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第七話(リーンハルト視点)
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人生において、結婚だけは失敗したくないイベントだ。
公爵家の跡取りとして生まれた僕は、その伴侶として相応しい最高の女性を見つけることが義務付けられている。
そういう基準で考えるとミリムは最高の女性だ。
なんせ、顔の好みにうるさい僕がひと目見て惚れ込んだのが彼女なのだから。
なのに、なんだ? この違和感は……。
シャルロットと別れてミリムと婚約するという決断は正しかったはずなのに……。
どうして僕はその選択に今さら自信が無くなってきているのだろうか。
僕の輝かしい未来は美しい妻と妻に似た可愛らしい子どもたちに囲まれて、末永く幸せに暮らせることだと確定したというのに。
「リーンハルト、今度また君の婚約者のピアノ演奏を聞かせてくれよ。あれは凄かった。いや、僕も君のシャルロットみたいな人を妻に迎え入れたいと思ったよ」
侯爵家の跡取りのジャックはシャルロットのピアノ演奏は十年に一度の逸材として、その才能を大いに褒め称えた。
いや、僕はその妹のミリムと婚約しなおしたから。
「リーンハルト先輩、またシャルロットさんと一緒に絵画の発表会に来てください。シャルロットさんのように芸術面にも造詣が深い方が婚約者で羨ましいです」
学生時代の後輩で、僕のことを慕っているアランはシャルロットの絵画知識に脱帽したと話して、彼の実家が主催している美術館での新作の発表会に彼女を連れてきてほしいと熱望する。
「リーンハルト様、聞きましたよ。婚約者のシャルロットさんが地質学の論文で賞をお取りになったとか! いやー、あんなにも教養豊かな方を夫人として迎えるなんて、公爵家も安泰ですな!」
男爵家の次男で、我が家とも付き合いが長いマークスはシャルロットの学術的な功績を絶賛して、彼女がいれば公爵家の未来は明るいと笑う。まるで、彼女が居なくちゃ公爵家が危ういみたいだな……。
ミリムと婚約してから、会う人、会う人がシャルロットの話を振ってくる。
まだ、公の場でミリムを婚約者として迎えたことを言っていないから仕方がないが……。
何がイラッとするって、どいつもこいつも、シャルロットのことを褒めちぎるのだ。
まるで僕の選択が誤りであるかのように。
更に僕がシャルロットと別れた話をすると――。
「はぁ? 君は馬鹿なのかい? あんな良い子と別れるなんて。信じられないよ」
「はは、ご冗談ですよね? シャルロットさん程の女性は滅多にいないと思いますけど。へぇ、婚約破棄しちゃったんですか……」
「えええっ!? わ、わ、別れてしまわれたのですか? それは公爵家としての損失がすごいのでは?」
失礼なことにシャルロットと別れたというと、揃いも揃って僕のことをバカにしたような目で見るのだ。
逃した魚は大きいと言わんばかりに……。
僕にはミリムが居るんだぞ。
ほら、可愛いのは知ってるだろ? 君たちも羨む程の美人だろ?
「いや、ミリムが美しいのは確かだけど」
「結婚相手として考えるのなら、やはり教養が豊かな方のほうが……」
「ミリムさん、美しいですよね。それだけですけど」
あ、あれ? なんか、思ってた反応と違うな……。
これじゃ、やっぱり僕が間違った感じになってるじゃないか。
「すぅ~、すぅ~、ふわぁ。……あれれ? まだ、あの男の人、お歌を歌っているのですかぁ? 意味が分かりませんの」
「いや、オペラってそういうものだから。あと、意味が分からないのは、僕が何回起こしても気付いたら寝てるのがいけないんじゃないか?」
「だって、暇なんですもの。リーンハルト様ぁ、何か面白いことを言ってくださいまし」
あー! イライラする!
なんだ、こいつ! 脳みそにケーキとかクッキーが詰まってるんじゃないか!?
顔、何度見ても美しいけど、もう飽きちゃったよ。
逆にその顔でバカだからムカつくよ!
みんなの言うとおりだった。
やっぱり、シャルロットがいい!
僕はシャルロットと結婚して楽しい生活を送ると決めた――!
注意した3秒後に寝息を立てているこのバカ女に構っていた時間が勿体なかったよ……!
