3 / 90
欧米式ゆで卵の食べ方何て知らないけどこの卵の親は誰?
しおりを挟む
朝、長足を運んできた侍女さんともう一人ついてきた。きっとミセスと名乗るけど独身だろう俺の予想では旦那さんを失くした方、だと失礼ながら勝手に想像する。普段お会いする侍女より少し上質な制服に身を包んで、きっちりと髪をまとめた生真面目そうな侍女だった。
「お客様に置かれては長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
本日宰相と騎士団長がこちらにお目見えになります。
少々お話をお聞きしたく、そして今後の方針のご希望をお尋ねしたいとの事です。
こちらの時計の針が二本とも真上を差す時間のころ昼食をご一緒しながらいかがでしょうとおっしゃられておりますがご都合はいかがでしょう」
至って慇懃な口調の仕事に忠実な彼女がこの部屋の世話をする侍女さん達のボスだとすればなるほど納得。ちゃんと上司の指示が行き届いた部署なんだと感心しながら
「本日の予定はこの部屋に滞在してから変わらず缶詰なので予定も何も一切ありません。
ただ、こうも暇だと寝てしまうので寝癖や顔を洗ったりするぐらいの時間に一度声をかけていただければと思います」
そんな話の間に食事の準備はどんどんできて行く。
スライスされたライ麦パンに似た食感のぼそぼそとしたパン、目の前でサーブしてくれるスープと湯気の上がる鍋から取り出してくれたボイルしたソーセージとゆで卵。エッグスタンドに立てられてやって来たゆで卵の食べ方何て知らないから侍女さんに聞けば殻を割って中の黄身をお召し上がりくださいだと……
白身も殻のうちかと衝撃に襲われたが、異世界なので教えられたように口に運ぶ。
不思議な事にこちらの世界の卵も俺の知る卵と同じ味がして
「これは何の卵ですか?」
なんて聞けば一度では覚えきれない長い名前の鳥だとおしえられて、そこはやっぱり異世界なんだなぁと実感するのだった。
体を動かす事無く食欲もわかなくても腐っても王城。
健康的なまでに味は薄く見目の美しい食卓に目が奪われてしまえば
「でしたらこちらの時計の短い針がこの数字を差す頃お召し物をお持ちして伺わせていただきます。その時に一度身体を清めてからこちらの正装と言うほど形式ばった物ではありませんがそちらのお召し物に着替えていただきます」
「わかりました。お手間を取らせて申し訳ありません」
この年で女性にお世話されるもうすぐ三十歳って辛いなと思いつつも何もわからない異世界。素直にありがたく受け取れる営業根性に今は感謝するしかない。
丁寧に頭を下げれば一瞬室内から物音が消えるが、俺はあまり気にせずににこにことした営業スマイルを顔にはりつけて料理に視線を落とす。
ご飯が楽しみで仕方ないと言う顔をすれば準備を終えた皆さんは壁際に下がり、今日も紅茶のおかわりやスープのおかわりの為に待機しようとするが
「では、この長い針が真下に来るころになったら料理を下げに来て頂ければありがたいです」
いつもは扉の外に居る人にお願いして取りに来てもらっていた。
鍵はかかっているのか内側から開けれないのでノックをしないと気づいてもらえない状況。部屋の中からノックをするなんて変だなと思うも、この待遇が丁寧に保護されている状態の捕虜とすれば納得はできる。
少し生真面目そうな侍女さんは少し視線が宙を彷徨うも
「でしたらおかわりはこちらに置かせていただきますのでご自由にお召し上がりください。
最後に私はアリア・ハウゼンと申します。
何か御用があれば外の衛兵に私、ハウゼンを指名ください」
「ご丁寧にありがとうございます。
私はアトリ・ナナセと申します。ナナセとお呼びください」
うわー、外国風に自己紹介しちゃったーと営業スマイルの下でのプチパニック何て誤魔化しながら挨拶をすれば、ハウゼンさんは少しだけ小首を傾げながらも最初の彼女なりの営業スマイルは少しだけ驚きと言う色を含むように緊張が解されていた。
他の侍女達を連れて行った後、きちんとドアが閉まるのを確認してからぼやかずにはいられない。
今までおかわりなんて用意されていなかったのを思い出して
「嫌がらせなのだろうか?
