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ラナン
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「「!!?」」
『!!』
「本来半精半魔は忌み子として恐れられているため、深い惑わしの森にある死牢に永久に出られないように閉じ込められているはずなんだけど、君は… なぜそこにいる?」
始めて聞く話だ。
『……………』
黙っているラナンにお師匠様は人差し指を鍋の方に向けて、クンッと上に上げた。
『あっ💦や、ヤダ!💦💦』
指を上げると共にラナンも鍋からポーンと引っ張られて出てきた。慌てて抵抗するラナンだが引っ張られているため、なす術もなくお師匠様の手の平に着地。
「へぇ、初めて見たな。半精半魔。何故姿を変えているんだい?」
彼はまじまじとラナンを見つめる。研究者の目になっている。
『あ……あ………やめ、やめて!いやよ!いや!見ないで!!見ないでぇ!!!』
ひどく怯えて震えはじめ、足を全部使って顔や体を覆い、うずくまるラナン。
「そんな怖がんなくても、もっとよく見せて」
「お師匠様、ラナンが怖がってます。やめてあげてください」
(半分精霊半分魔物がいるなんて本でしか見たことがなかったが実在してるなんて、知らなかった)
俺もそう言いつつラナンをジッと見つめる。
『あなたも同じ目付きじゃない!止める気あ、あるの!?』
「あるにはある。だが、ラナンのこと知りたくて」
『少しは欲に抗いなさいよ!』
この2人あり得ないんだけど!と叫びながらよたよたと彼の手から降りようとしている。
「どこに行く、ラナン」
『ひぇ』
彼に名前を言われ、腰が抜けたのかカクンとラナンの下半身が崩れ落ちた。
『あ………ん……は、ぁ……もう、だめだ、わ………』
腰が抜けたくらいでそんな艶っぽい声出されても、恐怖で腰抜けたの知ってるからね。
パタリと倒れた後、ピクリとも動かなくなった。気絶したか。
「何なんだろうね、この子」
彼はラナンを指でつついて生きているかどうか確認をしている。
" 明らかにあなたたちが悪いと思うのですが… "
「「なんで?」」
俺とお師匠様は同時に首を横に傾げた。多分不思議がっている顔も同じなんだろう、彼女は呆れた顔をしていた。
" 自覚はないんですね "
「私は何もしていないじゃないか」
そう言ってラナンを取り出したハンカチの上に置いた。
なんか…お師匠様のハンカチ、汚れてない?
『ぶはっ!くっっっさぁ!!』
あ、目覚めた。
『何この布!くっせぇよ!!』
がっつり野太い声がラナンから聞こえる。元気そうでよかった。
『あら?腰が治ってる。はぁーよかった。なら、さっきのも悪夢の見せた幻覚…ね…』
後ろを向いたラナンがお師匠様と目があった。
「やあ」
『いやああぁぁぁー!さっきのは悪夢の見せた幻覚じゃなくて予知夢!?予知夢だったのね!じゃあこれからまたさっきみたいなのが繰り返され…きゅ………』
パタリ
気絶。
「やあ。しか言っていないのに気絶したよ。面白い子だね」
またもラナンを指でつついて生きているかどうか確認をしている。
「はは…」
なんだか可哀想に思えてきた…。
とりあえず、臭いハンカチは彼女が没収。洗って後日お届けするとのこと。彼は渋々彼女に渡していた。いったい何を拭いたんだ。
気絶したラナンを下ろし立ての綺麗な布巾の上に置いて、また目が覚めるまで待つことに。
それまで俺とお師匠様と彼女とで話をする。
「~♪」
"また出掛けられるのですか?"
「まぁね、今度は北北東に向かおうと思ってる」
「あそこ珍しい薬草生えてますものね」
「そうなんだよー。材料切れちゃって採取メインで行こうかと思って」
カリカリカリ
"魔物も多い地ですし、気をつけてくださいね"
「わかってるよ。最早あそこは私の庭みたいなものだから」
「立ち入り禁止区域になんて行ってないですよね?」
まさかとは思うけど、一応聞いてみる。
「まさか。行くわけないだろう、あんなポーションの材料がたんまり生い茂っている区域に足を踏み入れるなんてそんなそんな」
「本当に?」
"本当に?"
「うん、」
彼の目が少し左にずれる。嘘をつくときの彼の癖だ。
目をそらさないでこっち見て返事してください。
「なんで知ってるんですか?あそこが群生地だということ」
じろりと彼を見ると苦笑いを浮かべて更にごまかしてきた。
「え、あ、ほら、ねぇ、はは… あー……たまたま?」
「笑ってごまかしてもダメですからね」
"そんなに詳しいということは、もしかして頻繁に行ってたんですか?"
「うちの子達がこわいよぅ…」
あそこ言うほど危険じゃないよ?大丈夫!だから、ね?💦といつもの笑顔で逃げようとしている。が、そうはいかない。
「危険なことはしないと、約束したじゃないですか」
カリカリ
"心配する身にもなってください!"
