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第十五話
アルフレート殿下との会食を終えた私は家に戻り、両親に結婚式の件を話しました。
先日のミリムの暴走をアルフレート殿下はきにしており、彼女を結婚式には出席させない方が良いのでは、という話をしたのです。
「もしも、私たちで説得が難しいのならアルフレート殿下が直々にミリムにそれを伝えると仰っていたのですが……」
さらに私は殿下自らが説得しても良いと仰せになられたことも伝えました。
要するにそうなればミリムは暗にアルフレート殿下からアルビニア王国への出禁を言い渡されるも同然なのですが、この一言には父も母も顔を青くされます。
「いやいやいやいや、それは駄目だぞ。もしも、我が娘がアルビニアの王太子殿下の不興を買ったなどという噂が出れば、我が家の今後に関わる」
「そもそも、ミリムが出席しないという事実さえアーゼル家にとっては恥を晒すことになりますが……。それはもっともらしい理屈を付ければ何とかなります。病気になったとか……」
父も母も声を震わせながら、ミリムをどうやって欠席させるか話し合いを開始しました。
父は私に絶対にアルフレート殿下を介入させてはダメだと念を押します。
それはそうでしょう。
ただでさえ、隣国の王太子の結婚式に妻の妹が来ないという事態は奇異な目で見られます。
その原因がアルフレート殿下が直々にミリムに出禁を言い渡したからとなれば、余程の問題が彼女にあったと受け取られて、近隣諸国中からあの娘の人格が疑問視されることになるでしょう。
下手をすればミリムが嫁ぐ公爵家にも迷惑がかかる可能性すらあります。
もちろん、アルフレート殿下はミリムの件を口外しないとは思いますが、こういった噂を閉じ込めて誰にも絶対に知られないようにすることは非常に難しいのです。
「それでは、ミリムをどう説得するかだが……」
「あの子は繊細で傷付き易い子ですから、やんわり諭しても泣き出すかもしれませんね」
とはいえ、ミリムは自分の要求は全部飲み込まれると思っている子です。
ちょっとキツイことを言われると泣き出しますし、話し合いが出来る気がしません。
母はミリムが泣き出すと予想していますが、私もそう思います。
ですから、気が重いのです……。彼女に欠席するように、と話を振ることが。
「お父様~! お母様~! あー、ひどいですぅ! わたくしだけ仲間外れにするなんて……、ぐすん……」
ミリムが居ないことを確認してこっそり両親に結婚式の件を話していたのですが、こういう時、何故か彼女の嗅覚は鋭くなるのですよね。
既に内緒話をしている事まで読んでいるみたいです……。
涙目で目を潤ませてこちらを見ている彼女。
これからどうやって、話をしましょう……。
「はぁ……。ミリム、大事な話がある。そこに座りなさい」
「大事な話……ですの?」
父は意を決したような顔をしてミリムをソファに座らせました。
果たして説得出来るのか、というより説得して貰わなくては困るのですが……。
「ミリムよ、お前は辛い食べ物が嫌いだ。だからアルビニア王国のパーティー料理はきっと合わないだろう」
はぁ? 何をいきなり、言い出すのですか?
父はどんな展望があって、こんな話題の振り方を……?
「合わない食べ物を無理に食すと、お腹を痛くする。腹痛に悶えるミリムをワシは見たくない。……だから、お前はシャルロットとアルフレート殿下の結婚式を欠席しなさい。病気になったと先方には伝えておくから」
「…………」
ええーっと、そんな説得で何とかなる訳ないのでは?
まぁ、先日、私が隣国に嫁ぐ話をしたときはこの話で乗り切れましたけど。
流石に結婚式の出欠を辛い食べ物で――。
「むぅ~~、確かにミリムは辛いのは嫌です。分かりました。お姉様とアルフレート様の結婚式には出ません」
「「――っ!?」」
えっ? こんなにも簡単に説得できて良いんですか?
