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序章
一
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喧噪とした街の中で、男の怒声が聞こえる。叫ぶというよりは唸る様な声色が広場に響き、街ゆく人々は何事だろうかとその男の周りに寄っていく。騒ぎになっている所から少し離れた所にある、噴水を囲む石垣に座り込んでいた男が、ため息を吐きながら立ち上がった。広場の方へ歩く途中、騒ぎに気を取られながらも市場の方へ歩いていく主婦たちをかき分け、すれ違う子供たちに微笑みかけながら男は、騒ぎの元凶へと近づく。太陽が照り付ける夏場の昼に、どうしてまあ、飲んだくれがこんな場所で騒いでいるのかは皆目見当がつかないが、酔っ払いが戯言をまき散らしながら他の酔っ払いに絡んでいた。
「だーからお前のダチがイカサマなんざしようからに、俺が叩きのめしてやろうって思ったんだって言ってんだろうが」
「んだと、さっぎがら聞いてれば、おらのダチがイカサマだあ? んなことあるめぇ田舎モンだがらっでバカにしてんのが!?」
「だったらおめぇのダチのポケット見せてみろちゅーに」
イカサマだのなんだの、まったくもって平和なことだと男は呆れる。正直関わりたくはないと思う……が、それをどうこうするのが男の仕事でもあった。
「ねぇちょっとちょっと、お二人さん? 申し訳ないんだけどさぁ……こんな広場のしかも目立つ真昼間に喧嘩はやめてもらえないかな、子供たちや奥様方に迷惑でしょ」
「あん? 部外者は引っ込んで……っち、ロイドさんかよ」
片方の男が勢いよく振り返るが、ロイドと呼ばれた男の姿を認知するや否や、さっきまでの勢いが弱くなる。終いには困った様子で酔っ払いは頭を掻いた。
「アンタが出てくると面倒くさくてかなわねぇ」
「それはお互い様ってやつだと思うけど」
「聖騎士軍の補佐官様が来たんじゃこりゃやってらんねぇや、やめだやめ……お前のダチは命広いしたな! 聖騎士様に感謝するこった」
などと酔っ払いが言う。絡まれていた方の男は何が何だかと少々気まずそうではあったが、空気を読んでいるのかこれ以上何かを言うつもりはないらしい。ロイドは両手をパンパン、と叩いて「さあさあ、みんな普段の生活に戻って戻って」と大声で言った。
酔っ払いは肩をすくめて広場の奥へと去っていき、それをみた絡まれていた男も、逆方向へと去っていった。野次馬をしていた街の人々も、さっきまでの騒動はまるで無かったんだという風に各々の生活へと戻る。
ようやく騒ぎが落ち着いたことで、ロイドはこれ以上厄介ごとは勘弁だと元居た噴水の石垣へとむかった。
炎天下の中、ロイドは滴る汗を拭って肌を焦がす太陽を苦々しく見上げる。太陽の表情はいつだって人間には厳しく、微笑むことはない。肌をじりじりと焦がして、焼いていく太陽がロイドはあまり好きではなかった。だがロイドの考えとは逆に、街にもそして今はもう辞めてしまった聖騎士軍内部の一部にも太陽信仰者は存在する。その肌を太陽に焼かせることを良しとしている連中だ。ロイドにとって肌をわざわざ焼いて痛い思いをしたり、肌の色を変えることこそがステータスだと思い込むのは信じられないもので、そもそも聖騎士軍の補佐官という堅くて、同時に手取りも中々に悪くない職業から、用心棒の様な仕事へと転職したのは、早いはなし軍人としての訓練がとにかく嫌になったからだ。