「………逃げたいんだけど」
「だめです」
"だめです"
「えー」
この日の夜は俺と彼女でお師匠様の無謀な行動についてプチ説教が始まった。
それをお師匠様はにこにこしながら嬉しそうに聞いていた。
『!!』
「本来半精半魔は忌み子として恐れられているため、深い惑わしの森にある死牢に永久に出られないように閉じ込められているはずなんだけど、君は… なぜそこにいる?」
始めて聞く話だ。
『……………』
黙っているラナンにお師匠様は人差し指を鍋の方に向けて、クンッと上に上げた。
『あっ💦や、ヤダ!💦💦』
指を上げると共にラナンも鍋からポーンと引っ張られて出てきた。慌てて抵抗するラナンだが引っ張られているため、なす術もなくお師匠様の手の平に着地。
「へぇ、初めて見たな。半精半魔。何故姿を変えているんだい?」
彼はまじまじとラナンを見つめる。研究者の目になっている。
『あ……あ………やめ、やめて!いやよ!いや!見ないで!!見ないでぇ!!!』
ひどく怯えて震えはじめ、足を全部使って顔や体を覆い、うずくまるラナン。
「そんな怖がんなくても、もっとよく見せて」
「お師匠様、ラナンが怖がってます。やめてあげてください」
(半分精霊半分魔物がいるなんて本でしか見たことがなかったが実在してるなんて、知らなかった)
俺もそう言いつつラナンをジッと見つめる。
『あなたも同じ目付きじゃない!止める気あ、あるの!?』
「あるにはある。だが、ラナンのこと知りたくて」
『少しは欲に抗いなさいよ!』
この2人あり得ないんだけど!と叫びながらよたよたと彼の手から降りようとしている。
「どこに行く、ラナン」
『ひぇ』
彼に名前を言われ、腰が抜けたのかカクンとラナンの下半身が崩れ落ちた。
『あ………ん……は、ぁ……もう、だめだ、わ………』
腰が抜けたくらいでそんな艶っぽい声出されても、恐怖で腰抜けたの知ってるからね。
パタリと倒れた後、ピクリとも動かなくなった。気絶したか。
「何なんだろうね、この子」
彼はラナンを指でつついて生きているかどうか確認をしている。
" 明らかにあなたたちが悪いと思うのですが… "
「「なんで?」」
俺とお師匠様は同時に首を横に傾げた。多分不思議がっている顔も同じなんだろう、彼女は呆れた顔をしていた。
" 自覚はないんですね "
「私は何もしていないじゃないか」
そう言ってラナンを取り出したハンカチの上に置いた。
なんか…お師匠様のハンカチ、汚れてない?
『ぶはっ!くっっっさぁ!!』
あ、目覚めた。
『何この布!くっせぇよ!!』
がっつり野太い声がラナンから聞こえる。元気そうでよかった。
『あら?腰が治ってる。はぁーよかった。なら、さっきのも悪夢の見せた幻覚…ね…』
後ろを向いたラナンがお師匠様と目があった。
「やあ」
『いやああぁぁぁー!さっきのは悪夢の見せた幻覚じゃなくて予知夢!?予知夢だったのね!じゃあこれからまたさっきみたいなのが繰り返され…きゅ………』
パタリ
気絶。
「やあ。しか言っていないのに気絶したよ。面白い子だね」
またもラナンを指でつついて生きているかどうか確認をしている。
「はは…」
なんだか可哀想に思えてきた…。
とりあえず、臭いハンカチは彼女が没収。洗って後日お届けするとのこと。彼は渋々彼女に渡していた。いったい何を拭いたんだ。
気絶したラナンを下ろし立ての綺麗な布巾の上に置いて、また目が覚めるまで待つことに。
それまで俺とお師匠様と彼女とで話をする。
「~♪」
"また出掛けられるのですか?"
「まぁね、今度は北北東に向かおうと思ってる」
「あそこ珍しい薬草生えてますものね」
「そうなんだよー。材料切れちゃって採取メインで行こうかと思って」
カリカリカリ
"魔物も多い地ですし、気をつけてくださいね"
「わかってるよ。最早あそこは私の庭みたいなものだから」
「立ち入り禁止区域になんて行ってないですよね?」
まさかとは思うけど、一応聞いてみる。
「まさか。行くわけないだろう、あんなポーションの材料がたんまり生い茂っている区域に足を踏み入れるなんてそんなそんな」
「本当に?」
"本当に?"
「うん、」
彼の目が少し左にずれる。嘘をつくときの彼の癖だ。
目をそらさないでこっち見て返事してください。
「なんで知ってるんですか?あそこが群生地だということ」
じろりと彼を見ると苦笑いを浮かべて更にごまかしてきた。
「え、あ、ほら、ねぇ、はは… あー……たまたま?」
「笑ってごまかしてもダメですからね」
"そんなに詳しいということは、もしかして頻繁に行ってたんですか?"
「うちの子達がこわいよぅ…」
あそこ言うほど危険じゃないよ?大丈夫!だから、ね?💦といつもの笑顔で逃げようとしている。が、そうはいかない。
「危険なことはしないと、約束したじゃないですか」
カリカリ
"心配する身にもなってください!"
「………逃げたいんだけど」
「だめです」
"だめです"
「えー」
この日の夜は俺と彼女でお師匠様の無謀な行動についてプチ説教が始まった。
それをお師匠様はにこにこしながら嬉しそうに聞いていた。
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