夜間勤務のメイド

灯埜

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蝶々の名前

「そういえば、名前を聞いていなかったね」
『なまえ?うーん、そうね、好きに呼んでくれていいわよ』
やっと起き上がれるまでに回復した俺は、上半身を起こし蝶々に名前を訪ねる。

「じゃあ、姉『変ななまえ付けたら怒るわよ』」
「好きに呼んでくれていいって言ってたのに…」
『何か言ったかしら』
ズムッと蝶々は顔を近づけてきた。勢いよく行ったせいか俺の頬にめり込む形になった。
「近い近い💧わかったって (;;  ̄- ̄)」
『今何て言おうとしたの?』
「姉御」
『嫌よ!なんか盗賊の女バージョンみたいじゃない!認めないわ!!』
「だめか」
『当たり前じゃない!』
俺の頬を全部の足を使ってペシペシと叩いてくる。のに、力がなくてノーダメージ。
「じゃあ、なんか希望とかあるの?」
『はなとか素敵なもののなまえとかいいかなーなんて、きゃっ💕』
「鼻…」
紙に鼻を書いて、これ?と蝶々に見せる。

『咲いてるはなよ』
これじゃないわ、外に咲いてるやつよ と教えてくる。

「咲いてる鼻?」
紙に書いた鼻の周りに花弁と茎と葉を書き足す。

『あなたが言っているのは付いてるはなよ!とぼけてるの!?』
そんなはながあってたまるかい!と紙をくしゃくしゃにしてペシンとベッドに投げる。

「あぁ、外に咲いている綺麗な花のことね」
『だからそう言っているじゃない!あなたバカなの!?』
「いや、わざと」
『きぃー!』
投げた紙をかじったりビリビリにちぎって破って投げたりして暴れる蝶々。
おーおー、怒ってる怒ってる(笑)

「そんな短気だと顔にシワが増えるぞ」
『誰のせいよ!誰の!』
2本の足で小さな拳を作っている。
いちいち動きがかわいいせいか怒っててもかわいいというか面白いというか。

「君面白いね」
『……そう、かしら』
拳を作っていた足が力なく解けてゆっくり落ちていく。
なぜ落ち込む?
「うん、俺は楽しい」
『そう… ふふ、変なの』
蝶々は2本の足で口許を抑えて笑う。もし表情が見えるとしたら、今どんな顔をしているのだろうか。

「それに動きがかわいいしね」
『か、ファ!?』
ヘロヘロと落ちていき、ベッドの上にペショ…と顔を突っ伏して小さく震えだした。

「おーい?」
『まさか…まさかナンパされるなんて……うまれてこのかた初めてよ(照)』

キャー///(照照)と叫びながらごろごろと左右に転がる蝶々。
そんなに転がってるけど、羽どうなってんの?

「俺も人生の中でそういう誤解した解釈の持ち主に会うのは初めてだよ(ー_ー)」
『はっ!Σ( ̄□ ̄ ) あなたもしかしてわたしをもてあそんだのね!?』
蝶々はガバッ!と勢いよく上半身を起こし、こちらをぐりんと振り向く。

「いや弄んですらいない」
『あなた…生粋のタラシだわ』
「どうしてそうなる(笑)」
顔を濃ゆくして言う台詞か(笑)

「あ、名前決めた。ラナンキュラス」
『ラナンキュラス?』
「花の名前だよ。花びらが幾重にも重なってて、丸いフォルムが可愛いんだ。色も豊富で君の羽の色ところころ変わる君の感情みたいで可愛らしいからいいかなって思ったんだけど、どうかな?」
『ラナンキュラス… キュラスが男らしくてなんかやだわ』
「じゃあ、ラナンでどう?」
『いいわ、わたしの名前ラナンでいいわよ』
「よかった、俺はクロード。これからずっとよろしくラナンキュラス」
『ラナンよ!ラナン!!』

蝶々の名前が決まったとこで、俺はラナンに提案をしてみた。

「俺の変わりに外の様子を見に行ってきてほしいんだ」
『あなたが見に行けばいいじゃない』
ラナンは皿の上のサラダをシャクシャクと音を立てて食べている。
「俺は事情があって人に会うわけにはいかないんだ、頼むよ」
『もしかしてあなた、王の隠し子かしら?』
「は?」
『わたしそういう本を読んだことがあるのよ。切ない恋物語…ある重要人物となる女の人が現れるまでその男の子は周りに虐げられて生きていく日々、そんなある日その女の人がその男の子のいる部屋を偶然見つけて覗いたことをきっかけに物語が動き出すのよー!キャー///すてきぃー///(*/□\*) Ξ (*>ω<*) Ξ (*/∀\*)』

長々とあらすじまでしゃべってくれちゃって…

「そんな展開は微塵もないのに」
『いいえ!ぜっったいにあるわ!だって条件が揃ってるもの。個室、男の子、見られてはいけないこと、そして隠し子!』
「隠し子じゃない」
『きっとこれからラブ展開が訪れるのよぉぉぉ⤴️』

カチャッ

不意に扉が開く音が鳴り、俺は慌ててクローゼットの中に逃げ込んだ。
「誰だろ…」
『きっときっかけとなる女の人よ!(興奮気味に)わたしがそれを目撃する第一読者とな…』
クローゼットの少しの隙間からラナンと俺とでギュムッと詰め寄る形で覗いていると、ユキが入ってきた。

「…………どこ?」
ユキがキョロキョロしながら俺を探している。何かの書類と本を抱えている。
「なんだユキか」
ホッとしているとラナンがプルプルと震えたかと思ったら、急な発狂。
『男ぉぉぉぉお!?』
「うわ!?なんだ!?」
『うそよ!わたしは認めないわ!あれはきっと男装した女の人よ。わたし確かめてくる!』
「あ!おい!」

ラナンは勢いよくクローゼットから飛び出していった。
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