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残念スキル、発覚……
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非公式とは言ええ、これを見た侍女やこの茶会の準備をした人たちから噂が広まり、国王なりあの王子なりが謝罪する頃には他の王族が既に動いていると言う実績に貴族たちは同情的になるのだろう。よく出来た茶番だと言う事はおくびにも出さずに
「許すも何も、おかげで素敵な出会いを頂きました。
クラエスを始め陛下にも気を使っていただき、そしてまたデゲルホルム様にもお会いする事が叶いました。
本来なら一生かけてもお会いできない方にこうしてお目通りが出来恐悦至極にございます」
大人なのでさっと頭を下げての挨拶をする。お名前を聞いた時に帰す返事だが、まぁ、慣れてないと言う事で許して貰おう。
それで今回の茶会にいらした目的は果たしたから帰るのだろうと思っていた物の一向に席を外さない。
聖華ちゃんのストレスが発散する前に解散となるのも可哀想な気がすると思っていれば
「所で天鳥さん、天鳥さんはスキルの鑑定、してもらいましたか?」
「ん?いや、ないよ?
スキルの鑑定って、ほんとにあるの?」
そんなゲームみたいな話、いや、クソゲー世界だったなとゲーム感がプラスされた俺の知識だが、俺はナチュラルに鑑定してる事を思い出し、改めての鑑定される側になる俺は少し感動していた。って言うか、俺なんで自分の鑑定しないんだろうと今更ながらの発見には呆れかえるしかなかった。
「エルヴィーラ様が鑑定できるのです。
その折に私を聖女だと認定して頂き仲良くさせていただいてます」
「良かった。お城の中によくしてくれる方が見えて」
王子ばかりに優しくしてもらっても立場が悪くなるだけだ。
王族の、しかも親子ほど年の差がある女性の庇護を得るのが理想だったけど、まさか現国王の伯母に保護されるとは聖華ちゃんラッキーだなと思うも彼女の幸運値は80%を超えている。
さすがイージーモードの主人公と心の中で褒め称えているも俺は90%を超えている。どのあたりが90%なのか是非とも教えてもらいたい!
「私の方でも天鳥さんが鑑定をしたと言う話しをお伺いしてないのでひょっとしたらと思いまして今回エルヴィーラ様にご足労をお願いいたしました」
「ふふふ、異界の方とお話が出来るのならこれぐらいお安い御用よ」
まさかの元王族を顎で使うなんてさすが聖女様と感心をするも、それだけ彼女の地位が高い事がうかがい知れる。とは言え何で学校に行く服装でそんなにも言われないといけないのかと思う。今だって淡いピンクのドレスを着ている。表側を可愛らしいレースで包まれた華美すぎず光沢のある糸で誂えた質の良さそうなドレスは美しいドレープを広げている。
何を持って地味というのかわからないが、きっとこの点に関しては男がかかわってはいけない世界なのだろうと思う事にした。
とは言え、俺は実際この世界の女性は城の侍女やグランデル家の使用人の皆様、そして目の前のクラシカルでシックな出で立ちの元王女様しか知らない。
あえて言うならこの世界の服飾の基本がわからない。俺はクラエスやハウゼンさんに着る様にと用意してもらった物しか知らないしと、今度街に行く時はクラエスにお願いして聖華ちゃんに流行の服をお土産にしても良いだろうか聞いてみよう。
ほら、気分は自慢の姪を可愛がるおじさん的な?
……。
…………。
自分でおじさんと言って傷ついた……。
そんな情けないダメージを受けている間にエルヴィーラ様はにっこりと笑い
「では、鑑定をお伝えしますね」
「え?もう終わったの?」
何かキラーとかピカーとか光ったり何かあったりするのかと思うもちょっと考え込んでいる間にその瞬間は終わっていたようだった。
さすが元王族、こちらの都合なんて知った事じゃないと言う分けのようだ。
まあ、俺だってこの婆さん誰だ?って許可なく鑑定したぐらいだし、そんな物だと思う事にしておこう。
「アトリさんのご職業はバイヤーって事になってますが商店で働いていたのですか?」
まずは確認と言う様に職業の答え合わせをしに来た。
「はい、食品会社に勤めてまして、そちらを販売業者に売り込みに行ったりしてました」
「まぁ、作った物を自分の会社で売るわけではないのですね?」
「はい、どちらかと言うと一般のお客様ではなく販売先に商品を売るのが仕事になります。あとは卸先の店舗の商品メンテナンスに回ったりした時に新しい商品の紹介や次の注文や別の商品を担当者に売り込んで店舗に置いてもらったりしてます」
「ふふふ、知らない世界のお話ってお勉強になりますわね」
絶対店の従業員で立つ事はない人は本当に楽しいのか、そもそも話を理解しているのかもわからないけど真面目に話は聞いてくれた。
「ではスキルなのですが、このチャージと言うのはどういった意味でしょう?
ごめんなさいね、あまり聞き慣れない言葉なので」
「チャージ、ですか?」
「はい、今まで色々な方のスキルを覗き見てきましたが初めて見る物で戸惑ってしまいましてね……
ああ、色々な方のスキルを覗き見た事は内緒にしてくださいね」
口元に指を当ててしーと子供にでも諭すようなお茶目さに俺も真似して口元に指を当てて
「はい、内緒ですね」
承りましたと俺がやるには痛い姿で真似をすれば元王女様は品良く笑ってくださった。
「アトリさん、チャージってやっぱり充電とかのチャージですよね?」
「だよね。多分何かを蓄える方のチャージになるよね。
だったらちょっと心当たり在るんだ」
何か凄く納得してしまったスキルになんて説明をしようと思うも最適な物があるじゃないかと気が付いた。
「聖華ちゃん、確かスマホ持ってたよね?今あるかな?」
聞けばハッとしたような顔で側に居た侍女さんを呼び寄せ、持ち物の小さなバッグからスマホを取りだした。
慌てて一度手から滑り落ちて机の上に転がってしまったけど問題なく無事に着地。
大切そうに両手ですくい上げて
「お守りじゃないけど、いつも持ってます」
この年でもこんなにも真剣な顔が出来るのかと驚くぐらいの必死な顔で差し出されたピンクゴールドのスマホを俺は受け取った。元の世界の思い出はあの時の持ち物全部で、鞄を置いて来てしまった聖華ちゃんにはこのスマホしか持ち物がないのだ。この中に詰まった思い出を考えれば何よりの心のよりどころになる。
さあ、心の中で念じろ。
『チャージ!』
なんて光もせず何の違和感も起きなく、無言の時間が数分とすぎる中、風だけが通り過ぎて行った。
「許すも何も、おかげで素敵な出会いを頂きました。
クラエスを始め陛下にも気を使っていただき、そしてまたデゲルホルム様にもお会いする事が叶いました。
本来なら一生かけてもお会いできない方にこうしてお目通りが出来恐悦至極にございます」
大人なのでさっと頭を下げての挨拶をする。お名前を聞いた時に帰す返事だが、まぁ、慣れてないと言う事で許して貰おう。
それで今回の茶会にいらした目的は果たしたから帰るのだろうと思っていた物の一向に席を外さない。
聖華ちゃんのストレスが発散する前に解散となるのも可哀想な気がすると思っていれば
「所で天鳥さん、天鳥さんはスキルの鑑定、してもらいましたか?」
「ん?いや、ないよ?
スキルの鑑定って、ほんとにあるの?」
そんなゲームみたいな話、いや、クソゲー世界だったなとゲーム感がプラスされた俺の知識だが、俺はナチュラルに鑑定してる事を思い出し、改めての鑑定される側になる俺は少し感動していた。って言うか、俺なんで自分の鑑定しないんだろうと今更ながらの発見には呆れかえるしかなかった。
「エルヴィーラ様が鑑定できるのです。
その折に私を聖女だと認定して頂き仲良くさせていただいてます」
「良かった。お城の中によくしてくれる方が見えて」
王子ばかりに優しくしてもらっても立場が悪くなるだけだ。
王族の、しかも親子ほど年の差がある女性の庇護を得るのが理想だったけど、まさか現国王の伯母に保護されるとは聖華ちゃんラッキーだなと思うも彼女の幸運値は80%を超えている。
さすがイージーモードの主人公と心の中で褒め称えているも俺は90%を超えている。どのあたりが90%なのか是非とも教えてもらいたい!
「私の方でも天鳥さんが鑑定をしたと言う話しをお伺いしてないのでひょっとしたらと思いまして今回エルヴィーラ様にご足労をお願いいたしました」
「ふふふ、異界の方とお話が出来るのならこれぐらいお安い御用よ」
まさかの元王族を顎で使うなんてさすが聖女様と感心をするも、それだけ彼女の地位が高い事がうかがい知れる。とは言え何で学校に行く服装でそんなにも言われないといけないのかと思う。今だって淡いピンクのドレスを着ている。表側を可愛らしいレースで包まれた華美すぎず光沢のある糸で誂えた質の良さそうなドレスは美しいドレープを広げている。
何を持って地味というのかわからないが、きっとこの点に関しては男がかかわってはいけない世界なのだろうと思う事にした。
とは言え、俺は実際この世界の女性は城の侍女やグランデル家の使用人の皆様、そして目の前のクラシカルでシックな出で立ちの元王女様しか知らない。
あえて言うならこの世界の服飾の基本がわからない。俺はクラエスやハウゼンさんに着る様にと用意してもらった物しか知らないしと、今度街に行く時はクラエスにお願いして聖華ちゃんに流行の服をお土産にしても良いだろうか聞いてみよう。
ほら、気分は自慢の姪を可愛がるおじさん的な?
……。
…………。
自分でおじさんと言って傷ついた……。
そんな情けないダメージを受けている間にエルヴィーラ様はにっこりと笑い
「では、鑑定をお伝えしますね」
「え?もう終わったの?」
何かキラーとかピカーとか光ったり何かあったりするのかと思うもちょっと考え込んでいる間にその瞬間は終わっていたようだった。
さすが元王族、こちらの都合なんて知った事じゃないと言う分けのようだ。
まあ、俺だってこの婆さん誰だ?って許可なく鑑定したぐらいだし、そんな物だと思う事にしておこう。
「アトリさんのご職業はバイヤーって事になってますが商店で働いていたのですか?」
まずは確認と言う様に職業の答え合わせをしに来た。
「はい、食品会社に勤めてまして、そちらを販売業者に売り込みに行ったりしてました」
「まぁ、作った物を自分の会社で売るわけではないのですね?」
「はい、どちらかと言うと一般のお客様ではなく販売先に商品を売るのが仕事になります。あとは卸先の店舗の商品メンテナンスに回ったりした時に新しい商品の紹介や次の注文や別の商品を担当者に売り込んで店舗に置いてもらったりしてます」
「ふふふ、知らない世界のお話ってお勉強になりますわね」
絶対店の従業員で立つ事はない人は本当に楽しいのか、そもそも話を理解しているのかもわからないけど真面目に話は聞いてくれた。
「ではスキルなのですが、このチャージと言うのはどういった意味でしょう?
ごめんなさいね、あまり聞き慣れない言葉なので」
「チャージ、ですか?」
「はい、今まで色々な方のスキルを覗き見てきましたが初めて見る物で戸惑ってしまいましてね……
ああ、色々な方のスキルを覗き見た事は内緒にしてくださいね」
口元に指を当ててしーと子供にでも諭すようなお茶目さに俺も真似して口元に指を当てて
「はい、内緒ですね」
承りましたと俺がやるには痛い姿で真似をすれば元王女様は品良く笑ってくださった。
「アトリさん、チャージってやっぱり充電とかのチャージですよね?」
「だよね。多分何かを蓄える方のチャージになるよね。
だったらちょっと心当たり在るんだ」
何か凄く納得してしまったスキルになんて説明をしようと思うも最適な物があるじゃないかと気が付いた。
「聖華ちゃん、確かスマホ持ってたよね?今あるかな?」
聞けばハッとしたような顔で側に居た侍女さんを呼び寄せ、持ち物の小さなバッグからスマホを取りだした。
慌てて一度手から滑り落ちて机の上に転がってしまったけど問題なく無事に着地。
大切そうに両手ですくい上げて
「お守りじゃないけど、いつも持ってます」
この年でもこんなにも真剣な顔が出来るのかと驚くぐらいの必死な顔で差し出されたピンクゴールドのスマホを俺は受け取った。元の世界の思い出はあの時の持ち物全部で、鞄を置いて来てしまった聖華ちゃんにはこのスマホしか持ち物がないのだ。この中に詰まった思い出を考えれば何よりの心のよりどころになる。
さあ、心の中で念じろ。
『チャージ!』
なんて光もせず何の違和感も起きなく、無言の時間が数分とすぎる中、風だけが通り過ぎて行った。
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