだった。
ピコン
聞き慣れた音に無意識でスマホに手を伸ばす。
今日は久しぶりに予定が入っていたのでアラームをセットしたっけと言う様に手を伸ばせばぼんやりとした視界には一通のメッセージ。
『バージョンアップできます
バージョンアップしますか? YES/NO』
寝ぼけた頭でまたかと思えばもうそこは機械的にバナーに手を伸ばしてタップをし、一度も読んだ事のない長い注意文の一番下にある『同意します』の文字を押してDL開始。後は自動でアップデートしてくれるからとスマホを手から離して瞼を閉じる。またウトウトとしだした所でようやく違和感を感じて目を覚まそうとする様にごろりと転がりながらやたらと寝心地の良いベットから落ちた。
「いっ!!!」
ゴッ、なんて結構大きい音がしたけど、おかげでちゃんと目が覚めて
コンコン
控えめなまでのノックの音。
「は、はい……」
とりあえず返事をすれば
「何か大きな音がしましたが大丈夫ですか?」
外にまで響く音ってなんだよと苦笑しながら
「軽い運動をしてたらベットから落ちただけなので、お騒がせしてすみません」
なけなしの見栄でそう言う事にしておく。
「はあ、おだいじに」
会話終了。
寂しい……
ではなく
「バージョンアップって何なんだよ?!」
見る間に更新の進行はよどみなく進んでいき……
どうやって止めるんだっけ?
強制的に電源落してよかったんだっけ?
使えなくなったら本末転倒なんて考えている間に
『バージョンアップ完了しました』
そんなメッセージの後に強制再起動。
暗転した画面の後にはいつものリンゴマークではなく
「見た事ない絵が浮かんでるんだけど」
だけどそれは一瞬。
暫くしていつもの見慣れた画面に戻っていた。
「な、なんだったんだよ……」
言いながらいつも使うアプリを起動すれば何て事のないいつもの画面で違和感なく使う事が出来た。
Wi-Fiすらないこの世界での唯一の娯楽が読書何て寂しすぎるが、これを取り上げられたらマジ退屈過ぎて死ぬと泣きそうだったのでほっとして画面をホームに戻せば見た事のないアイコンがあった。
なんだ?
まさかこれが今回の更新ってわけじゃないだろうなと親切なのか一つのフォルダに纏められていたので一応気を付けながらもタップをする。
マップ、辞書、スキル、倉庫、ショップ。
五つのわけのわからんアイコンが入っていた。
とりあえず一番わかりやすいマップと言うのを押せば画面上に見た事もない地図が描かれており、現在地を示すマーカーをズームして行けばこの地域の名前が分った。
ノルドシュトルム国 ・ノルドシュトルム城
そういや初日にそんな事言ってたなとぼんやり思い出しながらもどこまで詳しく書かれているのかと思えばこの城の名前を触ってしまった。
そうすると画面が読み込み状態となり……
次に現れたのは城内マップだった。
「これダメなやつ!!!」
絶叫しそうになる口元を思わず手で押さえてしまいながらも見てはいけないほど見たくなると言う様に口を手元で押さえてない手でサクサクと操作。
立派な事に七階建てのこのお城は地下も二階あり、いくつかの離れまである事が分った。
俺が滞在しているのは三階のようで、窓から見える景色と俺の感覚で間違いない事は保障で来た。
飛び降りたら怪我をする。そんな逃走のしにくい部屋は城の隅っこにあった。
警戒されてるんだなとぼんやりと思いながらも俺も警戒してるから同じかと思いつつもフロアマップを見ながら階段の位置やトイレの位置を確認してしまう。
トイレの位置重要だからね。
まぁ、この部屋から出る事が出来ればの話だけど。
取り合えずお宅拝見という様に東の離れやいくつかある離れ、そして北の塔など沢山施設あるんだなと感心しながら次のアプリに変更する。
辞書は文字通り普通の辞書だった。
この世界の常識やマナーも書いてあり、これで当面時間を潰せると歓喜しながら次々と何種類もある辞書をチェックする中何故かカメラ機能を発見。
何なんだと思ってタップすればすぐにカメラワークへと変更となり、この部屋の様子が映し出されていた。
何の変哲もないカメラワークだが、その世界を覗き見れば何故かそこには文字も映し出していた。何が問題かという様に部屋の壁に飾ってあったランプに合わせれば
「はあ?!」
なんて思う同様にピコンとシャッターを切っていて、その後にはメッセージ。
『辞書に登録しますか? YES/NO』
NO何て進展のない言葉はむしをしてYESをタップ。
その後中央で読み込み中のマークがくるくると回ればすぐに『登録完了』の文字と登録したページが開かれた。
さっきの簡易説明ではなく
『魔道ランプ(汎用品)
魔力を込められた魔石を利用したランプ。
使用時間は残り三日ほど。
価格銀貨五枚』
「いや、値段なんて知りたくないし、銀貨五枚の価値なんて判んないし」
普通に考えれば五千円ぐらいのランプって事で良いのか?
って言うか魔力とか魔石とか魔導とかっていう言葉があるって事は
「魔法があるのか?あるわな。俺達それでこっちに来たんだし」
一応辞書で調べればちゃんとあって、こちらの世界では誰もが持つ力だと言う。
俺にはないからヤバいなあと思いながらも
「この辞書は便利だけど一々スマホ取り出して調べるって不便だよな」
なんて言えばピコンとメッセージ音。
『持ち主と生体リンクできます。
生体リンクしますか? YES/NO』
生体リンクって何ぞやと思いながらもリンクって事はいちいちスマホ取り出さなくっていいって事かと安直に考えながらYESをタップ。
すぐにバージョンアップの時みたいにダウンロードを始めますと文字が現れた瞬間、俺は意識を手放していた。
81
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~
トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。
しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。
貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。
虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。
そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる?
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる