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これもいつもの
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「ラナン見ないうち丸『くないわよ』」
早っ。俺の言うことがわかっていたらしい。
『乙女に向かってデブ、太い、太っている、丸い、ブタのようにふくよか、などの言葉は全て暴言なのよ!禁句!気を付けなさい!』
頭だけを起こしていいわね!?と言ってくる顔と迫力がすごい。
今丸いは言ったけど、その後の言葉は言ったことない。さすがに女性に失礼だ。
「すみません。では、体が大きく『なってないわよ!』」
また声を重ねて否定してきた。早かった。
『こら!それも禁句よ!!気を付けなさい!!』
「んん(笑)、すみませ、でした」
何笑ってんのよ!笑ってんじゃないわよ!!💢と、カッ!と怒りだすラナン。俺は、こら!の言葉で笑った。
彼女はにこにこ歌を歌いながら、ラナンに白湯を用意していた。
俺は椅子に座り、丸くなったラナンのお腹を見つめる。
カリカリカリ
"ラナンさんシュークリーム食べた後、食堂にあった一通りの料理をほとんど食べていたの。すごかったわ"
キラキラした目ですごかったわと書かれても、ね。
丸いと思ったら、暴食してたのか。
「なんだ、だったら丸『くないわよ』」
まだ抵抗してる。自分の丸くなった腹を見なさいよ。どう見てもやりすぎだろ。
目で訴えていると、『私はね、さゆを飲んだらやせるのよ』と言ってジュウゥゥゥ…ズコォォォォと音をたてて白湯を飲み始めた。
ケプッとげっぷと共にお腹が凹んで元に… は!??
「は?…え?どうやった?」
『乙女の秘密よ♡』
ラナンは腰を左右に振って踊っている。ふぅ、スッキリしたとか言って。
「乙女って不思議だな(笑)」
『そうよ、乙女はミステリアスなの。ようやくわかったようね。乙女検定はまだまだ初級ね』
ラナンは触覚を手入れしながら、『もっと励んで立派な紳士を目指しなさい』と残りのげっぷを口から吐き出す。
「頑張るよ」
笑いながら頬杖をついて彼女の歌を聞く。
今日はひどく疲れた。
お師匠様に眠らされて少しは眠ったが、まだ疲れは取れていない。
「~♪」
"飲み物はいる?"
カリカリと書く音に気付き、紙を見てその問いに答える。
「甘酒を2つほしいです」
"かしこまりました"
彼女は別の鍋から甘酒をカップに汲み、小さいお盆に乗せて渡してくれた。
「ありがとうございます」
あれ?もうできてる。と思ったことが顔に出ていたのか、俺の顔を見た彼女が紙に書きはじめる。
カリカリ カリカリカリ カリカリカリ トッ
"皆さんの強い希望で最後は米麹の甘酒でパーティーをお締めになりましたよ。疲れを明日に残さないためにも ということでした"
なるほど。
それの余りということか。
甘酒のカップからは湯気が出ている。温かい。温め直してくれたのか。ありがたい。
『私も甘酒飲んでから行くわ』とラナンが言ったので、「先戻る」と言って俺は椅子から降り、お盆を引き寄せようとして彼女に止められた。
「~♪」
"こぼしちゃう!危ないよ!💦" だってさ。
彼女からお盆を受け取り、溢さないようにゆっくり台所の出入り口に向かい、振り返って彼女に一礼をし、また歩き出したところで、軽く誰かにぶつかった。
「あっ!わ、わわ💦」
少し溢したが、ぶつかった相手がお盆を支えてくれてなんとかなった。
誰だろうと思って顔を上げるとそこには笑顔のお師匠様が立っていた。
「クロード、それは私の甘酒かい?」
「はい」
お師匠様はひょいとお盆を持った俺ごと抱えて台所に入っていった。
「ありがとう、ありがたく頂くよ。君も。ありがとう」
「~♪」
"どういたしまして"
"君も"という言葉に俺は驚いた。
(え!?お師匠様、彼女のこと知ってるの!?)
ビックリしている俺に気付いた彼は、「座ろっか」と言って、さっきまで俺が座っていた椅子に座った。
机に座っていたラナンはいつの間にかいなくなっている。
「君の作った甘酒、懐かしいな。あれから練習したのかい?」
カリカリカリ
"はい!おいしくできてると思います"
彼が甘酒を飲んで「ほぅ、これはなかなか」と感想を漏らす。美味しかったようだ。おかわりをお願いしている。
彼の言葉に彼女は嬉しそうに子守唄から別な曲を唄い始めた。
「へぇ、喜びの唄か」
彼は顎に指を当て、「何かいいことでもあったのかな?」と言っていたが、なぜ気付かない。絶対お師匠様の言葉だと思うんだけど。
「お師匠様寝てたんじゃないの?」
「寝てたよ。物音で起きたんだ」
部屋を出るときなるべく静かに出たつもりだったが、音を立てただろうか。
「俺うるさかったですか?」
「全然。別の人が煩かっただけだから心配しなくていいよ」
にこっと笑う彼の言葉に引っ掛かったが、言わないことにした。多分部屋に行ったらわかるだろうし。
「ところで」
お師匠様が笑顔のまま鍋の方を見つめて言葉を区切る。
「どうしてここに半精半魔がいるのかな?」
早っ。俺の言うことがわかっていたらしい。
『乙女に向かってデブ、太い、太っている、丸い、ブタのようにふくよか、などの言葉は全て暴言なのよ!禁句!気を付けなさい!』
頭だけを起こしていいわね!?と言ってくる顔と迫力がすごい。
今丸いは言ったけど、その後の言葉は言ったことない。さすがに女性に失礼だ。
「すみません。では、体が大きく『なってないわよ!』」
また声を重ねて否定してきた。早かった。
『こら!それも禁句よ!!気を付けなさい!!』
「んん(笑)、すみませ、でした」
何笑ってんのよ!笑ってんじゃないわよ!!💢と、カッ!と怒りだすラナン。俺は、こら!の言葉で笑った。
彼女はにこにこ歌を歌いながら、ラナンに白湯を用意していた。
俺は椅子に座り、丸くなったラナンのお腹を見つめる。
カリカリカリ
"ラナンさんシュークリーム食べた後、食堂にあった一通りの料理をほとんど食べていたの。すごかったわ"
キラキラした目ですごかったわと書かれても、ね。
丸いと思ったら、暴食してたのか。
「なんだ、だったら丸『くないわよ』」
まだ抵抗してる。自分の丸くなった腹を見なさいよ。どう見てもやりすぎだろ。
目で訴えていると、『私はね、さゆを飲んだらやせるのよ』と言ってジュウゥゥゥ…ズコォォォォと音をたてて白湯を飲み始めた。
ケプッとげっぷと共にお腹が凹んで元に… は!??
「は?…え?どうやった?」
『乙女の秘密よ♡』
ラナンは腰を左右に振って踊っている。ふぅ、スッキリしたとか言って。
「乙女って不思議だな(笑)」
『そうよ、乙女はミステリアスなの。ようやくわかったようね。乙女検定はまだまだ初級ね』
ラナンは触覚を手入れしながら、『もっと励んで立派な紳士を目指しなさい』と残りのげっぷを口から吐き出す。
「頑張るよ」
笑いながら頬杖をついて彼女の歌を聞く。
今日はひどく疲れた。
お師匠様に眠らされて少しは眠ったが、まだ疲れは取れていない。
「~♪」
"飲み物はいる?"
カリカリと書く音に気付き、紙を見てその問いに答える。
「甘酒を2つほしいです」
"かしこまりました"
彼女は別の鍋から甘酒をカップに汲み、小さいお盆に乗せて渡してくれた。
「ありがとうございます」
あれ?もうできてる。と思ったことが顔に出ていたのか、俺の顔を見た彼女が紙に書きはじめる。
カリカリ カリカリカリ カリカリカリ トッ
"皆さんの強い希望で最後は米麹の甘酒でパーティーをお締めになりましたよ。疲れを明日に残さないためにも ということでした"
なるほど。
それの余りということか。
甘酒のカップからは湯気が出ている。温かい。温め直してくれたのか。ありがたい。
『私も甘酒飲んでから行くわ』とラナンが言ったので、「先戻る」と言って俺は椅子から降り、お盆を引き寄せようとして彼女に止められた。
「~♪」
"こぼしちゃう!危ないよ!💦" だってさ。
彼女からお盆を受け取り、溢さないようにゆっくり台所の出入り口に向かい、振り返って彼女に一礼をし、また歩き出したところで、軽く誰かにぶつかった。
「あっ!わ、わわ💦」
少し溢したが、ぶつかった相手がお盆を支えてくれてなんとかなった。
誰だろうと思って顔を上げるとそこには笑顔のお師匠様が立っていた。
「クロード、それは私の甘酒かい?」
「はい」
お師匠様はひょいとお盆を持った俺ごと抱えて台所に入っていった。
「ありがとう、ありがたく頂くよ。君も。ありがとう」
「~♪」
"どういたしまして"
"君も"という言葉に俺は驚いた。
(え!?お師匠様、彼女のこと知ってるの!?)
ビックリしている俺に気付いた彼は、「座ろっか」と言って、さっきまで俺が座っていた椅子に座った。
机に座っていたラナンはいつの間にかいなくなっている。
「君の作った甘酒、懐かしいな。あれから練習したのかい?」
カリカリカリ
"はい!おいしくできてると思います"
彼が甘酒を飲んで「ほぅ、これはなかなか」と感想を漏らす。美味しかったようだ。おかわりをお願いしている。
彼の言葉に彼女は嬉しそうに子守唄から別な曲を唄い始めた。
「へぇ、喜びの唄か」
彼は顎に指を当て、「何かいいことでもあったのかな?」と言っていたが、なぜ気付かない。絶対お師匠様の言葉だと思うんだけど。
「お師匠様寝てたんじゃないの?」
「寝てたよ。物音で起きたんだ」
部屋を出るときなるべく静かに出たつもりだったが、音を立てただろうか。
「俺うるさかったですか?」
「全然。別の人が煩かっただけだから心配しなくていいよ」
にこっと笑う彼の言葉に引っ掛かったが、言わないことにした。多分部屋に行ったらわかるだろうし。
「ところで」
お師匠様が笑顔のまま鍋の方を見つめて言葉を区切る。
「どうしてここに半精半魔がいるのかな?」
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