元よりロイドはあまり外を出歩いたり運動をするのは好きではなかった。ただ好き嫌いと才能は別といったところなのか、ロイドにとって軍人であった頃の訓練は、簡単すぎるほどだった。剣を持たせれば誰よりも素早く、弓を持たせれば誰よりも正確に……体術の心得は勿論、動体視力だって自慢ではないが悪くはない。補佐官をやめてからも、酔っ払いの男が言ったようにロイドを聖騎士補佐官と呼ぶ街の人は多数いる。だがロイドからすればそれは過去の栄光、過去の肩書でしかなかった。
もしも吟遊詩人の紡ぐ物語の中の人物なら、自分は間違いなく主人公である素質を持っていると思う。だがそれもこれも全部面倒くさいし、外で何かをするよりは室内で酒でもゆっくり飲みながら、酒場の女将としゃべっている方が有意義というものだ。
「ロイドじゃない、どうしたのこんな所で立ち尽くして」
噂をすればなんとやら、ロイドのすぐ近くに酒場の女将が立っていた。
「やあマルチェッラ、今丁度だけど君の事を考えていたところだよ」
「ふうん、どうしてこんな所に? 貴方、太陽は嫌いだったと思ったけど」
「家にいるよりは涼しいからね、この時期は……それに噴水の近くならほら、涼しいし」
「なるほどね」
買い物用の網籠をもって、彼女は柔らかく微笑んだ。好きではない太陽だが、一つだけロイドにとっていいことがあるといえば、彼女の長い金糸の髪が太陽の光によってキラキラと輝いて見えることだろうか? マルチェッラは、服装こそ質素ではあるが明確に美人であった。誰が見てもうらやむような美人……金色の長い髪を一つに束ね、キリッとした目には深みのある海色の青。思わずため息が出てしまう美貌――。
「仕入れの買い物?」
「お酒が少し切れてきたから、買い足すつもり」
「じゃぁ重たいものを持ってあげる」
「大丈夫よ、ロイドそれよりもお仕事は大丈夫なの?」
「問題ないさ、そもそも気楽やれるからこの仕事にしたんだし」
「まあ何もなければ見回ってればお金が入るわけだしね」
「はは、マルチェッラは相変わらず手厳しいね」
穏やかに会話をしながら、ロイドはマルチェッラと歩幅を合わせて歩く。こんな素敵な女性が自分の婚約者だなんて自分はなんてツイているんだろうか! なんて考えながら。
「お店は繁盛してるね」
「おかげ様でね、今夜も飲みに来るつもり?」
「まあ、僕の婚約者が頑張ってる姿を見るのが好きだから」
「婚約者だからといって、無料にはしないわよ」
「わかってるさ!」
くすくすとお互いを見つめあって笑いあう。こんな幸せな日々が続けばいいな、とロイドはぼんやりと思い描く。
酒場を一緒に切り盛りをするのも楽しいかもしれない、子供ができたらその子供たちと一緒にお店を改築して、宿屋としても……子供は二人くらい、できれば女の子と男の子が良いな、そんな夢をみる。ロイドにとっての幸せとは、日々平凡であれ、それだけだった。
エターリャ国旧王都エターリャはロイドの生まれ育ったエターリャ地方南部メーデル村とは違い、常に活気的だ。メーデルはその他の村々よりは裕福ではあったが、それでも首都たるエターリャと比べると暮らしは質素でのどかだ。だが、旧王都もずっと活気的だった訳では無い……あれは、ロイドが五歳になったばかりの頃の話だ。かつてエターリャは、唯一国家として大都市王都エターリャ国と呼ばれ近隣の村そのすべての人々が、一度は夢に見る都であった……それが崩された年のこと。ロイドはあまり覚えてはいないが、大人たちがざわざわとしていた事は覚えている。突然の崩御、そして現れた“魔王”という存在――。
「エターリャ王族の悲劇」
そう呼ばれている歴史の中の闇。悲劇すぎるその日のことは、今でも国民の胸にはその痛ましい出来事として強く刻まれている。平和は崩され、王族達の大半は戦火に飲まれて死んでいった。王族を守る聖騎士軍は見たこともない不思議な力で一掃され、人ならざる存在の“魔王”によって国は魔王の配下となった。それは紛れもない侵略……エターリャ国王による統治は終わりをつげ、魔王による独裁政治の幕が上がった。唯一救いといっていいのが、その戦火の渦に巻き込まれたのは王族や聖騎士軍の人間ばかりで、一般国民の殆どがほぼ無傷でいたということだろうか。国は国としての効力を失い、王という指針を失った人々の生活は混乱と混沌に巻き込まれた。だが魔王が国を落としてから十年、魔王は何をするでもなく沈黙を守っている。
絶望と恐怖、混乱……だが人間というものは弱いながらも強い生き物なのだろう。魔王が黙している間、人々は王都の再建を願った、そうして出来上がったのが旧王都エターリャだ。魔王の動きはよくわからない、だが魔王が今でもなお恐れられているのもまた事実だ。魔王は確かに沈黙を守っているが、人間よりもより強大な、それも得体の知れない技すら使うのだ。人々はそれを魔法と呼んでいるが、魔法がどういうものなのかを知る人間はだれ一人として存在しない。旧王都の聖騎士軍は何もこの十年、何もしなかったわけではない、時には聖騎士軍が動きそして民間の、主に王族の生き残りである勇者によって、魔王討伐へと暗黒の森の先にある魔王城へ向かったこともあった。しかし旅へ出た勇者たちも、その仲間たちも聖騎士軍も森の奥へとたどり着く前に魔王の配下である魔族達によって、あるいは理由も解らず忽然と消えたりとまともにたどり着いたという話を聞かない。次第に再建に力を入れていた者達も、沈黙を守っている以上は、と魔王討伐などは考えなくなった。討伐しなくとも街が不幸に見舞われることはなかったし、何より皆自分の家族の安息の方が大事だった。
今でも稀に、国を手に入れようと野心抱いた青年や家族の敵を取るべく! といった様子で勇者が集まることは有るが、十年前と比べると遥かに減り旅立とうとする勇者は変わり者だと笑われる。そしてロイドもまた勇者なんてものになろうと思う人間は変わり者だと思っていた。そう、だが人の価値観は身に降り掛かって初めて動くものなのだ。それは誰にでもありゆる事……出会い、別れ、雫が滴り広がり波紋となる、それと同じようなこと。
ロイドの平凡であった日々は懐かしの故郷、メーデル村から届いた一通の手紙によって終わりを告げた。人生とは、大半そういうものであり、知らず知らず人々は繋がるのた。
「だーからお前のダチがイカサマなんざしようからに、俺が叩きのめしてやろうって思ったんだって言ってんだろうが」
「んだと、さっぎがら聞いてれば、おらのダチがイカサマだあ? んなことあるめぇ田舎モンだがらっでバカにしてんのが!?」
「だったらおめぇのダチのポケット見せてみろちゅーに」
イカサマだのなんだの、まったくもって平和なことだと男は呆れる。正直関わりたくはないと思う……が、それをどうこうするのが男の仕事でもあった。
「ねぇちょっとちょっと、お二人さん? 申し訳ないんだけどさぁ……こんな広場のしかも目立つ真昼間に喧嘩はやめてもらえないかな、子供たちや奥様方に迷惑でしょ」
「あん? 部外者は引っ込んで……っち、ロイドさんかよ」
片方の男が勢いよく振り返るが、ロイドと呼ばれた男の姿を認知するや否や、さっきまでの勢いが弱くなる。終いには困った様子で酔っ払いは頭を掻いた。
「アンタが出てくると面倒くさくてかなわねぇ」
「それはお互い様ってやつだと思うけど」
「聖騎士軍の補佐官様が来たんじゃこりゃやってらんねぇや、やめだやめ……お前のダチは命広いしたな! 聖騎士様に感謝するこった」
などと酔っ払いが言う。絡まれていた方の男は何が何だかと少々気まずそうではあったが、空気を読んでいるのかこれ以上何かを言うつもりはないらしい。ロイドは両手をパンパン、と叩いて「さあさあ、みんな普段の生活に戻って戻って」と大声で言った。
