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第三章
夜行列車
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駅に着く直前、もう10月だというのに半袖姿の人が多いことに気がついた。そういえば、今日は8月上旬並みの暑さになるとか天気予報で言っていたっけ。確かに、深夜にも関わらず長袖を着ていると少し蒸し暑い。
まさか自分が夜行列車に乗る日が来るなんて思いもしなかった。しかも行き先は私の、私たちの思い出の場所。なんだか新鮮な気持ちになる。
幸奈からチケットをもらってすぐに準備をしたから、なにか忘れ物をしていないか心配だ。幸奈があそこでしっかりと修学旅行のチケットを買っていたら私が東京に行くことなんてなかっただろう。幸奈に感謝しなくては。
チケットには「大阪→東京 特急券」と印字され、その下には座席番号が記してある。
改札口にいる駅員にチケットを見せると、荷物を検査される。荷物検査は思いのほか早く終わった。その後、電光掲示板を確認する。出発まであと20分近くあるようだった。何をして待っていようか。そわそわして、何かをしていないと落ち着かない。
そうだ、何か飲み物を買おう。喉が渇いてしまった。
ホームにある売店で、リンゴジュースと麦茶を買った。ついでにサンドウィッチも買っておく。そうしているうちに15分が経過していた。そろそろ行かなくちゃ。
ナレーションが響き渡り、列車がホームに入ってきた。幸奈に列車が来たことを知らせようと思ったが、取り敢えず開いたドアから乗り込むことにした。
12号車に私の座席番号が記されたプレートがあった。ドアを開けて中へ入り、ゆっくり室内を見渡すと、小さな部屋にベッドが2つ並んでいることに気づく。さらに、その奥には2人掛けのソファもある。ベッドもソファも2つずつ、それってつまり、
「2人部屋ってこと・・・?」
一瞬部屋を間違えたかと思い、一旦通路に戻り再度座席番号を確認する。しかし、何度確認をしてもこの部屋で間違いないようだった。
てっきり個室だと思っていたのに2人部屋だった。私は人と話すのが得意なわけではない。それなのに、朝まで見ず知らずの人と一緒だなんて。大丈夫だろうか。
トランクを置き、取り敢えずベッドへ移動する。ポケットからスマホを取り出して、LINEを操作する。幸奈に無事に列車に乗れたことと感謝の気持ちを書き綴っていく。再度文面を確認してから送信ボタンを押す。すぐに既読はつかなかったが気長に待つことにした。
どっと疲れが押し寄せてきたので、ベッドに横になる。少し寝ようとした瞬間、ガタッと音がしてドアが開いたので慌てて姿勢を正す。入ってきたのは同じくらいの年齢の女性だった。
「よろしくお願いします。」
これから朝の8時くらいまではずっと同じ部屋なんだから、と勇気を振り絞って笑顔で挨拶をする。彼女はチラッと私を見て、軽くお辞儀をするだけ。この人と朝まで一緒だなんて大丈夫だろうか・・・。そこから何分かの沈黙が続いた。
まさか自分が夜行列車に乗る日が来るなんて思いもしなかった。しかも行き先は私の、私たちの思い出の場所。なんだか新鮮な気持ちになる。
幸奈からチケットをもらってすぐに準備をしたから、なにか忘れ物をしていないか心配だ。幸奈があそこでしっかりと修学旅行のチケットを買っていたら私が東京に行くことなんてなかっただろう。幸奈に感謝しなくては。
チケットには「大阪→東京 特急券」と印字され、その下には座席番号が記してある。
改札口にいる駅員にチケットを見せると、荷物を検査される。荷物検査は思いのほか早く終わった。その後、電光掲示板を確認する。出発まであと20分近くあるようだった。何をして待っていようか。そわそわして、何かをしていないと落ち着かない。
そうだ、何か飲み物を買おう。喉が渇いてしまった。
ホームにある売店で、リンゴジュースと麦茶を買った。ついでにサンドウィッチも買っておく。そうしているうちに15分が経過していた。そろそろ行かなくちゃ。
ナレーションが響き渡り、列車がホームに入ってきた。幸奈に列車が来たことを知らせようと思ったが、取り敢えず開いたドアから乗り込むことにした。
12号車に私の座席番号が記されたプレートがあった。ドアを開けて中へ入り、ゆっくり室内を見渡すと、小さな部屋にベッドが2つ並んでいることに気づく。さらに、その奥には2人掛けのソファもある。ベッドもソファも2つずつ、それってつまり、
「2人部屋ってこと・・・?」
一瞬部屋を間違えたかと思い、一旦通路に戻り再度座席番号を確認する。しかし、何度確認をしてもこの部屋で間違いないようだった。
てっきり個室だと思っていたのに2人部屋だった。私は人と話すのが得意なわけではない。それなのに、朝まで見ず知らずの人と一緒だなんて。大丈夫だろうか。
トランクを置き、取り敢えずベッドへ移動する。ポケットからスマホを取り出して、LINEを操作する。幸奈に無事に列車に乗れたことと感謝の気持ちを書き綴っていく。再度文面を確認してから送信ボタンを押す。すぐに既読はつかなかったが気長に待つことにした。
どっと疲れが押し寄せてきたので、ベッドに横になる。少し寝ようとした瞬間、ガタッと音がしてドアが開いたので慌てて姿勢を正す。入ってきたのは同じくらいの年齢の女性だった。
「よろしくお願いします。」
これから朝の8時くらいまではずっと同じ部屋なんだから、と勇気を振り絞って笑顔で挨拶をする。彼女はチラッと私を見て、軽くお辞儀をするだけ。この人と朝まで一緒だなんて大丈夫だろうか・・・。そこから何分かの沈黙が続いた。
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