公爵家の跡取りとして生まれた僕は、その伴侶として相応しい最高の女性を見つけることが義務付けられている。
そういう基準で考えるとミリムは最高の女性だ。
なんせ、顔の好みにうるさい僕がひと目見て惚れ込んだのが彼女なのだから。
なのに、なんだ? この違和感は……。
シャルロットと別れてミリムと婚約するという決断は正しかったはずなのに……。
どうして僕はその選択に今さら自信が無くなってきているのだろうか。
僕の輝かしい未来は美しい妻と妻に似た可愛らしい子どもたちに囲まれて、末永く幸せに暮らせることだと確定したというのに。
「リーンハルト、今度また君の婚約者のピアノ演奏を聞かせてくれよ。あれは凄かった。いや、僕も君のシャルロットみたいな人を妻に迎え入れたいと思ったよ」
侯爵家の跡取りのジャックはシャルロットのピアノ演奏は十年に一度の逸材として、その才能を大いに褒め称えた。
いや、僕はその妹のミリムと婚約しなおしたから。
「リーンハルト先輩、またシャルロットさんと一緒に絵画の発表会に来てください。シャルロットさんのように芸術面にも造詣が深い方が婚約者で羨ましいです」
学生時代の後輩で、僕のことを慕っているアランはシャルロットの絵画知識に脱帽したと話して、彼の実家が主催している美術館での新作の発表会に彼女を連れてきてほしいと熱望する。
「リーンハルト様、聞きましたよ。婚約者のシャルロットさんが地質学の論文で賞をお取りになったとか! いやー、あんなにも教養豊かな方を夫人として迎えるなんて、公爵家も安泰ですな!」
男爵家の次男で、我が家とも付き合いが長いマークスはシャルロットの学術的な功績を絶賛して、彼女がいれば公爵家の未来は明るいと笑う。まるで、彼女が居なくちゃ公爵家が危ういみたいだな……。
ミリムと婚約してから、会う人、会う人がシャルロットの話を振ってくる。
まだ、公の場でミリムを婚約者として迎えたことを言っていないから仕方がないが……。
何がイラッとするって、どいつもこいつも、シャルロットのことを褒めちぎるのだ。
まるで僕の選択が誤りであるかのように。
更に僕がシャルロットと別れた話をすると――。
「はぁ? 君は馬鹿なのかい? あんな良い子と別れるなんて。信じられないよ」
「はは、ご冗談ですよね? シャルロットさん程の女性は滅多にいないと思いますけど。へぇ、婚約破棄しちゃったんですか……」
「えええっ!? わ、わ、別れてしまわれたのですか? それは公爵家としての損失がすごいのでは?」
失礼なことにシャルロットと別れたというと、揃いも揃って僕のことをバカにしたような目で見るのだ。
逃した魚は大きいと言わんばかりに……。
僕にはミリムが居るんだぞ。
ほら、可愛いのは知ってるだろ? 君たちも羨む程の美人だろ?
「いや、ミリムが美しいのは確かだけど」
「結婚相手として考えるのなら、やはり教養が豊かな方のほうが……」
「ミリムさん、美しいですよね。それだけですけど」
あ、あれ? なんか、思ってた反応と違うな……。
これじゃ、やっぱり僕が間違った感じになってるじゃないか。
「すぅ~、すぅ~、ふわぁ。……あれれ? まだ、あの男の人、お歌を歌っているのですかぁ? 意味が分かりませんの」
「いや、オペラってそういうものだから。あと、意味が分からないのは、僕が何回起こしても気付いたら寝てるのがいけないんじゃないか?」
「だって、暇なんですもの。リーンハルト様ぁ、何か面白いことを言ってくださいまし」
あー! イライラする!
なんだ、こいつ! 脳みそにケーキとかクッキーが詰まってるんじゃないか!?
顔、何度見ても美しいけど、もう飽きちゃったよ。
逆にその顔でバカだからムカつくよ!
みんなの言うとおりだった。
やっぱり、シャルロットがいい!
僕はシャルロットと結婚して楽しい生活を送ると決めた――!
注意した3秒後に寝息を立てているこのバカ女に構っていた時間が勿体なかったよ……!
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