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第一話
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「真実の愛というものを見つけたんだ。アレイン・アルゼオン」
「……申し訳ありません。殿下、何を仰っているのか……よく分かりません」
厳しい修行の後に、このエデルタ皇国の聖女となった私はこの国の皇太子アーヴァイン殿下と婚約しました。
この縁談の成立に厳しかった父は喜び、「お前が生まれて初めて良かったと思えた」と仰せになってくれました。
私も新しい生活に不安はあれど、彼と結婚が出来ることを喜び幸せを感じていたのですが……。
今日、アーヴァイン殿下に呼び出された私は不穏な空気を感じ取ります。
彼の隣で寄り添っているのは、後輩で同じく聖女のエミール。
エデルタ皇国始まって以来の天才と呼ばれている彼女は、千を超える多彩な魔法を使いこなし……何よりも絶世の美女と名高い美貌を持っていました。
「察しが悪いなぁ、君は。僕はエミールと結ばれる運命だということに気付いたんだ。彼女になら全てを捧げられる。そう、真実の愛はエミールと僕の間にある」
ワインを何杯か飲んだ後のように酔っ払ったような表情をするアーヴァイン殿下と、そんな彼をうっとりとした表情で眺めるエミール。
二人は手を握り合い、べったりとくっついています。
「先輩、アーヴァイン殿下と別れて上げてください。わたくしたちは幸せになりたいのです」
「先にエミールと会っていたら、僕は彼女と婚約していたのは間違いない。つまり、アレイン……君は僕らの“真実の愛”の障害になっているんだなぁ」
「あと、同じ聖女の仕事をするのも気まずいですし、わたくしが略奪したなどという変な噂も立ちますので辞めて貰えると嬉しいですわ。この国の聖女はわたくしだけで十分ですし」
いきなり無茶な要求をするエミールとアーヴァイン。
婚約破棄をした上で、仕事まで辞めろと仰るのですか? この方々はどれだけ理不尽な要求をしているのか理解しているのでしょうか……。
「そんなこと、到底飲めません。婚約者と仕事を同時に失うなんて、私がイエスと答えるはずがないではありませんか……!」
さすがに私も大きな声を出してしまいました。
声を荒げるなんて、はしたないことをしたのは初めてかもしれません。
しかし、目の前で婚約者と後輩が仲睦まじくしている光景を見せつけられて怒りが自然とこみ上げてしまったのです。
「アーヴァイン様ぁ。わたくし、怖いですわ」
「まぁ、まぁ、落ち着きたまえ。アレイン、僕だって君への情くらいは残っている。もちろん、無償で別れてくれなど言わないよ」
私が不快感を顕にすると、アーヴァイン殿下はヘラヘラと笑いながら、お金を払うことを匂わせました。
いくら王族でお金に余裕があるとはいえ、そんな金品で何でも解決しようだなんて――。
「2500億エルド――」
「えっ――?」
「慰謝料と退職金として2500億エルドを君に払おうじゃないか。慰謝料の大きさは僕のエミールへの愛の大きさだ。僕は彼女の為なら何でも出来るんだ!」
「アーヴァイン様、素敵です……!」
エデルタ王国の今年の国家予算が約5000億エルドだと聞いております。
アーヴァイン殿下はそんな大金を私に本気で支払おうとしているのでしょうか――。
「……申し訳ありません。殿下、何を仰っているのか……よく分かりません」
厳しい修行の後に、このエデルタ皇国の聖女となった私はこの国の皇太子アーヴァイン殿下と婚約しました。
この縁談の成立に厳しかった父は喜び、「お前が生まれて初めて良かったと思えた」と仰せになってくれました。
私も新しい生活に不安はあれど、彼と結婚が出来ることを喜び幸せを感じていたのですが……。
今日、アーヴァイン殿下に呼び出された私は不穏な空気を感じ取ります。
彼の隣で寄り添っているのは、後輩で同じく聖女のエミール。
エデルタ皇国始まって以来の天才と呼ばれている彼女は、千を超える多彩な魔法を使いこなし……何よりも絶世の美女と名高い美貌を持っていました。
「察しが悪いなぁ、君は。僕はエミールと結ばれる運命だということに気付いたんだ。彼女になら全てを捧げられる。そう、真実の愛はエミールと僕の間にある」
ワインを何杯か飲んだ後のように酔っ払ったような表情をするアーヴァイン殿下と、そんな彼をうっとりとした表情で眺めるエミール。
二人は手を握り合い、べったりとくっついています。
「先輩、アーヴァイン殿下と別れて上げてください。わたくしたちは幸せになりたいのです」
「先にエミールと会っていたら、僕は彼女と婚約していたのは間違いない。つまり、アレイン……君は僕らの“真実の愛”の障害になっているんだなぁ」
「あと、同じ聖女の仕事をするのも気まずいですし、わたくしが略奪したなどという変な噂も立ちますので辞めて貰えると嬉しいですわ。この国の聖女はわたくしだけで十分ですし」
いきなり無茶な要求をするエミールとアーヴァイン。
婚約破棄をした上で、仕事まで辞めろと仰るのですか? この方々はどれだけ理不尽な要求をしているのか理解しているのでしょうか……。
「そんなこと、到底飲めません。婚約者と仕事を同時に失うなんて、私がイエスと答えるはずがないではありませんか……!」
さすがに私も大きな声を出してしまいました。
声を荒げるなんて、はしたないことをしたのは初めてかもしれません。
しかし、目の前で婚約者と後輩が仲睦まじくしている光景を見せつけられて怒りが自然とこみ上げてしまったのです。
「アーヴァイン様ぁ。わたくし、怖いですわ」
「まぁ、まぁ、落ち着きたまえ。アレイン、僕だって君への情くらいは残っている。もちろん、無償で別れてくれなど言わないよ」
私が不快感を顕にすると、アーヴァイン殿下はヘラヘラと笑いながら、お金を払うことを匂わせました。
いくら王族でお金に余裕があるとはいえ、そんな金品で何でも解決しようだなんて――。
「2500億エルド――」
「えっ――?」
「慰謝料と退職金として2500億エルドを君に払おうじゃないか。慰謝料の大きさは僕のエミールへの愛の大きさだ。僕は彼女の為なら何でも出来るんだ!」
「アーヴァイン様、素敵です……!」
エデルタ王国の今年の国家予算が約5000億エルドだと聞いております。
アーヴァイン殿下はそんな大金を私に本気で支払おうとしているのでしょうか――。
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