それは、それで彼女の今後が心配になるのですが……。
「そうか、そうか。それなら――」
「だってアルフレート様と結婚するのはわたくしなのですから。うふふふ」
「「――っ!?」」
ニコニコと決定事項のようにアルフレート殿下と結婚するのは自分だと言い放ったミリム。
全然、説得できていませんでした。
いえ、それ以前の問題です。
あなた、リーンハルト様はどうしたのですか――。
先日のミリムの暴走をアルフレート殿下はきにしており、彼女を結婚式には出席させない方が良いのでは、という話をしたのです。
「もしも、私たちで説得が難しいのならアルフレート殿下が直々にミリムにそれを伝えると仰っていたのですが……」
さらに私は殿下自らが説得しても良いと仰せになられたことも伝えました。
要するにそうなればミリムは暗にアルフレート殿下からアルビニア王国への出禁を言い渡されるも同然なのですが、この一言には父も母も顔を青くされます。
「いやいやいやいや、それは駄目だぞ。もしも、我が娘がアルビニアの王太子殿下の不興を買ったなどという噂が出れば、我が家の今後に関わる」
「そもそも、ミリムが出席しないという事実さえアーゼル家にとっては恥を晒すことになりますが……。それはもっともらしい理屈を付ければ何とかなります。病気になったとか……」
父も母も声を震わせながら、ミリムをどうやって欠席させるか話し合いを開始しました。
父は私に絶対にアルフレート殿下を介入させてはダメだと念を押します。
それはそうでしょう。
ただでさえ、隣国の王太子の結婚式に妻の妹が来ないという事態は奇異な目で見られます。
その原因がアルフレート殿下が直々にミリムに出禁を言い渡したからとなれば、余程の問題が彼女にあったと受け取られて、近隣諸国中からあの娘の人格が疑問視されることになるでしょう。
下手をすればミリムが嫁ぐ公爵家にも迷惑がかかる可能性すらあります。
もちろん、アルフレート殿下はミリムの件を口外しないとは思いますが、こういった噂を閉じ込めて誰にも絶対に知られないようにすることは非常に難しいのです。
「それでは、ミリムをどう説得するかだが……」
「あの子は繊細で傷付き易い子ですから、やんわり諭しても泣き出すかもしれませんね」
とはいえ、ミリムは自分の要求は全部飲み込まれると思っている子です。
ちょっとキツイことを言われると泣き出しますし、話し合いが出来る気がしません。
母はミリムが泣き出すと予想していますが、私もそう思います。
ですから、気が重いのです……。彼女に欠席するように、と話を振ることが。
「お父様~! お母様~! あー、ひどいですぅ! わたくしだけ仲間外れにするなんて……、ぐすん……」
ミリムが居ないことを確認してこっそり両親に結婚式の件を話していたのですが、こういう時、何故か彼女の嗅覚は鋭くなるのですよね。
既に内緒話をしている事まで読んでいるみたいです……。
涙目で目を潤ませてこちらを見ている彼女。
これからどうやって、話をしましょう……。
「はぁ……。ミリム、大事な話がある。そこに座りなさい」
「大事な話……ですの?」
父は意を決したような顔をしてミリムをソファに座らせました。
果たして説得出来るのか、というより説得して貰わなくては困るのですが……。
「ミリムよ、お前は辛い食べ物が嫌いだ。だからアルビニア王国のパーティー料理はきっと合わないだろう」
はぁ? 何をいきなり、言い出すのですか?
父はどんな展望があって、こんな話題の振り方を……?
「合わない食べ物を無理に食すと、お腹を痛くする。腹痛に悶えるミリムをワシは見たくない。……だから、お前はシャルロットとアルフレート殿下の結婚式を欠席しなさい。病気になったと先方には伝えておくから」
「…………」
ええーっと、そんな説得で何とかなる訳ないのでは?
まぁ、先日、私が隣国に嫁ぐ話をしたときはこの話で乗り切れましたけど。
流石に結婚式の出欠を辛い食べ物で――。
「むぅ~~、確かにミリムは辛いのは嫌です。分かりました。お姉様とアルフレート様の結婚式には出ません」
「「――っ!?」」
えっ? こんなにも簡単に説得できて良いんですか?
それは、それで彼女の今後が心配になるのですが……。
「そうか、そうか。それなら――」
「だってアルフレート様と結婚するのはわたくしなのですから。うふふふ」
「「――っ!?」」
ニコニコと決定事項のようにアルフレート殿下と結婚するのは自分だと言い放ったミリム。
全然、説得できていませんでした。
いえ、それ以前の問題です。
あなた、リーンハルト様はどうしたのですか――。
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