最強の騎士団~1番強いのは団長ではなく料理人らしいです~

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13話

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「そろそろ時間かな」

 空を見ると日が傾き薄暗くなってきた頃だった。

 門の前に行くと団のみんなも集まっていた。

 それを確認した団長が

「よし!全員集まっているな。これから門の外に出るわけだがここは辺境だ。普段知っている魔物でも強さは違う。気をつけるように!それと統括者らしき魔物を見たら直ぐに報告する事。では行くぞ!」

 門を出るとこの町の兵士さんだろうか。すでに何人もの人達が魔物と戦闘をしていた。

 「俺達は周りの魔物たちを倒しながら統括者を探すぞ!」

 そう言い前に進もうとするリントブルム騎士団だが、どこからともなく現れる魔物達に行く手を阻まれていた。

「くっ!」

 団の人達もいつもとは違う強さの魔物に苦戦していた。

 

 1時間位だろうか。最初は魔物に苦戦していたリントブルム騎士団だが、いつもの調子を取り戻し魔物達をなぎ倒し始めた。

 当然僕はみんなに守ってもらいながらたまに現れるオークを倒している。

 やっと前に進む事が出来る、そうみんなが思い始めたところに

「グオォォ!!」

「な、なんだ!?」

「団長!!」

「どうした!」

「き、キメラです!!」

「キメラだと!?」


 僕達の目の前に現れたのはキメラという魔物。

 ライオンの頭に山羊の胴体そして毒蛇の尻尾を持つ怪物だった。

 全長7~8メートルあるその体から放たれる一撃は大地を切り裂いた。

「こ、これ程とは」

 今まで最強を語ってきたリントブルム騎士団だったがキメラのもつ強靭な肉体の前には傷1つ与えることができなかった。

 団長が叫ぶ

「魔法は!魔法はどうだ!」

「ダメです!どの属性もあまり効いている様子はありません!」

 周りを見るとこの町の兵士さんたちはキメラを見て逃げ出していた。

「グオォォォ!!」

「くそっ!なにか手はないのか!」

「キメラは食べられないんですか?」

「無理だ!食べることは出来ない!」

 食べることが出来ない魔物の前では僕は無力だ。

 何か手はないかと考える。

「マタタビ…マタタビがあるじゃないか!」

「マタタビか…頭はライオンでネコ科だが、しかし効くとは限らないぞ!」

「それでもやるしかないじゃないですか!」

 このままでは全滅は目に見えている

 少しでも可能性があるなら試したい

「団長!いきます!」

「無理だと思ったら直に逃げろよ!おい!お前ら!キオをサポートしろ!」

「「了解!」」

 僕はマタタビを握りしめキメラへ近づいた。

「グオォォ!」

「うっ!これの匂いを嗅いで!」

「グオォ!?」

「グオッ、グオッ、グオッ」

「な、何だ何だ?」

「キメラがいきなり転がり出したぞ!」

「グオォン」

 なんだろう。キメラが僕の顔にスリスリしてきたぞ。

 次は舐めてきたぞ。

「おいおい、キオこれはどういう事だ?」 

「マタタビを使ったんですけど…これは懐かれてしまいました」

「何言ってんだ。マタタビの効果が効いている間だけだろ。」

「うーん、そうですかね。じゃあ30分だけ待ってください。効果が切れても大丈夫なこと証明しますから。ダメだったらまたマタタビ使いますから。」

「しかし…まぁ、30分だけだ。30分過ぎて暴れるようだったら全員で倒すぞ。」

「わかりました。」

 団のみんなと少し離れたところでキメラと僕がいる。

「うむ。なんだその魔の実は」

「え?誰ですか?」

 周りを見るが誰も僕に話しかけた様子はない。

「儂じゃ、お主の前におるキメラじゃよ。」