嫌がらせにしては地味だろうが、嫌がらせか判らないような嫌がらせって事が嫌がらせだよな」
パリッとした皮とハーブの薫る上品なソーセージに会えて一言。
「塩分うっす……」
この世界に来て三日目。
塩は最高の調味料だと涙ぐむのだった。
「お客様に置かれては長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
本日宰相と騎士団長がこちらにお目見えになります。
少々お話をお聞きしたく、そして今後の方針のご希望をお尋ねしたいとの事です。
こちらの時計の針が二本とも真上を差す時間のころ昼食をご一緒しながらいかがでしょうとおっしゃられておりますがご都合はいかがでしょう」
至って慇懃な口調の仕事に忠実な彼女がこの部屋の世話をする侍女さん達のボスだとすればなるほど納得。ちゃんと上司の指示が行き届いた部署なんだと感心しながら
「本日の予定はこの部屋に滞在してから変わらず缶詰なので予定も何も一切ありません。
ただ、こうも暇だと寝てしまうので寝癖や顔を洗ったりするぐらいの時間に一度声をかけていただければと思います」
そんな話の間に食事の準備はどんどんできて行く。
スライスされたライ麦パンに似た食感のぼそぼそとしたパン、目の前でサーブしてくれるスープと湯気の上がる鍋から取り出してくれたボイルしたソーセージとゆで卵。エッグスタンドに立てられてやって来たゆで卵の食べ方何て知らないから侍女さんに聞けば殻を割って中の黄身をお召し上がりくださいだと……
白身も殻のうちかと衝撃に襲われたが、異世界なので教えられたように口に運ぶ。
不思議な事にこちらの世界の卵も俺の知る卵と同じ味がして
「これは何の卵ですか?」
なんて聞けば一度では覚えきれない長い名前の鳥だとおしえられて、そこはやっぱり異世界なんだなぁと実感するのだった。
体を動かす事無く食欲もわかなくても腐っても王城。
健康的なまでに味は薄く見目の美しい食卓に目が奪われてしまえば
「でしたらこちらの時計の短い針がこの数字を差す頃お召し物をお持ちして伺わせていただきます。その時に一度身体を清めてからこちらの正装と言うほど形式ばった物ではありませんがそちらのお召し物に着替えていただきます」
「わかりました。お手間を取らせて申し訳ありません」
この年で女性にお世話されるもうすぐ三十歳って辛いなと思いつつも何もわからない異世界。素直にありがたく受け取れる営業根性に今は感謝するしかない。
丁寧に頭を下げれば一瞬室内から物音が消えるが、俺はあまり気にせずににこにことした営業スマイルを顔にはりつけて料理に視線を落とす。
ご飯が楽しみで仕方ないと言う顔をすれば準備を終えた皆さんは壁際に下がり、今日も紅茶のおかわりやスープのおかわりの為に待機しようとするが
「では、この長い針が真下に来るころになったら料理を下げに来て頂ければありがたいです」
いつもは扉の外に居る人にお願いして取りに来てもらっていた。
鍵はかかっているのか内側から開けれないのでノックをしないと気づいてもらえない状況。部屋の中からノックをするなんて変だなと思うも、この待遇が丁寧に保護されている状態の捕虜とすれば納得はできる。
少し生真面目そうな侍女さんは少し視線が宙を彷徨うも
「でしたらおかわりはこちらに置かせていただきますのでご自由にお召し上がりください。
最後に私はアリア・ハウゼンと申します。
何か御用があれば外の衛兵に私、ハウゼンを指名ください」
「ご丁寧にありがとうございます。
私はアトリ・ナナセと申します。ナナセとお呼びください」
うわー、外国風に自己紹介しちゃったーと営業スマイルの下でのプチパニック何て誤魔化しながら挨拶をすれば、ハウゼンさんは少しだけ小首を傾げながらも最初の彼女なりの営業スマイルは少しだけ驚きと言う色を含むように緊張が解されていた。
他の侍女達を連れて行った後、きちんとドアが閉まるのを確認してからぼやかずにはいられない。
今までおかわりなんて用意されていなかったのを思い出して
「嫌がらせなのだろうか?
嫌がらせにしては地味だろうが、嫌がらせか判らないような嫌がらせって事が嫌がらせだよな」
パリッとした皮とハーブの薫る上品なソーセージに会えて一言。
「塩分うっす……」
この世界に来て三日目。
塩は最高の調味料だと涙ぐむのだった。
56
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる