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しおりを挟む「ところでタミちゃん、俺たち“姫始め”ってやった?」
お節の残りを綺麗に食べ終わったキョウ君が突然そう言うものだから、私は飲んでいたお酒を噴きそうになった。
いやいや大晦日に「煩悩の数だけ突けば御利益あるかも」とかキョウ君が言い出して、『行く年来る年』の除夜の鐘を聞きながら108回突き目指してまったりエッチをしたのだ。あれが年またぎセックスなのだから、“姫始め”になる。
それ以外にも元旦にちょっと遠くの神社に初詣に行った帰り、渋滞に巻き込まれて暇を持て余した私が「ギアチェンジ!」とキョウ君の股間を弄ったばかりに、予定外のインターで降りてラブホに駆け込んだというのもある。
とりあえず1月5日現在、相変わらず毎日仲のいい私たちは〝姫始め〟なんて遠の昔に完了済みなのだ。
「タガワの連中に“姫始め”終わったか?って聞かれたけど、俺、よく分からなかったから、まだって答えたら、早くしないとタミちゃんが拗ねるぞって言われたんだよな…タミちゃん、姫始めって何?」
「……キョウ君……」
私はふき出しそうになるのを堪えて、極力真剣な顔を作る。
姫始めを何か知らないとは……。
私は目の前にいる男が愛おしくてたまらない。
この巨チンおバカ成金め…可愛がってやる。
「キョウ君、姫始めっていうのはね、一年の始まりは女性をお姫様のように扱いましょうっていう昔からある大切な風習なんだよ。それをすると一年安泰なの。私たち、まだだからやらないと」
「そうなんだ!ゴメン、俺全然そういう伝統行事みたいなの詳しくなくて……えっと、どうしよう。タミちゃん何系がいい?」
「何系?」
「ほら、かぐや姫とか人魚姫とかもののけ姫とか親指姫とか音姫とか…」
なるほど、そうきたか。
そして音姫は女子トイレに付いているジョロ音防止のあれではないのか? そんなモノになってどうする?
暫しフリーズした私は、キョウ君が浦島太郎の乙姫だと言っているのに気が付いた。しかしながら音姫も乙姫も男に縁が薄そうなので却下だ。
「ん~…私、白雪姫がいいかな。七人の小人を連れてるのが逆ハーレムっぽいし」
「オッケー。七人の小人かぁ…」
別に深い意味はなかったけれど、〝七人の小人〟という言葉に私はくだらない連想をしてしまう。
1・キョウ君、2・西園寺先生、3・俊平、4・さくらちゃん、5・チョモッチ、6.元彼の先輩、7・担当の榊山さん。
これで白雪姫に従う七人の小人ができるじゃないか!? 明らかに後半は無理やりだけど。
「タミちゃん、俺頑張って七人分カバーするから、任せておいて」
私の妄想を覆し、唐突にそう言ったキョウ君の瞳はお姫様のようにキラキラしていた。
確かにキョウ君なら一人で白雪姫から七人の小人まで全部カバーできる気がするけれど、それでは私がつまらない。
とりあえず「それなら私は白雪姫頑張るね!」と何を頑張るのかわからないまま、私は調子に乗っておいた。
「じゃあ白雪姫と七人の小人!ハイホー、ハイホー!」
キョウ君はハイホー、ハイホーと雄叫びのように歌いだすと、私をいつものようにお姫様抱っこでベッドルームへ連れていく。
そしてベッドの上で私を押し倒すと、「タミちゃん姫…」と呟きながら私の指先から腕へと肌に唇を滑らせていった。そうしながらも「ハイホー、ハイホー」と口ずさみ手際よく私の服を剥ぎ取っていく。
なんだか結局“姫はじめ”本来の意味にたどり着いたのではないか? シチュエーションプレイではあるけれど。
そして「ハイホー、ハイホー」と歌い続ける小人さんの股間が、全然小人さんではなくなっているのに気が付いて、俄然楽しくなってきてた。
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