酔っ払いは肩をすくめて広場の奥へと去っていき、それをみた絡まれていた男も、逆方向へと去っていった。野次馬をしていた街の人々も、さっきまでの騒動はまるで無かったんだという風に各々の生活へと戻る。
ようやく騒ぎが落ち着いたことで、ロイドはこれ以上厄介ごとは勘弁だと元居た噴水の石垣へとむかった。
炎天下の中、ロイドは滴る汗を拭って肌を焦がす太陽を苦々しく見上げる。太陽の表情はいつだって人間には厳しく、微笑むことはない。肌をじりじりと焦がして、焼いていく太陽がロイドはあまり好きではなかった。だがロイドの考えとは逆に、街にもそして今はもう辞めてしまった聖騎士軍内部の一部にも太陽信仰者は存在する。その肌を太陽に焼かせることを良しとしている連中だ。ロイドにとって肌をわざわざ焼いて痛い思いをしたり、肌の色を変えることこそがステータスだと思い込むのは信じられないもので、そもそも聖騎士軍の補佐官という堅くて、同時に手取りも中々に悪くない職業から、用心棒の様な仕事へと転職したのは、早いはなし軍人としての訓練がとにかく嫌になったからだ。
元よりロイドはあまり外を出歩いたり運動をするのは好きではなかった。ただ好き嫌いと才能は別といったところなのか、ロイドにとって軍人であった頃の訓練は、簡単すぎるほどだった。剣を持たせれば誰よりも素早く、弓を持たせれば誰よりも正確に……体術の心得は勿論、動体視力だって自慢ではないが悪くはない。補佐官をやめてからも、酔っ払いの男が言ったようにロイドを聖騎士補佐官と呼ぶ街の人は多数いる。だがロイドからすればそれは過去の栄光、過去の肩書でしかなかった。
もしも吟遊詩人の紡ぐ物語の中の人物なら、自分は間違いなく主人公である素質を持っていると思う。だがそれもこれも全部面倒くさいし、外で何かをするよりは室内で酒でもゆっくり飲みながら、酒場の女将としゃべっている方が有意義というものだ。
「ロイドじゃない、どうしたのこんな所で立ち尽くして」
噂をすればなんとやら、ロイドのすぐ近くに酒場の女将が立っていた。
「やあマルチェッラ、今丁度だけど君の事を考えていたところだよ」
「ふうん、どうしてこんな所に? 貴方、太陽は嫌いだったと思ったけど」
「家にいるよりは涼しいからね、この時期は……それに噴水の近くならほら、涼しいし」
「なるほどね」
買い物用の網籠をもって、彼女は柔らかく微笑んだ。好きではない太陽だが、一つだけロイドにとっていいことがあるといえば、彼女の長い金糸の髪が太陽の光によってキラキラと輝いて見えることだろうか? マルチェッラは、服装こそ質素ではあるが明確に美人であった。誰が見てもうらやむような美人……金色の長い髪を一つに束ね、キリッとした目には深みのある海色の青。思わずため息が出てしまう美貌――。
「仕入れの買い物?」
「お酒が少し切れてきたから、買い足すつもり」
「じゃぁ重たいものを持ってあげる」
「大丈夫よ、ロイドそれよりもお仕事は大丈夫なの?」
「問題ないさ、そもそも気楽やれるからこの仕事にしたんだし」
「まあ何もなければ見回ってればお金が入るわけだしね」
「はは、マルチェッラは相変わらず手厳しいね」
穏やかに会話をしながら、ロイドはマルチェッラと歩幅を合わせて歩く。こんな素敵な女性が自分の婚約者だなんて自分はなんてツイているんだろうか! なんて考えながら。
「お店は繁盛してるね」
「おかげ様でね、今夜も飲みに来るつもり?」
「まあ、僕の婚約者が頑張ってる姿を見るのが好きだから」
「婚約者だからといって、無料にはしないわよ」
「わかってるさ!」
