機動遊軍ガンガル

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連邦のモビルフォースはパチモンか!?

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旧型ゲルグの脚部バーニアからの噴射を制御しつつゆっくりと連邦軍の演習場へ降り立った「俺の気持ちを知っているのか赤い旧ゲルグ~♪」少しハイで、テンションを上げ気味に彼はモビルフォースから降りて来た。シエン公国の宇宙攻撃軍のシュアアボカドマズ少佐は連邦軍のモビルフォースを一目見るなり毒づいた。「何だあれは!」戦火をくぐり抜けて焼けた真紅の機体の背中に真っ直ぐ伸びるウィングを誇らしげに見詰め自身の専用機とくらべものにならない"でく"を見下した。「あれでもモビルフォースのつもりか。[ハリボテでも飾っておけばまだ虚仮威しにはなっただろう]インスタレーション等と称していれば協賛企業から予算も獲得できたろう。作家の卵か村祭りの出し物か
子供の夏休みの宿題でもまだ出来が上の創作物を私は知っている。
そもそもこれだけの資材をゴミに出来る経済力がある者の道楽にしては
手間を惜しむという選択はなかったのかと疑問に思う。
血迷ったと言わざるを得ない。
コスプレイベントの飾りか?そこまで二次元カルチャーがヒートアップしていたとは把握してなかった。しかしどうもコピー元は軍需企業アニメージのバッコスのようだが、それにしてもだ。こんな所にディスプレイしてお咎めなしとは管理体制がお粗末に過ぎる。
先ず軍用機の発着の妨げになる。余程の資産家の酔狂か、一丁前にペイントなど施してある。「趣味は悪いがな」「白、青赤、黄幼園児が塗るレベルのペイントだ目立つという意味ではチンドン屋のそれを上回る」砂塵舞う連邦軍の演習場に降り立ったシュアアボカドマズ少佐は砂埃を防ぐための防塵マスク代わりのターバンを指で整えた。今日はいつもより一層砂塵が激しい。それもそのはず。なぜなら連邦軍が開発に半年を費やした新形兵器の初の実地試験日だったからだ。兵器の搬送の車両の移動など、砂を宙に舞わせる原因に事欠かなかった。事前に入手した情報ではまったく脅威には程遠いとされていた新型モビルフォースの評価を鵜呑みにせず見付かれば未知の戦闘力のモビルフォースとの交戦もあるリスクを覚悟で偵察に訪れたシュア少佐であったが、とんだ肩透かし食った偵察を自嘲気味に振り返った。やれやれ、平和なものだ。こんながらくたを拝みにわざわざシエンの諜報部もこの私も鈍ったものだ。だが彼が目を凝らせば凝らすほどその新型兵器は奇異に映った。確かにいくつもの協定に守られ戦況もさほど激しくもなく双方損耗の程度も致命的とは言えないレベルではあったがこんながらくたを作って遊んでいる余裕などはないはずなのである。出口の見えぬ疑念に歴戦の闘士は肝を冷やした
「不気味だ。気に入らんな。構造が単純で低レベルの技術に見えるが底知れぬポテンシャルを感じる。
ネタとしか思えない造形だがもしこれが動けば、という感想を敵も抱いていたとしたら驚異だ。どういう方法かわからないが各部パーツとも溶接の跡がない。まさか嵌め込んだというのか!それじゃまるでパズルではないか大きな重金属製のパズルだというのか
シュアは頭に浮かべた。自らの手でバラバラにしたそれを元通りに組もうとする自分の姿を
偵察に訪れた旧型ゲルグを双眼鏡で捉えながらボラバイトノアは声のトーンを落とした。「来たか、赤色矮星のシュア」「赤色矮星のシュア?」「ああ。シエン公国の中枢に睨まれて左遷寸前で戦果を上げまくりで敵対する幹部を恐怖させている」基本ボランティアのこの寄せ集め少年兵団において唯一の高給取り、それを揶揄されるボラバイトノアの言を受けてネムロは鼻息を荒くする。「そのシュアをこの寄せ集め少年軍の希望こと僕ネムロの初陣にぶつけて来るなんて敵の焦りが窺えますね」「これからもその意気で頼むぞネムロ」〔ボラバイトさん」「誰がボラバイトだ」「でも、ボランティアみたいに参加が決まって保障がアルバイトみたいに低くてって以前聞いたことがあるように嘆いていらしたから」「それでボラバイトか、俺にも名前があらぁノアってな」「ノアって呼びにくいんですよね」〔それにノアさんって忙しいときに呼んだら機嫌悪くて何度も聞き返して終いにはキレるし」「それはわかったから何だ。呼びに来た理由は」「敵機襲来高速で本艦に接近中です」それを先に言えよ」「まさか、あのパチモンにマジでかかって来るなんて酔狂な奴がいるのか」「ノアさん、そのパチモンに乗るのは僕なんすからね。ちゃんとビームサーベルとビームライフルにエネルギー充填しといてくださいよ」「あと、ガンガルに溶接が無いってホントですか」「それは最高機密ということになっている。どこで聞いた」テストの時に整備士がはめ込みのパーツが取れなかった初のテストだって賞賛していたのを小耳に挟んだんです」



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