「…へ?魔物が喋った?」

「うむ。儂ほどの長い年月を生きた魔物となると話すことが出来るようになるのじゃ。」

「そ、そうなんですか。」

 魔物って喋るんだ。

「うむ。して、その魔の実はなんじゃ。匂いを嗅いだ途端、ふわふわと気持良くなったぞ?」

「これはマタタビですよ。」

「マタタビとな。この世にそのような物があるとは。」

 長く生きてたのに知らないんだ。

「ところでキメラさんは僕を殺すんですか?」

「ふむ、安心せい。今はそんな気分ではない。ところで他にもあるのかの?マタタビとやらは」

「えっと、今は無いですけど町に帰ればマタタビ酒とかありますよ?」

「マタタビ酒とな!?それはそれは是非飲んでみたいものじゃの」

「持ってきてもいいですよ?マタタビ酒。」

「本当か!よし、気が変わらぬうちに持って参れ!」

「わかった。」

 団長に訳を話し町に急いで帰った。

「魔物が喋っただと?…そんなばかな。」


 町からマタタビ酒を持ってきて皿に注いでキメラに渡した。

 ペロペロ舐める姿はまるで猫みたいだ。

「こ、これがマタタビ酒!素晴らしいのじゃ!」

「喜んでくれて何よりです。」

「うむ、そうじゃな。名をなんと申す。」

「僕はキオです。」

「キオか。して、キオよ。お主、儂に定期的にマタタビ酒を持ってきてくれぬか?」

「え?キメラさんにですか?」

「うむ、儂はマタタビ酒とやらを気に入ったが、儂は人間の居る町へは入ることが出来ん。だからお主に持ってきて欲しいのじゃ。」

「うーん、でも僕いつもここに居るわけではないんです。」

「それはわかっておる。だから儂もお主たちに着いて行き力を貸そう。見るところおぬし達は少々危険な仕事をしておる。お主が死ねば儂はマタタビ酒を飲めなくなる。だからお主の力になり守ってやろう。」

「ええ!?キメラさんが僕達の仲間に!?」

「うむ、仲間じゃ。」

「そ、それはまずいよ。キメラが近くに居る騎士団っておかしいよ。」

「うーむ、そうじゃ。必要な時に儂を呼べば良いのじゃ。この笛をお主にやる。この笛を吹けばどこにいても儂が駆けつけよう。マタタビ酒は10日に一度貰いに行くぞ。その時も笛を吹いてくれ。」

 と、口のなかから出て来た涎だらけの笛を渡された。

 この笛を吹けとか、帰ったらしっかり洗おう。


 ついでになんで町を襲っていたか聞くとキメラの子供が人間に襲われたらしい。

 どこのバカだよ。キメラの子供に攻撃するとか。

 なにがともあれ今の事を団長に話した。

「キメラが仲間?ははっ…はっはっは」

 とだけ言い残して気絶した。

 
 目を覚ました団長は辺境伯に嘘偽りなく話した。

「ほう、それでキメラが仲間に?」

「ええ、信じられませんが」

「まぁ良いのではないか?」

「え?良いんですか?」

「冒険者でも魔物を使役している者も少なくはない」

「ああ、テイマーですか。しかしキメラなんて…」

「聞くところによるといつもそばにいるわけではないのだろう?だったら良いのではないかの?」 
「はあ、ありがとうございます。」

「うむ、今回はご苦労であった。報酬は本当に金貨10枚で良いのか?」

「ええ、今回は最初からその報酬ですし騎士団とっても良い経験になりましたので。」

「そうか、ならばしかたがないの。」

「はい、ありがとうございました。」



「ふぅー、辺境伯様がああいう方でよかった。」

「あ、団長。マタタビ酒飲みます?疲労回復の効果ありますよ?」

「ああ、すまんな。」

「ぷはっ、これがマタタビ酒か。確かにうまいな。」



「はぁ、王様になんて報告したら良いやら。」

 団長の苦悩は続くのであった。








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