くすくすとお互いを見つめあって笑いあう。こんな幸せな日々が続けばいいな、とロイドはぼんやりと思い描く。
酒場を一緒に切り盛りをするのも楽しいかもしれない、子供ができたらその子供たちと一緒にお店を改築して、宿屋としても……子供は二人くらい、できれば女の子と男の子が良いな、そんな夢をみる。ロイドにとっての幸せとは、日々平凡であれ、それだけだった。
エターリャ国旧王都エターリャはロイドの生まれ育ったエターリャ地方南部メーデル村とは違い、常に活気的だ。メーデルはその他の村々よりは裕福ではあったが、それでも首都たるエターリャと比べると暮らしは質素でのどかだ。だが、旧王都もずっと活気的だった訳では無い……あれは、ロイドが五歳になったばかりの頃の話だ。かつてエターリャは、唯一国家として大都市王都エターリャ国と呼ばれ近隣の村そのすべての人々が、一度は夢に見る都であった……それが崩された年のこと。ロイドはあまり覚えてはいないが、大人たちがざわざわとしていた事は覚えている。突然の崩御、そして現れた“魔王”という存在――。
「エターリャ王族の悲劇」
そう呼ばれている歴史の中の闇。悲劇すぎるその日のことは、今でも国民の胸にはその痛ましい出来事として強く刻まれている。平和は崩され、王族達の大半は戦火に飲まれて死んでいった。王族を守る聖騎士軍は見たこともない不思議な力で一掃され、人ならざる存在の“魔王”によって国は魔王の配下となった。それは紛れもない侵略……エターリャ国王による統治は終わりをつげ、魔王による独裁政治の幕が上がった。唯一救いといっていいのが、その戦火の渦に巻き込まれたのは王族や聖騎士軍の人間ばかりで、一般国民の殆どがほぼ無傷でいたということだろうか。国は国としての効力を失い、王という指針を失った人々の生活は混乱と混沌に巻き込まれた。だが魔王が国を落としてから十年、魔王は何をするでもなく沈黙を守っている。
絶望と恐怖、混乱……だが人間というものは弱いながらも強い生き物なのだろう。魔王が黙している間、人々は王都の再建を願った、そうして出来上がったのが旧王都エターリャだ。魔王の動きはよくわからない、だが魔王が今でもなお恐れられているのもまた事実だ。魔王は確かに沈黙を守っているが、人間よりもより強大な、それも得体の知れない技すら使うのだ。人々はそれを魔法と呼んでいるが、魔法がどういうものなのかを知る人間はだれ一人として存在しない。旧王都の聖騎士軍は何もこの十年、何もしなかったわけではない、時には聖騎士軍が動きそして民間の、主に王族の生き残りである勇者によって、魔王討伐へと暗黒の森の先にある魔王城へ向かったこともあった。しかし旅へ出た勇者たちも、その仲間たちも聖騎士軍も森の奥へとたどり着く前に魔王の配下である魔族達によって、あるいは理由も解らず忽然と消えたりとまともにたどり着いたという話を聞かない。次第に再建に力を入れていた者達も、沈黙を守っている以上は、と魔王討伐などは考えなくなった。討伐しなくとも街が不幸に見舞われることはなかったし、何より皆自分の家族の安息の方が大事だった。
今でも稀に、国を手に入れようと野心抱いた青年や家族の敵を取るべく! といった様子で勇者が集まることは有るが、十年前と比べると遥かに減り旅立とうとする勇者は変わり者だと笑われる。そしてロイドもまた勇者なんてものになろうと思う人間は変わり者だと思っていた。そう、だが人の価値観は身に降り掛かって初めて動くものなのだ。それは誰にでもありゆる事……出会い、別れ、雫が滴り広がり波紋となる、それと同じようなこと。
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